時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

なぜ急ぐ集団的自衛権 池上彰批判その4

2014-07-15 00:01:08 | 軍拡
先日、紹介した白宗元氏の意見書。改めて傾聴の価値があると思い、
再度掲載したいと思う。


加えて、筆者が再三、批判している池上彰氏が寄稿した
集団的自衛権の解説文を合わせて併記する。

なぜ、いま、最も検討しなければならない軍事問題に、
同氏が沈黙を閉ざしているのか。その理由は、双方の主張を読めば
大体の想像がつくだろう(それは日本のメディアの悪癖を晒すことにもなるはず)。


-------------------------------------------------------------
なぜ急ぐ集団的自衛権/白宗元

安倍首相は憲法の解釈変更によって集団的自衛権行使を容認し、
国の運命に関わるこの問題を閣議決定という便法で押し通そうとしている。


日本帝国主義の植民地支配の下で計り知れない被害を蒙ったわれわれは、
日本が再び「戦争をする国」になろうとするこのような事態に無関心ではいられない。



再び「戦争をする国」に


集団的自衛権については、人々の判断を迷わすさまざまな紛らわしい論議が見られるが、
核心をなすのは第一に、日本が攻撃を受けなくても
「米軍が攻撃を受けた場合は米軍を守り、ともに戦うこと
であり、
第二には、自衛隊は専守防衛の枠を超えて海外に派兵され米軍の戦争に加担することである。



安倍首相は「米軍が攻撃を受けているのに同盟国の日本が黙って見ていられるのか」と
大衆受けのする感情論を強調している。

しかしそもそも世界最大、最強の軍事力をもつ
米軍を攻撃できる国など今の世界には存在しない。


朝鮮、ベトナム、イラク戦争で見られたように
侵略戦争を挑発したのは常に米軍であって、
「米軍が攻撃を受けた」から始まった戦争などはない。



安倍首相論理は架空の前提で侵略戦争加担を合理化する詭弁だ。


自衛隊が海外派兵される場合、作戦指揮権を統一的に掌握するのは当然米軍であって、
自衛隊が自主的立場でこれに反対したり、拒絶することはできない。


海外に派兵され米軍の侵略戦争に加担すれば、多くの他国人を殺すが、
自衛隊員も殺されるのを免れることはできない。

その実例は近くにある。
朴正熙軍事政権は韓国がいかなる攻撃を受けていないにも拘わらず、
米国の指示に従ってベトナム侵略に加担し、多くのベトナム人を殺し、都市や農村を破壊した

しかしその代償として4千人の韓国軍兵士が異国ベトナムの土となった。


武力では解決できない

集団的自衛権行使が国益に叶うというメリットについては語られるが、
それがどういう重大な結果をもたらすかというデメリットについての真剣な論議が
日本ではあまり見られないのは不思議なことである。


安倍首相は集団的自衛権行使の実例として
しばしば朝鮮民主主義人民共和国を引き合いに出した。

日本の国会で暴露されたように防衛庁(当時)が作成した「三矢作戦」、
「フライング・ドラゴン作戦」や朝鮮有事に際しての「邦人救出」など
自衛隊が朝鮮半島に出動して米軍と共同作戦を展開する計画が立てられた
のは一度や二度ではない。日本の責任ある政治家は
朝鮮のミサイル基地に対する先制攻撃まで主張している。



朝鮮戦争当時、日本の基地から発進した米軍爆撃機は朝鮮全土を廃墟にした。
しかし反撃力のなかった当時の朝鮮はただの一発の報復もできなかった。

だが現在、事態は根本的に変化した。長期にわたり米国の核脅威の圧迫に
苦しんだ朝鮮は今や自主的な抑止力を持っている。

もし米軍が核攻撃を行うならば、米本土はもとより
太平洋上や日本の米軍基地に報復攻撃も加えることを
朝鮮はオバマ大統領に正式に通告している。



第二次大戦中、日本に投下された爆弾は16万2千㌧であるが、日本全土は焼け野原となった。
破壊力が飛躍的に増大した現代の戦争でその代価は、これとは比べようもないだろう。

現在の日本の政治家の多くは戦争の惨禍を知らない世代だと聞くが、
朝鮮出兵、先制攻撃を主張する人たちは、現実の事態を冷静に熟慮したうえで発言している。

現在、安倍政権が強調する集団的自衛権問題は、
長い先まで見通した戦略的見地からなされているようには見えない。



経済的、政治的な衰退が目立ってきた米国が激変する情勢のなかで
20年、30年後も今のような地位を維持できるのかは誰も断言できない。

さらに米国は自らの国益で動くのであって、
日本の利益をあくまで守ってくれる訳ではない。



尖閣諸島問題で米国はリップサービスはするが日本の領有権まで認めてはいない。
最近「米国は本当に日本を守ってくれるだろうか」の声がしきりに聞こえてくるが、
中国の激変に巻き込まれず国益を守りたい米国の本心が透けて見える。

米国の伝統的アジア外交は
「アジアでの戦争は
 アジア人同士で戦わせる」

ことである。



米国は韓日関係の改善を焦っているが、
朝鮮有事に米軍の身代わりに韓国軍と自衛隊を前面に立たせ、
軍事費も負担させるため
であって、「韓日友好親善」のためでは決してない。


