一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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リビング空間について考える(9)

2007年05月12日 21時15分21秒 | 2階リビング空間を考える
みなさん、こんばんは。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

本日は、事務所へお越し頂いての予約相談が多かったのですが、トラブル相談もありました。内容については控えますが、早めに手を打つことが大切だということだけ申し上げておきましょう。もっと早く相談頂ければ何とかなったのにというケースが多いのが、残念です。

さて、久しぶりに「リビング空間について考える」の続きをお話いたします。

今まで2階にリビングを持ってくるメリットを述べてきましたが、皆さんがマイナス面と思われていることも本当にそうなのかを考えてみましょう。

まず、お年寄りのある家は1階リビングをご希望されます。階段の昇り降りを心配されるからです。これは、これで良いのですが、1階の日当たりが悪い立地条件の場合、お年寄りは2階の日当たりの良い部屋に行きたがります。

脚や膝が悪いかたでも、ゆっくり歩けるかたなら、まして2階に和室でもあれば昼はそこに移動したがります。

頭の中で考えているのと、実際とでは異なることがあります。

例えば、北欧での報告事例として聞いた話をお知らせしましょう。いたせりつくせりの老人ホームがあって、部屋に窓が2箇所あります。一方は庭に面していて、一方はハイウエイ、高速道路に面しています。この場合、お年寄りはどちらの窓際にいる時間が長いか…。

意外にも毎日何もすることが無い孤独なお年寄りは、車が動いているハイウエイの方をいつも眺めているそうです。



足腰が悪くてもゆっくり歩けるのなら、階段の巾や一段の高さ、手摺りに注意してゆっくりでも2階に昇って、少しだけでも動いた方が健康には良いという考え方もあります。

定年退職後は、一生懸命働いてきたから、何もしないでのんびり過ごして欲しいという子供たちの考え方は、最近は痴呆症を考えると必ずしも親のためにはならないという考え方に変わってきていますね。


我々が正しいと直感的に思っていても、実際にはそうではないことも多いのです。

2階リビングについてデメリットと思っていることが、考え方によってはデメリットではなかったということもありますので、次回もこういう面を一緒に考えてみましょう。





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