六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

天下の嶮で“山カン”磨き。

2014-06-09 17:08:17 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
~白銀山(しろがねやま・993.1m)~

  

 登山道は不明瞭、人気も展望もなし。しかし“山カン”の修練には
もってこい。それが白銀山(しろがねやま)。日本屈指のリゾート
地である箱根にありながら、静かにたたずむ地味めの山だ。

 山カンといっても、学生時代の試験勉強などでお世話になる当て
ずっぽうのことではない。語呂がいいので、ひとり勝手に命名して
いるが、いわゆるルートファインディングなど、アウトドアで今自
身が進むべき正しい方向が判断できる能力のことである。

 資料を見ると藪山となっている白銀山だが、道自体はある。しか
しはっきりとはしていない。手入れも少なく荒れ気味だ。また道の
ある尾根部分は広く、どこもかしこも道に見えなくもない。道標は、
ほんの少々で、しかもすこぶる小ぶり。さらに頂上に近づくにつれ、
背丈以上の笹が密集と、まるでそう簡単にはピークは踏ませんぞと、
いたるところに仕掛けられたさまざまなトラップが、登山者の行く
手を阻んでいるかのようだ。

 行動中は、こまめに読図は不可欠である。方角を合わせた地図と
は頻繁ににらめっこだ。そして、じっくりと周囲を見渡す。ここで
山カンの発揮である。すると何となく1本のルートが見えてくる。
進んでみると、正しければ歩きやすく、また時折赤テープや道標に
も出くわす。よしよし、この道でよし。間違えれば、何となく変な
感じというのか、第一歩きづらい。そうなれば、元に戻って地図と
周囲を交互にウォッチング。行動中は、この繰り返しである。

 道は不明瞭、出会う人も、また展望とも無縁。しかし登ったあと
は、オリエンテーリングや宝探しを無事に終えたような爽快な気分
になる。人間の持つ動物的な感覚のトレーニングをしながら頂を目
指す。過程を楽しむ、それが白銀山登山の醍醐味かもしれない。


●コースタイム(カッコ内の左・到着、右・出発時間)  
「箱根湯本」駅
(4:15)
 ↓↓↓↓
奥湯本入口→→→→→→須雲川橋→→→→→発電所前バス停→→→
(4:53/4:55)     (5:16/5:18)    (5:23/5:33) 

今回の主目的は「箱根越えで芦ノ湖へ」。白銀山は途中のオプションと
していたため、駅からは旧東海道を歩く。また箱根湯本駅を4時15分に
出発しているが、これは前日に箱根湯本駅でステーションビバークをし
たため。朝活全盛の昨今だが、私どうも早起きは苦手。朝寝坊回避のた
め、苦肉の策で前夜発とした。

江戸時代の旅人気分でトボトボ歩く。そして女転し坂(おんなころしさ
か)と、何とも物騒な響きを持つ場所を過ぎると、いよいよ登山口であ
る「発電所前バス停」に着。

  

720m付近→→→→→→→→→→→→→白銀山(993.1m)→→→→
(6:23/6:38)           (7:47/8:00)      

畑宿発電所の前に架かる吊り橋を渡り、左手にある「緑を大切に」とい
う看板が登山口の目印。さあここからは山道。以降はこんな調子である。



(1)
鉄製の簡易な階段を登り、鉄塔をくぐるとすぐ左手に「←バス停」の小さ
な道標あり。なお道標は、山頂までこの1枚を含めて全部で5つある。



(2)
さらに進むと道は2分。進むのは右、柵のある方へ。その後しばらく直進す
ると、左手に踏み跡と赤テープあり。枝を分け、踏み跡&赤テープの方向へ。
すぐに箱根新道の高架が視界に入ってくる。



(3)
ひと登りで箱根新道の高架下に。ここで道が不明瞭に。探すと道は左手、
高架の壁側にあり。ルートを示す赤テープもあり。

(4)
天狗沢にぶつかる。このあたりも不明瞭。だがウロウロしていると赤テー
プを発見。赤テープにしたがい渡渉。草がかなりうるさく、歩きにくい。
(5)
沢を渡ると、前方に2つ目の道標「バス停→」がある。そしてこの道標から、
左へ15歩、右を見ると3つ目の道標「→白銀山」がある。

 