日本は明治以来、武力を持ってアジアの国々に対してきた。
日本軍国主義は70年ほど威勢を振るったが、結局、敗戦という破局で終末を告げた。
今の東アジアで武力による対決では何事も解決できない。平和こそ貴重である。
日本の繁栄と発展をもたらした平和憲法はそれを実証している。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/06/0627sg/

---------------------------------------------------------


簡単に言ってしまえば、近年の日本は米国に服従の一途を辿っている。
経済的にはTPPの締結、政治的には日米同盟の強化、集団的自衛権の容認
と、自ら進んでアメリカに首を差し出す政策を取っているわけだ。


これは一見、不可解に思えるかもしれないが、
このような政策を取ることで一部の人間は非常に大きな得をするのである。

表面的には靖国参拝などの愛国的な言動を行っているのだが、
実際には限られた人間の私腹を肥やす政策をとっているわけだ。



つまり、安倍にとっての「日本人」に我々は数えられていない。


そのせいか、極右の中でも安倍政権の行き過ぎた親米政策に抗議する者もいる。

日本に限らず、欧米でも社会の不公平を民族性を強調することで、
解消する(同じ日本人なんだから平等に扱え)という意見が支持されている。

この手の愛国的平等論は、結局のところ、上層部の人間に体よく利用されて
彼らの支持率稼ぎとして機能している
わけで、差別を助長させるものでしかない


私は、やはり、この手のネオ・ナショナリズムが失敗した以上、
今こそコミュニスムに立ち返るべきだと思うのだが、
冷戦終結後の赤狩り旋風が吹き荒れてから、この手の動きはタブー視されている。

(なお、私の言う「コミュニスムへの回帰」とは、
 共産党や新左翼の理解や主張をなぞるのではなく、
 ゼロからコミュニスムを勉強しなおし、新たに体系づけるということである)


さて、話を戻すと、
集団的自衛権とは、日米外交の一環として生じたものであり、
米国の利益や戦略を考慮しないと、本質が見えてこない。


白氏の意見書でアメリカ批判が多くなされているのは、このためである。


・侵略戦争を挑発したのは常に米軍

・海外派兵される場合、作戦指揮権を統一的に掌握するのは当然米軍

・朝鮮半島に出動して米軍と共同作戦を展開する計画が立てられた

・米国の伝統的アジア外交は「アジアでの戦争はアジア人同士で戦わせる」

・朝鮮有事に米軍の身代わりに韓国軍と自衛隊を前面に立たせ、軍事費も負担させる



つまるところは、日本のためでなく宗主国のための権利というわけだ。


白氏の意見書は、集団的自衛権の問題点をほぼ網羅しているが、
これとは対称的に、肝心な点を隠して説明するのが池上彰氏の文章である。


--------------------------------------------------------------
日本はアメリカと日米安保条約を結んでいます。

もし、日本が他国から攻撃されたら、
アメリカ軍が日本を守るために行動することになっています。


ところが、もしアメリカが他国から攻撃されても、
日本の自衛隊はアメリカ軍と一緒に戦うことはできないというわけです。


日本が攻撃されると、アメリカ軍は日本を守るために駆けつけます。
日本を攻撃する外国軍とアメリカ軍が戦闘になることもあるでしょう。

こんなとき、日本の自衛隊はアメリカ軍を支援してはいけないということになるのです。
非常にわかりにくい議論ですよね。

もしこんなことになったら、日本が国際的な非難を浴びることは目に見えています。
そこで、こんなおかしなことが起きるのだったら、
憲法の解釈を変えて集団的自衛権の行使も認めるべきだと主張する人がいます。


その一方で、日本は集団的自衛権を行使できないから、
他国の戦争に巻き込まれる恐れがないのだ、という考えもあります。

戦後の日本は憲法の解釈を変えることで
自衛隊を大きく成長させてきましたが、限界に来ていることは間違いありません。


http://seiji.yahoo.co.jp/easy/ikegami/0003/
---------------------------------------------------

比較的多くのスペースを割いて、集団的自衛権が容認されないと
世界の恥になると脅した上で、申し訳程度に反対意見をたった一文、併記しておく。

池上彰の解説でもっとも問題ある点は、この中立を装った支持である。
末文からも、暗に改憲を促していることが伺えるし、
前半から半ばまでの説明は政府の言い分をそのままなぞったものにすぎない。


金光翔氏の和田春樹批判を思い出す。

------------------------------------------------------------
和田は、批判的研究者(多くは朝鮮人)による司馬遼太郎や
戦後日本の「平和主義」への批判について、その批判の正当性を認める。

また、本書で和田が提示している、日清戦争や日露戦争を「朝鮮戦争」と捉える視点も、
姜徳相ら朝鮮人の歴史研究者がそれらを「日本による朝鮮侵略戦争」と捉えているのに似ている。

和田は、そうした批判的研究に正面から反論するのではない。
その正当性を認めた上で、ほとんど説得力のない理屈の提示(司馬遼太郎の場合)や、
根拠すらまともに示さずに読者の俗情を利用する形(戦後日本の「平和主義」の場合)で、
批判的研究の批判対象を救い出す。

