六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

頭を雲の上に出す姿は見たつもり

2024-09-09 11:17:42 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
今日のランチは、最高峰の大学で
なんで、私が東大に
 
【北澤八幡神社~東大・駒場キャンパス「食堂コマニ」~
  代田富士356広場~豪徳寺~月見湯温泉(東京都)】

出だしは、某予備校の宣伝広告に使われている
ヘッドラインをそっくり無断借用だが、
現状は、まさに文字通りだからご勘弁をだ。

ただ今、東大・駒場キャンパス内の食堂で、
大ぶりなおにぎりにかぶりつき、
合間に豚汁をすすりながら、
腹ごしらえをしている。
     
今日は平地、都内で山登り気分でもと
計画したのは銭湯登山。

そもそものきっかけは登山客でごった返す
富士山のニュースを見て、えらいこってすなと
驚いたことだった。

このところの足の不調もあり、登山は厳しい身。
だったらここはおとなしく都内で、
気になる富士山を感じることができないものかと
都内の地図と睨めっこに、
インターネットを検索していたら
面白い情報を発見した。

情報によると、東京は世田谷区、
小田急線や京王・井の頭線が走る高台のエリアは
昔から富士山や丹沢の眺望が素敵と評判の
地だったとか。しかし、これは冬の話。

だったら本番は寒い季節のお楽しみとして、
その予行演習、猛暑の夏は、
眺めた、愛でたつもりで歩いてみますかである。

コースは、境内に「ここに立つと富士山見えます」の
看板のある北澤八幡神社をスタート。
その後は「代田富士356(みごろ)広場」を経て、
ここまで来たらスルーはないなと「豪徳寺」に立ち寄り、
フィニッシュは「富士には月見草~」なる
太宰治の言葉もあるので
「月見湯温泉」という名の銭湯へ。
  

          
やや、北澤八幡神社から遠くもない
東大・駒場キャンパスには
美味しそうで一般も利用可能な食堂もあるようだ。

日本で山の最高峰が富士山なら、
大学の場合はやはりであり、
だったら“一番のてっぺん”つながりで
ランチは少々まわり道でとなり、
ひとり黙々、ガツガツと空腹を満たしている。

富士山といえば、以前は何度なくお邪魔した。

初めて登った時は、そのルックスに騙された感がある。
眺めれば美しいお姿だけに、登山道もそれなりかと
思っていたが、よく考えれば富士山は火山。
実際は草木はなしで溶岩石の間をクネクネと進む道で、
まるで月の砂漠的状態。
行動途中で何度も振り返り、
下界の絶景に勇気づけられつつも
イメージとの違いに戸惑ったものだ。

以降も、オーソドックスな五合目から、
いやいや山登りは麓からと一合目からも歩いて、
ピークにたどり着いた。

また富士山が見える最西端へと
和歌山県まで足を運び、ついでに熊野古道を
ブラブラしたこともありましたっけ。

食べながら、そして食後も、
しばらく富士山との関係を
あれやこれやと回想していたら、                                        
おっと、もうこんな時間。
ついつい長居をしてしまいました。

ご飯も食べて、足は痛むが元気はもりもり。
それではゴールの銭湯まで
とっとこ進んでまいりましょうか。

歩き出して、ふと思った。
進むこの道、あらためて冬場に、
富士山ウォッチングに訪れるのは
いつにしようか。富士山だから
語呂合わせの記念日でもある
「2月23日」にするかな。

歩くと脳の働きが活発になるようで
頭のなかは、
色々な考えで賑やかになってきた。
しかし、思考タイムはここまで。

何ごともそうだが「ながら」行動は、
事故の原因。それに体温級の気温のもとで、
普段はお休み状態も多い脳を使い過ぎると
オーバーヒートで故障しかねない。
続きは、銭湯の湯船にでも
つかりながら。
それでは先を急ぎましょう。

