時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

サウジアラビアによるイェメン爆撃

2015-04-14 23:34:40 | リビア・ウクライナ・南米・中東
あまり話題に上がってこないが、今、中東ではサウジアラビアがアメリカの支援の下、
イェメンの住宅地域に爆撃を繰り返し、数千の人間が被害にあっている。



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サウジアラビアが、イエメンの住宅地やインフラに対する攻撃を続けています。

ファールス通信によりますと、サウジアラビアの戦闘機は、
13日月曜、イエメン・マリブ州の女子校を攻撃し、生徒数人が死傷しました。


サウジアラビアと一部のアラブ諸国は、イエメンの人々に恐怖を抱かせ、
彼らの士気を弱めるために、住宅や公共の場所、病院を攻撃しています。



イエメンのニュースサイトによりますと、治安筋は、13日、
「サウジアラビアのトルキ王子が、イエメンの国境近くの軍施設で、
 2日前に迫撃砲を受けて死亡した」と報告しました。サウジアラビア政府は、
 トルキ王子の側近3名の死を明らかにしましたが、これまでのところ、
 王子の死亡に関して正式な発表はありません。


サウジアラビアの戦闘機は、13日、首都サヌアのテレビ・ラジオ局を4回に渡って爆撃しました。
イエメンの情報筋は、この攻撃で、サヌアの一部地域の水道施設が破壊されたとしました。


こうした中、イエメンのテレビ局によりますと、西部のフダイダで、人々が大規模なデモを行い、
2000人のイエメン人の死亡につながったサウジアラビアのテロを非難しました。


イエメンの情報筋は、
「13日、イエメン南部ラハジにあるフーシ派の拠点で爆発があり、
 民間人5名を含む少なくとも15名が死亡した」としました。

この攻撃について、アルカイダがSNS上で犯行を認めました。


イエメン軍の報道官は、13日、
「サウジアラビアの戦闘機によるイエメンへの空爆が始まった先月26日以来、
 イエメンの民間人2500人が死亡、およそ3900人が負傷した。
 死者の中には多数の女性や子供が含まれている」と発表しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/53831-%
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イェメンについての基本知識は、ここから取得できる。
(時間があれば、要約文を書くつもり。あくまでも「つもり」だが)


次のスプートニクの図表を先に読んだほうがわかりやすいだろう。








(http://jp.sputniknews.com/multimedia/20150328/104338.htmlより)


人口25.4万人しかいない国で数千規模の被害を生んでいる。このことの意味はわかるはずだ。
国連によると、すでに12万(つまり半数)が難民となっているらしい(少々怪しい情報だが)。


サウジアラビアは中東国家にとって最大の脅威になっている。
この国を支援しているのがどこの国なのか。言うまでもない。

酒井啓子氏をはじめ、日本の有名な中東研究者は、
この国に対して、特に強烈な批判をすることなく、受け入れている。
(この辺が、私が日本の国際政治学者を非常に怪しんでいる理由の一つ)



冷静に考えれば、国民の半数に何らかの影響を与えている
この他国による空爆行為こそ、正真正銘の戦争犯罪だろう。


EUやNATOはロシアよりも先に自分のお仲間に対して怒りを露にするべきだ。

地方議員選挙を終えて

2015-04-14 00:47:59 | 日本政治
史上初の全都道府県議席獲得だったらしい。
社民党が消えた今、民主党に不信感を抱いている人間が共産党に投票したようだ。

都議選、衆院選に続いて、今回も議席を多く増やすことが出来た。
共産党の候補者に投票していたので、正直、この結果は嬉しい。

結果を見ると、自民は与党ではあるものの過半数を超えていない県も結構あることに気づかされる。
公明党が自民の腰ぎんちゃくにならなけば、自民の横暴は阻止できるのではないだろうか。


議席を増やせたのは良かったが、まだ数の上では少数者だ。
民主党や公明党が部分的あるいは全面的に自民の走狗となっている今、どれだけ結果を出せるか。

勝負はこれからである。

ギュンター・グラスが死んだ

2015-04-14 00:24:58 | 文学
20世紀ドイツ文学の金字塔、『ブリキの太鼓』の著者、ギュンター・グラス氏が亡くなった。
数少ないドイツの良心が他界したことを実に残念に思う。


