寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

さあ大変、異動だ…(13)腹のさぐりあい!

2012年02月01日 06時44分15秒 | 日記
亀田部長の出迎えで若宮本部長は夜の京都にに突撃です。まず 駅からタクシーですね。 車内はどうなっているでしょう…
お二人は面識はあってもあまり話したことはありません。
お互いのトップ同士の密約にて手を握った事実があるだけでした。その親分に従うのが子分の定めです…
二人は気まずい様子もなく淡々としていました。
今更お互いの自己紹介でもなく、タクシーの車内ははしゃぐでもなくしんみりとお互いの出方を伺う雰囲気でした。
先に口を開いたのは亀田部長でした。
いきなりメールをした手前黙りはエチケット違反だと思ったのでしょうか…
「新幹線は混んでましたか?」
「ええ、割りと空いていましたよ」
「休んでいらしたのにびっくりしたでしょう…」
メールの件でした。
こうも下手に出られると若宮本部長もつっぱるつもりはありません。
先ずは円山事業部長の懐刀の亀田部長と懇意になるのが先決と思いました。
「いや~亀田部長からメールをもらいまして実はびっくりしたのですよ♪」
「ああどうもすみません。急でしたから…それよりこの後用事など大丈夫ですか?」
「ええ…何もありませんね。着いたらホテルの近くで一杯やって寝ようかな、と思っていましたから…」
実は直ぐにでも円山事業部長と話をしたかったのですが、さすがにいきなりは無理だよなぁ…と困っていたところでした。

タクシーは河原町通りを進んで行きます。

しばらく進むと小さな交差点を曲がり街中の路地にはいります。直ぐに草書の癖のある「をでん」の看板が出てきました… 会席料理の京都らしい佇まいの料理屋さんでした。

「たまに接待に使いますけど、この店はおでんがウリなんですよ」
「おでん…ですか」
さすがに京都ですね♪おでん屋さんでこれくらい高級な(値段です)お店はそうはありません。
「大丈夫ですか?」
「はい、おでんは大好きですから…♪」
ちょうど腹も空いていた若宮本部長は舌舐めずりしています♪
「じゃあ…」亀田部長が玄関まで導きながら入り口の格子戸に手を掛けました。
「ち、ちょっと待って下さい!」
若宮本部長はストップを言い出しました。
「はぁ?」
「いえいえ…あの~今夜は亀田部長だけですか?」
店構えは華奢な感じでしたが、京都の町屋は奥が深いのです。
間口二間(約二メートル)なのに奥行き五間「約十メートル」なんてザラです♪
通称"鰻の寝床" と呼びます。これは昔税金を間口の大きさで徴収したそうで、入り口を狭くして税金を逃れる工夫をしたぶん奥行きはたっぷり取ってありました。 それで京都の町屋を外見で判断して中に入ってビックリ!はよくある話でした。
看板に「をでん」とある下に"如何銀"(いかぎん)とあります。
その如何銀の建て屋は優に四五メートルはありました。
二間ですら十メートルあるのに倍はありましたから、よほどの大きさをイメージしていたのです。
「え…?」
そうか…こちらは地元、こっちの連中に取り囲まれると心配しているんだな(笑) 昔は中々の男前だったらしく、五十前ながら優男(やさおとこ)の風貌に陰りが感じられます。
「ハハハ♪」軽く笑いながら「誰も取って喰いませんよ…」
任せて下さいよ♪格子 戸を開けながら若宮本部長を手招きしました。
万事営業で鍛えられそつのない対応ですね♪「いえ、そうじゃあなくて…」
口ごもりながらお店の中をうかがいました。 「ええ…もちろん私だけですよ」
それに今夜はうちの社員は誰もいないと思いますよ♪
玄関を入ると着物姿のおかみさんが笑顔でお迎えです。
「どうも予約していた亀田です…」
「お待ち申し上げておりました」
深々とお辞儀をするおかみさんを見て「やっぱり京都だなぁ…」と若宮本部長は感心しました。
着物姿の着こなしや身のこなし… 東京の同じような店にはない風情を感じました。
コメント
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