時事解説「ディストピア」

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プロパガンダの作られ方 ウクライナ編(朝日新聞の社説を事例に)

2014-07-24 00:32:57 | リビア・ウクライナ・南米・中東
次の写真は、墜落したマレーシア機の残骸から、子供の玩具を取り上げ、
トロフィーのように高く掲げてはしゃいでいる親ロシア派の写真だ。






・・・と言われている偽写真である。

次の動画(1分5秒から15秒あたり)を視聴してみよう。





http://rt.com/news/174380-crash-issues-ignored-media/


実際には、自警団の兵士は発見した人形をそっと地面に置いて十字を切っている。
この動作の一コマに悪意を込めた解説文を添えれば偽写真の出来上がりだ。


この手の全体の一部分を切り貼りして、まったく違った内容に変えてしまうのは、
かなり悪質なプロパガンダだが、誰かが指摘しない限り滅多に気づかれはしない。


この写真は、個人の手によるものだが、
そもそも、このマレーシア機に関わる我々の報道自体が大きなプロパガンダだ。

次の記事を読んでみよう。


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ロシア軍部は21日のブリーフィングで、事故の起きる前のウクライナ、
ドネツク州の状況を示した客観的なコントロールのデーターを発表した。

ロシア国防省の準備した資料は欧州先進諸国およびマレーシアの専門家らに手渡される。
資料へのアクセスは自由に行える。
http://function.mil.ru/news_page/country/more.htm?id=11970654@egNews.


マレーシア機の航空路のずれ

ブリーフィングで発言したロシア空軍参謀本部
第1作戦部部長のアンドレイ・カルタポロフ中将によれば、
ドネツクまでマレーシア航空機は通常決められた航空路をたどっていた。
ところがドネツク以後は航路を北方向に曲げている。 


軍機は空中で何をしていたのか?


ロシア軍の有するデーターでは、マレー機の墜落事件当時現場付近には
ウクライナ空軍機はなかったというキエフ当局の声明が覆される。
カルタポロフ中将によれば、事件の前、マレー機から
3-5キロメートルの地点にウクライナ軍の戦闘爆撃機Su25が確認できる。



なんのために「ブーク」が移動したのか?

カルタポロフ中将によれば、
墜落機はウクライナ軍の地対空ミサイル「ブーク」の行動ゾーンにあった。


中将はマレー機の飛行スキームを示し、
スキームでは航空路が分かるほか、同機の墜落したとされる場所が
 ウクライナ軍の地対空ミサイル『ブーク』の稼働ゾーンと一致していることが分かる

 と語っている。


続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_22/274939689/


ロシアのチュルキン国連大使は、ロシアは
ウクライナ上空でのマレーシア機撃墜事件の捜査に自国の代表を送る構えであり、
オランダが主導権を握ることでより客観的かつ有効な捜査が可能となるだろうと期待を表した。
国連安保理の席でチュルキン大使は悲劇の原因について「捏造した情報を流布」したとして
キエフ当局を非難し、次のように語っている。

「キエフ当局のやり口はひどい。
 捏造情報の流布から始めた。しかも国連安保理の場でもそれを行った。

 世間を騒がせた、義勇軍司令官らの音声録音も、
 複数の会話の音源を組み合わせたものであることが判明した。

 
 しかも会話は7月17日の事件の前に行われたものだった。


ウクライナ内務省の発表したビデオは、地対空ミサイルシステム『ブーク』が
ロシア領内へと移送されている様子を映し出したことになっていたが、

これも実際はキエフ当局の掌握する
テリトリーで撮影されたものだった。


このため、もしこれが撃墜事件であったとしても、
その背後にいるのは義勇軍では決してありえないことになる。」


文字通り事件の起きる1分前に、ウクライナ南・東部を米国の宇宙機器が通過している。
この宇宙機器は様々な射程距離のミサイルの発射を発見し、追跡することを目的としている。
これについては21日、ロシア空軍参謀本部第1作戦部部長の
アンドレイ・カルタポロフ中将が声明を表し、米国に対して
人工衛星からの映像を詳細な検討に付すために国際社会に提出するよう求めている。

これに加えて、ロシア軍部はマレー機のそばに
ウクライナ空軍の戦闘機、Su25を目撃している。


マレー機がレーダーから姿を消したあと、
ウクライナ軍機は民間機が落下した地点の空中を哨戒している。


アンドレイ・カルタポロフ中将は詳細をあげ、キエフ当局が未だに
断固として否定しているこの事実の説明を求めて、次のように語っている。

Su 25がマレー機から離れていた距離は3-5キロメートル。
 Su 25はその特徴から高度1万メートルまで上昇が可能だ。
 常設の軍備には空対空クラスのミサイル、R 60が含まれている。

 これは最高12キロメートル離れた
標的を捉え、攻撃する能力があるもので、
 5キロ圏内であれば撃墜は保証できる。


 一体どんな目的で軍用機が民間機の航空路を、
 ほぼ同時に並行して飛行することがあるのだろう? 

