六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

こんな感じでしょうか、カール・フィッシャー様

2014-10-28 00:29:49 | Oyage Cruise~“道”との遭遇
~海から峠経由で“収容所”へ(国道11号、徳島県道・香川県道1号徳島引田線、他)~




 バスは定刻より少し遅れてやって来た。乗り込むのは、どう見ても地
元の人ばかり。そのなかに混じり、周囲にそぐわぬ登山ルックでザック
をかつぎ乗車する。ここは、四国は徳島。渦潮で有名な鳴門市の駅前だ。
そしてバスにゆられること約40分、瀬戸内に面した「折野」に到着する。

 折野は、今から95年前の1919年4月に開催されたあるスポーツ大会の
スタート地点だ。大会の名称は「板東俘虜収容所 競歩大会」といい、大
会には“彼”も参加している。彼とはカール・フィッシャー。私が山を歩く
きっかけとなった大学時代のクラブであるワンダーフォーゲル活動、通称
ワンゲルの普及に尽力したドイツのご仁だ。

 彼は第一次大戦時にドイツ軍の捕虜として、日本で収容所暮らしを余儀
なくされた。当然彼にとって日本は、自らの意思で訪れた場所ではない。
しかし収容所の競歩イベントは、この機会に極東の地を歩いてみるかと、
彼のゲルマンならぬワンゲル魂に火をつけたのかもしれない。ではどんな
ルートだったのか。

 ルートは「折野」から、途中で大坂峠を経由して収容所のあった「板東」
となる。しかし実は資料の収集不足で、詳細については不明ではある。が、
当たらずといえども遠からず。大体こんな感じだろうと、見切り発車では
あるがレッツ・ウォークと相成った。

 折野から最初は海岸線沿いに西へ、香川方面へと進む。海を眺めつつ、
のんびり歩いて1時間強で、香川と徳島の県境となる「大坂峠」への分岐が
現れる。ここで少し回り道。四国に2つある日本一の山のひとつ「御山(み
やま)」を訪ねてみた(日本一の低山2つについての詳細は別項にあり)。
分岐近くにある「讃岐相生」駅より、行きは鉄路で帰りは歩く。よって初
日は大坂峠の分岐にて“シーサイドビバーク”となる。

 明けて2日目は大坂峠越え。天気は雨。ここは車道とお遍路さん向けの道
があるが、景色のよさでは車道に軍配が上がる。よって天気回復を祈りつつ、
車道を歩く。カーブは多いが勾配が急ではないこともあり、さほど苦労は感
じない。だが雨のやむ気配なし。瀬戸内の眺めはチラリとも見えず。



 あっけなく大坂峠に着いた。せっかくなので展望台へとピストンしてみる。
展望台には「絶景広がる」との説明文もあったが、本日は雨天なり。周囲は
白いベールで覆われていた。大坂峠を過ぎ、あとはダラダラと下り道。皮肉
にも今頃になって天候も回復してきた。途中の「阿波大宮」駅で大休止。雨
具もお役ご免となる。再び歩き出し、板野町に入った。



 ここで東へと向きを変えて進めば収容所のある板東だ。板野町からは、白
装束のお遍路さんの姿が増えてきた。やはりここでも、登山ルックにザック
の私、かなり“浮いた”存在である。10時50分、板東俘虜収容所跡の公園に
無事到着。やや、また雨が降ってきた。慌てて雨具を取り出し身につける。

 

 カールが日本に残したワンゲル活動の足跡、それは海に峠ありと、実に
変化に富む場所で実施されたものだった。彼の目には、一体どう写ったの
だろうか。いや、資料によるとかなり“個性的”な性格らしい彼のこと、そ
んな感傷にふけることもなく、ゴール目指して脇目も振らずに一目散だっ
たのかもしれないが。

 ちなみに実際の大会コースの距離は21キロ。カールの記録は2時間38分
だったという。





●コースタイム(カッコ内の左・到着、右・出発時間)  
《第1日目》
「鳴門」駅
(11:12)
 ↓↓↓↓
折野→→→→→→→→大坂峠入口(分岐)→→→→→讃岐相生駅~(鉄道利用)~
(11:51/11:55)   (13:00/13:25)       (13:30/14:04) 

讃岐白鳥→→→→→白鳥神社→→→→→→大川橋→→→→→→→大坂峠入口(分岐)
(14:15/14:20)  (14:35/15:10)  (16:13/16:30)   (17:00)


《第2日目》
大坂峠入口(分岐)→→→→大坂峠休憩所(展望台)→→→→→阿波大宮駅前→→→
(3:15/4:15)       (5:50/6:15)          (7:15/7:40) 

高松自動車道・高架下→→→→板野駅前→→→→→極楽寺(お遍路さん2番目のお寺)
(8:15/8:25)        (9:05/9:30)   (10:17/10:32)
                           ↓↓↓↓
                     ドイツ公園(板東俘虜収容所跡)
                          (10:50)         

《コース概況》
全行程が自動車道である。ただし折野~大坂峠も、バリエーションで歩いた讃岐白鳥
~大坂峠、板野~板東間も歩道は完備。唯一、大坂峠~板野までは歩道は皆無だが、
通行車両は少なめ。今回も平日の早朝だったこともあるが、行動中に出会った車は皆
無。ただしぼんやりは厳禁、後ろも前も、車には要注意である。

