午後3:12
「来た。」
セファレットが目を開く。
「連絡が来た。出発です。」
地下空間でスタンバイしていた箱舟の残りが上昇していく。
フルカは箱舟内にある小型船に乗り込み、数名の仲間と共に中央へと向かう準備を行った。
「セファレットは、私達が居ない間に勝手に辺境廻って、そこで人々を助けて廻ってくれない?」
とフルカが言うと、
「心得た。最後に必ずフルカも助けにいくから、気をつけて。」
妙に人間的な事を言うので、なんとなくおかしかったが。
26の存在といっても、見た目以外は意外と私達と変わらないのかもしれない。
そんな事を思ってしまった。
箱舟4隻は海面上に現れ、そしてフルカ達は5隻の小型船団を組んで中央へと向かった。
この場所からはこの船で行けば1時間ほどで到着する。
あまりの早さに軍の船は一隻も追い付いてこられなかった。
まだ問題は起こっていないようだが。
急いで行くに越したことはない。
その時、塔の内部では事件が進行していた。
「粒子格納庫で見つかった遺体です」
その写真は、前の実験の時にみたフラワーズ達と同じ姿であり。シルバーコートを身にまとっていたに関わらず、影響を受けていたのだ。
他にも、侵入した軍のメンバーはすべてこのようになり。写真のみ転送されたものを持ってきた、ということであった。
隔壁は閉鎖してあるので大丈夫だろうが。
粒子を回収して、そして現状を回復せねば。
粒子濃度は全国的に予定の70%まで上昇している。
今のところは外部に影響は出ないだろうが。
しかし、ドンと言う音と共に、隔壁の壊れる音がした。
力粒子を閉じ込めていた隔壁が壊れたのだ。
力粒子は、人の意識により、操作が可能となる。
この時、人が「この隔壁も持たないかもしれない」と思ったために、実際に力粒子がそのように動いてしまったのであった。
人々の不安が、力粒子の動きを加速させていった。
肉体の変容、そして塔内の破壊。
粒子循環施設はほとんどが異常を示すようになり、プレーター達にも抑えが利かなくなっていた。
プレーターも粒子にほんろうされ、
力粒子の動きにさらに恐怖の力を与える事になってしまい。
力粒子が内部の粒子発生装置を破壊し始めた。
すべての粒子が放出されていく。
何の制御も無しに、外へと、放出口を伝って外に出ようとしていた。
「くそっ、粒子を押さえろ、何としても塔のそとには出すな!」
現場の軍人、技術神官、その場にいるすべての人々が協力して事態に対応した。
自らの危険を顧みず、放出口を手動で閉めに行き、そのまま戻ってこなかった軍人。
肉体の変容の途中でも、自分の仕事をやり遂げるために最後まで粒子発生装置の制御をおこなった神官。
爆発物を使って放出口を吹き飛ばして埋めるために、自らそれを背負って、そして自爆した軍の幹部。
多くの人々がわが身を犠牲にしつつも、参事が起こらぬよう必死に対応した。
アレスもコントロールルームを出て、肉眼で塔内を観測できる場所に移動した。
使っているカメラ類が死んでしまい、モニターで観察できないようになってきたからだ。
現場では必死の作業が行われている。
それでも、粒子の暴走は収まらなかった。
外に出た粒子が、今度は国民に影響を及ぼしはじめたのだった。
目の前で肉体が変化し、恐怖によりまたそれが変化していく。
中央の町は地獄と化していた。
そして、恐怖は町を破壊していく。
人の意識が集まり、粒子によって増幅され。
恐怖が破壊を生み出していた。
「これが、あなたの見せたかった状態ですか。」
とカズールが隣のヤベーへに言った。
これが、粒子を誤って使用した場合の結末である。
町が壊れ、人が崩れ。
そして意識が恐怖を呼び込み、それがまた町を破壊する。
その中でも、粒子の影響を受けない人も居て。
そう言う人々は港へと逃げ始めていた。
