杖道における傷害と対策 (改訂杖道入門より)
制定杖は真剣勝負の理合を薄めてまで、角度や間、間合等について怪我をせぬように安全性について配慮してある。
また、剣道のような試合も行わないため、瞬発力を用いるために生ずる傷害も極度に少ないといえる。
とはいえ、たまたま傷害を生ずることもあるため、その概略と対策を考える。
傷害を生ずる要件
1.指導者が武術だから怪我ぐらい当然という感覚で、粗野な指導をする場合。
2.練習生が粗野な性格で格闘技感覚の者、せっかちの性格の場合。この種の者は他人に怪我をさせやすい。
3.高齢者で耳が遠い。あるいは耳が遠くないにも拘らず、指導者の言うことが全く耳に入らない場合。これが一番多い。
怪我の種類と対策
1.右足の骨折ないし右足打撲
引き落とし打ちで太刀を打ち落とした時、右手中心の握りで左手の握りが弱い。かつ右足の引きが遅い場合、太刀先が右足甲に当たる。(全治三ヶ月の骨折になる)脛や腿にあたる場合は打撲となるが、後遺症は生じない。
2.拳の打撲ないし指の裂傷
「繰り付け」「繰り放し」「体当たり」の前半動作で杖先で太刀の中柄を取るとき。杖を扱う者がやみくもに杖先を太刀の中柄に向かって衝撃を与えた場合に生じる。(重度の場合は指の骨折、軽度の場合は指の打撲、裂傷)
打ち太刀は柔らかく剣を振る。
杖は正しく捌き、性格に中柄に向かってあげること。
3.肋骨の骨折、打撲
脾腹への突きの時や水月への打撲が肋骨側にずれた時に生じやすい。水月の上部の鳩尾をつくと折れやすい。
肋骨にひびが入った場合も治り難く回復に一ヶ月以上かかる。
やみくもに打突きせず正確に行えば問題ない。
4.アキレス腱の断裂、脹脛の肉離れ
高齢者が打ち太刀の時、杖に体当たりされた時、あるいは繰り放された時、後ろに下がって止まるために踏ん張った時に生じやすい。
稽古前のウォーミングアップをきっちりやる。
5.尻餅による骨盤下部の打撲ないし後頭部の打撲
打ち太刀は、杖に体当たりされる時、力をいれて抵抗しない、上に挙げた手を張らない、胸を張って反り過ぎない、下がる時は腰と膝を緩める。
狭い稽古場所での場合
自分達以外の武器があたる場合がいちばん危険。
狙って当たったものは思いのほか大丈夫で、間違って当たるものがいちばん危ないということを以外に理解していない。
不自然な動作による腰痛
腰の捻りを必要とする技のとき、足から体を返さないものは上体のみで打突きする為、腰椎の三番、四番、五番に強い負担を掛けることになり腰痛を生じる。
内科的疾患の問題について
制定杖は老若男女を問わず学ぶことができる。
しかし、当然ながら高血圧、心臓病、脳の疾患ほか、本質的に生活習慣に起因する疾患については、指導者の関知するところではない。
医師ではないから改善指導することもその任ではなく、責任も取れない。
従って、特に高齢者はしっかり自己管理し、稽古場では他に迷惑を掛けないよう十分に配慮されたい。
制定杖は真剣勝負の理合を薄めてまで、角度や間、間合等について怪我をせぬように安全性について配慮してある。
また、剣道のような試合も行わないため、瞬発力を用いるために生ずる傷害も極度に少ないといえる。
とはいえ、たまたま傷害を生ずることもあるため、その概略と対策を考える。
傷害を生ずる要件
1.指導者が武術だから怪我ぐらい当然という感覚で、粗野な指導をする場合。
2.練習生が粗野な性格で格闘技感覚の者、せっかちの性格の場合。この種の者は他人に怪我をさせやすい。
3.高齢者で耳が遠い。あるいは耳が遠くないにも拘らず、指導者の言うことが全く耳に入らない場合。これが一番多い。
怪我の種類と対策
1.右足の骨折ないし右足打撲
引き落とし打ちで太刀を打ち落とした時、右手中心の握りで左手の握りが弱い。かつ右足の引きが遅い場合、太刀先が右足甲に当たる。(全治三ヶ月の骨折になる)脛や腿にあたる場合は打撲となるが、後遺症は生じない。
2.拳の打撲ないし指の裂傷
「繰り付け」「繰り放し」「体当たり」の前半動作で杖先で太刀の中柄を取るとき。杖を扱う者がやみくもに杖先を太刀の中柄に向かって衝撃を与えた場合に生じる。(重度の場合は指の骨折、軽度の場合は指の打撲、裂傷)
打ち太刀は柔らかく剣を振る。
杖は正しく捌き、性格に中柄に向かってあげること。
3.肋骨の骨折、打撲
脾腹への突きの時や水月への打撲が肋骨側にずれた時に生じやすい。水月の上部の鳩尾をつくと折れやすい。
肋骨にひびが入った場合も治り難く回復に一ヶ月以上かかる。
やみくもに打突きせず正確に行えば問題ない。
4.アキレス腱の断裂、脹脛の肉離れ
高齢者が打ち太刀の時、杖に体当たりされた時、あるいは繰り放された時、後ろに下がって止まるために踏ん張った時に生じやすい。
稽古前のウォーミングアップをきっちりやる。
5.尻餅による骨盤下部の打撲ないし後頭部の打撲
打ち太刀は、杖に体当たりされる時、力をいれて抵抗しない、上に挙げた手を張らない、胸を張って反り過ぎない、下がる時は腰と膝を緩める。
狭い稽古場所での場合
自分達以外の武器があたる場合がいちばん危険。
狙って当たったものは思いのほか大丈夫で、間違って当たるものがいちばん危ないということを以外に理解していない。
不自然な動作による腰痛
腰の捻りを必要とする技のとき、足から体を返さないものは上体のみで打突きする為、腰椎の三番、四番、五番に強い負担を掛けることになり腰痛を生じる。
内科的疾患の問題について
制定杖は老若男女を問わず学ぶことができる。
しかし、当然ながら高血圧、心臓病、脳の疾患ほか、本質的に生活習慣に起因する疾患については、指導者の関知するところではない。
医師ではないから改善指導することもその任ではなく、責任も取れない。
従って、特に高齢者はしっかり自己管理し、稽古場では他に迷惑を掛けないよう十分に配慮されたい。