流派を超えた根本原理
居合の科学
京一輔
愛隆堂 1800円
この人の居合関係の書は沢山出ているが、失礼ながら、写真がへぼそうなのでついつい買ったことはなかった。
図書館でこの本を見つけたので、ためらうことなく借り出した。
写真はへぼいが、書かれていることはなかなかよかった。
わたしが日頃感じている疑問に答えてくれる点、忘れかけていたことの指摘が沢山ある。
一、鞘離れの一刀こそが居合の命。
二、呼吸法についての問題提起。一つの技が終わるまで息を止めるよう教えられてき が、間違いでは?
三、摺り足偏重、普段どうりに歩めばいい。
四、居合の体捌きは柔術に通じる。
五、納刀は副次的なもの
現在の居合は術技、技法とはかけ離れたことに意識が向けられ、武道武術として の修練よりも、演武で見栄えよく演じることを目的とした稽古が主流になりつつ ある。
納刀事体は残心の心持をもって行えば十分なのに、演武によって技量全部を評価 するようになってから納刀の地位も飛躍的に向上。
今日では納刀をある程度修得することが、それなりに容易な部類に入るために、 抜きつけ、斬り下ろし、体捌きが未熟にもかかわらず、納刀だけはそれなりにこ なす者が多くなっている。演武を目的とした稽古が主流になりつつある現れ。