カズールは、ヤベーへ達が我々には粒子が使えない、と言う事を言っていた意味が理解できた。
今の人々は、粒子をただの力と思っているが。
粒子は人の意識と共にあるものであり。人の意識の状態を、そのまま外に表現してしまう。
そして、その意識の望みを叶えてしまう。
それが分裂を望み、保身を望み、独占を望んだとき。
粒子はその通りに動き始める。
分裂、独占、そして、世界の崩壊。
多くの人々が望んでいた
「今の世界が変わればいいのに」
それは、つまり、今の世界の崩壊を意味していた。
粒子はその意識に反応した。
ヤベーへは翼を広げ、そして言った
「私は生存と今後の未来を望む人々を導く。その間にカズールはやるべき事をやってきなさい。」
と。
港に、そこに到着したフルカ達。
海に脱出しようとする人々を船に載せて行く。
一杯になったら箱舟へ戻り、そしてまた載せていく、という事を行っていた。
実際に港まで逃げ伸びる人の数は明らかに少なく。
途中で恐怖に捕まる人のほうが多かった。
ヤベーへが空から道を示す。
それにより、多くの人々が港へと走った。
混乱のなかシェズの姿は分からなくなっていた。
議長宿舎に移動したところまでは見ていた人がいたのだが、その後の動きは誰も知らなかった。
塔の中でアレスは
これを止めねば。
このままでは、このアトランティス以外の地域にも粒子が広まってしまう。
そこで、アレスは、水で封じる事を思い出した。
古代の人々が考えた、粒子を封じる最終手段。
「ロールン!」
指令室にいたロールンを呼び出し、すぐに資料をあつめさせる。
アレスはその場所に移動していると、塔の中庭に差し掛かった。太陽の光を取り込む事ができるその部屋には、植物も植えられ、小さな川まであった。
そこに、カズールが立っていた。
アレスは足を止め、カズールと向き合う。
「こうなる事が分かっていたのか?」
アレスがカズールに言う。カズールは首を横に振り、
「ここまでになるとは思っていなかった。ただ、粒子を俺たちは使い方を間違っていたんじゃないかと思っていた。」
「こうなって、お前の予想が当たって嬉しいだろう。」
「嬉しい訳はない。こうなる前に、お前に気付いてほしかったんだ。」
アレスがカッとして叫ぶ。
「ならば、なぜ一緒にしてくれなかった。俺一人に押しつけやがって!」
「済まない、しかし、俺は粒子に関する仕事はすべてしたくなかったんだ。」
「甘えるな、フェールが死んだくらいで。」
「・・・・そう、フェールが死んだから、俺は粒子を扱いたく無くなったんだよ。」
アレスは、この時初めて、カズールの秘めた心の奥を見た気がした。
フェールが死んで、そしてすべてを失った悲しみを覚えたのは自分だけでは無かったのだ。
カズールも同じであったのか。
「であればこそ、粒子をきちんと使えるようにすべきではなかったのか?」
「だから、粒子を扱う事はやめたほうがいいんだ。今の我々には過ぎた力だ。」
そこにロールンがやってきた。カズールを見て、すぐに護身用のスタンガンを構える。
その様子を見て、アレスも一瞬冷静になった。
アレスはそれを降ろすように指示して、
「そう、我々には過ぎた力、だと言う事は今回の事で理解できた。だから今は自分にできる事やる。それまでだ。」
そう言ってロールから資料を受け取る。
「これからどうするんだ?」
「この資料にあるように、水を入れる。粒子は大量の水の中は通らない事が分かっている。だから、古代の人々はその仕組みを作っていた。それを利用するまでだ。」
「どうやる?」
「今更、カズールの手は借りない。だが、1つ頼みがある。」
「なんだ?」
「この、ロールンをお前らの船に載せてやってほしい。」
それを聞いて、ロールンは
「いいえ、私はアレスと同じ場所で同じように仕事をします。あなたがまだここにいるのならば、私もまだここで仕事をするまでです。」
