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ネコ20匹を世話するため、本を書いたりバイク乗ったり。見えない世界ととその狭間を見ながら日常を生活する一人の男の物語。

アトランティスの記憶<後期アトランティス 5 >

2013-02-19 09:33:59 | 『日常』


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・後期アトランティス 〈 妖精の町 〉


草原のまっすぐな道を、ギャロットは疾走している。
今は初夏、私達は今「中央」に向かう途中。
草原の所々には美しい花畑が広がって。見た事のない鳥が居て。
空は広くて、白い雲はおいしそうだし。
空と大地の間を自分は間借りしている。そんな気分になったりして。

年に一度、中央である「踊り子」の祭りに参加するために移動中。
今年は私も選ばれちゃって、私達の町からはトレーナー、監督、踊り子、アシスタント、と計7人参加することになったの。
その中に私と、アシスタントとしてヨルハンも居るの。
一応、私の踊り子としての実力が評価されたから、ってのはあるのよ。


長距離移動用のギャロットは今まで乗っていたものと違って、とても快適に過ごせるようになっていてびっくり。
前に大きな機械がくっついて、それが自動的に中央に運んでくれるみたいだけど。馬とかそういうのがついてなくて動くから、すごく不思議。
ヨルハン曰く、この機械は中央で作られた長距離用のギャロットで、内部に力粒子を充填してあるから長い事動くし、情報粒子で操作できるから自動で動くんだって。
細かいところは良くわからないけど。快適ならいいのよ。

冷蔵庫もあるし。トイレもあるし。個別の寝室もあって、これが最高。
力粒子に支えられたベットは私の体に沿って動くから。寝返りうっても首が疲れなくていいのよねぇ。家にもこれ欲しいわ。

ギャロットは中央まで3日間の距離を、途中で休憩を入れながらひたすら走るの。

これまで見た事の無い町にも降りたし。
そこでは私の町に無い山の果物とかあってとてもおいしかったわ。

草原地帯を抜けたら海沿いを走る道から、中央へとまっすぐに延びるハイウェイに入るとギャロットの横で、いっしょにお花畑を見ていたヨルハンは言う。
「なんでそんなに詳しいの?」
私が聞くと
「端末でちゃんと調べてきましたから。」
「準備良いのね。」
「アシスタントですからね。皆さんが気を使わないようにいろいろと下準備はしてますよ。」
と笑顔で答えてる。つくづく、縁の下の力持ち気質ね。

中央、は私達の町よりも北にある。北の海かぁ。おいしいものありそう。
「ねぇ、中央でおいしいものって何かな?」
私が聞くと、ヨルハンは一瞬「は?」という顔をして
「すみません、そういうもの調べてないんです。」
と申し訳なさそうに答えてきた。
「あら、食べ物は一番重要よ。」
と私が言うと
「そういうなら、自分で調べればいいでしょう。」
と後ろからハスキーな声が聞こえてきた。
振りかえると、ヤネッシュ姉さんが立ってた。
細かいウエーブのかかった黒髪に、豊かな肉体。私よりも一回り体格がいいけど、ちゃんと鍛えられた美しい体をしていて。日に焼けた体がとても健康的。
私なんか、舞台と家の往復しかほとんどしてないもやしだから、あんなふうにしまった肉体には憧れちゃうわ。

踊り子としては私の倍くらい現役で踊っている人。
私の横に、スラルの炭酸割りを手にして座ってきて。
「フロルももっと踊り以外の事も考えたら?端末も自分で使うの面倒だから調べてもいないんでしょう。」
と言う。
「端末は見るのはいいけど、使うと頭くらくらするもの。」
「踊り子には情報も必要なのよ。長く踊りを続けていてもどこかで躓くから。その時に情報を使えるかどうか、ってのはとても重要なの。」
「それはヤネッシュ姉さんの体験?」
「そうよ。悪い男に捕まらないためにも、情報は必要なの。」
ヤネッシュ姉さんは若い時に離婚しているから、その経験からかしら。
あ、今は素敵な旦那さんと一緒だから。実は今回ご一緒しているトレーナーのサッタスさんがヤネッシュ姉さんの旦那さん。
長い髪の毛を後ろに縛って、派手な色の上着をいつも身につけていて。
いつも手入れの行き届いたヒゲをはやしていて。
旅の道中はほとんどギャロットの前についている機械のところに入り浸っているの。