グラス氏は東西ドイツ統合に反対していた数少ない人間の一人だ。

我が国の知識人を含め、ほとんどの人間は「統合」を素晴らしい出来事だと思っている。

しかし、これは実際には西ドイツによる東ドイツの「併合」であり、
実際に、東ドイツの大学で既存の教授が解雇され西の学者が就任したり、
これまで公務員として勤務していた労働者が解雇され、大量の失業者が発生したりと、
自由が与えられた代わりに生活が破壊されたのだった(これが東部におけるネオナチ台頭へと繋がる)


そういうわけで、単純にこの統一を喜んでいるのはそうはいないということ、
特に東ドイツの住民に至っては自国がボロクソに叩かれることを
面白く思わない人間も少なからずいたわけだ。グラスは西ドイツの作家だが、
この空気に敏感に察知し、大作『はてしなき荒野』を世に送り出した。


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テオ・ヴトケは同郷で誕生日も同じ小説家の「不滅の人」
(作中では名は出されていないがテオドール・フォンターネのこと)に入れ込んでいて、
周りから「フォンティ」と呼ばれている。


そんな彼には、若い頃当局をあてこするような発言をしたことや息子たちが西側にいることから、
秘密警察官ホーフタラーが「つきまとう影」のように寄り添っている。

その年、「ベルリンの壁」が崩壊した。
娘マルタは西側から来た不動産会社社長と結婚し、シュヴェリーンに住む。
しかし地上げ屋同然に公社の仕事をし、家庭を顧みない夫にいつしか離婚を口にするようになる。


ホーフタラーは、フォンティが戦時中フランスにいたときの恋人が産んだ
娘の子・マドレーヌを連れてくる。まだ見ぬ祖父を思ってかフォンターネの研究をしていた。


そしてあれよあれよと言う間に東西ドイツが一つになった。
ウンター・デン・リンデンの大通りのあたりは、
東西ドイツ統一の悲願達成を祝う群集で溢れかえり、夜空には花火がはじけ、
この世紀の大事業をなしとげた喜びは「歓喜の歌」の大合唱となってベルリンの空を震わせていた。


ホーフタラーはフォンティに、信託公社での書類運びの仕事を見つけてくる。
信託公社とは旧東ドイツの国営企業の民営化及び「解体」をする組織で、
まるで資本主義が旧東ドイツを食い物にしているかのような事態を、フォンティは憂慮していた。


公社(かつての帝国空軍省)のパタノスタ(旧式のエレベータ)の中で、
フォンティは信託公社の総裁と知り合う。二人は文学談義に花を咲かせるが、総裁は暗殺される。


新しい女性の総裁が来て、フォンティもお払い箱にされる。
追い討ちをかけるように親友フロイントリヒ教授が自殺。
フォンティは失踪を企てるが、ホーフタラーに阻止される。


そのことと妻エミーの自殺未遂のダブルショックで寝付いてしまう。
実家に駆けつけたマルタも鬱病を発し、ホーフタラーが一家の面倒を見るはめになってしまった。


夫の事故死の知らせを聞いて、マルタは突然正気に戻り、
入れ違いに来たマドレーヌにフォンティの世話を任せ、母を連れてシュヴェリーンに帰る。


孫娘の顔を見たとたんみるみる回復したフォンティは、
ホーフタラーがお膳立てした講演会で熱弁をふるう。
信託公社についての話で会場が最高潮に達したときに、ホーフタラーが叫ぶ。


「信託公社が火事だ!」

それ以後、フォンティは孫娘ともに行方不明になる。
懇意にしていたフォンターネ資料館あてに絵葉書が届いた。

「とにかく、荒野には終わりがあるってことが、このわしには分かるんですよ・・・。」

http://doitsugo-mode.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-ad5b.html
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グラスは英米によるアフガン侵略戦争に対しても批判していたらしい。

みんながハッピーでいる時に、そのハッピーは誰かを食い物にしたものだと告発するのは
実に勇気がいることだ。彼は自身がナチスの兵隊であったことも晩年、告白した。

非常に潔い、知識人らしい知識人だったと思う。本当に惜しい人を亡くした。