高齢の母親と同居している息子(Aさん)。長く統合失調症の治療を受けていました。8050問題そのものの世帯です。Aさんは、自発的に行動することが苦手です。障害者のグループ活動に参加していましたが、その行き帰りや通院の時はヘルパーが同行していました。いずれも歩いて行ける範囲でした。
ある時、通院先の精神科が閉鎖となり、転院先を探していました。薬の調整等の必要性を感じていたので、遠方になりますが県立病院に行くことにしました。将来的には近くの精神科病院に通院することをめざしつつ、県立病院に入院を打診しました。院長の診察で入院の可否を判断してもらいましたが、通院で薬の調整を行うことになりました。状態を伝える必要があり、月1回の通院に同行することにしました。半年ほど、毎月1回の通院に同行しました。
処方が決まり、近くの病院に受診先を変更、それからはその病院に自分で通うことができるように支援が始まります。しばらく通院に同行し、病院に慣れてからタクシーで通院することにしました。タクシーは母親が呼び、帰る時は病院の相談員に依頼して呼んでもらうことにしました。1年近く、このような手立てを取りながら自分で通院できるようになりました。
何もできない人ではなく、自立できる方向性を定めて支援し、待つことが大切だと感じた事例でした。
可睡ゆりの園にて