時事解説「ディストピア」

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北朝鮮と中国は本当に仲が悪くなっているのか?

2015-04-21 00:08:03 | 北朝鮮
朝中関係の悪化という言説が広く流布されている。はたして本当にそうだろうか。


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劉雲山氏が朝鮮大使館で金正日氏逝去3周年行事に出席


劉雲山中共中央政治局常務委員(中央書記処書記)は17日、
朝鮮の元最高指導者・金正日(キム・ジョンイル)氏の
逝去3周年関連行事に出席するため朝鮮大使館を訪れ、中共中央の名で献花した。


劉氏は

金正日同志は中朝の伝統的友情の継承と発展に重要な貢献をした。
 習近平同志を総書記とする中共中央は中朝の伝統的友情を強く重視しており、
 朝鮮側と共に長期的・大局的観点から中朝の伝統的友情をしっかりと守り、
 揺るぎないものにし、発展させることを望んでいる
」と表明した。


朝鮮の池在竜(チ・ジェリョン)大使は劉氏の出席に謝意を表明。
中国の同志と共に努力して、朝中友好関係の前向きな発展を促したい」と述べた。

http://j.people.com.cn//n/2014/1218/c94474-8824654.html
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これは去年の12月の時点の話だが、今年の1月にも同様の意見を述べている。



中国政府は5日、全ての対北朝鮮制裁関係国に対し、
 朝鮮半島における緊張状態を高めるような行動は慎むべきだと声明をだした。

 ロイター通信が伝えた。

 中国外交部の華春瑩報道官は、
 アメリカによって新たに導入された対北朝鮮制裁に対してコメント。
 制裁はアメリカのSony Pictures Entertainment 社に対するハッキング攻撃を受けて開始された。

 北朝鮮外交部は、
 アメリカの新たな制裁導入は北朝鮮政府に対する敵対行為であるという声明を出している。

続きを読む: http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/news/2015_01_05/281905668/


これは、ソニー・ワシントン合作プロパガンダ映画『ザ・インタビュー』を利用して、
アメリカが新たに経済制裁を課した時の発言だ。中国は明らかに北朝鮮側に立っている。


加えて、この3日後には中国は北朝鮮に向けて
金正恩の誕生日を祝うメッセージを送ったことを発表している。


冷静に考えて、仲が悪い国の指導者にお祝いの言葉を送るだろうか…??


しばしば、関係悪化の原因と指摘される張成沢の処刑についても次のように答えている。

「我々もこうした報道があることを認識している。これは朝鮮内部の事柄である。
 隣国として、我々は、朝鮮が政治的安定を保ち、経済発展を実現し、
 朝鮮国民の生活が幸福であることを希望している。」


「--張成沢氏の一件が中朝間の経済貿易関係の発展に影響を与えることはないか。

 中朝両国による経済貿易協力の発展は双方の共同利益に合致しており、
 中国側は、友好と相互利益の精神を基本として朝鮮との経済貿易面での
 往来を引き続き展開し、実務的な協力を進めたいと考えている。
 中朝間の経済貿易協力関係が健全で安定的な発展を継続することを願い、信じている。」
(http://j.people.com.cn/94474/8484901.html)



確かに核実験が行われた2009年あたりから、
中国は北朝鮮から一歩遠い場所から付き合おうとしだした。
しかし、それは「幾分中立」の立場であり、賛成もしないが、反対もしないというものに近い。

個別では反対することもあるが、全体としては依然、中立という立場だ。
核問題などの部分的な問題における意見の相違だけを拾って、
やれ悪化した、やれ対立したと、はしゃぐのは少しおかしいのではないかと思う。


中国の日米に対する態度と比べれば、北朝鮮に対するそれは非常に柔和なものである。
少なくとも近藤大介氏が唱えている『習近平は必ず金正恩を殺す』という主張は的外れだろう。


ちなみに、この本でも近藤は国情院から得た情報をもとに張成沢の処刑について語っている。


どうも近藤氏は国情院の情報をそのまま垂れ流しているようである。
本当に向こうの極右の言い分を鵜呑みにしているらしい。

こういう人物の語る言葉を日本の有名左翼が信じ込み、推薦文を書いているわけだ。


私に言わせれば、近藤は唯の右翼のマスゴミ編集者なのだが、
なぜ、このような人物を日本の有名な左翼系出版社(および知識人)は支持してしまうのだろう。



話題が少々ズレたが、中国の国家主席の任期は最長10年。
つまり、今年を含めて8年以内に習近平は金正恩を必ず殺すのだそうだ。


これは池上彰の「必ず中国バブルは、そのうちはじける」
と同じ類の予言だろう。こういう詐欺めいた主張を信じるほうがおかしい。

反共左翼はいい加減、目を覚ましても良いんじゃないかと思う。