「たしかに~~といった批判はその通りです。
しかし、だからといって全否定するのは行き過ぎだと私は思います。
ただし、私たちは、~~といった問題点があることを忘れてはならないと思います。」
といった具合だ。

このような姿勢は、大多数の研究者がそうした批判的研究を黙殺する日本の状況では、
特に加藤陽子の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』のような駄本が
ベストセラーになっているような現在では、一見、大変「良心的」に見える。

だが、和田の問題点はむしろそこにこそあると思う。

和田が「~~といった問題点があることを忘れてはならないと思います。」
という形で取り込もうとする批判は、もともと、和田が救い出そうと
しているものの全否定または根本的な再編成を企図して打ち出されたものである。

ところが、和田は、批判にも留意するという姿勢を打ち出すことによって、
批判と批判対象の理論的な接触(対決)を回避する。

ありがちな人間類型として、こちらが言うことについて何でも
「うんうん、わかるよ」と答えながら、その実何も考えが変わらない人間というのがある
(左派系の知識人に多い)。和田は文章・行動レベルでこれをやっている。

こうした姿勢は、結果としては、
批判の効果を無化すると同時に、
批判対象の問題性を温存することになる。


そのような批判は、従来の立場を根本的に否定もしくは再編成を迫るのではなく、
ときどき思い出せば済む対象に格下げされる。

それでも、取り上げてくれる人間自体が少ないのだから、
批判者は、「あの学会・論壇の大御所である和田先生も取り上げてくれている」
ということで、むしろ和田への協力者になる。

http://watashinim.exblog.jp/12577810/

-------------------------------------------------------

池上氏も同様に、賛成と反対を併記することで、
問題のあるほうの意見を結果的に弁護する体裁を取っている。

要するに、池上氏の反対意見の紹介は、賛成意見を際立たせるものでしかない。
それが非常に問題なのである。


一見、公平のように見えて、実は思いっきりお上に寄り添っている
主張をテレビや書籍で拡散し、真面目な聴衆・読者の判断力を鈍らせる。


これでジャーナリストとどうして言えよう。
いずれは、合法詐欺師と呼んでも過言ではなくなってしまうのではないか?


以上、白氏と池上氏の姿勢を比較し、後者の論調の問題点を指摘した。
池上氏がいま、集団的自衛権について解説をためらっているのは、
恐らく、閣議決定を契機に安倍政権の支持率がガタ落ちしたこと、
そして集団的自衛権の反対者が安倍の所有物と堕したNHKですら
国民の半数以上に上ると報道していることと関係があるように思われる。

つまり、池上氏の説明は、聴衆を喜ばせるどころか腹立たせるものとなっており、
半数以上が反対姿勢を取っている今、安易に前面に打ち出せないのではないか?




いずれ、世論がなし崩しに容認をしぶしぶ承認するようになった際、
彼は待ってましたとばかりに持論(実は政府の見解)を披露することだろう。

その時が、なるべく遅く来ることを切に願うばかりである。



・追記(2015年7月4日)

 解説記事、追加しました。よろしければこちらもどうぞ。

 池上彰氏の集団的自衛権の説明について


池上彰は、もう自民党に入党しちゃいなよ

2014-07-14 20:10:20 | マスコミ批判
7月14日(月)放送の『ここがポイント!!池上彰解説塾』(テレビ朝日系列)は、
19時からの3時間SP。今回は、日本が直面している超高齢社会問題をベースに、
詐欺事件の増大と巧妙化、認知症による行方不明高齢者の増加、
法改正による新たな相続税問題などを取り上げる。

また、「池上が怒る 日本の税金の無駄使い」と題して、諫早湾干拓事業を解説。
さらに、スタジオには菅義偉官房長官を招き生放送で直撃。
池上が拉致問題などについて鋭く直撃する。

http://news.ameba.jp/20140714-24/

よりによって菅氏ですか。
ウクライナ問題で、ポロシェンコを呼んで説明を聞くようなものですよ。


誇り高き日本人にも通じるように例えれば、
パク・クネ大統領に竹島問題を説明してもらうようなもの


「こいつにだけは聞いちゃいかん」という人をなんでわざわざ呼ぶかな・・・

で、集団的自衛権はまた回避して諫早湾と。
確かに諫早湾の干拓も重要な問題ですが、優先すべきことが他にもあるでしょうに。


池上氏って記者クラブ制度をもっと悪質にしたことをやっている。

日本の新聞社には記者クラブというものがあって、これは以前から
政府の言い分を批判・検討なしに垂れ流すプロパガンダ機関に
なっているという批判があったのですが、池上氏のはそれ以上でしょう。

そんなに自民党が好きなら、いっそ選挙に出て自民党の議員になれば良いのに…

池上彰氏が無視していること

2014-07-14 00:18:43 | 軍拡
集団的自衛権の容認ではなく、北朝鮮のバッシングを優先した池上氏。

では、集団的自衛権とは、そこまで軽んじて良いものなのか?
そこで、北京週報の記事を用い、他国が同問題をどう捉えているのかを検討する。


---------------------------------------------------------
靖国神社を公然と参拝し、「侵略未定義論」をぶちあげ、
従軍慰安婦問題に関する「河野談話」について背景調査したのに続き、
今年7月1日、安倍内閣は焦りを抑えきれず、
解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。