と答えた、その目には涙が浮かんでいた。
それを聞いて、アレスは
「そう、君は大切な人だ。だから、近くにいられると、君を守るために自分が動いてしまう。
だから、君には安全なところにいてほしい。」
「でも、私は大丈夫です。」
「君が大丈夫でも、俺が困る。」
「いえ、こればかりは聞けません。」
「強情だな。」
「それが性格ですから。」
とロールンが言ったと同時に、アレスはロールンに近づき、そしてスタンガンを放った。
ロールンは倒れアレスはその体を受け止める。
「カズール頼む。」
カズールはロールンを受け取りながら
「手荒な事をすると、こういう性格の子は後が怖いだろうに。」
と言うと、アレスは
「それもコミュニケーションの内さ。」
と言って苦笑した。
カズールは地下通路を通って港へ出た。そこにはちょうどフルカの船がある。
カズールはフルカを呼んで、その船にロールンを載せてくれるように頼んだ。
フルカはカズールを見て、嬉しそうな顔をした半面、女性を担いできた事で微妙な表情をしたが。
「アレスに頼まれた。」
という一言で理解した。
「カズールは・・・このまま、乗って行くか?」
フルカが期待を込めて聞くと、カズールは塔の方を見て。
「いや、まだやる事がありそうだ。」
と言って立ちあがった。
その手をフルカがぐっと握る。
「待って、行くな。」
驚いてカズールはフルカを見ると、フルカが涙をためた目でこちらを見ている。
「待てよ。もう向こうに行っても遅いんだろう。だったら、・・・・・一緒に行こう。」
カズールはフルカを抱き寄せた。
「すまない。だが、まだ俺にできる事がある。だから、行かせてくれ。」
「・・・戻ってこい、必ず戻ってこい・・・・・約束だ。」
胸に顔を押し付け、フルカが言った。
「了解した。」
「僕の作ったリンゴを食べてもらうまでは死なせない。」
「そうか、リンゴはまだ食べてなかったかな。」
「だから、戻ってこい」
フルカは顔を上げ、カズールを見上げた。
カズールは優しく微笑み。
そして、塔へと向かって地下通路へと走った。
アレスは軍の数名の部下を連れて、塔の中心部に来ていた。
そこには水を流し込むための装置があるのだ。
しかし途中で数名が力粒子に捕まり、恐怖による死を迎えた。
不思議とアレスはその影響を受けていない。
恐怖や不安、そういうものを持つと反応する。
それが分かっているので、アレスはそのような感情が出ないようにしていたのであったが。
それ以上に、粒子を封じる。という強い目的のために。その意識が強く働いていて、力粒子のエネルギーを無意識に制御していたのだった。
多少の助けにと、落ちていたシルバーコートを羽織り、そして塔へと水を流し込む機器を操作し始める。
その途中、軍人全員が恐怖にとらわれ命を落とした。
アレスは平静を保ちつつ、作業に打ち込む。
技術神官をしていて良かった、と思うのは。仕事をしている時はすべての感情から解放されていると言う事だ。
没頭するとそこが自分の世界になり、外部とのつながりを遮断できる。
近くで変形して死に至る軍人が居ても、それを気にしなくなるくらい今の作業に没頭するようにした。
しかし、なにぶん手が足りない。
一人ではとてもすぐにできそうにない手順なのだ。
どうするか。
その時、カズールがそこにやってきた。
すぐに手順書を見て、アレスのしている事を把握し、そして作業を手伝う。
「ちょっと仕事していなかったせいか、手際が悪いぞ。」
とアレスが言うと、カズールは「お前こそ椅子に踏ん反りかえってばかりで、現場作業をサボってたんだろう。だからこれくらいで手間取るんだよ。」と言い返す。
と言いながらも二人は作業を進め、そして、最後のレバーを引いた。
ガオン!
