交渉には首相に出席頂きたい。そうファイザー社CEOに一蹴されたワクチン担当相の胸中は、如何ばかりであろうか。噂に過ぎないので本当の所は分からないが、日本の組織の力学をよく御存知の様なので私は大笑いである。相手の足元を見た交渉上の駆け引きの一つであるのと同時に、あっちとしても競合他社よりも早く売り抜けたいと云う事情が有る。そんなガチンコ鍔迫り合いの席に「持ち帰って上と検討します」と云うタイプの人に出て来て欲しくなかったのだと思う。持ち帰られたら「トリシマリヤクカイ」みたいなものに掛けられて１か月は交渉が停滞するからである。ただ幸いな事に「権限さえ委譲されればワクチン担当相の方が話が早い」と先方に御理解頂けた様で、相手の言い値ではあろうが3600万人分の確約は取れた様である。輸送1便毎に発生するEUとの暗闘はまだまだこれからだし、他社との詰めの交渉も残されている。担当相の渋面は暫く晴れそうもないのである。