産経新聞 折れない心
中村勘九郎
芝翫の元には多くの役者が稽古に訪れたが、その一人ひとりに違った教え方をした。
三人が一つの役を教えてくださいと言ったら、全員に違うことを言う。
その役者のキャリアやレベルに合わせるんですね。
さらに年代でも稽古の内容が違いました。
私も、十代と二十代でそれぞれ「今はこうやっておきなさい」と言われた。
私という人間が舞台にいることを思うと、確かにそうした遺伝子がかかわっているのかもしれません。
でも役者の芸は精進によってのみ作られるのです。
努力の数でしか磨けないのだと思う。
つまり、個人がどんなふうに闘うかです。
もっとも大切にしなければならないのは、自分自身の努力。
そしてなにより、先輩からの教えです。
なぜ歌舞伎が四百年も消滅しなかったといえば、歌舞伎を愛する役者達の重いが、鎖のように繋がっているからだ。
役者は、自分を表現するために血の滲むような時間を過ごしています。
人より面白い芝居をしたいし、人気も得たい。
そんな顕示欲の塊のような役者が、後輩に「教えて欲しい」と言われれば、躊躇なくすべてを授けてくれるんですよ。
わけ隔てなく、自分が得たものを示してくださる。
血縁なんて関係ない。
歌舞伎への愛がちっぽけなエゴなんて吹き飛ばしてしまう。
もちろん、私も、歴史の中で鎖の一つになりたい。
でもそのためには「この人に習いたい、教わりたい」と思われなければならない。
お客様だけでなく、若い世代からも魅力的な役者だと思われなければ、伝えるチャンスを逸します。
中村勘九郎
芝翫の元には多くの役者が稽古に訪れたが、その一人ひとりに違った教え方をした。
三人が一つの役を教えてくださいと言ったら、全員に違うことを言う。
その役者のキャリアやレベルに合わせるんですね。
さらに年代でも稽古の内容が違いました。
私も、十代と二十代でそれぞれ「今はこうやっておきなさい」と言われた。
私という人間が舞台にいることを思うと、確かにそうした遺伝子がかかわっているのかもしれません。
でも役者の芸は精進によってのみ作られるのです。
努力の数でしか磨けないのだと思う。
つまり、個人がどんなふうに闘うかです。
もっとも大切にしなければならないのは、自分自身の努力。
そしてなにより、先輩からの教えです。
なぜ歌舞伎が四百年も消滅しなかったといえば、歌舞伎を愛する役者達の重いが、鎖のように繋がっているからだ。
役者は、自分を表現するために血の滲むような時間を過ごしています。
人より面白い芝居をしたいし、人気も得たい。
そんな顕示欲の塊のような役者が、後輩に「教えて欲しい」と言われれば、躊躇なくすべてを授けてくれるんですよ。
わけ隔てなく、自分が得たものを示してくださる。
血縁なんて関係ない。
歌舞伎への愛がちっぽけなエゴなんて吹き飛ばしてしまう。
もちろん、私も、歴史の中で鎖の一つになりたい。
でもそのためには「この人に習いたい、教わりたい」と思われなければならない。
お客様だけでなく、若い世代からも魅力的な役者だと思われなければ、伝えるチャンスを逸します。
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