ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

ロンドン名物

2006-01-30 01:32:45 | 食べ物
グリさん、これが先日メールでお話したjellied eelsですが、これでしょうか?

ジェリード・イールズはロンドンっ子、特にイーストエンドに住む人たちの食べ物である。テムズ川をはじめとするイギリス南東部の川で獲れる淡水うなぎを素材とし、イーストエンドに住む貧しい人たちが好んで食べる安い食べ物であった。が、最近では、アイルランドやオランダで獲れる輸入物が主流となり、うなぎの値段も上がったため、決して安い食べ物ではない。また、イギリス人の食感覚ではゲテモノ食いの境界線すれすれくらいに位置するようで、生粋のイーストエンダーでも嫌いな人が少なくないほど、好き嫌いの分かれる食べ物でもある。灰色の地に白みのかかった皮のついたうなぎのぶつ切りは、ちょっとグロテスクに見えないこともない。また、たいてい洗面器に入って売られていて、とても上品といえるような食べ物ではないのも確かだ。

基本的には立ち食い食品で、魚屋でこれを購入したときも、ここで食べますか?と聞かれたほど。Yesと答えると、ビネガーをふってくれるのだが、写真を撮る都合があるので、持ち帰りにした。ジェリードイールズの場合、モルトビネガーに唐辛子を加えたホットチリビネガーがつき物だそうだ。持ち帰りにすると言うと、「パンと一緒に食べるとおいしいんだよね」と魚屋さんが付け加えた。「不思議の国のアリス」の中の牡蠣の話をグリさんが紹介してくださったように、魚介類とパンというのは、イギリス人にとっては切っても切れない関係のようである。

最近は少なくなったが、パブの駐車場に日曜日に出る屋台でも、cockle(トリ貝)やwhelk(バイ)、ムール貝などと一緒にジェリードイールズを食べることができる。ここでジェリードイールズを注文するとパン(パリパリの耳のついた白い食パン)がついてくることがよくある。

昔はうなぎの脂がのっていて、うなぎから出た煮汁だけでゼリーが作れたと年配のロンドンっ子が言っていたが、最近ではゼリー部分にゼラチンを加えることが多いようだ。が、それでも魚のだしがきいており、イギリス料理にしては微妙な味が複雑に混ざっていて、ゼリー部分はなかなかおいしいと思う。

洗面器の入れ物から、適当にうなぎとゼリーとを混ぜて、写真のプラスチックの入れ物(直径8センチ・深さ4センチほど)に入れてくれる。これで2ポンド(約400円)也。

ちなみに、一緒に写真に写っているのが、フィッシュ・アンド・チップスをはじめイギリスの魚介類とは縁の深いモルトビネガー。味は普通の酢ほど酸っぱくなくて、まろやかである。