大坂峠~板野間は除くと注釈はつくが、沿道にコンビニエンスストアは結構あり。し
たがって、ちょっと買物には電子マネーも使えて便利。なお今年3月に四国・初上陸
のはずのセブンイレブンもかなりの数あった。ドミナント戦略の雄、恐るべしである。

板野から板東までは、逆にはなるがお遍路さんの順番で5番目となる地蔵寺から、1番
目の霊山寺まで点在している。四国の旅ならではと、立ち寄ってみるのも一興。拝ん
でみれば、素敵な思い出、プラスもしかしたらご利益というおまけがあるかも。

《2014(平成26)年6月17、18日に歩く》


気分は「箱根駅伝ランナー」だが、走らず歩く

2014-10-21 18:29:35 | Oyage Cruise~“道”との遭遇
~箱根駅伝・往路5区のご近所(神奈川県道732号 湯本元箱根線)~



  

 甘酒を飲んで一服している。時間は午前11時少し前。場所は箱根の「甘酒茶
屋」で、熱い1杯をひょっとこ口でフゥフゥと息を吹きかけさましながら、ちび
ちび味わっている。今日は日差しも強烈で暑い。しかも、ここまでの道中は、
自動車が主役の道であり、照り返しもなかなかのもの。夏はアイスもあればと
当初は思ったがメニューにはなし。だが飲むうちに喉はカラカラ、体はバテバ
テだった状態が、みるみる元気になってゆく。あと少しで目的地の芦ノ湖だ。
ところで、なぜ箱根を歩いているのか。甘酒を飲んでいるのか。それは、あの
有名なラン・イベントに関係している。



 山登りを始めたきっかけは大学のクラブ活動だった。卒業後も、山には四季
を通じて時々、ふらふらと出かける。しかしそんな山との出会いの場となった
母校については普段はご無沙汰の限り。だが、唯一というのか年に1回だけ、
意識することがある。それが、お正月の「箱根駅伝」だ。

 かつて母校は強かった。優勝回数も、いまもって最多である。ところが最近
の成績がぱっとしない。いや、そればかりか出場も綱渡り状態というありさま
である。これはいかん、そこでである。頑張れ我が母校、古豪復活祈願、プラ
ス駅伝気分を味わいに出かけてみた。それが今回の箱根訪問の目的である。

 選んだのは山道である往路5区。しかし実際の駅伝ルートは、交通量が多く
歩道は少なめと歩くには不向き。したがって今回は、お隣の旧東海道に変更し
て、駅伝のゴールでもある芦ノ湖を目指す。

 では4区の走者から“たすき”を引き継いだつもりで、箱根湯本の駅前を出発。
レトロな雰囲気の温泉街を抜けると、勾配もきつくなる。箱根湯本駅前から1
時間少々で「畑宿発電所」に着く。ここでちょっと予定のルートを外れ、人気
の箱根にありながらひっそりとたたずむ「白銀山」へピストン登山である。こ
ちらの詳細は、別項を参照いただければ幸いである。



  

 白銀山から戻ったら、再びゴー芦ノ湖だ。道は急坂、急カーブの連続、途中
随所に近道の階段も出現するが、こちらも急登で息上がる。そうこうしている
うちに、到着したのが先程の甘酒茶屋。営業は江戸時代からだそうだ。最近は、
飲む点滴と甘酒も注目されているが、なるほど疲れた体には効能ありの飲み物
であることを実感する。もちろん味もグッドだ。

 ここから先は、下りとなりドタドタと歩けば、駅伝ルートとも合流して芦ノ
湖が眼前に広がる。ただし駅伝のゴール地点は、まだ先。芦ノ湖が見えてから
も意外と遠い。

 ようやく駅伝のゴールだ。声援もゴールのテープもないが、自然と身体は両
手を上げてゴールインのポーズとなる。さて2015年、我が母校はこのゴールへ
駆け込むことができるか。風の噂では、出場はかなり厳しいらしいが…。と、
ここで朗報である。必勝祈願のお百度ならぬトボトボ歩きの願いと努力が、天
に通じたのか、先日実施の予選会では見事トップ10入り。どうやら新年・未年
も応援ができそうである、まずはひと安心。






●コースタイム(カッコ内の左・到着、右・出発時間)  
「箱根湯本」駅
(4:15)
 ↓↓↓↓
奥湯本入口→→→→→→須雲川橋→→→→→発電所前バス停→→→
(4:53/4:55)     (5:16/5:18)    (5:23/9:35) 

箱根湯本駅前の出発は4時15分。これは前日“ステーションビバーク”を
したため。しかし後日、某所にてこのスタイルが行き倒れと間違えられ、
救急車&パトカーの出動となるハプニングも。寝る場所は要注意である。

580m付近(下二子山と文庫山に挟まれたペアピンカーブ)→→→
(10:30/10:45)

途中、歩道のない場所もあるので、車道へのはみ出し歩きには要注意。

甘酒茶屋→→→→→→→元箱根
(10:50/11:10)  (11:20/11:20) 
           ↓↓↓↓
      箱根駅伝往路ゴール石柱前 
           (12:00)         

芦ノ湖からの帰路は、バスに乗って再び箱根湯本駅へ。
バス路線には、実際の箱根駅伝のコースを走る便もある。こちらのルー
トを利用し、宮下などで途中下車すれば温泉への入浴も可能。

今回はオンリー車道だったが、ルートには途中から昔の面影を残した東
海道もある。ただ甘酒茶屋の方いわく、東海道を歩く際は滑りやすいの
で足元注意だそうだ。

~2014(平成26)年6月17日にランナー気分で歩く~