時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

プーチン、大統領就任時に財閥から圧力を受けていた

2015-04-28 00:26:06 | リビア・ウクライナ・南米・中東
日本ではプーチンは悪党として伝わっているが(主にロシア研究者がそうしている)、
実際の彼は国の資産を横取りした新興財閥と長年格闘してきたなかなか骨のある人物である。


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プーチン大統領は「ロシア」テレビ放映の映画「大統領」のために取られたインタビューで、
1999年、首相に初就任した際、かなり大きな圧力を受けていたことを明らかにした。
タス通信が報じた。大統領はどうやって圧力を跳ね返したかについては言及していない。


大統領在任15年を記念したインタビューでプーチン大統領は、1999年、
ロシアはオリガルヒ(新興財閥)にほぼ支配された状態にあったという記者のセリフに同調した。


「首相を務めていた私に(当時、大統領だった)エリツィン氏が大統領職を渡すというために、
 ホワイトハウスの私の執務室を訪れた際、
 そのうち(新興財閥)の何人かが私の目の前に座っていてこういいましたよ。
『あなたね、ここで大統領をやる日は決してきませんよ』とね。」

これに対してなされた返答は、
プーチン氏いわく、「まぁ、見ていなさい」だった


続きを読む http://jp.sputniknews.com/russia/20150427/251167.html#ixzz3YWYB1bW0
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エリツィンによって壊されたソ連は、新自由主義の実験場となり、
一部の人間が富を独占し、貧富の差が広がった。これは大変深刻な問題だった。


もともとはエリツィンを支えていたプーチンは、その後、民族主義的な政治家となり、
強引な手段を時には使いながらも、欧米の属国から脱皮することを目指した。


もちろん、悪い面も結構多い気がするのだが、少なくとも、日本の一部(だと思いたい)
研究者が声高に叫んでいる独裁者だの皇帝だのといったレッテル貼りには異議を唱えたい。


隣の国であるわりには、私たちはロシアについてはほとんど知らない。

幸い、今はRussia TodayやロシアNow、スプートニクなどの
ロシアメディアがインターネット上で読めるようになっている。

くだらない記事もあるが、なかなか面白い記事が多く、大変参考になる。
今後も可能な限り、取り上げていきたい。

大阪市の思想弾圧(大阪人権博物館 取り壊し問題)

2015-04-28 00:09:56 | 日本政治
存続が危ぶまれた大阪人権博物館だったが、無事、今年度も開館することができた。
同博物館に対する大阪市の卑劣で卑怯で非人道的な弾圧と比べれば、在特会など可愛いものだ。


大阪人権博物館は、日本で唯一、同和問題をはじめとする人権問題に特化した博物館で、
在日コリアンやアイヌ、ハンセン病、アパルトヘイト等をテーマにした展示を行っている。


この博物館が、橋下が市長になって以来、攻撃の的となっており、
どうにかして、この建物を潰してやろうと市が執拗に「経済制裁」を行っている。


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橋下徹大阪市長の「従軍慰安婦」をめぐる一連の発言が問題になったとき、
国会の女性議員を中心に「女性の人権を冒とくしている」と非難の声があがった。

その橋下市長のお膝元で、「人権」をめぐる議論がほかにも起きている。
それは「大阪人権博物館」(リバティおおさか)の存続問題。

大阪府と大阪市の補助金打ち切りによって、運営が危機に瀕しているのだ。


●昨年4月、橋下市長と松井知事が「補助金」の見直しを表明

大阪人権博物館は1985年、問題を中心とした歴史資料館として大阪市浪速区に開館、その後、
在日コリアンや女性差別の問題など「人権」にかかわる総合的な展示を行う博物館へと拡充していった。


もともと大阪府・市をはじめとする自治体と大阪の民間企業が出資者となり、財団法人として発足。
運営費の大半は、大阪府と大阪市の補助金によってまかなわれていた。


ところが昨年(2012年)4月、橋下大阪市長と松井一郎大阪府知事が
そろって博物館を視察したあと、補助金支給の見直しを表明。その理由として、

「展示内容が差別や人権に特化されていて、
 子どもが夢や希望を抱けるようなものではない」ことをあげた。

人権博物館の存続を求める23万筆の署名が大阪府・市に提出されるなど反対運動も起きたが、
結局、今年3月で補助金が打ち切られた。

http://www.bengo4.com/topics/532/
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これは、ホロコースト記念館や広島平和記念資料館を視察して、
「子供が夢や希望を抱けるようなものではない」といって叩き潰そうとするもので、
要は差別問題に触れられるのが嫌だという個人的な動機によるものでしかない。



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橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事は、
子どもたちが近現代史を学ぶ施設を大阪府市で設置する検討に入った。

