時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

地デジ化の恩恵→国産テレビの売上低下

2014-03-23 21:46:36 | マスコミ批判
前記事のマスコミ批判のついでに、2000年代に日本全国で展開され、
震災後の7月に完了した地デジ化運動についても触れておく。

この運動は、日本が誇る天才ジャーナリスト、池上彰氏によると
アナログからデジタル放送へ移行することで、情報のスリム化が起き、
現在の過密な電波状態が解決されることを期待して行われた。


・・・まぁ、違うんだけどね。


確かにデジタル方式に変更することで、スリム化は可能だ。
しかし、それは画質がそのままであればの話。


パソコンの画像ファイルで説明すると、
100MBの画像をビットマップからジェイペグに変更したり
Zipで圧縮したりすることで、50MBまで減らすことが可能だとしよう。

だが、より高画質な200MBで同じことをすれば、
当然、流すデータ量は100MBのままで前と変わらない。

デジタル放送はアナログ放送と比較して高画質の放送であることが
売りになっている。当然、流すデータも以前よりも多い。


そのため、デジタル方式に移行しても、
データが増えたので空中を飛び交うデータの量自体は
前となんら変わらない
のだ。池上氏の説明は現実に反する


だいたい、電波が過密と言うならば携帯電話の販売台数が
ピークを迎えた2007年の時点で、それが問題を引き起こしたのだろうか?

携帯電話の普及で電波が過密状態になり、それが深刻な障害を
もたらした、あるいはもたらすかもしれないという危険がないのに
ただ、過密であるだけで問題視するのは意味不明である。

危機を煽ることで、大衆を扇動するというのは
プロバガンダの伝統的な手段だが、テレビ番組で
それをやっちゃあ、いかんだろう・・・・・・


データ放送により参加型の番組になるとか、
2011年以降はアナログTVで視聴することができないとか、
いろいろな工作が行われて地テジ化は進められた。


今になって思えば、これは脅しの経済振興政策だったと思う。

地デジを買わないと番組が見れないぞ、さぁ買えと
購入せざるを得ない状況を作り上げ、見せかけの売上アップを実現する。

今の消費税アップ直前の駆け込み消費と似ている。
消費税が上がるぞ、さぁ高くなる前に買うんだ!というヤツと同じだ。


こういう姑息な手段は一時的な好況は実現できるが、
その後の慢性的な不況を招くことが確かになっている。


では、
Q.地デジ化が完了した後のテレビ販売数はどうなったのか?









A. 激減して、赤字になった。


<薄型テレビの販売台数>
2009年→1400万
2010年→2640万
2011年→2080万
2012年→840万
2013年→620万



中国にあるテレビ生産工場は東芝も日立もパナソニックも
すでに撤退している。これら工場で生産されたテレビは
日本向けに輸出していたのだが、全然売れないので閉鎖せざるを得なかったわけだ。


冷静に考えれば、テレビなんて毎年買うものじゃない。
一度に一気に買ってしまえば、買換えるまでの数年間の売り上げが
目に見えて悪くなるのはバカでもわかることだ。


ところが、今の経済雑誌では、テレビが売れていることになっている。
2014年には630万に上がることが予測される…だそうだ。


10万多く売れたからって、2009年の1400万の半分以下だ。いいのかそれで!?
また、4Kテレビという最高画質のテレビが今後売れるとも語っている。

ttp://www.j-cast.com/2014/01/11193436.html

はっきり言って、今の薄型テレビでも十分綺麗なのに、
これ以上の質を求めるってことはないだろう。その証拠に、
この1年で4Kテレビの価格は半額になった。

http://atrpg.blog.jp/archives/4k-tv-more-reasonable.html

仮に50万台売れているとして、これが100万台売れたとしても、
売り上げ自体は元のままだ。完全に終わった分野なのは明らかだ。


上で紹介した経済アナリスト、こういう発言をしている。

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どんなに4Kテレビや8Kテレビが高画質でも、
肝心のコンテンツが用意できなければ意味がありませんから。

一方で、4Kテレビの楽しみ方にはインターネットと接続して、
インターネット動画を視聴することもあります。

たとえば、動画サイトのYouTubeでは
すでに4K画質の映像を視聴することができますし、
4K対応のコンテンツの数は増えています。

家電量販店の店頭で4Kテレビを見せてもらうと、
画質のよさはすぐにわかりますし、インターネット以外でも
スライドショーなどの楽しみ方ができます。4Kテレビの存在感は増しています。

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いや、それスマフォで済む話だろ・・・
よほどの画質マニアでない限り4KテレビでYouTubeは見ないだろう。