蘇暁暉氏は、
これで日本が公然と武力を使用し、海外派兵するために門が開かれた。
日本が誤った道を歩み続ければ、いつか『正義』の旗印を掲げて
再び戦争の悪魔を解き放つことは避けられなくなる。
地域の安全には、すでに赤信号が灯っている
」と指摘している。

しかし、この「進撃」する首相にとって、これは野心や企みの小さな一歩にすぎない。
歴史問題で逆行するほか、再任を果たした安倍首相は
いわゆる「周辺の脅威」を大々的に誇張し、
平和憲法の改正と軍拡を行い、戦後体制からの脱却を試みている。

歴史を覆い隠し、戦闘態勢を整えながら、自らを「被害者」として演出してみせ、
中国を含む「周辺の脅威」を誇張する。これが今日の安倍首相であり、
日本に侵略の歴史を否定し、平和憲法を形骸化し、「強兵」に戻るための道を疾走させている。

安倍首相の民意を無視した独断専行は、日本国民からも抗議を受けている。
共同通信社の7月1日と2日の世論調査によると、安倍内閣の不支持率は
前月より7ポイント以上上昇し、再任以来初の4割超えとなった。

安倍政権寄りの読売新聞が2日と3日に実施した世論調査でも、
不支持率が前月より9ポイント上昇し4割に達した。

日本メディアは、安倍内閣に「民心離れの兆し」が見えていると指摘した。

蘇氏は、「歴史の直視を避ける日本の行為は、
平和と安定に対する軽視を反映しており、中国を含むアジア諸国を不安にしている

と指摘している。

http://japanese.beijingreview.com.cn/yzds/txt/2014-07/10/content_629000_2.htm
-----------------------------------------------------

このように、集団的自衛権の容認は、アジア諸国に動揺と
日本への不信感を植え付けた重大なニュースであり、
今こそ、その問題点を検討すべきものである。



だが、彼はそれをやらなかった。
このことの意味は大きいと思う。



さらに、この件については重要な点がある。
以下の赤旗の記事を読んでいただきたい。


---------------------------------------------------------
集団的自衛権 首相“二枚舌”外遊


ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアの3カ国を
外遊中の安倍晋三首相は各国で、自らが掲げる「積極的平和主義」と
集団的自衛権行使容認に向けた「閣議決定」について説明を重ね、
安全保障の法的基盤を一新した」などと発信しています。

国内での発言とは大きく異なり、その二枚舌ぶりが目立ちます。


首相は8日、オーストラリア連邦議会での演説で、
「なるべくたくさんのことを諸外国と共同してできるように、
日本は安全保障の法的基盤を一新しようとしている。
法の支配を守る秩序や、地域と世界の平和を進んでつくる一助となる国にしたい」
と語り、集団的自衛権の行使にむけた憲法解釈変更の「閣議決定」を誇示しました。

前日の7日には、ニュージーランドのキー首相と会談し、
集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」の考え方を説明。
8日のアボット豪首相らとの会談でも同様の説明を重ねました。


ところが、国内では
安倍首相の説明は違います。



安倍首相は1日の記者会見では、
「現行の憲法解釈の基本的考えは、今回の『閣議決定』でも何ら変わることはない」
と強調していました。

政府・内閣官房の「一問一答」(5日発表)も
「閣議決定」について「いわゆる解釈改憲ではない」と主張しています。



しかし、安倍政権による「閣議決定」は、
集団的自衛権の行使や海外での武力行使は許されない
という従来の政府の憲法解釈を根底から覆す

まさに“安全保障の法的基盤の一新”であり、
「海外で戦争する国」づくりがその真相です。



国外では“安全保障の法的基盤の一新”とその事実を認めながら、
国内では、うそとごまかしに終始する。


「閣議決定」後初となった外遊から、安倍政権の姑息(こそく)な姿勢が浮かび上がりました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-11/2014071101_04_1.html
--------------------------------------------------

国民をだましながら武力行使の実現に向けた工作が
着々と進行しているわけだ。これをなぜ池上氏が避けるのか?

この点にこそ、同氏の本性が見え隠れするものだ。



池上彰氏はジャーナリストの看板を下ろしたほうが良い

2014-07-14 00:02:23 | マスコミ批判
昨晩の土曜プレミアムは衝撃的だった。
池上彰緊急スペシャル!2014年何を狙う?北朝鮮
恐るべき政治犯収容所の実態・国連が認めた!飢え・拷問・処刑!