ここからは急登で、足場ももろく結構しんどい。また道も、さてどうすると
思案する箇所も少々ある。しかし落ち着いて、遠くや歩きやすいのはどこか
なと周囲を見れば、何となくこっちに進めばというのはわかる。また赤テー
プや黄色&石の「杭」もあるので、こちらもルート発見に役立つ。
(6)
700mを過ぎ、尾根が広くなると4つ目の道標、今度は手書きの「←天狗沢」
に出くわす。周囲は一升瓶が散乱してる。足元と周囲を確認しながら進むと、
続いて5つ目「天狗沢→」の道標あり。こちらも手書き。なおこれがラストの
道標となる。あとはひたすら前へ、上へ、ピークを目指す。ピークに近づくに
つれ、背丈以上の笹薮がうるさくなり、ルートを外すと歩行は困難。したがっ
て笹をかきわけ踏み跡探し。中腰気味とやや窮屈なスタイルでの前進を余儀な
くされる。

  

笹のトンネルを抜けると、そこは白銀山のピークだった。畑宿発電所から登り
始めて、休憩や道探しのロスタイムを含めて、2時間少々の行動で到着。人気
の観光地である箱根エリアにありながらも、ひっそりとあるピークである。
展望、そんなしゃれたものは、もちろんございません。



天狗沢出合い→→→→→→発電所前バス停
(8:50/9:10)       (9:30)      

下山は来た道を戻る。行きが急な登りなら、当然帰りは急降下。草や木の枝を
かきわけ、周囲をキョロキョロ、そして足はバタバタとせわしなく下る。

ただし登りでは気にならなかったが、下る際は方角を要確認。さもないと東へ
と下る踏み跡に迷い込む恐れ大。進路は北。北へ向かうべし。


               《2014(平成26)年6月3日・火曜日に歩く》


お身体チェックに。注目されるアウトドア活動向け健康診断。

2014-06-09 13:06:34 | Graffiti~チョイとひと言
 最近は、さまざまなタイプの健康診断や人間ドックがある。そし
てこちらもそのひとつ。実施場所は北海道と東京のみ。対象者は、
いま人気の登山ほかアウトドア活動を趣味とする人たちだ。

 北海道では苫小牧と札幌の2都市で受診が可能だ。苫小牧東病院
(苫小牧市明野新町)には、日本では珍しい「登山・ウォーキング
外来」がある。同病院では、身長、体重測定に始まり運動負荷や呼
気ガス分析といった一連のチェックで、持久力やバランス感覚など
自らの体力と、潜在する心臓や肺の疾患などを知ることができる。

 費用は1万8,540円(軽食付・税込)で、毎月第4木曜日実施(要
予約)。札幌では心臓血管センター北海道大野病院(札幌市西区)
と、北海道大野病院附属駅前クリニック(札幌市北区)の2カ所。
こちらでは、日本登山医学会提携登山者検診ネットワーク対応検診
となり、基本コース(8,610円・税込)と充実コース(2万6,250円・
税込)が用意されている。また心臓CT(コンピューター断層撮影)
や夜間睡眠検査(自宅簡易検査、または入院検査)など、費用は別
途ながらオプション項目も多彩だ。検診日は両施設とも原則第2週
(要予約)。

 東京は東京医科大学病院の渡航者医療センター(東京都新宿区)
の「登山者・高山病外来」となる。同病院の検査も、身長や体重測
定から、登山中に悪化が懸念される慢性的な肺や足の血管チェック
まで、日本登山医学会の登山者検診ネットワークに準じた項目だ。

 それ以外にも、2500メートル以上の高度から発症率が急増する
高山病などの相談もある。検査日は月曜日から土曜日の午前中(要
予約)、ただし検診結果や相談は火曜日と木曜日のみ。したがって
火曜日と木曜日以外に検査をした場合は、2回の通院となる。費用
は1万7,000円(受診基本料別途、税別)だ。

 今年も各地で山開きが行われ、本格的な夏山シーズンを迎える。
読売新聞(2014年5月15日夕刊)の報道によれば、現在長野県で
は、遭難防止の一環として県内主要登山道の難易度がわかる「信州
の山グレーディング表(仮称)」作成中で、7月からはウェブサイ
トなどで登山者に入山前の事前チェックを呼びかけるそうだ。なら
ば登山者自らも、リスク回避のために入念な計画立案や山岳保険の
加入に加えて、専門的な健康診断。医療保険適用外の自費治療扱い
で、国内には4カ所と極めて少ないが、受診してアウトドア環境下
における自分の身体の状態について正確に把握することも必要なの
かもしれない。

 登山をする者は、あらためて肝に命じておきたい。登山は、活動
のフィールドが大自然となるため、常に危険がともなうスポーツで
あることを。そして、もちろんアクシデントには不可抗力もあるが、
登山の基本は自己責任であることを。

(阪神 裕平)