ランチ後に、再びスタート地点に戻り
予定のポイントに到着しては
大休止を繰り返した末の約4時間後、
ゴールとなる銭湯には
営業開始とともに入り、ひとっ風呂となる。
浴室には富士山のビジュアルがあった。

ちょっと待てよ、
令和の2月23日は、
「天皇誕生日」で祝日か。

あれ今上天皇は登山も趣味だったはず。
だったら「山の日」も、8月より
2月23日にしてもいいのかな。

湯船につかり、今度は長湯で、
のぼせぬように注意をしながら、
本日初めてお目にかかる
富士山の姿を背に、
再びたわいもないことが浮んでは消える
シンキングタイムとなる。
        
〜2024(令和6)年8月8日(木)
  身体がとけそうな昼下がり、大汗かいてフラフラ歩く〜

♨️銭湯メモ「月見湯温泉」♨️
その名通り天然温泉もある銭湯。浴室には関東の銭湯では定番の風景画である
富士山、こちらではペンキ絵ではなくタイル画であり。
♠最寄駅は京王線「下高井戸」。駅から徒歩5、6分。
♠営業時間:15時30分〜23時(毎週月、火・休み)

都区内の渓谷発、北へ

2023-07-18 17:16:37 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(七)
“カンパチ”を“サカナ”に 
  
【等々力渓谷~玉川野毛山公園~八幡山~
   塚山公園~高井戸中学(アンネのバラ)、
      そして天狗湯へ/東京都】

では第一問
「絶品、味自慢の店が軒を連ねるグルメな東京の道は?」
続いて第二問
「同じく東京の道で、土地勘のないドライバーが多く出没するのは?」

唐突に、ずいぶんと昔に出題され、
答えに窮したなぞなぞを思い出した。

ただ今、東京は「東京都道311号環状八号線」
通称「環八・カンパチ」を北上中にひと休みと
沿道の公園にてぼんやりとしている。

何でまた、そんな場所にいるのか。
理由は「銭湯登山」。

ここ数日、頭働かずで仕事の進捗状況が
はかばかしくない。だったら下手な考えは何とやら。
脳のかわりに身体でも動かしますかと、
歩いている途中である。

コースは、急な思いつきだったので近場、
東京都区内で唯一の渓谷である
「等々力渓谷」から、看板ネコがいるという
西荻窪の銭湯「天狗湯」まで。
朝から日がな一日、ほぼカンパチを北へ、
テクテク・ウォークだ。

時間はお昼、少し前。
懐かしのなぞなぞが浮かんだのは
腹が減ったこともあるが、
やはり食べ物を連想させる場所柄か。
カンパチといえば、サカナのカンパチは、
確か出世魚ではなかったけかな。

すると、さっきの東京の道なぞなぞ二題に続く
第三問に「東京で偉くなる人が通う道は?」
答えは「カンパチ」。これはどうかな。

妙で変なことを考えているなと
自身で呆れながらも
さらに深掘り。

ちょっと待て。本当にカンパチは出世魚だっけか。

記憶が曖昧なので愛用のタブレットで調べてみると、
イエス、ノー、両方の説があった。

どっちもあるなら、イエスにしておきますかである。

以上で、カンパチなる名称がきっかけとなった
なぞなぞ没頭タイムはひとまず。
続いては、ここまで歩いてきた感想も少々。

等々力渓谷は、こじんまりながらも
緑は豊か。うっそうよりも、
こんもりといった言葉の似合う
雰囲気のなかで心もなごむ。
             
その後、等々力渓谷のお隣に位置する
「玉川野毛山公園」内にある
前方後円墳にも立ち寄り、
銭湯登山というからにはと
頂上まで往復、ひと登り降りだ。
ちなみに所要時間は往復1分弱なり。
   