・・・だそうだ。何のことはない、これまで何度も繰り返し流布された
北朝鮮バッシングをもう一度、氏お得意の話術で再構成したものだった。


収容所に関しては、北朝鮮当局は証拠が不十分として国連に抗議している。
私自身は収容所自体は存在するが、国連が述べるほどの規模ではないと考えている。


理由は簡単で、収容所というのは、あくまで囚人を生かさなければならないので、
ただでさえ食糧問題が深刻なのに、数十万人の反乱分子を養うだろうか?
と思うからだ。

それこそキム・ジョンウンが独裁者にして冷血漢、悪の帝王であるならば
収容所近辺の僻地で労働させるよりとっとと処刑したほうが効率的ではないか。



ここで気になるのは、アムネスティの以下の記事だ。


---------------------------------------------------
第15号収容所(ヨドク収容所)を撮った最近の画像では、最後にアムネスティが
衛星画像を解析した2011年
以来、39棟の居住棟が取り壊されたことがわかった。

その後建てられた新しい居住棟は6棟だけである。
居住棟の減少は収容所の人口がやや減った可能性を示唆している。
しかしアムネスティには
囚人人口や被拘束者の運命を
検証する手立てがない。


ヨドク収容所の面積は37平方キロメートルに及び、首都平壌から
約120キロと同国中心部に位置する。2011年には推定5万人が
この収容所に収監されていた。人口は渓谷部に集中している。

16号と同様、ヨドク収容所でも警備は厳しく、また相当の経済活動が見られる。
たとえば森林の伐採や、家具工場とみられる場所での原木の加工がはっきりと見
てとれる。

http://aikamakura.sakura.ne.jp/#camp

----------------------------------------------------

赤文字で強調したが、実は強制収容所に関する情報は
衛星写真と脱北者の証言だけで構成されており、
証拠というレベルには達していない。
アムネスティもそれを認めてか、検証する手だてはないと自ら書いている。


じゃあ、収容所はクリーンかと言うと、そんなことはない。
それは、証言者の話からも明白だろう。だが、証言者といっても
千差万別であり、その中から特にきつい体験を取捨選択した可能性は否めない。

いずれにせよ、確かな調査を行わないで断定しているわけである。

また、37平方キロというのは日本の茨城県東海村と同じ面積であり、
そこまで来ると、収容所というより一種の自治区となっており、
当然、そこの運営の資料があるはずなのだが、こういう文書をもって
アムネスティや国連が抗議しているわけでもない。

極めつけに、ウクライナ問題やリビア空爆における
国連の親米姿勢からも明白なように、国連はあくまで欧米主体のもので、
中東やアジア、アフリカなどの第3諸国の側に立った見解を示さない傾向がある。


そして悪の枢軸として北朝鮮がアメリカに敵視されている現状を
踏まえると、この件に関しては怪しい部分が大いにあり、
今後の更なる調査と、北朝鮮とアメリカとの関係改善が求められるだろう。


このように、この件に関しては、不確定要素が多いにも関わらず、
池上彰氏は、100%の事実として大衆に宣伝している。



ちなみに、彼はルーマニアの体操選手、コマネチが
チャウフスク大統領の息子の愛人にされかけて亡命したと説明したが、
この件に関してはコマネチ選手本人がハッキリと嘘だと答えている



番組自体も柴田理恵氏などのタレントしか呼んでおらず、
池上氏の解説を聞いて「すげー!さすが池上さんだ!」と
べた褒めするバラエティ番組であり、討論の形式すらとっていない。


そして、日朝関係が改善されるかもしれないこのタイミングで、
拉致や遺骨問題などとは無関係の相手国の印象を貶めることを
わざわざやってのけるのである。そこに痺れず、あこがれない。


これだけの意気込みをガザ地区を訪問した際にも行ってほしかった。
現在もガザはイスラエルからの空爆に怯えている地区である。

だからこそ、そこの被害の実態と、イスラエルに対する現地の怒りを
お茶の間に届けるべきだったのに、肥満体が多いだの、日本のODAに
感謝して絵が飾られているだのといったどうでもいい内容しか伝えなかった



まぁ、日朝会談と同時期に起きた集団的自衛権の容認について特集を組まず、
北朝鮮のバッシングを敢行したということは、理由はどうあれ、
北朝鮮のバッシングのほうが
集団的自衛権の検討よりも重要だと
訴えていることになる。



同自衛権の口実は、中国や北朝鮮の脅威である。
これでは、遠まわしに自衛権容認を支持しているようなものだ。

もちろん、保守派として意見を表明するならそれも結構だが、
それなら、仮にも中立的立場を取る義務がある民放テレビで
行うべきではない。チャンネル桜などで話せばよい。


いろいろ書いたが、池上氏の報道を聞くたびに思うのが、
権力に抗うための武器ではなく、権力に服従させるための情報を流している
ということだ。


原発にせよ、円安にせよ、彼はいつもそういうスタイルだ。

反対者もいます。でも~といった論調で、
中立を装いながら本質的な問題を避けて解説をする。

彼の言い分に従うならば、我々はニュースを知る必要はない。
すべて日本政府にお任せしていれば、万事解決するのだ。



池上氏は、ジャーナリストではなく、政府の覆面広報部員である。
せめて、今後はニュースタレントという肩書で活動してもらいたい。
ありえないことではあるが。

高校に忍び寄る自衛隊 北の靖国神社

2014-07-09 23:24:36 | 軍拡
すでに東京では一部の高校で自衛隊の入隊体験が催されていますが、
北海道でも同様のことを行うつもりだったようです。

---------------------------------------------------------------
北海道旭川市内の陸上自衛隊駐屯地で計画されていた
「自衛隊の国際貢献」をテーマにした講演や装備品展示見学など
事実上の「体験入隊メニュー」ともとれる高校社会科教師を対象にした研究会が
父母、教師らの反対で中止となったことが8日、関係者への取材で分かりました。

