一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

新築住宅の工事契約

2007年02月24日 14時47分33秒 | 住宅検査・トラブル相談
こんにちは、清水です。

本日、設計を行っている施主に工事業者との契約をして頂きました。
この設計は、既存の擁壁と微妙な高さと間口の地下車庫に加え、道路斜線、北側斜線、隣地との外壁後退と高低差、既存の階段アプローチが絡み合い、かなり調整や検討が必要な難しい設計物件です。

本来は、家屋だけの建て替え予定でそれだけであれば簡単だったのです。事前に頼まれていたハウスメーカーもそういう提案しかしていかかったのは、面倒になるのを避けたかったのでしょう。

しかし、簡易に施工していた強度や耐久性に疑問の残る既存の擁壁や地下車庫をそのままにして、本体を先に建替えてしまうと後々では、これらの工事のやり直しは家本体を壊さないで行うことは困難な上、費用や正しい強度を考えると後で工事をすることは不可能になってしまう可能性が高かったのです。

家本体をいくら50年以上大丈夫な家にしても、既存の擁壁や地下車庫が20年以内にダメになるだろうとわかっていれば、そのことの意味や対策をお教えして判断を仰ぐべきだと思っています。

今回の工事の絡みや将来のことを考えると、「こういう考え方をすれば多少のアップでこういうことが普段と比べてかなり割安にはできます」という提案や費用などのシュミレーションを繰り返しました。

そのため、月日が掛ってしまい、さらに準備期間や工事期間も余分に掛かることになりました。


今後は宅造開発の事前協議や申請、構造計算、建築確認、以外に地盤調査も解体後に慎重に再度行う必要があります。着工までに、再度細かい調整やチェックも必要です。純粋の設計事務所に依頼して注文住宅を考えるというのは、こういう点でのメリットやデメリットがあります。

ハウスメーカーに頼んでいれば、余計なことを考えずに済みました。20年以内に後悔されるとは思いますが、打ち合わせの期間も回数も少なく、検討事項はほとんどなくてっとり早く住めたのです。

ミタス 一級建築士事務所に依頼されたからこそ、家本体もあ~だこうだとゼロから考えて選択できてしまいます。将来の問題点も含めての提案は良かったはずですが、その分、余計な時間は掛かります。

単純な費用だけを考えれば、内容をアップグレードして設計監理料を入れてもハウスメーカーと比べれば同じか安いくらいです。

今回は将来のことまで考えて工事内容を決めましたから、スタート時点では、余分に掛かりましたが、利便性や安全性は増え、将来のコストや不安は無くすことができました。

良いことや楽しいことはもちろんですが、困難やトラブルも楽しみのひとつとして家創りを一緒に楽しむという気持ちで仕事をしています。

家創りは、そういう気持ちで取り組める方や、せっかくだからそういうふうに取り組みたい方は、設計事務所が向いています。プランだけ決めたらすべて既製品のワンパターンで決まってしまうハウスメーカーでは一生に一度か二度の経験なのに、こういう楽しみがない分、非常にもったいない気がします。





ミタス 一級建築士事務所 清水煬二


http://www.mitasu.com/






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