時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

アメリカ人の強制連行被害者にはペコペコ平謝りする誇り高き日本人2

2015-07-25 00:13:17 | 国際政治
前回の記事を書いた矢先に今度は
中国やイギリス等の強制連行被害者への謝罪を三菱マテリアルが表明し始めた。


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三菱マテリアルの岡本行夫・社外取締役は
22日、第二次世界大戦中に強制労働をさせた側として、
元中国人労働者の生存者と遺族に対して謝罪の意を示したいと述べた。


同社高層部の数人は19日、同じように
第二次大戦中に強制労働をさせたとして、元米兵捕虜に謝罪した。

三菱マテリアルは、終戦から70年が経過し、日本の大企業で初めて、
この戦争で犯した罪を認めて陳謝したことになる。新華網が報じた。



AP通信の報道によると、三菱マテリアルの岡本行夫・社外取締役は、東京で22日、
弊社は、第二次大戦中に強制労働をさせた外国人元労働者に対して
陳謝する意向を持っている。機会があれば、我々は彼らに直接お詫びの言葉を伝えたい
」と述べた。


元中国人労働者について、岡本氏は、
個人的には、強制労働をさせられた中国の人々に、深い同情の気持ちを抱いている
使用者として、我々は陳謝しなければならない。
彼らは、損害賠償を求めて訴えを起こしており、裁判が進んでいる」とし、
賠償金を支払う方針を明らかにした


一部の生存している元中国人労働者および遺族が昨年、
北京で三菱マテリアルと他の日本企業1社に対して裁判を起こし、
日本側に陳謝と損害賠償を求めた。岡本氏は、
「我々は、被害者との和解が成立するよう、最善を尽くしたい」としている。


岡本氏は、戦時中に日本の企業が外国人労働者に過酷な労働を強いて、
奴隷のように酷使した罪を認めている。

我々は、捕虜や一般民衆に最も酷い仕打ちをした企業のひとつだ。
したがって、彼らに陳謝するのは当然のことだ」と、同氏は見解を述べた。
http://j.people.com.cn/n/2015/0724/c94475-8925839.html
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前の記事で私は白人と黄色人に対する右翼の態度が違いすぎる点を指摘し、揶揄したが、
中国に対しても謝罪すると表明した途端に、案の定、右翼が騒ぎ出した。

http://matoch.blog.jp/68414884.html


な、なんてわかりやすい人たちなんだ……(汗



一方で、三菱マテリアルは朝鮮人の強制連行に関しては、
当時の朝鮮人は日本人だから謝罪しないという右翼的見解を示している。

この辺りの往生際の悪さは、さすが誇り高き日本企業といったところか……


前にも述べたように、強制連行に関しては資料が豊富にあるので、
その事実自体を否定することはできない。そこで、当時の朝鮮人は
日本人だったから、これは動員の一環だとして居直るのが最近のトレンドになっている。

これは詭弁以外の何者でもない。


朝鮮人の強制連行には文字通りの暴力的連行もあり、
また、退職の自由が約束されない奴隷労働が特徴的だった。


その詳細は、山田昭次氏らが編著した『朝鮮人戦時労働動員』に詳しい。
この本では「強制連行」という言葉ではなく「戦時労働動員」という言葉を使っている。


いわゆる朝鮮人強制連行とは、朝鮮人に労働を強制した事件であり、
先述の通り、朝鮮人を奴隷的に使役し、日本人より過酷な労働を強いたものだった。
(休職も離職もできず、監視体制が敷かれていた)


「どのような労働を強いられたか」が争点なのだが、
「どのように連れて来られたか」に論点が微妙にずらされている。


この点を踏まえ、研究者も「戦時労働動員」という言葉を使用しているわけだ。


つまり、「動員の一環だからいいんだもんね!へへーん!」という逃げ口上は
「連れて来られた後に奴隷労働を強いられた」という肝心の点を無視しており、
 言い訳にすらなっていないということだ。


わかりやすく例えれば、イジメを苦に自殺した児童の親に対して学校側が
「登校しろとは言っていませんでしたよ(ニヤリ)」と言っているようなものか……?


合法だからOKという屁理屈は、ここには通用しない。論点がズレている。


ちなみに、朝鮮人や中国人と同様に、日本人の中にも強制連行された人間がいた。
その典型的な例が治安維持法で逮捕された政治犯(思想犯)で、
彼らの中には、トラック島という島に連行され奴隷労働を強いられた。

この辺は、窪田精の『死者たちの島』あたりを読むといい。


政治犯や思想犯といっても、何かテロを行ったわけでもなく、
大半は政府や軍を批判しただけで非国民のレッテルを貼り付けられたのだが、
こういう人たちと朝鮮人、中国人は境遇が酷似している(同一ではないが)。


つまり、大きな構図として大日本帝国では、
社会的弱者に重労働を強いる&拒否すれば厳罰を下すシステムになっており、
この点を追及すると、強制連行という事件は私たち日本人にも共通する問題になる。


ひめゆり学徒隊などが有名だが、国に動員されて戦場で放置され死亡した少女たちと、
戦時労働動員を受けたコリアンは同じカテゴリーに区分される。


非国民のレッテルを貼られ、弾圧を受け獄死した日本人と
炭坑でろくに食べ物も与えられず死んでいった朝鮮人は同じ被害者である。


真剣に考えれば、日本人とコリアンは共通の問題を抱え、共闘できる間柄でもあるのだが、
現実では、ちょっと政府を批判するだけで「反日」認定する連中がそれなりにいて、
なかなか大きな流れとして日韓共闘の戦後処理が遅々として進まない。


ついでに言えば、日本の植民地支配を反省することは、韓国に当てはめれば、
植民地時代に日本に追従していた親日派が戦後、主を日本からアメリカに変え、
支配体制を維持し、軍事独裁のもと、多くの民衆を弾圧した責任を問うことにもつながる。


つまり、日本の植民地主義の清算は、その産物である
戦後の韓国の支配者層の糾弾にリンクし、右翼がやりたがっているであろう
韓国の政治批判を堂々と行える機会を与えてくれるものと思うのだが……


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