日本のメディアは、北朝鮮と聞くとすぐに餓死と結び付けたがる傾向がある。
あぁ金正恩「北朝鮮に神様はいない」餓死と粛清で遺体だらけの廃墟
この手の主張がされる場合は、たいていの場合、
①国民は飢えているのに金正恩は贅沢をしている、②国内の経済はズタボロだ
③軍部での不満も大きい ④近い将来、必ず崩壊する
という北朝鮮崩壊論を結論付けている。
しかし、冷静に考えて、国内の食糧問題に何も対策を立てない国が存在するだろうか?
結論を言おう。実際には北朝鮮の食糧事情は年々回復しているのである。
-----------------------------------------------------------------------
朝鮮の農業部門は昨年、「100年来の大干ばつ」(朝鮮中央通信)
に見舞われた不利な条件の下でも、穀物の増産を成し遂げた。
多くの協同農場が増産目標を達成したほか、沙里院市嵋谷(黄海北道)、
龍川郡新岩(平安北道)、載寧郡三支江(黄海南道)協同農場では、
ヘクタール当たり10t以上増産する成果をあげた。
収穫量5万トンアップ
昨年、朝鮮の西海岸と東海岸中部地方で、例年にない少雨と高温による大干ばつが発生した。
7月以降、全国的に高温現象が続き、梅雨の始まりも遅かった。
しかし、農業生産が打撃を受けることはなかった。
昨年の穀物生産量に関する国内機関の公式発表はないが、
ロシアのイタル・タス通信は昨年12月23日、
「干ばつによる被害にもかかわらず、収穫量が571万tと昨年より5万t増加した」
と語った朝鮮の収買糧政省副相の発言を紹介している。
http://chosonsinbo.com/jp/2015/01/20150127riyo-4/
------------------------------------------------------------
2013年の穀物生産量は562万トン、前年比32.6万トン増
――2013年の穀物生産量はどれくらいか。
2013年の穀物生産量は562万4000トンとなり、前年と比べ32万6000トン増えた。
農業生産が増加したことは、コメなどの優良品種の作付面積を広げたことも大きな要因となった。
同時に、各地の気候や条件に合った品種、また促成で多収穫、
少肥料でありながらも病害虫に強い品種を作付けできたこともある。
昨年は1ヘクタール当たり10トンの生産があったが、
今年は10~13トンへと増産できるのではないだろうか。
――今年は春先から水不足で農業分野の成果を危ぶむ報道が、
北朝鮮メディアからも出ていた。現状はどうか。
水不足の影響はたいへんなものだった。100年に1度と言われるほどの大干ばつだった。
ただ、先日訪れた(北朝鮮南西部の)黄海南道の協同農場では、
水不足の中で苗作りから努力し、作況は1ヘクタール10トンを超えそうな様子だった。
これは苗を改良することで1週間は水を与えなくても生育が保証される苗を開発したこともある。
さまざまな方法を取り入れ、問題を解決したと協同農場から聞いた。
同時に、国家も水を優先的に農場に回し、
また電気供給も農場に優先して、ポンプによる水のくみ上げを可能にさせる。
なお、水の確保に全力を尽くしたことも作況を下支えしたようだ。
――今年、金正恩第1書記による「新年の辞」では、農業生産がまず言及された。
具体的に今年の農業分野ではどのようなことがなされたのか。
農業の機械化が進められた。
たとえばコメでは移動脱穀機を投入されたことで、
これまで収穫から3~4カ月かかっていた脱穀が1カ月半で済むようになった農場も出てきた。
これまでは農場内の脱穀所まで運んで脱穀していたが、
移動脱穀機を使うことでその場で脱穀でき、農作物の流出も減ることになった。
畜産業では、(北朝鮮東部の)江原(カンウォン)道にある
洗浦(セポ)畜産基地の拡張工事がある。5万ヘクタールの大規模畜産基地であり、
金正恩第1書記が指示したモデル基地でもある。
牧草の生産も1ヘクタール当たり70トンになる。
このような畜産基地を各道に設け、養豚や養鶏などを拡充し
生産の正常化を図って生産量を上げていく方針だ。