またカンパチを車ではなく徒歩で進むと、
意外と「砧」「芦花」に
「桜丘すみれば自然庭園」など、
大小の公園や緑を愛でるスポット多し。

お陰で、ちょっと拝見と寄り道も少なからずで、
危惧していた単調さとは無縁だった。

時計をみやると、おっとこんな時間かである。
ではひと休み、いやかなり休みも
これくらいにして、
そろそろ腰を上げて先へ進みますか。

昼食の予定は、京王線の「八幡山」駅前にある
荻野屋でお弁当購入、求める一品は、
もちろん人気駅弁メニューの「峠の釜めし」だ。
     
購入したら、ちょいとカンパチを離れて
縄文遺跡もある「塚山公園」でランチタイム。

その後は、あのアンネ・フランクにちなむバラを
育てている「高井戸中学」にて、
花でも愛でながら平和について考えみる。
   
   
          
考え疲れたら、また身体を動かして。
再びカンパチへと戻り、一路「天狗湯」へ。

では行動再開。まずは「いざ、峠の釜めし」である。

ここで蛇足で、つけたし。
いらんお世話かもしないが、
念のためなぞなぞの答えも
記しておきましょうか。

第一問の答え。
各店で美味を味わった食後の感想は「おぉ旨え」。
で「青梅街道」。

第二問の答え。
ドライバー、車を走らせながら不安げにひと言。
「この道で、いいのかしら」。
で「井の頭通り」。
 
〜歩いたのは4月。そんなポカポカ季節の話を、
外の気温は平熱以上、ウルトラ暑い、汗ダラダラの1日に記す〜

♨️銭湯メモ「天狗湯」♨️
東京都杉並区西荻南/15時45分~22時45分/火&金・定休
      

ある寒い寒い、さむ〜ぃ1日に

2023-07-06 17:33:27 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(六)
場所柄、よもやヨーデルかと
耳をすませば 
     
【野上~長瀞アルプス~宝登山~長瀞。
      そして熊谷駅前の桜湯へ/埼玉県】

最近の天気予報に登場する文言は、強烈な響きを持つものも増えたが、
明日の予報も、聞くだけで身震いが止まらずとインパクト大。

何と史上最強の寒波の影響で、兎にも角にも
ヒエヒエ、ガタガタ、ブルブルの1日になるという。

こたつで丸くなるのが得策かと思えたが、
ここは天邪鬼の身。

だったらとことん身体を冷やした後に、
あったかいお風呂でもと考えて、いそいそとパッキングである。

当日は、寒さで目が覚める。その後電車を乗り継ぎ
着いたところは秩父鉄道の「野上」駅。

予定は、この駅からご当地アルプスのひとつ
「長瀞アルプス」と宝登山を歩き、締めくくりは
熊谷駅の駅前にある銭湯「桜湯」へ。
じっとしていると寒いので、さあ出発だ。

何ゆえアルプスと名乗るのか、理由はと歩きながら
探してみたが、これだといったものはなかったような。
逆に和風、気持ちの良い里山歩きである。
   

       

         
ただ途中から何か声がする。

よもや誰かのSOSか。立ち止まってみる。
どうも違うようだ。動物、熊の雄叫びか。
この寒空にまさかである。では何だろう。
ひょっとしてアルプスらしくヨーデルか。
いやいや、さすがにそれもないだろう。