スマートフォン携帯という小型コンピュータの普及により、
ますますテレビの存在価値は下がっているように思う。

インターネットも繋げられるとか、画質が良いとか
表面的な部分だけ追求するのではなく、番組の質自体も上げなければ
ネットや携帯のコンテンツ、ツイッターやフェイスブックに負けるだろう。


前回、取り上げたバンキシャのようなネトウヨ大興奮の
扇動メディアから足を洗わないと、本当に情報媒体として
政府の広報機関になる以外に生存の道がないような気がする。

いい加減にせい、バンキシャ

2014-03-23 20:27:32 | マスコミ批判
辞任する前は猪瀬前都知事をわざわざ呼んでまで
東京都のカジノ化計画を賛美した報道番組バンキシャ。

なお、この特集では専門家の意見として、
わざわざ同計画の参加メンバーのインタビューを映していた。

一度、ねつ造がバレて少しは反省したかと思いきや、
相も変わらず、お上べったりの宣伝媒体となっている。

今日の特集では中国と韓国が東シナ海で乱獲を行っているという
いつもの中国韓国ぶっ潰せキャンペーンを行っていた。

水産資源で言えば、商業捕鯨が禁止されているにも関わらず
研究用と称して捕獲・解体・販売を行っていたり、
乱獲が指摘されているマグロやウナギの規制強化を
農水省、メディア、研究者の産官民が一致団結して妨害している
某国家Jは十分、世界中の貴重な海の生態系を破壊していると思うのだが、
なぜかこの手の真実を伝えることに使命を感じる勇気ある番組が
国内の乱獲を取り上げることはない。



日本の乱獲関連のニュースでは、得てして海外からの反対意見を取り上げ、
「反日運動」とみなし、徹底無視を呼びかけるのがほとんどだ。

他方、海外の乱獲の場合、なぜか中国や韓国といった
近年、日本と不仲になっている国のそれを集中的に取り上げている。

実際にナショナリズムを煽っているのはこちら側だ。

それを顕著に示すのがイルカ漁のそれであり、反対する団体は
イルカ食ではなく、1000頭以上のイルカを捕獲し、傷のある不良品を打ち殺し、
残った綺麗なイルカを水族館に高値で売る行為を批判しているのであって、
そのため、メインの活動は水族館ビジネスへ対する反対運動なのだが、
この点を日本のメディアや研究者は完全に無視して批判している。

2009年に公開され、翌年アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画、
ザ・コーブでも、メディアの批判とは裏腹に、その3分の2ほどは
イルカを巡る水族館のビジネス・モデルの批判が行われている。

そのため、イルカ漁に対しても、イルカを殺すことよりも、
捕獲したイルカを世界中に輸出し、巨額の利益を得ていること、
そして中南米の弱国に対して、日本政府が多額の援助と引き換えに、
捕鯨やイルカ漁に対して日本に有利な立場を取るように工作を
かけていることを暴露し、このビジネスが実は国策であることを指摘している。
(この構図は、マグロ漁においても同様である)


まぁ、政府の役人や水族館の経営者の利害が
日本人の利害と一致すると考えている人にとっては反日的だろう。


とはいえ、その理屈で言えば消費税の引き上げに反対したり、
血税を大量投入してのゼネコンの不要な施設建設に反対することも
反日的なので、模範的日本人であるためには、上の人間のやることを
いちいち絶賛し、追従の姿勢を示すことが必要になるだろうが……

(あれ?バンキシャの報道姿勢がまさにそれだ・・・)


イルカ漁にせよ捕鯨にせよ、海外のサイトでは、
インダストリー・プロブレム(産業的な問題)と表現されている。

それは、国際捕鯨委員会が、商業目的でクジラを捕獲する商業捕鯨を
禁じ、少数民族が日常的な栄養源として捕食する生存捕鯨を許可している
点からも明らかだろう。民族の食文化自体は保障しているのである。

ところが、日本のメディアは、この点を隠して、イルカやクジラを
殺すのは可哀そうという意見だけをピックアップし、あたかも
全体がそうであるかのように編集を加え、日本の伝統文化を
理解できない幼稚な連中として否定的に表現し、
この運動が日本の文化そのものへ対する攻撃だとして批判する。
これをプロバガンダと言わず何とする?


マスゴミと蔑称で呼ばれながらも、何だかんだで
テレビは信頼性のあるメディアとして受け入れられている。

バンキシャは既に一度、その信頼を裏切ったが、
仮にも日曜の夕方6時に放映される番組なのだから、
いい加減、事実上の広報番組から脱するべきだ。