と大きな音がして、大量の水が流れ込む音が聞こえてくる。
運河の水が、すべてこの塔に流れ込んできているのであった。
それを確認したあと、アレスがガクッと膝を折った。
カズールが駈けよる。
すると、アレスの体が塩の欠片になってきていた。
足の先から、徐々に。
「どうした、アレス!」
「どうやら、力粒子に捕まったらしい。」
「何だと、何を思った?」
「さっき、すべてが終わった時にふと思ったんだ。あ、俺の仕事は終わったんだって。いっそ海に行きたいと。」
「それで、塩か。フェールといい、アレスといい、お前ら変だよ。」
「だから、一緒にいられた。」
そう言って笑う。
だんだんと塩になる部分が増えてきて、体を覆い始めていた。
「アレス、済まなかった、お前一人に押し付けてしまって。」
カズールが言う。するとアレスは力なく笑って、
「今頃あやまっても、遅い。」
「俺は怖かったんだ。人も殺してしまう粒子にかかわる事が。だから、お前のその行動力に嫉妬も覚えていた。」
「俺は、お前のその思い切りのよさに嫉妬を覚えていた。俺はすべてを捨て去る勇気が無かったんだ。」
カズールは軽く笑って、
「そうか、互いに、そう思っていたんだな。もう少し早く話せれば良かったか。」
そう言ってアレスを見ると、アレスは最後に少し笑って、そしてすべてが塩になった。
アレスであった塩の塊は崩れ落ち。
そして、カズールはその場を立ち去った。
大量の水が一気に入りこんだため、塔の地下にある通路が崩壊し、塔が沈んでいく。
そして、太古の昔の張り巡らされていた通路にも水が押しよせ、その勢いで大陸が分断され始めていた。
人の意識が大陸の崩壊を呼び、それが通路の粒子も反応して。
大陸が分断されていく。
塔の内部にある粒子は水により封じ込められたが。
大気中の粒子はそのまま存在していた。
それが人々の意識に反応している。
カズールは小高い丘の上に来ていた。
フェールが眠り、そしてアレスも眠るこの地。
人々の意識はこれほどまでに分断されていたのか。
アレスとカズール。この二人ですら、意識のすれ違いが存在した。
それを恐怖と感じる意識がこの惨状を招いているのか。
静かに、カズールはその様子を
それが、分断され、崩壊していく様子を見ていた。
塔は半分くらい地下に沈むと、そして周囲にあった運河から、丸いリングが浮かび上がって来た。
アトランティスの始まりの場所。
塔、とリング。創世記の記録にしか現れないそのモノが、今目の前に現れてきたのだ。
そのため、大地は裂け、海水が押し寄せ。
中央の町は崩壊していた。
そして、そこから放射状に海水が入り込み、大陸の形が次第に変化していく。
塔とリング。
その姿はフルカ達も見ていた。
船の上から、その姿を皆見ていた。
創世記の話に現れる、塔とリングが。最後の時に姿を現したのだ。
もう大陸は海岸線から崩壊し、近づけない。
もともと、塔とリングの力に支えら得れていた巨大な島であったので、
塔の力が弱まった今、その巨大な島は崩壊していった。
大波が島を洗い、姿を変えて行く。
ロールンは、少し前に医務室のベットで目覚めた。
そして、そばにアレスの姿が無いのを知り、一人泣き崩れた。
あの時アレスは死を覚悟していた。
それに付き添い、共に最後までついて行く気だったのに。
アレスの事を思い長い間一人ベットの上で泣いていると、扉が開いて、フルカが飲み物を持って入ってきた。
その気配に、目元をぬぐってフルカのほうを見る。
フルカはロールンのその姿を見て目を伏せた。大切な人を失う事。
その気持ちが痛いほど分かるからだ。
カズールの安否はまだ分からない。その気持ちで張り裂けそうな胸の内を抱えて。
しかし、ロールンに対してなにか自分がしないといけない。
そんな気持ちになって。
飲み物を持ってきたのだが、自分はここにきても何もできない事に気付き。
無力さを悟って目を伏せたのだった。
少しの沈黙
「ありがとう。フルカ。」
ロールンが声をかけた。フルカは顔を上げる。自分の名前を知っていた事に少し驚きつつ。