声は、宝登山に近づくにつれ大きくなり、
はっきりとしてきた。どうやら人の声。
それも子どもの歓声のようだ。

地図を見ると宝登山ピークを少し下った場所には
動物園があり、どうやら声の主は
動物とたわむれる子どものたちのようだ。

そういえは人が集団で
発する声を聞くのも何だか久しぶりだ。

疫病蔓延の影響で、
長らく続く無言社会だったせいか、
妙に懐かしい。
また疫病ショックも、
そろそろおしまいと
宣言しているかのようでもあった。

さすがは子どもは風の子、
寒さなんかノープロブレムか。

大昔子どもだった我が身も、
その声を聞いて何だが元気が
出てきましたぞである。

さて肝心の登山は、寒さもあってか
アルプスイメージにひたることなく、
あっという間に駆け抜けてしまった。

よって銭湯の開業時間は、まだかなり間がある。

そこで麓の神社で大・大休止に、
長瀞といえば、やっぱり川かと
プチ観光で長瀞駅の周辺をほっつき歩く。

頃合いをみて、
本日のゴールとする熊谷駅の駅前銭湯へと
向かうことにする。

「桜湯」は、正真正銘駅の前で、
すぐに見つかった。

佇まいはこじんまりとはしているが、
雰囲気は学生時代に利用してした
番台ありの銭湯で、
まさにリトル昭和ワールドである。

さっそくかけ湯後、湯船へとしたいところだが、
元来の猫舌ならぬ“猫肌”で、熱いお湯は
カラキシだめ。

その上、今日の寒さもあるので、
身体は冷え切っている。
そのため、しばらくは辛抱と、
洗い場にて待てである。

身体に頭を2度洗い、
そろそろ身体も入浴OKモードに
なってまいりました。

それでは定番の親父ギャグ、
「熊谷なのにニューヨーク」。
さあて肩までつかりますか。

♨️銭湯メモ「桜湯」♨️
埼玉県熊谷市筑波/15時30分~22時30分/月・定休
  

〜超暑の7月のある日、
  遅ればせながらつづった2023年・極寒1月の行動の思い出。
   書けば多少は涼やかな気分になるかと思ったが、
    全く変わらず。そりゃそうだとペンを置く〜


続“干支”セトラ

2021-11-11 11:46:01 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(五)
「牛にひかれて」2話
【長野県、群馬県】


●2話目「牛に魅かれて」ウロウロと
倉賀野~高崎(群馬県)

疫病騒ぎは100年に1度は発生するそうだが、
そんな話は、つい最近まで知らぬ存ぜぬの身。

そんなこんなで、
えらいこっちゃと、あたふた過ごす
2年目の夏も暑い。気温に湿度は
あいも変わらず毎度のごとくである。

仕事は、少しづつ以前の状態に
戻りつつあるものの、
自営というのが玉にキズ。

収入の関しては、耐え難きを耐え
忍び難きを忍びの状態が続く。

それでも仕事の合間には、
極力人との接触は避けつつ、
ちょっとだけアウトドアへ。

前回は、変な疑問に
自分なりの答えを出すために
長野へと出かけた。

そして長野から帰ると
またしても、あるフレーズというか
今度は地名が気になり出した。

それが「高崎」。

どうも長野を歩いた際にメインとなった
国道18号の起点が高崎だったため、
行動中に「高崎から○キロ」なる表示と
定期的に接していたことに起因しているようだ。

そこで、とりあえず地図を見てみる。
すると「牛街道」という場所を
発見してしまった。

何でも牛街道とは、江戸時代における
物流の一大拠点だった川の港「倉賀野河岸」から
物資を運ぶルート。牛を使っていたために、
そんな名称が付いたという。

現在は、単なるマチナカの道だそうだが、
牛という文字が、おいでおいでと
手招きしているようだ。

「引かれて」に続くは「魅かれて」か。
いいじゃないですか、これも何かのお導き。
事前にインターネットで入手した
観光案内地図には、周囲には古墳も点在していた。
おまけに高崎にも、趣ある銭湯もあるようだ。
それではお邪魔しますか。

行程は、牛街道を含め倉賀野散策経由、
めざすは高崎の銭湯としてみた。

JR「倉賀野」駅を出て、
まずは倉賀野河岸跡へ。令和の今は、
何もない河原だが、
ここは瞼でも閉じて空想力、
往時の賑わいに思いを馳せる。
ただし長時間は禁物。

               


       

変な人が目をつぶって立っていると、
不審者に間違われかねないので
早目に切り上げる。

お次は倉賀野河岸を背に、
牛街道へ。現在はいわゆる路地であり
すぐに表通りの中山道にぶつかり
おしまいとなるが、ここでも空想力。
すると牛の姿や声が‥。
見え、聞こえたことにしておこう。