この問題は本紙5日付が「子を戦場へ送る準備か」と報道していました。

中止となった「自衛隊の国際貢献」の意義を高校の社会科教師に説く研究会は、
旭川市と周辺町村の公立・私立高校の社会科教師でつくる上川管内高等学校
社会科(地歴・公民科)教育研究会の主催で、17日に陸上自衛隊旭川駐屯地の
北鎮(ほくちん)記念館などを会場に開く計画でした。


北鎮記念館は、日露戦争から太平洋戦争での
旧日本軍の「軍神」を顕彰する侵略戦争賛美、
自衛隊イラク派兵の記録展示
などを中心とした
軍事博物館です。


自衛隊食堂での「体験喫食」はじめ、「装備品展示見学」などの計画を
6月中旬に知らされた管内の各高校の社会科教師や父母からは、研究会事務局に対し、
「研究会というよりもまるで体験入隊ではないか」
「『平和的で民主的な人格形成』を目的とする
公教育の教師が研修する場所としてふさわしくない」

などの疑問や開催中止を求める声が相次いで寄せられました。


研究会事務局は8日、管内各高校に対し「開催の中止を文書で伝える」としています。

上川管内高等学校社会科(地歴・公民科)教育研究会の
田村二郎会長(北海道凌雲高等学校長)は本紙の取材に同日、
「諸般の事情や関係者の意見も考慮し、自衛隊旭川地方協力本部とも
協議した結果、今回は中止することにした。(研究会は)総会でもあり、
内容も再検討して秋にも開催したい」と語りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-09/2014070901_02_1.html
------------------------------------------------------------------

集団的自衛権が容認されたこのタイミングでいけるかと勘違いしたんでしょう。
会長もさることながら、自衛隊と高校が上のほうで繋がっているというのは
なんともいえない不気味さをかもしだしていますね。


北鎮記念館が自衛隊の敷地内にあることからもわかるように、
自衛隊は日本軍の残滓であり、
その歴史的に所持している暴力性や侵略力を軽んじてはならないでしょう。



廃墟と化すウクライナの都市(動画あり)

2014-07-09 23:12:11 | リビア・ウクライナ・南米・中東




案の定、ポロシェンコは一時的に停戦をしたのみで、
すぐさまウクライナ南東部への空爆を再開させました。


そればかりか、「無駄な」研究への支援をやめて軍事研究に予算を充てること
を言い出しましたし、どこが平和路線なのかさっぱりわからないです。


メディアは飽きたのか、ウクライナの報道をしなくなりましたが、
反テロ作戦の名のもとに現地では相も変わらず町が破壊されています。


http://rt.com/news/170104-ukraine-lugansk-shelling-airstrike/

上に掲載した記事をはじめとして、南東部の諸地域における被害は甚大で、
今後の調査によって、その詳細が明らかになるかと思われます。

仮にウクライナは分裂を阻止したとしても、現在、行っている弾圧は
負の歴史として後世に受け継がれていくことでしょう。

集団的自衛権容認で支持率低下

2014-07-08 22:06:57 | 軍拡
赤旗より

---------------------------------------------------------- 
フジテレビ番組「新報道2001」の調査(7月第1週)では
安倍内閣支持率は48・6%と5割を切りました。

「読売」4日付の世論調査(2、3日実施)でも
内閣支持率は48%と第2次安倍内閣発足以来初めて5割を切り、
「政府・与党はショックを受けている」と報じました。


週明け7日のJNNの世論調査(5、6日実施)でも
内閣支持率は前月より10・9ポイント下がり52・4%と、
第2次安倍内閣発足以来、最低を記録。不支持は逆に10ポイント以上
上がり46・4%となりました。


自民党の若林健太参院議員(長野県)のブログ(4日)。
「上高田北交差点で街頭演説・辻立ちを行う。…すれ違う車に乗る人の反応で、
風当たりを感じる。今週は、集団的自衛権の問題もあって、
厳しくなっているのを感じる」とつぶやいています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-08/2014070801_01_1.html
----------------------------------------------------------

保守勢力のフジや読売ですらこの数値ですから、
思った以上に支持率は下がっているのかもしれません。


とはいえ、ここ数日のメディアの報道を見る限り、
一時的な支持率低下に終わる可能性はなきにしもあらず。


秘密保護法の制定などもそうですが、
強行採決が横行しているのに知らんふりを決め込んでいますからね。
メディアが騒がない限りバッシングはいずれ止むでしょう。


支持率が下がった原因はいろいろあると思いますが、
容認された当日に米軍との軍事演習をしている映像を
NHKが流したことも少しはあるのかなぁと思います。



政府の説明によると、アメリカの船が不審船に襲われている時に
援護することができるためだったのに、軍事演習ですからね。


おまけに、自民党のホームページのQ&Aには、

>「Q:再び戦争をするためですか?」
 「A:違います! 国民の生命と安全を守るためです。」

>「Q:抑止力が、かえって危険なのでは?」
 「A:抑止力は平和な日本を守ります。」

という子供の言い訳みたいな文章が並んでいますし。
不安を感じる人が多いのかもしれません。

国際政治理解のカギ

2014-07-07 22:37:06 | リビア・ウクライナ・南米・中東
冷戦は終結していない。
1991年以降も西側と東側の対立構図はそのままである。


この二点が現在の国際政治を理解する上で重要となってくる。



----------------------------------------------------------
ポール・ロバーツ氏の「ロシアの声(VOR)」取材班への回答文(抜粋)



VOR: 果てしの無い戦争の背後にある根本的理由は一体何でしょう?