踊り子ってなんか、近い人と結婚している人が多いけど。私は大丈夫かしら?
舞台関係者って、お金もってないのよねぇ。

ヤネッシュ姉さんは中央にも何度か行った事があるって言う。
キャリア長いし踊りも上手いから。

情報って言うのは、端末で見るだけでなく。実際にその場に行って体験する事も大切。
と言う事を言われてしまった。
私が観光気分なのを注意された感じ。

でも、おいしいもの食べたいなあ。

ギャロットは森林地帯に入っていった。ヤネッシュ姉さんがこの途中に面白いものあるから見ておいて。と言うので窓を開けて張り付いていると。
太陽の光を浴びてキラキラと光る大きなものが見えてきた。

でっかい、緑に覆われているけど、でっかい水晶に見える。

私の町のどの建物よりも巨大で。
森の木々の間から見える大きな水晶。それがいくつも並んでいて。
「まるで妖精の町みたい。」
と私が言うと、よこでヨルハンとヤネッシュ姉さんが笑っている。
「何子供みたいな事言っているのよ。これは昔の町よ。」
「町?こんな綺麗なものが?」
「これは昔の建物の跡よ。」

こんな綺麗な町が昔は大陸中にたくさんあって。それぞれが空を飛ぶ乗り物で結ばれていて、どこの町からも数時間で行き来出来ていたという話をヨルハンがしてくれた。

どうしてそんなに素晴らしい技術があったのに、今はこんなんなんだろう。
町も石で出来た普通のモノだし。

「昔はね、粒子を使ってこの世界は動いていたんだよ。でもね、そこから人の意識が変わって、今度はそれぞれの町で分裂して生活することになったのよ。その時代に、こういう結晶の町はたいてい水没したり、縮小したりして森や海に沈んでしまっているの。
その後に、また大陸全体を結ぶネットワークが完成して。そして、今みたいになっているの。」
「それは踊りで降りてきた情報?」
「ちゃんと自分で調べた情報よ。私はあなたと違って、端末使うのは好きだから。それに、私の先祖にも関係する話だしね。」
「ご先祖様?」
「この、新たにネットワークを作った、ってのが私のずーっと前のご先祖さんって事を私は小さいころから聞かせられてきたんだから。」
すると、ヨルハンが
「え、じゃあ、ヤネッシュさんはヤッシュ議長の子孫?」
「あら、その名前知っていたのね。そうよ、何代目になるかわからないけど。」
「凄いなあ、そんなすごい人が先祖にいるなんて。」
「誰だって、数代さかのぼればだれか有名な人の一人や二人居るわよ。」
と二人で盛り上がっているけど、私には何の事か良く分からない。ヤネッシュ姉さんは、本人も凄いけど、ご先祖様も凄いってことね。

で、この水晶の町は。以前ここまでが中央の街であったという事らしくて。
今の中央は、最盛期に比べるとかなり縮小しているというけど。

「ほら、見えてきた。あれが中央よ。」
ヤネッシュ姉さんが指をさす。私は窓から身を乗り出して前を見た。
そこには、さっき見た水晶の街が、光り輝いて存在していた。

天を貫くような高い塔と、その周りには水晶のクラスターのように建物が立ち並び。
森の中に現れた、まさに
「妖精の街だわ!」
と私は口に出していた。

横ではヨルハンとヤネッシュ姉さんが笑っているけど。
そう見えるものは見えるもの。





「ほら、きょろきょろしない!」
ヤネッシュ姉さんの声が前から聞こえてきた。
さっきから周りの人とか、建物の中とか、そこに置いてあるものとか、そういうのをヨルハンと一緒にきょろきょろ見ていたから。

