自宅の庭に咲いたバラ(5月10日撮影)
(前回からのつづき)
4 工賃向上の支援における「優先調達の推進」について
「優先調達の推進」における役務の調達に関して、工賃向上に資する内容を検討する必要があると考えます。単純に競争入札を実施すれば、役務の単価が低くなるのは明白であり、これでは工賃低下につながります。適切な最低入札価格を設定する、あるいは分割発注が可能であれば、希望した事業所に分割して発注する等の工夫が必要ではないかと考えます。
5 ボランティア活動の促進について
地域福祉活動計画において障害者支援に関わるボランティアの養成等の事業が記載されています。それらについては、障害者計画においても事業として記載することはできないのでしょうか。障害者計画で認めた事業はこれだけということではないと考えます。様々な場で障害者支援は取り組まれていますので、それらを網羅したものとして障害者計画を策定していくことが求められると考えます。
同様に、地区社協等では支え合いの仕組みを作る取り組みが各地で進められています。高齢者中心ではありますが、障害を持った人たちも含めて制度の隙間に生じたニーズに近隣の力で解決しようという取り組みは、めざしている共生社会そのものの実現でもあります。そのような取り組みを一緒に行っていくことをどこかに記載してもよいのではないかと考えます。
6 障害者の社会参加、社会貢献について
障害のある人たちを支援される側面からのみ捉えるのではなく、主体的に社会参加する側面から、その場を提供していく取り組みの記載があってもよいのではないかと考えます。主体的に社会参加することは、計画策定にあたっての期待される役割に明記されていることでもあります。スポーツ・文化・学習といった場に参加することができるように取り組むこと、また就労という形で社会参加できるようにすることは記載されていますが、その人が生活している場で交流し参加する場を確保していくことも大切なことと考えます。
障害を持った人たちは、それぞれに様々な力があり良いところがあります。それを生かしていくストレングスの視点が必要です。また、その力が発揮できるようにするエンパワメントの視点も必要です。そのような視点から障害者計画を策定することが求められます。
私は1995年に、障害者自身がボランティア活動の場を求めていることから、使用済み切手を整理して施設運営の一助にしてもらう場を作りました。月1回の集まりでしたが、精神障害をかかえた多くの人たちが参加する場となりました。参加した人たちにとっては、施設から感謝されることが大きな励みになっていました。そのような形での社会参加、社会貢献は、地域活動支援センターなどで実施できるのではないでしょうか。
同様に、ピアサポーターについても社会参加、社会貢献の一環として、その養成と活動の場を作っていくことを記載していく必要があると考えます。
地区社協などでは、高齢者の孤立をなくそうということでサロン活動などが進められています。そのような場に、障害があっても参加できる環境を整える、あるいは障害があってもボランティアとして活動に貢献する、地域にある障害者支援事業所が交流に貢献できるように役割を担う等々、様々な取り組みが考えられるのではないでしょうか。
7 人材確保について
どんなにサービスを充実させる計画であっても、それを担う人材が確保されなければ「絵に描いた餅」になってしまいます。人材確保と資質向上は、計画の根幹をなす部分と言っても過言ではありません。そのような重要な部分であるにもかかわらず、計画上は一部のサービスの従事者養成にしか触れていません。
人材確保の必要性は、計画相談の実情に明確に示されています。(計画相談の必要数に対して、それに対応できる相談支援専門員が不足して、新規の計画相談が実施できないでいる。結果として、サービス提供に遅れが生じることとなっている。)人材確保は、個別の事業の運営主体に任せておけばよいという考え方なのか、市としてサービス提供の人材が確保できるように必要な施策を考えるのか計画上も明示すべきと考えます。
また、そのことを考えるためにも実態を把握することが大切であり、障害者支援に従事している人たちの就労実態の調査を行うことを計画に記載する必要があると考えます。
以上
※ この意見は完成稿ではなく、期限が定められた中でまとめたものであり、必要に応じて加筆し、そのつど意見を提起していく予定です。特に人材確保については、それぞれの運営主体が苦労しているところであり、この取り扱いはもっと考える必要があります。
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