その表情を見て、ロールンは付け加えた
「アレスが言ってました。初代のフラワーズ、もっとも粒子の扱いに優れた人物だと。私も踊り見せてもらって、すっかりファンになったのよ。」
そう言って微笑んでくれた。
「それは、ありがとう。ロールン、でよかったかな? 体の具合はどう?」
その言葉に、ロールンはまだ体に残る少しの痺れを感じながらも、
「私は生きてます。だから、大丈夫。」
自分で確認するようにロールンはゆっくりと言葉を発した。
そう、生きているから、大丈夫
その言葉を聞いて、フルカは自分のやるべき事を思い出した。
そう、まだ生きている人々を、導かないといけないのだった。
自分にはやるべき仕事がある。
「じゃぁ、飲み物はここに置いておくから。あとは何かあったら担当の者をこのレバーで呼んで。 また後で、ロールン。」
そう言って、フルカはまた避難してきた人々を船に誘導するために艦橋へと上がっていった。
その後、船が港を離れ、ゆっくりと沖へと出て行くのを感じて、ロールンは起きあがった。
自分が生き延びた事の意味を確認するため、よろめく足取りで甲板へと上がってゆく。
自分の目で、すべてを見るために。
目の前には、沈みゆくアトランティスと、それを見守る人々の姿。
アレスの、その行動のおかげで私達は生きている。
ロールンは涙を拭いて、その最後の様子を記憶に焼きつけるように、
しっかりと見つめていた。
自分に出来る役割。最後を見るために。
フルカはカズールを探していた。
船の何処にも居ない。他の船にも聞くが、それらしい人物はいないし、回収していないと言う事であった。
フルカはその報告を聞いて、でも、あきらめきれずに甲板の上に登り、一面にあふれる非難してきた人々の姿のあいだを走り回り、カズールの姿を探した。
フルカには、カズールがどのような姿になっても見分ける自信があった。
一瞬見かけただけでもカズールの姿はわかる。
あの少し前かがみになった背中も、薄いいろの金髪も、特徴的な歩き方も。
全て、フルカは知っていた。
カズール、どこにいる?
船倉まで、船のすべてを探した。
しかし、カズールの姿はどこにも無かった。
船が沖に避難してから、フルカは甲板で膝をついた。
「なんで、こんなにたくさん人が死んで。なんで、僕ばかりが残されて。」
船の手すりにつかまり、沈みゆく大陸を見ながらフルカは涙を流した。
自分の不甲斐なさ。そして、大切な人々を失った悲しみ。
すると、その様子を見て。ロールンが隣に来て、
「だから、私達は生きないといけない。 そうでしょう?」
と言った。
「ロールン・・・そうだね、僕はまだ生きているんだし。」
フルカは涙をぬぐって、そして立った。
すべての思い出と、たくさんの人の思いが沈んでゆく。
その姿を船の上から、ただ、その様子を見ていた。
この様子を多くの人々に語るために。
「船はまだこの海域周辺を探る。流されてきた人の救助を最優先にする。」
フルカはそう指示を出しながら、艦橋へと戻って行った。
ロールンはその後ろ姿を見送って。
そして、そっと涙をぬぐった。
アレスの事を思い出して。
丘の上にいるカズールの隣に、ヤベーへが現れた。
「あなた達の力を持ってしても、今回の事は防げなかったのですか?」
カズールが穏やかに聞くと、ヤベーへは
「万能ではない。人の意識によって動かされる事は、人がそれに対応しなければいけない。我々ではなく。」
カズールの立っている丘も、次第に海にのまれていく。
フルカには迷惑しかかけてこなかったな。最後まで約束も守れなかった。
最後にそんな事を考えて。
カズールは目を伏せた。
波が大きく丘に押しよせ、すべてを包み込む。
遠くに見える、塔とリング。
それはゆっくりと水面下へと沈んで行った。
「力粒子と水の制御」
「何か」に似てます。
「何か」の善悪のことじゃなくて、「エネルギーの活用法」の教訓?
アトランティスの物語を、発したのは、もっと深い意図があると、思いますが。