ギャロットは中央にある宿泊施設へと私達を案内してくれて、その中に入ったんだけど。
なんというか、私達の住んでいる町とはまったく違う雰囲気で驚いちゃった。

建物の壁はスッキリとした、何かの結晶で出来たように継ぎ目のない作りなんだけど、そこには人の営みがあって。
明らかに最近追加されたような石作りの棚とか、机とか。
そういうものが折り重なって、元の壁の半分くらい埋め尽くしている感じ。

ヤネッシュ姉さん曰く、昔は粒子ですべてを動かしていたから何も置かなくてよかったけど、今は粒子を使わない生活の流れが出来てきているので、それに対応して石作りの部分が増築されているって事。
せっかく綺麗な壁なんだから。何も置かなきゃいいのに。と思うけど、それもここで暮らしていくには必要なのよね。

宿泊施設の部屋も、壁はシンプルな結晶質の感じだけど。
調度品とかほかの部分は石作りのところが追加されていて。
でも、そんなに違和感なくまとめてあるから居心地はいいわね。
みんな個室だけど、ベットが何処にも見当たらなかったので隣の部屋のヤネッシュ姉さんに聞いてみたら、

「その壁を押してごらん。」
と言われて。手形模様のある壁の一部を押すと、何か足元に押されるような感覚を受け始めた。
と思った瞬間、ヤネッシュ姉さんがそこに飛び込む。本当に頭から飛び込んだので一瞬びっくりしたら、
ヤネッシュ姉さんはそのまま気持ちよさそうに浮かんでいた。

「ほら、ここは力粒子がベットの形になるようになっているのよ。」
と、床から3ロルト(30センチくらい)くらい浮かんだ空中で寝がえりを打っている。

おもしろそう!!

で、私もダイブ。
ほんと、空中に支えられている感覚は独特で。
どこにも圧迫感を感じないのにしっかりと固定されていて。
「すっごい!これ欲しい!!」
と粒子ベットの上でごろごろしちゃった。
問題は、見えないって事くらいで。でも落ちないように縁に近づくとちゃんと押し戻されたりするし。
触ったイメージでは、まるいすり鉢のなかで寝ている感じかしら?

これに眠れるだけでも、中央に来た意味があったわ。
でも、これは私の街では手に入らないんだろうか?

するとヤネッシュ姉さんは
「中央は、まだ粒子技術が発達しているから、こういうのができるのよ。それに、使える粒子の量が私達の街の何千倍とあるのよ。
だから、ふんだんに力粒子も情報粒子も、そのほかの粒子もあって。ほら、そこの冷蔵庫も冷却粒子を使っているでしょう?
粒子で動いている街。それが中央なのよ。」

と横で教えてくれた。
中央って凄いんだね。

でも、そんなすごいとこで私達はなにをすればいいんだろう?
と言う事を聞いてみると、それはこれから行くところで分かるわよ。
とヤネッシュ姉さんは言って、あと30分(くらいって事で)くらいで出発よと言いながら部屋から出て行ってしまった。

こんな凄い街で、私達のような田舎の踊り子が何をできるんだろう。
ちょっと不安になったりしてしまう。

でも、そんな事考えているよりも、少しでも楽しまなくっちゃ。せっかく来たんだし。

ということで、ヨルハンでもからかってこよう、と思って部屋に押し掛けていってみたわ。
ヨルハンも私と同じようにベットについて悩んでいたみたいだったから、私がヤネッシュ姉さんがやったのと同じようにしてヨルハンに教えて。ちょっと自慢。
驚きでぽかっとしているヨルハンに、
「どう、一緒にこっちに来てみたら?」
なんてちょっとシナを作って声をかけてみると、予想通り真っ赤になって断ってきて。
ついついからかいたくなっちゃうのはこういうところ。