(http://toyokeizai.net/articles/-/52420)
--------------------------------------------------------
東洋経済の記事は、現地の責任者に取材して書かれたものだ。
国内の反パククネ派の人間を「北朝鮮の手先」の証拠をでっち上げ、
次々と逮捕している秘密警察、国情院の言葉をもとに書かれている週刊現代の記事とは違う。
国連の統計を見ても、北朝鮮の食糧生産量は年々増加している。
国連FAO/WFP特別報告書によると、農産物の不足分は次のようになっている。
2010/11年度 86.7万トン
2011/12年度 73.9万トン
2012/13年度 50.7万トン
2013/14年度 34万トン
「現在、専門家らが北朝鮮の食糧生産量統計としてよく活用するのは、
国連食糧農業機関(FAO)と国連世界食糧計画(WFP)のものだ。
両機関は北朝鮮を訪問して多くの農場を訪れて調査し、
北朝鮮農業省の資料と総合して「北朝鮮の作況および食糧安保評価特別報告書」を毎年発表する。
昨年11月に発表された2013/14年(二毛作による2013年収穫分と2014年春の収穫分)報告書によれば、
北朝鮮の昨年の食糧生産量は503万トン(家の近くにある畑と傾斜地にある畑の収穫を含める)だ。
2010/11年度は425万トン、11/12年度は445万トン、12/13年度484万4000トンと
推定されていることを考えると、北朝鮮の食糧生産量がこれまで増加していることがわかる。
特に、最低値を記録した1996年の260万トンと比べると、2倍程度増えたことになる。
(中略)
北朝鮮の統計とFAO/WFPの統計を総合して見ると、
北朝鮮は基準量だけを取り出して考えてみると、昨年の1人当たり
年間穀物消費量を自主的な生産、および一部を輸入して確保したと考えられる。
米農務省も今後10年が過ぎた時点では、北朝鮮の食糧不足は大きく改善されると予想している。」
(http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201407280001/)
北朝鮮の食糧自給率は9割を超える。
日本と比べると大分違うことに驚かされるのではないだろうか?
なお、上に引用した鄭昌鉉氏は、後半部分で食糧事情には地域差があること、
穀物生産量全体では自給、あるいは自給に近いレベルに達しているが、
主食生産量では、まだかなり足りないことを指摘している。この点からも、
ただの提灯記事ではなく、きちんと調べられたものであることがわかるだろう。
この分析では国連やロシアなどからの食糧支援が計算に入れられていない。
よって、実際の食糧は更に多いことが予想される。決して十分すぎるほどではないが、
かといって、大量に人がバタバタ死ぬほどのレベルでないことは、
少なくともきちんとした研究の上では共通認識と化している。
----------------------------------------------------
スコット・スナイダー外交問題評議会上級研究員は、
2月18日付ナショナル・インタレスト誌に「北朝鮮はもはや飢えていない」
と題する論説を掲載し、最近のFAO(国連食糧農業機関)報告等を紹介しつつ、
北朝鮮の食糧事情が改善しているようだと論評しています。
すなわち、最近の報告では、北朝鮮の食糧事情が安定していることが示されている。
北朝鮮指導部も事態は改善していると考えているだろう。
~中略~
多国間支援は、約3.6万トンだった。
約100万トンの支援が必要だった2000年代半ばと比べると、
北朝鮮の輸入必要量は30万トン台に激減している。
更に、北朝鮮は、食糧不足を、国際支援ではなく、
商業的な調達で賄い始めていることが分かる。
以上のことは、北朝鮮経済が、近年、生産性の改善を見せ、
成長しているとは言えないが、安定していることを示している。
金正恩の農業改革は、経済面で一定の成果を出しつつあるようだ。
他方で、問題は、ミサイル・核開発が何の歯止めもなく進んでいるということだ。
http://webcache.googleusercontent.com/search?