中山道に出たら、行きつ戻りつ
江戸の風情を感じさせる場所を巡り、
今度はいきなり時代を逆行で、古墳も見学。

     

   


中山道には日除けにもなる
並木が欲しいところとぼやきを交え、
江戸に古墳と、随分と隔たりのある
時間旅行を続けるうちに
着いたところは、JR「高崎」駅。

残すは銭湯で、ああ極楽体験のみ。
高崎名物の焼きまんじゅうを食いつつ
銭湯の場所を確認して、それでは出発だ。

それにしても、今日は同じデザインの自転車を
やたらと出会う。

よく見ると高崎には「高チャリ」と呼ばれる
無料の自転車貸し出しサービスがあるようで、
さっきから見かける自転車が、それらしい。

ならば私めも銭湯へはまたがってと、
心が動いたがイヤイヤせっかくの歩き旅、
ここは我慢で、キープ歩行モードでまいりますか。

ただ何度なく自転車を見ていたら
もしかしたら自分の前世は
ママチャリだったのかもしれない。
ふとそんな気がした。

理由は自転車は、常に走っていなければならず
立ち止まったらすってんころりん。
このあたりは、いつもバタつき動き回る
普段の暮らしぶりとよく似ている。
また仕事ぶりも、毎度毎度の土俵際で崖っぷち、
いってみれば自転車操業状態だ。

おっと柄にもなく悲観的、
これも夏の暑さのせいかもしれない。

さあさあ自虐チックで、後ろ向きの発想はそのへんで。
それに前世がママチャリならバックはできぬはず。
だったら前へ進め、汗を流しにと銭湯へ急げである。


♨️銭湯メモ♨️
銭湯は城址の先にあり、名称は「浅草湯」。
外観も内装も純和風で、これぞ銭湯という
佇まいのお風呂である。

ちなみに、こちらの銭湯も長野で浸かった
「亀の湯」と同じく、100年以上も前から
営業中だそうだ。

〜2021(令和3)年11月、遅過ぎの感は否めないが、とりあえずアップ。
  今回もタイトルの「振り出しは山登り」はノー登山で偽りあり。
    そして牛街道の隣には馬街道もあり。では今度の訪問は5年後か。
      まあ随分と気の長い話だことである〜

“干支”セトラ

2021-11-09 02:06:48 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(四)
「牛にひかれて」2話
【長野県、群馬県】

●1話目「牛に引かれて善光寺」を、少しトレースしてみる
滋野~姨捨~善光寺(長野県)

            

とりあえず仕事は、先方に提出した。
後は、直しを待つだけ。

そんな夏の昼下がり
突然、あるフレーズが頭の中を駆け巡った。

同時に、フレーズの内容について
常々はてさてと引っ掛かると感じていたことも
付かず離れず、フレーズの後ろを追いかける。

フレーズは「牛に引かれて善光寺参り」。
今年の干支にもちなむ、有名な一文だ。

そして、はてさて引っ掛かるのは移動の距離で、
自分自身に置き換えたらという点である。

この一文、細かい展開や意味はさておき
発祥というか、登場人物であるお婆さんが
牛を追いかけ始めたスタートは小諸市。

小諸は、大学時代に所属していた
クラブが所有する山小屋を訪ねた際の帰り道に、
よく隣駅「滋野」を利用するため
何度となく通過している場所である。

そんな小諸から牛に引かれしお婆さん、
着いた先、ゴールは長野市の善光寺である。

小諸と長野・善光寺間の距離は
フルマラソン以上の長丁場。
これはフィクションの世界の話であり、
まあよろしいのではとなる部類のことではある。
が、お婆さんの健脚ぶりには、天晴れのひと言だ。