そして、そのまま集合時間になったので、二人で中央にある部屋に向かう事に。

宿泊施設にはちっちゃい端末が用意されていて。この街に来た人はそれを使って自由に出歩いていいんだって。
だから、待ち合わせの場所なんかも初めてでもすぐに移動できちゃうし。便利だわ。

なにやら情報粒子を拾う端末みたいで。私達が使っている家にあるおおきなものよりも軽くていいの。とりあえず首から下げて使っているけど。
情報が空中に投影されるから、最初は画面がついてないからびっくりしたけど。
私たちの使っているのは、画面がついているのに、こっちのないんだもの。
手で握れる大きさくらいで、軽いし。
こんなの欲しいわ、って言うと、ヨルハンが「中央だからできる技術見たいですよ。」なんて知った顔で言うし。

私達の街では粒子の濃度が薄いので、こういう端末を使う事が出来ないみたい。
粒子ってすごいのね。

そして、集合場所に皆が集まって。それから、今後の打ち合わせが始まった。

そこには、たくさんの人達が集まっていた。
見た事の無い服、髪形。
原色の鮮やかな色に染め上げられた服を着ている人達、薄い絹の服で優雅に佇んでいる人達。

そこには華やかな色があって、雰囲気があって。
髪の色も目の色も様々。茶色い髪とか、銀色の髪の毛とか。
私の町では黒か金色、とその混じった感じの色合いがほとんどだから、なんだか嬉しくなっちゃう。目の色も、茶色と緑しかみたことなかったけど、青いめとか赤い目とかいろいろいるんだね。

「フロルさん、口元。」

とヨルハンに指摘されちゃった。
私はついつい顔がニヤケてしまっていたみたい。

私達の打ち合わせのあと、今日は全員での顔見せというか、そういう前夜祭的なものがあるので、夜はちょっとおめかししてその会場に行ったの。
でも、予想よりもたくさん人がいて。

「どう?これだけの踊り子も、大陸の中で言えばごくごく一部なのよ。」
横でヤネッシュ姉さんが言う。
そう、私達も自分の街のなかからちょっとの人数だけで来ているだけなんだから、考えてみればそうよね。

「そんな大陸中の踊り子集まって。みんなで踊ったらすっごくたのしそう!」

そう言うと、ヨルハンとヤネッシュ姉さんが笑っていた。
たのしい事はぜひやってみたいわ。

とはいえ、今回はそういう楽しいだけの集まりではなくて。
1つの物語を、各町からやって来た表現力の豊かな踊り子達によって紡ぎだし、それを保管することが目的なんだって。
私達が踊る事で、情報粒子から過去の情報が引き出され、それを受け取る人達もいて。
その過去からの情報を集めていく事を目的としているそう。

だから、1つのイベントでもあるけど、学術的な意味もあったりして。娯楽でもあるけど、勉強でもあったりして。

そう言われても、私達はただ、表現をすることしかできないから。
自分に出来る事を一生懸命するしかないのよね。


そして、この場所は、街の中央にある「塔」に近い神殿みたいなところ。
この広い会場の横にある「思考の間」で私達の踊りが行われるの。

最初は何か今回のイベントを始めた人の挨拶とか。
町のなにか偉いっぽそうな人の挨拶とか。
前回たくさんの踊り子を連れてきた町の人の挨拶とか。
そんな退屈な流れがあって。
そして、宴が始まった。

私とヤネッシュ姉さんとヨルハンで、食事と飲み物を確保するために人込みの中に入っていくと。

「やあ、これは東の女神、お久しぶり。」
とちょっと軽そうな声が聞こえてきた。
東の女神。実はこれ、ヤネッシュ姉さんの通り名で、他の街でもこの名前を出せば通じるってくらいの実力を持っていると言う事。
私も通り名持てるくらいになりたいなぁ。

声の方を見ると、そこには長身ですらっとした姿の男性が立っていて。年はヤネッシュ姉さんよりちょっと上くらい?