q=cache:ch7PAh1nuHQJ:blogos.com/article/108962/+&cd=14&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
-----------------------------------------------------------------
加えて、食糧問題が改善されつつある背景として、
北朝鮮において、部分的に市場主義が導入されていることが挙げられる。
金正恩政権から、農業従事者の生産意欲を高めるべく、少人数に一定の圃田を任せて、
ノルマを達成した場合には、余剰農産物を各人が販売してもよいことになった。
これにより、実際に生産量が増えたというわけだ。
何でもかんでも上の人間が決め、命令していた以前のスタイルとは違ってきているのである。
他にも、北朝鮮ではキノコの栽培や漁獲量のアップなど、
穀物以外の農産物にも力を入れているのだが、これらの予算は
軍事費を削減して得られたものだ。北朝鮮=軍事国家というイメージが
強い日本では、まさか軍事費を減らしてまで食糧問題に取り組んでいるとは思わないだろう。
以上、北朝鮮の食糧事情について解説したが、
まぁ、アマチュアの解説なので、至らぬところもあるとは思う。
とはいえ、国情院や韓国や中国の極右の言葉を鵜呑みにしている記事よりは
はるかに現実に近い内容になっていると自負している。
北朝鮮の食糧事情は、まだまだ改善の余地があり、決してベストとは言えない。
だが、年々、ベターな状態になりつつあり、少しずつ生産量も上がってきている。
加えて、金正恩政権以降、余剰生産物を販売する
権利を認める方向へと転換したことは無視できないだろう。
先日の中国主導のアジア・インフラ投資銀行に日本とアメリカだけ乗り遅れた件といい、
どうも日本は、相手国を馬鹿にするせいで、かえって判断を誤り、国益を損なっている嫌いがある。
安倍政権になってからは特に。
正直言って、日本の論者は北朝鮮の悪口を気持ちよく書いて、
いまに北朝鮮は自滅するんだぞとほざくだけのペテン師に成り下がっている。
リストアップしてみよう。
北朝鮮自壊(2004/2/13)
北朝鮮消滅―金王朝崩壊の衝撃、到来する破局(2003/2)
中国が予測する“北朝鮮崩壊の日” 2008/5
北朝鮮 崩壊へのシナリオ2003/10/23
北朝鮮崩壊と日本―アジア激変を読む (カッパ・ビジネス)1996/4
北朝鮮崩壊す!!2003/4
北朝鮮崩壊 (文春文庫)1999/10
南・北朝鮮、同時崩壊か?2007/3
北朝鮮の経済―起源・形成・崩壊1999/10
北朝鮮・狂気の正体―金王朝の謀略と崩壊の行方2003/1
要するに、20年も前から、一貫して日本の論者は
「北朝鮮は最悪DA!キムジョンイルは独裁SYA!今に滅ぶZO!うぁあああ!!!」としか言っていない。
これを確かな分析として有難がっているのだから、凄い話だ。
もう少し、鄭昌鉉氏やアンドレイ・ラニコフ氏のように正確に分析してくれないと
この先、ずっと北朝鮮を相手に防戦一方になるのではないかと不安になってしまう今日このごろである。
あぁ金正恩「北朝鮮に神様はいない」餓死と粛清で遺体だらけの廃墟
この手の主張がされる場合は、たいていの場合、
①国民は飢えているのに金正恩は贅沢をしている、②国内の経済はズタボロだ
③軍部での不満も大きい ④近い将来、必ず崩壊する
という北朝鮮崩壊論を結論付けている。
しかし、冷静に考えて、国内の食糧問題に何も対策を立てない国が存在するだろうか?
結論を言おう。実際には北朝鮮の食糧事情は年々回復しているのである。
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朝鮮の農業部門は昨年、「100年来の大干ばつ」(朝鮮中央通信)
に見舞われた不利な条件の下でも、穀物の増産を成し遂げた。
多くの協同農場が増産目標を達成したほか、沙里院市嵋谷(黄海北道)、
龍川郡新岩(平安北道)、載寧郡三支江(黄海南道)協同農場では、
ヘクタール当たり10t以上増産する成果をあげた。
収穫量5万トンアップ
昨年、朝鮮の西海岸と東海岸中部地方で、例年にない少雨と高温による大干ばつが発生した。
7月以降、全国的に高温現象が続き、梅雨の始まりも遅かった。
しかし、農業生産が打撃を受けることはなかった。
昨年の穀物生産量に関する国内機関の公式発表はないが、
ロシアのイタル・タス通信は昨年12月23日、
「干ばつによる被害にもかかわらず、収穫量が571万tと昨年より5万t増加した」
と語った朝鮮の収買糧政省副相の発言を紹介している。
http://chosonsinbo.com/jp/2015/01/20150127riyo-4/