そして天晴れついでに、頭をもたげて来たのは
では、お婆さんならぬお爺さん、
つまり自分の老体ならどんなもんなのか。

もしも1日かけて歩いた場合、
善光寺までは多分無理だが、
ではどのあたりで、ギブアップとなるのか。

以上のような、他人から見れば
実にたわいもない、だが自分自身にとっては
大問題といったことが
2021年の夏、頭の中ではんすう状態となる。

こうなると、何も手につかず。
解決策はひとつだけ、やってみること。
ということで、ルートをチェック。

よくよく調べてみると、途中には日本三大車窓の
絶景に数えられる「姨捨(おばすて)」や、
善光寺の近所には渋めの銭湯もあるようだ。

ではパッキングである。

今回の行動、想定は大学時代のクラブの山小屋へ出かけた
帰り道に「牛に引かれて」としてみた。

したがってスタート地点も、毎度東京へ帰る時に使う
「滋野」駅。時間も、利用することの多い夕方としてみた。

また日程は夕方発なので、途中で野宿1泊、
1泊2日で、ゴー長野&善光寺である。

バスにて東京を昼に立つ。
滋野駅には16時半過ぎに着。
軽く体操をして、沈む夕陽を追いかける形で
西へ、西へと歩き出す。

途中で、宿場に古墳など寄り道も結構あって、
「信濃国分寺」駅に着が19時を少々回った頃。
駅前で、寝るには格好のベンチも発見。


では今日はここまで、今夜は夏の夜空でも
見ながらグッドナイトである。

翌日も天気は晴天。
朝は山での行動の基本でもある
早立ちと6時には出たものの、
これまで同じく、寺にコンビニ、それ以外と
道草に回り道もかなりあり。


それでも9時半過ぎには
温泉街「戸倉」の駅までやって来た。

少しのつもりだったが、
たっぷり休んで、ここからはひと登り。
大汗かいて、もうバテバテと弱音を吐きつつ
やっとの思いで姨捨の駅へたどり着く。
到着時間は12時少々。

さっそく駅のホームへ。
なるほど景色は素晴らしい。
でも夜景も必見のようだ。

      

ここで耳にしたのが、
悪魔のささやきというか、
自らの弱気の虫の声。こんな内容だった。

せっかくだから、どう夜景も拝んだら。
長野の善光寺へは姨捨駅から
電車に乗っても行けるんだし。

ここで根性ありなら、
そんな声何ぞは無視、耳も貸さずにだが
根っからの軟弱の身。たちまち身も心も
お散歩、お昼寝モードとなる。


お陰で、横長で独特の夜景の美しさを
じっくりと堪能。そして電車に乗って
ゴールの長野へ。

予定では夜の新幹線で帰京だったが
肝心の善光寺参りはまだ、それに銭湯にも
お邪魔していない。

とりあえず仕事も一段落状態だ。
よし、今日は長野にお泊まり、
東京へは明日帰るといたしましょうか。

小諸発でもなく、あっさりリタイアと
自慢できる結果ではなかったが
漠然ながらも牛に引かれての雰囲気は
掴めたような気がする。

とりあえず、すっきりである。
ではお宿でも探しますかな。無ければ
得意のステーションビバークでもいいかな。


(追記)
夜は結局青天井、駅前の広場で
寝てしまった。

目覚めた翌日は、少々遅めの朝食と
長野名物「牛乳パン」をほおばり、
食後は長野駅から歩いて善光寺へ。

参拝後は、あの小原庄助さんは朝だが、
私めは昼。これなら身上(しんしょう)を
潰すこともなかろうと、銭湯へも。

銭湯の名称は「亀の湯」。
創業は大正中期というから、
もう100年オーバー営業中のお風呂である。

          

時代を感じつつ、ではニューヨーク、いや入浴だ。
しばらく令和のバタバタを忘れて
ハダカ天国、風もないのに
ぶぅらぶらタイムを過ごす。

これで身体もさっぱり。
では今度こそ、そろそろ先方からの
直しなど、仕事も待つ東京へ戻りますか。


〜2021(令和3)年11月、今頃夏の話をアップ。
  おまけにタイトルには「振り出しは山登り」とあるが、
    行動中に頂は踏まず。このあたりは、まあ良しとしますか〜