逃げる者は追わず

『いらっしゃいませ～』おやじの威勢のよい掛け声がお店に響きました。
ビールを飲んでいた佐藤部長は思わず入口に目が行きました(笑)
キャミドレを着た若い女の子が三人入ってきたのでした。店はパッと春 の花が開いたような華やいだ雰囲気に変わりましたから女って怖いですね(笑)
他にいたお客も一斉に顔を上げています(笑)
『やあ久し振りだね』おやじが揉み手で迎えます(笑) 『いやぁん♪おやじさんいつも渋いわね～』ハイヒールのリンゴ(漫才師)似の子が店の中ほどまでズカズカと入ってきました。 他の二人も『おなか空いちゃった～』『こんにちわ♪』静かな店が一度に目が覚めたようでした。
『私いつもの奴ね♪』『私も…』『おやじさん私も～』『はい！はい！まいど！』幾つになっても男は男だね(笑)『小籠包三つ！塩！ミソ！豚骨！』『俺のまだ～』突然長原ちゃんが叫びました。
『よせよ！』佐藤部長が突っ突くや『だってさ遅いじゃん』すっかり不貞腐れていました。
『あらっ長原ちゃんだよ♪』『あっほんと♪』
三人娘が長原ちゃんを見つけて声を合わせました。
驚いたのは佐藤部長ですが(笑)
『なんだ…お前らか…』一瞥してつまらなそうに水を飲んでいます。 『おい長原！』
『いいよ！ほっとけよ』
女に目のない長原ちゃんの言葉とは思えませんが…(笑)『長原ちゃんまだ怒ってるの～』
リンゴが擦り寄ってきました(笑)
『ふん(怒)』
『ごめんなさいね』もう一人もあわてて寄ってきました(笑)深田恭子をケバくした感じです！
『あ～おらあ馬鹿だよ(怒)』
ええおっさんが(苦笑)… 佐藤はどうなるのか気になりますが知らん振りしていました(笑)
たぶん長原ちゃんがしつこく迫って肘鉄を食らった、くらいは容易に考えられました(笑)『だってさ～』
深キョンがしなだれかかってきました(笑)
『おっ来た来た♪』ビールをチビリ佐藤部長は長原ちゃんを見ました。『急にお客さんが来ちゃったのよ』ほんまかいな(笑)『そうそう！』
リンゴも相づちを打ちます。
『…でねぇ』
『急いで行ったらもう長原ちゃん帰ったあとだったのよ…』
『ほんとよ～』
深キョンとリンゴが左右に別れてステレオ口撃です。長原ちゃんはさぞ耳元がくすぐった事でしょう(笑)
『ふん！騙されるものか(怒)』
もう騙されてるって♪
『あたし直ぐに携帯したけど繋がらなかったのよ♪』『…』
『嘘つけ！』
『嘘じゃあないわよ』
『ほんとよ！私が証人よ』
リンゴが甘えた声を上げますが…
『ほんとかよ…』『ほんとだって！』
『絶対的にほんとだわ』
☆ああ飲み屋の女狐め(笑)
『長原ちゃんたら地下鉄に乗ったんじゃあない！』
『え！地下鉄…』 『地下じゃあ繋がらないじゃあないの？』
『イヤだ～』
『長原ちゃん勝手に勘違いしてる…』
『いくら掛けてもだめなはずよね～』『ね～』
女狐どもは勝ち誇ったように嬌声を上げました(笑)
『それじゃ…』
『そうそう♪』
『そうなんだ！』 『そうなのよ♪』 やり取りを見ていて佐藤部長は頭を抱えました(笑) 『ガッハハハ♪』『なんだよ、もう少し待ったらよかったんだ♪』
『そうそう♪』
『長原ちゃんたら気が短いんだから♪』
自分の錯覚と判って長原ちゃんは高笑いです(笑)
つられてリンゴや深キョンも笑っています。
『お待ち！』ちょうどタイミングよくラーメンと小籠包がきました。