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2013年の穀物生産量は562万トン、前年比32.6万トン増
――2013年の穀物生産量はどれくらいか。
2013年の穀物生産量は562万4000トンとなり、前年と比べ32万6000トン増えた。
農業生産が増加したことは、コメなどの優良品種の作付面積を広げたことも大きな要因となった。
同時に、各地の気候や条件に合った品種、また促成で多収穫、
少肥料でありながらも病害虫に強い品種を作付けできたこともある。
昨年は1ヘクタール当たり10トンの生産があったが、
今年は10~13トンへと増産できるのではないだろうか。
――今年は春先から水不足で農業分野の成果を危ぶむ報道が、
北朝鮮メディアからも出ていた。現状はどうか。
水不足の影響はたいへんなものだった。100年に1度と言われるほどの大干ばつだった。
ただ、先日訪れた(北朝鮮南西部の)黄海南道の協同農場では、
水不足の中で苗作りから努力し、作況は1ヘクタール10トンを超えそうな様子だった。
これは苗を改良することで1週間は水を与えなくても生育が保証される苗を開発したこともある。
さまざまな方法を取り入れ、問題を解決したと協同農場から聞いた。
同時に、国家も水を優先的に農場に回し、
また電気供給も農場に優先して、ポンプによる水のくみ上げを可能にさせる。
なお、水の確保に全力を尽くしたことも作況を下支えしたようだ。
――今年、金正恩第1書記による「新年の辞」では、農業生産がまず言及された。
具体的に今年の農業分野ではどのようなことがなされたのか。
農業の機械化が進められた。
たとえばコメでは移動脱穀機を投入されたことで、
これまで収穫から3~4カ月かかっていた脱穀が1カ月半で済むようになった農場も出てきた。
これまでは農場内の脱穀所まで運んで脱穀していたが、
移動脱穀機を使うことでその場で脱穀でき、農作物の流出も減ることになった。
畜産業では、(北朝鮮東部の)江原(カンウォン)道にある
洗浦(セポ)畜産基地の拡張工事がある。5万ヘクタールの大規模畜産基地であり、
金正恩第1書記が指示したモデル基地でもある。
牧草の生産も1ヘクタール当たり70トンになる。
このような畜産基地を各道に設け、養豚や養鶏などを拡充し
生産の正常化を図って生産量を上げていく方針だ。
(http://toyokeizai.net/articles/-/52420)
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東洋経済の記事は、現地の責任者に取材して書かれたものだ。
国内の反パククネ派の人間を「北朝鮮の手先」の証拠をでっち上げ、
次々と逮捕している秘密警察、国情院の言葉をもとに書かれている週刊現代の記事とは違う。
国連の統計を見ても、北朝鮮の食糧生産量は年々増加している。
国連FAO/WFP特別報告書によると、農産物の不足分は次のようになっている。
2010/11年度 86.7万トン
2011/12年度 73.9万トン
2012/13年度 50.7万トン
2013/14年度 34万トン
「現在、専門家らが北朝鮮の食糧生産量統計としてよく活用するのは、
国連食糧農業機関(FAO)と国連世界食糧計画(WFP)のものだ。
両機関は北朝鮮を訪問して多くの農場を訪れて調査し、
北朝鮮農業省の資料と総合して「北朝鮮の作況および食糧安保評価特別報告書」を毎年発表する。
昨年11月に発表された2013/14年(二毛作による2013年収穫分と2014年春の収穫分)報告書によれば、
北朝鮮の昨年の食糧生産量は503万トン(家の近くにある畑と傾斜地にある畑の収穫を含める)だ。
2010/11年度は425万トン、11/12年度は445万トン、12/13年度484万4000トンと
推定されていることを考えると、北朝鮮の食糧生産量がこれまで増加していることがわかる。
特に、最低値を記録した1996年の260万トンと比べると、2倍程度増えたことになる。
(中略)
北朝鮮の統計とFAO/WFPの統計を総合して見ると、
北朝鮮は基準量だけを取り出して考えてみると、昨年の1人当たり
年間穀物消費量を自主的な生産、および一部を輸入して確保したと考えられる。
米農務省も今後10年が過ぎた時点では、北朝鮮の食糧不足は大きく改善されると予想している。」
(http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201407280001/)
北朝鮮の食糧自給率は9割を超える。
日本と比べると大分違うことに驚かされるのではないだろうか?