ロバーツ:お互いに相互支援的ないくつかの理由があります。
一つは、ネオコン・イデオロギーが、ソ連崩壊と共に全盛となったことです。

このイデオロギーは、歴史は全世界を圧倒するべくアメリカを選んだのだと主張し、
アメリカの政治・経済制度に対する代替案は存在せず、歴史によるこの選択が、
アメリカが全世界に対して覇権を行使する責任を与えたのだというのです。


ですから、これはこれは極めて強力なイデオロギーで、
アメリカにこれまであったどれよりも遥かに強力なイデオロギーです。

しかも、それは他のイデオロギーが消滅した時に登場したのです。
共産主義イデオロギーは消滅しました。マルクス主義革命運動は消滅しました。
そこでアメリカがイデオロギーのレベルで支配するということになったのです。

(中略)

VOR: 政策はイスラエル・ロビーによって規定される部分が多いとおっしゃいます。
しかし、アメリカの中東政策は実際には、イスラエルを危険にさらしています。


ロバーツ:ええ、これは政策が意図していなかった結果です。
専門家達の中には、ネオコンに、ヨーロッパの植民地主義者、
主にイギリスとフランスによってひかれたアフリカの国境同様に、
中東の国境は人為的だと警告しようとした人々もいます。


そこには多数派のシーア派と、少数派のスンナ派がいる国々があり、
その逆に、多数派がスンナ派で、少数派がシーア派だという国々があるわけです。

これは伝統的に敵だった二つの戦っている部族を一つの国に纏めるよう
国境がひかれたアフリカのようなものです。諸国の国境には大して意味がありません。
こういう国境は、無知な西欧人だけがひけたのです。

非宗教的な政府を運営していたサダム・フセインや、
シリアのアサドの様な極めて強力な非宗教的支配者が、
異なる宗派間のイスラム教徒の対立を防いでいたのです。



これらの非宗教的な非イスラム教の政権が紛争を抑圧していたのです。
ですから、こうした政府を打倒すると、紛争を解き放つことになります。

(中略)

イラクとシリア分割の理由の一つは、イスラエルにとって脅威と思えないからです。
イスラエルとネオコン戦略家連中は、ああこれは良い、もし我々がこれらの国々を分裂させ、
内部で戦えばイスラエルの邪魔をする組織化された政府は無くなるだろうと考えたのです。

イラクのかわりに、お互いに戦う党派が存在することになります。
シリアのかわりに、現在のリビア同様に、お互いに戦う党派が生まれます。
そして中央政府をもたない国家は、イスラエルに対して脅威ではないのです。



それゆえ、イスラエルがパレスチナを盗み取るのに反対する
あらゆる類の組織された政府が無くなるので、
こうした国々の政治的実体の破壊をアメリカは好むのです。

イラクにはもはや政府はなく、リビア国内と同様、
ワシントンが、シリアで作ろうとしているような戦いあう派閥だけです。


http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/--pcr-1c96.html
(適宜、意味が変わらない範囲で修正)
-------------------------------------------------------

ソ連が崩壊して以降、知識人の間では「冷戦は終わった」、
「共産主義は失敗だった」という言説が日本国内で流布された。


しかしながら、フタを開けてみればアメリカに代表される
「西側イデオロギー」が中東・東欧・南米・中央アジア等の
「東側イデオロギー」に対して軍事的・経済的圧力(侵攻)をかけ、
それに対抗する人間と追従する人間との間で内戦状態になっている。



こういう状況下で、ウクライナ南東部の自治政府が行ったような独立運動、
シリアや中国のように欧米の支援を受けたテロ組織の運動が展開されている。


よって、我々がニュースを見る際には、それが西と東、どちら側のものかを
見抜くことで、ある程度の偏向報道から自信を守る助けになるだろう。

集団的自衛権と言論の自由

2014-07-02 21:45:48 | 軍拡
今夜のニュース番組は衝撃的でした。

集団的自衛権が閣議決定されて一日も経っていないのに、
アスカの麻薬問題や小保方氏の論文事件ばかりが報じられ、
この件について特集番組が組まれていないのです。


じゃー、そんなに大したことがないのか。赤旗の記事を読んでみましょう。


---------------------------------------------------------
今回の閣議決定は、過去の政府見解に真っ向から反し、
集団的自衛権行使容認ありきの「便宜的、意図的」な憲法解釈の変更そのものです。

「紛議がその後も尾を引く」ことは間違いなく、
「政府の憲法解釈、ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれる」
ことは避けられません。

憲法で権力を縛る立憲主義を乱暴に踏みにじった安倍政権の
あまりにずさんな「憲法解釈」が行き詰まりに直面するのは明らかです。


閣議決定は、日本が武力攻撃を受けていなくても、
海外での武力紛争の発生により「我が国の存立が脅かされ、
国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」
に集団的自衛権の行使ができるとしています。