 この問いに答えていただきたい。」


事件については、ロシアの客観的な観測手段が捉えた詳細は他にもある。
マレー機はドネツク州上空で航空路を北寄りに14キロずらしていたことがわかった。
その後、マレー機は本来の航空路に戻ろうとしたが、
その境界線にまで到達する間もなく、事件が起きている。

パイロットがこうした行動をとる理由については、
キャビンの自動録音やウクライナの航空管制官とのやりとりの解明を待たねばならない。


7月22日、義勇軍は約束どおり
マレーシア側の代表に事件現場で見つかった
「ブラック・ボックス」を手渡した
ことが明らかになった。

ロシア軍部はさらにもうひとつ、ウクライナ軍が事件に関与した疑いを示す証拠を掴んでいる。

事件当日、ウクライナ対空防衛隊はドネツク上空に
「3ないし4」機の地対空ミサイルシステム「ブークM 1」を追加していた。

しかも、マレーシア機の航空路は「ブークM 1」の行動ゾーンに入っている。

7月14日から18日にかけての
この「ブークM 1」の位置を写した人工衛星からの映像がある。

写真では「ブークM 1」の中隊のひとつが撃墜事件の当日、
ドネツクから50キロメートルの、義勇軍の掌握するテリトリーに
最大限近く移されているのがわかる。
ところが事件の翌日にはもう、その中隊は配置換えされている。

キエフ当局はこの事実についてのコメントを控えている。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_07_23/274987631/
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一連の記事を読めば、いかに私たちの周囲にあるウクライナの情報が
非常にいい加減なものであるかがはっきりと理解できるだろう。


では、最後に左翼とネット右翼に勘違いされている朝日新聞の社説を読もう。
プロパガンダとは、どうやって作れば良いのかが、よくわかるはずだ。


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旅客機への攻撃は断じて許されない。
世界の空の安全を保障するためにも、国際社会は原因を徹底追究すべきである。


ウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜された事件をめぐり、
国連安全保障理事会が非難の決議をした。

国際調査団による無制限の立ち入りを現地の武装勢力が認めるよう要求している。


近年の安保理は米欧対ロシア・中国のかたちで分裂することが多かったが、
今回は一致した国際世論を明示できた。せめてもの前進といえる。


疑惑の渦中にある常任理事国のロシアも賛成せざるを得なかった
ならば、積極的に疑問に答え、自ら検証に踏み出して、真実を明らかにすべきだ


事件の調査は難航している。
現場の一帯を支配する親ロシア派の武装勢力が撃墜にかかわった疑いが濃厚だが
これほどの悲劇をへてもなお彼らは無法な行動が目立つ


発生直後、欧州安保協力機構(OSCE)の監視団を妨げたり、
遺体や残骸の一部などを勝手に運び出したりした。


ようやくきのう、墜落機の飛行情報を収めたブラックボックスの引き渡しなどに応じたが、
これまで証拠隠滅とみられかねない動きを続けてきた。

そうした振る舞いがかき立てる国際社会の怒りは、武装勢力だけでなく、
その背後にいるロシアにも向けられている。

その現実をプーチン大統領は重く受けとめてもらいたい。


米政府は、撃墜は武装勢力によるとの見方を強め、
ミサイルはロシアから運ばれていたと明言している。その疑いを強める情報は相次いでいる。

事件直後に武装勢力が撃墜を確認したとされる会話の交信記録や、
事件に使われたあとのミサイルがロシア領に運ばれるところとされる写真など、
いずれも注目に値するものだ。


ロシア国防省は逆にウクライナ側が撃墜した可能性を示唆しているが、
その疑いを抱かせるような具体的情報は乏しい。

このまま、事実をうやむやにしかねない態度を続けるなら、
そのつけは自身にはね返る。


これまで欧州連合(EU)は米国に比べてロシアへの制裁に慎重だった
天然ガスの取引など経済に配慮してのことだったが、
多数の犠牲者を出した欧州の世論も硬化し始めている。


クリミア半島の併合だけでなく、プーチン氏は
ウクライナ東部でも自国の権益を押し通そうとしてきた

だが、その強硬策はロシア自身を深い孤立に陥れることを悟るべきだ。

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朝日新聞はいつから戦前の体制に先祖帰りしたのだろうか?


