ハイカーズ・ブログ(徘徊者備録)

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五感六力を鍛えよう

2010-11-09 13:42:00 | 雑談
産経新聞 11月7日

一服どうぞ   裏千家前家元 千 玄室

五感六力を鍛えよう

世間でよく使われる言葉に「五感六力」がある。
五感は正義感、使命感、責任感、危機感、安心感で、
六力は知識力、説得力、行動力、包容力、判断力、忍耐力である。

人間が生まれ育っていくと同時に、この五感六力が養われて、それぞれ人の間において無難な生活の営みができるといわれる。

ところが実際はなかなかそうはいかない。
示されたものから外れてしまうのが人間の弱いところでもある。

サマセット・モームは「寛容と忍耐という言葉をよく用いるが、言うことと心の中とは異なっている。残忍、嫉妬、怒気、陰謀などが渦巻いている」と言っている。

顔と心は別と言われるように、怒ったり人を陥れたりしないと思われるような温顔な人が案外怖いのである。
どこかの国の大人の顔はニコヤカで、直ぐにでも友人になれるようなタイプが多い。
ところがくみしやすいと思ってつきあうと後が大変である。

この度の尖閣諸島付近で起こった漁船の衝突事件の問題は歯切れ悪く尾を引いたが、日本政府はなにかくみしやすさをもって臨んだように思われる。
初期の手際の拙さが関係を悪くしてしまった感がある。
何事も解決を急ぎすぎても遅すぎてもうまくいかないことが多い。
将来のことを熟考して手を打つことが、いずれにせよ必要な心構えであろう。


日本人の国に対する心構えを持ち直すことを願う。
持ち直したいというのは今の日本人は国に対して誇りを持っているのだろうかという疑問からである。
国民の一人ひとりが国を思い憂い、将来への期待が持てるように自分自身を鍛えないと、この国はいよいよ落ち目になっていくのではないかと心細く思うのである。
五感六力のなかの一つでも自分の生きる道に生かしたいものと念じている。