なお、上に引用した鄭昌鉉氏は、後半部分で食糧事情には地域差があること、
穀物生産量全体では自給、あるいは自給に近いレベルに達しているが、
主食生産量では、まだかなり足りないことを指摘している。この点からも、
ただの提灯記事ではなく、きちんと調べられたものであることがわかるだろう。
この分析では国連やロシアなどからの食糧支援が計算に入れられていない。
よって、実際の食糧は更に多いことが予想される。決して十分すぎるほどではないが、
かといって、大量に人がバタバタ死ぬほどのレベルでないことは、
少なくともきちんとした研究の上では共通認識と化している。
----------------------------------------------------
スコット・スナイダー外交問題評議会上級研究員は、
2月18日付ナショナル・インタレスト誌に「北朝鮮はもはや飢えていない」
と題する論説を掲載し、最近のFAO(国連食糧農業機関)報告等を紹介しつつ、
北朝鮮の食糧事情が改善しているようだと論評しています。
すなわち、最近の報告では、北朝鮮の食糧事情が安定していることが示されている。
北朝鮮指導部も事態は改善していると考えているだろう。
~中略~
多国間支援は、約3.6万トンだった。
約100万トンの支援が必要だった2000年代半ばと比べると、
北朝鮮の輸入必要量は30万トン台に激減している。
更に、北朝鮮は、食糧不足を、国際支援ではなく、
商業的な調達で賄い始めていることが分かる。
以上のことは、北朝鮮経済が、近年、生産性の改善を見せ、
成長しているとは言えないが、安定していることを示している。
金正恩の農業改革は、経済面で一定の成果を出しつつあるようだ。
他方で、問題は、ミサイル・核開発が何の歯止めもなく進んでいるということだ。
http://webcache.googleusercontent.com/search?
q=cache:ch7PAh1nuHQJ:blogos.com/article/108962/+&cd=14&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
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加えて、食糧問題が改善されつつある背景として、
北朝鮮において、部分的に市場主義が導入されていることが挙げられる。
金正恩政権から、農業従事者の生産意欲を高めるべく、少人数に一定の圃田を任せて、
ノルマを達成した場合には、余剰農産物を各人が販売してもよいことになった。
これにより、実際に生産量が増えたというわけだ。
何でもかんでも上の人間が決め、命令していた以前のスタイルとは違ってきているのである。
他にも、北朝鮮ではキノコの栽培や漁獲量のアップなど、
穀物以外の農産物にも力を入れているのだが、これらの予算は
軍事費を削減して得られたものだ。北朝鮮=軍事国家というイメージが
強い日本では、まさか軍事費を減らしてまで食糧問題に取り組んでいるとは思わないだろう。
以上、北朝鮮の食糧事情について解説したが、
まぁ、アマチュアの解説なので、至らぬところもあるとは思う。
とはいえ、国情院や韓国や中国の極右の言葉を鵜呑みにしている記事よりは
はるかに現実に近い内容になっていると自負している。
北朝鮮の食糧事情は、まだまだ改善の余地があり、決してベストとは言えない。
だが、年々、ベターな状態になりつつあり、少しずつ生産量も上がってきている。
加えて、金正恩政権以降、余剰生産物を販売する
権利を認める方向へと転換したことは無視できないだろう。
先日の中国主導のアジア・インフラ投資銀行に日本とアメリカだけ乗り遅れた件といい、
どうも日本は、相手国を馬鹿にするせいで、かえって判断を誤り、国益を損なっている嫌いがある。
安倍政権になってからは特に。
正直言って、日本の論者は北朝鮮の悪口を気持ちよく書いて、
いまに北朝鮮は自滅するんだぞとほざくだけのペテン師に成り下がっている。
リストアップしてみよう。
北朝鮮自壊(2004/2/13)
北朝鮮消滅―金王朝崩壊の衝撃、到来する破局(2003/2)
中国が予測する“北朝鮮崩壊の日” 2008/5
北朝鮮 崩壊へのシナリオ2003/10/23
北朝鮮崩壊と日本―アジア激変を読む (カッパ・ビジネス)1996/4
北朝鮮崩壊す!!2003/4
北朝鮮崩壊 (文春文庫)1999/10
南・北朝鮮、同時崩壊か?2007/3
北朝鮮の経済―起源・形成・崩壊1999/10
北朝鮮・狂気の正体―金王朝の謀略と崩壊の行方2003/1
要するに、20年も前から、一貫して日本の論者は
「北朝鮮は最悪DA!キムジョンイルは独裁SYA!今に滅ぶZO!うぁあああ!!!」としか言っていない。
これを確かな分析として有難がっているのだから、凄い話だ。
もう少し、鄭昌鉉氏やアンドレイ・ラニコフ氏のように正確に分析してくれないと
この先、ずっと北朝鮮を相手に防戦一方になるのではないかと不安になってしまう今日このごろである。