実は、私は朝日新聞を元々購読していたのだが、普天間基地移設あたりから
おかしな記事ばかりが目にチラついて、とうとう契約を打ち切ったのだが、
ここまで非道い内容を書くとは思いもしなかった。

まさに、プロパガンダの教科書のような社説。百点満点だ。
これを教材に、プロパガンダの作り方を伝授しよう。


プロパガンダの作り方①

まず、決めつける。

ろくに調べもせずに、自分の思い込みを事実のように語る。

「その疑いを強める情報は相次いでいる。」「いずれも注目に値するものだ。」
 とわざわざ得意げに書いているが、音声テープは合成・編集されたもの、
 写真はキエフ軍が掌握した地域で撮られたものだと
 はっきりと証拠を据えて提示されている。

 ところが、朝日新聞によると「具体的情報は乏しい」ことになるらしい。
 じゃー、朝日新聞にとっての具体的情報って何よ?



ここで、プロパガンダの作り方その2。

直感で事実を検証する。


当サイトでも、テープで会話している兵士が現場から
数キロ先の場所にいたこと、会話全体を収録したものではなく、
編集された疑いがあるため、法的証拠としては不十分だという主張を紹介した。


だが、こういうものは扇動者にとってはどうでも良いことである。
俺が怪しいと思えば、怪しい情報になり、
俺が正しいと思えば、正しい情報になる。



ロシアは悪だ。
この結論を前提に記事を書くため、障害となる情報はすべて無視する。


一方で、毎日新聞は一応、ロシア側の見解を紹介している。
本来、このような双方の言い分を平等に扱うのがメディアではないだろうか?
http://mainichi.jp/select/news/20140721k0000m030104000c.html



プロパガンダの作り方その3。

矛盾した文章

「自ら検証に踏み出して、真実を明らかにすべきだ」と言っておきながら、
 いざ間違いを指摘すると、「事実をうやむやにしかねない態度」と吠える。


 そもそもプロパガンダというのは、無責任な連中が作るものなのだから、
 主張に一貫性がない。上の例でも、彼らの本音がロシアの仕業であることが
「濃厚」ではなく、ロシアの仕業であることが「真実」だと決めつけているので、
 自分の意にそぐわない検証結果を出すと「真実をごまかすな」とほざくわけだ。

プロパガンダの作り方その4。

心証を悪くする言葉を多用する

要するにプロパガンダというのは、ろくに証拠を挙げずに、
相手をバッシングする差別主義的な行為なので、
とにかく個人攻撃をする。

「賛成せざるを得なかった」「無法な行動が目立つ」「ようやく」
「その現実をプーチン大統領は重く受けとめてもらいたい。」など、
 相手がしぶしぶ真相解明に協力しているかのような表現をとっている。

 しかし、実際にはロシアは自ら航空機墜落の原因究明活動を、
 実施する決議案を国連安保理事会に提出している。
 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_21/274868039/

 遺体の搬出は、キエフ政府と合意を得た者であったし、
 威嚇射撃は、許可されたラインを乗り越えたからである。
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274852175/
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_07_20/274844809/

 ドネツク人民共和国やロシアは当初から中立的機関による
 調査を主張していた。朝日の文章は、この事実を隠ぺいしている。


また、朝日によれば「ロシアへの制裁に慎重だった」らしいが、
すでにロシアの大物議員や役人には制裁が行われている。

美人検察として騒がれたクリミアの女性検察官もその一人だ。


クリミアではキエフの手によって銀行から現金が引き下ろせなく
なっているのだが、これも朝日流の解釈によると慎重な行為に当たるるようだ。

結局、こちらは絶対に正しく、あちらは絶対に間違いでることを前提に
話を進めるから、矛盾が生じてくるのである。


以上、朝日新聞の社説を例にプロパガンダの特徴を指摘した。
これを応用すれば、今日からあなたも一流の詐欺師になれるだろう。
健闘を祈る。