「脅威が世界のどの地域において発生しても、
我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている」というのが口実です。

政府の一存で「明白な危険」があると認定すれば、
自衛隊は「世界のどの地域」へも出兵し、武力の行使ができるようになります。


閣議決定は、こうした武力行使を「我が国の存立を全う」するための
「やむを得ない自衛の措置」だとしています。

かつて日本軍国主義が「自存自衛」のためとして
アジア太平洋全域への侵略戦争に突き進んでいったことをほうふつとさせます。

軍国主義復活という安倍政権の野望は、
世界でも、アジアでも、日本でも、受け入れられないことは明らかです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-02/2014070201_05_1.html
-------------------------------------------------------------

政府の一存で「明白な危険」があると認定すれば、
自衛隊は「世界のどの地域」へも出兵し、
武力の行使ができるようになります。



この集団的自衛権の致命的な問題は、何が脅威なのか、
どれが「やむを得ない措置」になるのかが政府の気分しだいで決まることです。


例えば、今も治安が不安定なトルコで激しい衝突が発生したとして、
軍隊を出動させ、現地の人間を問答無用で撃ち殺したとしても、
その結果、武装勢力以外の一般市民をも傷つけ、最悪の場合殺したとしても、
「現地の日本人の命を守るための」「やむを得ない処置だった」と
開き直ることが原則的に可能になったわけです。


アメリカやイギリスがやってることと同じことが可能になった。

これは、自衛隊が潜在的に所持している戦争能力が
いつ解放されてもおかしくない状態になったということ。


銃に銃弾が込められ、安全装置が外された状態なのです。


さすがに赤旗では平和を掲げるだけあって、インターネット版でも、
半分近くが集団的自衛権に関する記事で埋められています。


これに反して、民放やNHKでは、反撃らしい反撃がない。
朝日新聞でさえ、一応は反対の記事を書いたというのに。


こういうのを見ると、よく独裁国家を非難する時に言われる
「言論の自由がない」というものが如何に的外れな意見かがよくわかる。


言論の自由がないというのは、裏返せば
言論によって政治が左右される余地があるということです。

ある意味、「独裁」国家のほうが民意は政治に反映される。


翻って、言論の自由があることは、意地悪く言うと
民意が政治に反映されないシステムが完成されているということです。


無理やり抑え込む必要がない。
抵抗権があっても、その権力が行使される機会が事実上ない。


言論の自由があるのに、首相と少数の側近(大臣)だけで
重要な戦後日本の根幹とも言える部分が勝手に変更されたことは、その証左でしょう。


真の独裁とは、民主主義から生まれる。
我々は中東やユーラシアの異なる政治システムを悪しざまに非難し、
相対的に自己の政治システム(民主制)を美化するよりも前に、
自分たちが爆弾を抱えていることに気付くべきです。


今後も反対のデモや記事は書かれるべきですし、書く義務があるはずですが、
同時に、こういう日本の言論システムの致命的な穴も指摘しなければならないでしょう。

集団的自衛権、閣議決定で容認される

2014-07-01 23:51:54 | 軍拡
ワールドカップやセクハラやじで騒いでいる間に、ゴリ押しで決まりましたね。


集団的自衛権の問題点は、前回の記事で紹介した白宋元氏が
ほぼ全てを指摘しているので、そちらをご覧になって下さい。



これで日本もアメリカやイギリスと同じ戦争できる国家になりましたね。

こんなにも易々と決定されるのは、メディアの目くらまし戦法
(サッカーや都議会のどたばたのほうを重点的に報道して相対的に情報を隠匿する)
もさることながら、結局、戦争ができるようになっても
ほとんどの日本人は困らないから
なんでしょう。


イラク戦争やアフガン戦争にしても、現地の人間は市民も含めて
蹂躙と虐殺を被ったわけですが(現在進行中)、アメリカの人間は
イラクやアフガンに向かった一部の人を除いて誰も死んでませんからね。


アメリカの映画やドラマを見ればよくわかると思いますが、
アメリカでは軍隊が好意的に描かれているのが結構あって、
例えば「アバター」とかリメイクした「タイタンの戦い」などは
海兵隊のイメージをそのままファンタジーやSFで再現しており、
勇ましさや強さのシンボルとして表現されています。



ベトナム戦争の負の側面を描いたことで有名な
オリバー・ストーンの「プラトーン」でさえ、ギリギリのレベルで描かれており、
究極的な反省(ベトナム人に対して惨いことを行った)がされていない。


一部の日本人と大多数の外国人が殺されたり重軽傷を負ったり、
戦災に苦しむだけですから、知ったこっちゃねぇと思う日本人が
相当いるのではないかという不安を、この「のほほん」とした雰囲気の中、
あっさり決まってしまったことをきっかけに漠然と抱いている次第です。



今の沖縄の基地問題と同じ構造であるような気がします。
日本の防衛を口実にして居座る米軍に対して知らんふりをしたり、
仕方ないで片付けようとするあの大勢の傾向と似ている。

実は自分たちの首を絞めていることに気がつかないあの動きに似ている。
イラク戦争には、3兆ドルが費やされたという話ですが、
日本も同じく、あれこれ理屈がつけられて莫大な税金が
軍事組織に投下されるのではないでしょうか?