結構良い男。と思って見ていると私と目があって、優しそうに微笑んで

「おや、今年はまた新たな女神を引き連れてのご登場ですか。」
と言ってくれたりして。ちょっと嬉しくなって横のヨルハンを見ると、ちょっとすねた感じで私を見る。
あら、妬いてくれているのかしら。

「南の種馬が、私のところの踊り子を誘惑しないでよ。」
ヤネッシュ姉さんはニヤニヤしてそう言ってる。

「種馬って、東の女神はいつもながら口はひどいなあ。」
「人によってはね。女神にもなるんだけどね。」
「それは新しいご主人の前で?」
「当り前よ。」
「羨ましいなあ。いつも僕の求愛を避けていて、あんなおとなしそうな人とくっつくとは思いもしなかった。」
「私が元気だからね。旦那はおとなしくないとバランス悪いでしょう。」

なんて、言って、二人はどうも旧知の仲らしいけど。
口は悪いけど、双方なんだか仲が良さそうな感じ。

二人のやり取りを見ていると、ヤネッシュ姉さんがそれに気付いて。
「あ、こいつ紹介しておくわね。南の種馬。トゥラ。踊り子がこいつに何人もひっかかっているから、フロルも注意するのよ。」
というと、トゥラさんは肩をすくめて
「ひっかけているわけじゃないよ。双方の大人のやり取りを楽しんでいるだけ。」
「だいだい、メディテーションの腕は一流なんだから。そういう方面で名をあげなさいよ。」
「人間、特技はいくつも持っていたほうが、人生楽しいってものだよ。」

え、この人トレーナー?
ちょっと今まで見てきたトレーナーの人とイメージが違うので驚いちゃった。
女好きな感じしたから、監督か何かと思っちゃった。

ヤネッシュ姉さんによると、トゥラさんはいろいろな町でトレーナーの指導をするくらいの腕を持っていて、有名な舞台、大きな舞台にはたいてい関わっているのだって。
いくつか例を上げてもらったのは、ぜんぶ私も聞いたことのある舞台だし。
すごいわ!

今回も全体のレーニングを任されているんだって。
すっごい人なんだ。
これだけの踊り子をまとめてトレーングできるなんて。

そんな事を考えて、尊敬の目で私がみていると、
「いつでも個人的なトレーニングはしてあげるから、興味のある時は、」
と言って、端末に何か打ち込んで私に送って来た。
端末を見ると、そこにはこの街の地図が出てきて、ポイントが記された。
「この宿舎においで。」
と言ってさわやかに笑ってくれた。
「はい、何かあったらおじゃまさせていただきます。」
と私が答えると、嬉しそうに笑って去っていっちゃった。
すごいわ、なんかこれがご縁で凄い人にトレーニングされちゃうのかも。

なんて浮かれていたら、隣のヨルハンがなんか不機嫌な感じ。
ヤネッシュ姉さんを見ると、笑いながら。
「フロル、あれはあいつのナンパよ。本当に行ったら、別の、腰を使ったトレーニングをされてしまうわよ。」
と言われて。
あ、、、。
ちょっと顔が赤くなってないかしら。

「そうやって、たくさんの踊り子にも別のトレーニングばっかりしているから。あいつを知っている人は、南の種馬って呼ぶのよ。」

そんな通り名は嫌だなあ。なんて思ったけど。あの人それを楽しんでいる感じもしたからいいのかしら。

そして、おいしい海の幸、山の幸を頂いて。
他の街の踊り子の人とも仲良くなれたりして。

南の町では踊りも情熱的でかなり激しいのだとか、北の街はどちらかというと抑えた動きの中に表現を入れ込むみたいな、南とは対照的に静かな踊りもやるみたい。
土地によって、いろいろあるのねぇ。
ほかの街にもいってみたくなっちゃった。

そして、たのしい宴は終了。
これから1週間かけて、舞台の練習に入る事になるの。
「これからは、地獄の一週間の始まりよ。」
ヤネッシュ姉さんはそう言ってニヤッと笑った。






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