橋下氏は10日、代表を務める大阪維新の会の大阪市議らに対し、

「新しい歴史教科書をつくる会」や元会員らによる
教科書づくりに携わった有識者らに意見を聴く考えも示した



橋下氏は9日、維新の会と公明の両市議団幹部と非公開で協議。

出席者によると、橋下氏は
「中国などに比べ、日本の子どもは近現代史がしっかり勉強できていない」と主張。

その上で、歴史観や事実認定で意見が分かれる近現代史について
子どもらが両論を学べる施設」をつくる考えを明らかにしたという。


10日には複数の維新市議団幹部と再度協議し、
展示内容などについて、扶桑社版や育鵬社版の歴史教科書編集に
関わった有識者から助言を受けることで一致。近く、同市議団幹部が有識者に協力を依頼するという。


教育に関わる施設をめぐっては、橋下氏は、
府市が運営補助金を支出している大阪人権博物館(リバティおおさか)
について「(展示内容は)僕の考えに合わない」と補助金の廃止を明言した。

http://www.asyura2.com/12/senkyo130/msg/192.html
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要するに『新しい日本の歴史』&『新しいみんなの公民』
の博物館バージョンを作りたいだけなのだ。


ある意味、石原よりもやってることは性質が悪い。


その後、1億2千万もの補助金を打ち切られた大阪人権博物館だが、
有志の寄付金と入館料によって、どうにか今まで展示を続けてこられた。


そこにダメ押しをするように、今年、大阪市が立ち退きを要求してきた。


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大阪市が人権博物館に立ち退き要求 賃料交渉折り合わず


大阪市は27日までに、大阪人権博物館(通称リバティおおさか)に対し、
浪速区の市有地(約7000平方メートル)に立つ博物館を取り壊し、3月末までに立ち退くよう求めた。

26日付で文書を送った。


橋下徹市長が昨年10月、1985年の開館以来無償貸与していた
市有地の賃料を求める意向を示し、交渉を進めたが折り合えなかった。


市によると、橋下市長の意向を受けて昨年11月、
賃料支払いを定めた10年間の事業用定期借地契約を結ぶよう要求。

賃料は年間2700万円程度と試算した。

しかし、博物館はことし1月「財源がない」として
無償貸与の継続か、数百万円程度までの減額を要求。市は支払う意思がないと判断した。



同館は被差別や在日韓国・朝鮮人のほか、アイヌ民族、沖縄、
薬害エイズ、ハンセン病、水俣病など、近現代のさまざまな人権問題を扱っている。

朝治武館長は「対応を今後協議する」と話している。(共同)
http://www.sanspo.com/geino/news/20150227/pol15022723040001-n1.html
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ここまで露骨な思想弾圧が行われているのも凄いことだ。

秦の始皇帝は、自らの専制政治にとって都合の悪い
医学・占術・農学以外の書物を燃やし(焚書)、儒学者を穴に埋めた(坑儒)。

これを焚書坑儒と言うが、大阪市は、いま、同じことをやっている。
左翼くさい博物館は取り壊して、研究者は失業させてしまえということだ。



橋下は在特会の桜井誠と幼稚な口論を以前したことがあるが、
橋下のやってることは桜井の比ではない。


しょせん、在特会なぞ安倍や池上彰にすら表面的には嫌われている烏合の衆であり、
朝鮮学校の前でギャーギャー騒ぐことしか出来ない政治的無能集団にすぎない。


一方、橋下は文字通り、自らの思想信条にそぐわない公的施設に経済制裁を課し、
金が払えなければ建物をぶち壊すというヤクザの地上げ屋のような真似をしている。


想像できるだろうか。日本を代表する大都市の首長が個人的な動機で
思想弾圧を行っているのに、これといって大事件になっていないこの状況が。


なぜ岩波書店は月刊誌『世界』で、この問題を取り上げないのだろうか?
なぜ週刊金曜日は、この問題を取り上げ、集会を行おうとすらしないのだろうか?


フェイスブックの中には、個人的に反対運動を行っている人たちもいるが、
これは本当に、草の根の運動であって、普段えらそうなことを言っている
左翼系知識人はどこに行ったんだと私は声を大にして叫びたい。


共産党も橋下の市政に文句があるのなら、
この問題をキャンペーンにして反対運動を展開したっていいんじゃないだろうか?


少なくとも近畿地方に住む知識人や大学教授はもっと暴れるべきだ。
繰り返すが、橋下をはじめとする維新の会の連中がやっていることは、
ホロコースト記念館を「両論併記していない」とケチをつけて潰そうとする行為である。


こういう愚挙を放置しても良いのだろうか?
沖縄の基地問題や原発問題も大事だが、メディアはこの問題も積極的に取り上げるべきだ。

・追記

なお、大阪人権博物館への寄付は、次のページから可能。

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