これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

日本国憲法 (その3)

2019-05-11 15:45:49 | 歴史
 今回は、憲法第9条についてです。「日本の憲法は平和憲法だ!」と言う人がいますが、私は「能天気憲法だ!」と思っています。そんな結論になる理由を書きます。第9条については、色々言いたい事が有りますので、二回に分けて書きます。

 『憲法第9条を改正して、自衛隊を軍隊だと正式に認めたら日本は他国を侵略する』と主張される方がおられますが、第二次世界大戦で痛い目に合い、更に民主主義思想が定着していますから、『絶対にそんな事にはならない』と私は(日本国民を)信じています。

第二章 戦争の放棄
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【貴方がマッカーサーだったら!】
 (私は、”後付けの議論”は好きでは有りませんが、)貴方がアメリカ人でGHQのトップだったとしたら、どんな憲法第9条を日本に提案したか考えて見て下さい!

 1945年の終戦時点では、世界の共産主義者達は武力革命で共産主義国を増やしていく方針でした。従って、どこの国でも内乱が発生する可能性が有りました。(日本共産党は、1922年に設立され、終戦直後に合法化された時点では、武力革命派もいましたが、平和革命派が主流でした。1951年に武力革命派が主流になって、農村でゲリラ戦を起こし→都市部に拡大するという武力革命を唱える様になりました。1952年の衆議院選挙で惨敗(議席が0)して、(国民の支持が得られないと判断したためか?)1955年にこの方針(農村ゲリラ戦)は破棄しましたが、未だに武力革命を否定するとは言っていません。)

(補足) ”レッドパージ”とは何か?分かりますか。1950年に、マッカーサーが共産主義者の公務員や会社員、10,000人以上を解雇させ、共産党員を逮捕した事件の事です。戦後、共産党は合法化されていましたが、冷戦の深刻化で取った(無茶苦茶な)処置だと思います。

 1955年に共産党が方針転換すると、共産党や社会党の武力革命を支持していた学生や勤労者達は党から出て、過激な”新左翼”と呼ばれる団体を多数結成しました。1970年の『よど号ハイジャック事件』は赤軍派が、1972年の『浅間山荘事件』は連合赤軍が起こしました。革マル派,中核派、革労協などは現在でも存在し、公安が監視しています。

 軍隊には内乱を防止/鎮圧する重要な役割が有ります。1945年の日本の人口は7,200万人ほどでした。こんな大所帯の国が軍隊を持たないで維持出来た例は、世界の歴史を勉強しても見当たりません。日本が、1950年の警察予備隊が設立されるまでの5年間、政情不安にならなかったのは連合軍が駐留していたお蔭だったと思います。

 1948年頃から、アメリカでは日本に軍隊を持たせるべきだと言う議論が始まりました。終戦時点では、帝国の軍隊を解散させる事が最重要課題でしたが、日本の治安維持費をアメリカが負担するのは不合理だと言う意見が出て来たのだと思います。

 以上の様な事を考えると、私がアメリカ人でGHQのトップだったら、軍隊を持たせないのでは無く→「他国の侵略を行わない」と憲法に明記させたでしょう。旧帝国軍は一旦解散させて、将校を全て追放し、1946年(遅くとも47年)にはGHQの主導で治安維持を主目的にした新たな軍事組織(○○軍)を設立したでしょう。

 私の案は、日本を悲惨な状態にした可能性が有ります。1950年に勃発した朝鮮戦争に○○軍は参戦させられたと思われます。ベトナム戦争にも駆り出された可能性が有ります。当時の日本の経済力では、アメリカの要求を撥ねつける事は出来なかったと思われるからです。もしも参戦していたら、○○軍の兵士は沢山亡くなっていたでしょう。1960年の”安保闘争”は、もっと大規模になっており、沢山の学生や市民が亡くなっていたかも知れません。

【平和な世界から、年々遠ざかっています!】
 軍隊を持たなくてよい世界になれば素晴らしいですね!『人間は欲深い動物ですから、そんな世界が実現出来るのか?』、私が生きている間には無理です。子供、孫、曾孫、玄孫の時代にも無理だと思います。

 ほとんどの国は、豊かになるに連れ軍事費を増やし、兵器を増強しています。アメリカ、中国、ロシアは兵器の開発に余念が有りません。工業国の多くは兵器を輸出したり、密輸したりして、貧しい国では兵器が溢れる様になって来て、内紛が絶えなくなって、益々貧しくなっています。こんな現状を見ても、近い将来に軍隊のいらない世界になると思われますか?

【大戦後の日独伊(枢軸国)の軍隊】
 第二次世界大戦を戦ったイタリアは、ムッソリーニ率いるイタリア社会共和国(RSI)軍+義勇軍+王国軍でした。1943年7月に王国軍とファシスト党内の一派がクーデターでムッソリーニを軟禁し、連合国と停戦交渉を始めました。ドイツがムッソリーニを解放したので、イタリアは内戦状態になり、終戦を迎えました。そのために、サヴォイア王国軍は、戦後も存続が認められたのです。

(余談) 1946年、国民投票によって、サヴォイア王家は追放されて、イタリアは共和国になりました。(連合国が王家の追放を要求したわけではありません。)王国軍は共和国軍に再編され、NATOに参加しました。

 日本と東西ドイツの軍隊は、戦後解散させられました。1950年に北朝鮮軍が韓国に侵攻すると、日本に駐留していた米軍を朝鮮半島に投入しました。手薄になる日本の反乱防止/治安維持を目的に戦車まで持った武力組織(警察予備隊)を創設する様に、GHQは日本政府に要請したのです。(アメリカでは、1948年頃から日本の再軍備が議論されていました。)

★ イタリア :王国軍は、敗戦で制約を受けましたが、存続しました。
★ 日本とドイツ :敗戦後に軍隊は解散させられました。
★ 1950年6月 :朝鮮戦争勃発
★ 1950年8月 :警察予備隊(75,000名、装備はアメリカから支給?)
★ 1952年4月 :韓国が竹島を実効支配
★ 1952年10月 :警察予備隊→保安隊に改編
★ 1954年 :保安隊→自衛隊
★ 1955年 :西ドイツの再軍備
★ 1956年 :東ドイツの再軍備

【アメリカの誤算と戦後の状勢】
 第二次世界大戦が終結した時点で、アメリカはスターリンの覇権主義を甘く見ていたと思います。日本の北方領土を”どさくさ紛れ”に、略奪した時点で、スターリンの”ギラギラ”した覇権主義者に気付くべきだったのです。スターリンは1953年に亡くなり、1991年にソビエトは崩壊しました。然し、プーチン大統領の言動を見ていると、共産主義だったから、ロシアが覇権主義国家だったのでは無く、ロシア国民は未だに覇権主義を支持している様です。

(補足) 1945年時点では、アメリカには共産主義者が多数いて、組織も有りました。1948年に”赤狩り(Red Scare)”が始まり、1950年に共産党を非合法化したのです。

 中国は、(戦後すぐ)まだ軍事大国では無い時から周辺国に侵攻し、少し軍備が整って来たらソビエトと国境紛争を起こしました。ソビエトとの戦争はうまく行きませんでしたが、経済成長に伴い軍備を拡張して、近年は覇権主義を隠そうとはしなくなっています。

 日本共産党が夢見ている『軍隊を必要としない世界』や、田島陽子先生の『話し合えば分かりあえる世界』に近づいている様には思えません。兵器の開発は目覚ましく、各国の軍備費は毎年増加しています。段々と”理想の世界”からは遠ざかっている様に思います。


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