レベルの関係で言うと、太極拳の型の練習と推手は、基礎と応用の関係にある。
太極拳の型の練習は、自分自身の技量の程度を知るものであり、推手は、自分自身と人の技量を知るものである。
八種類の手の運び(手法){ポン、リュイ、ジー、アン、ツァイ、リエ、ジョウ、カオ}五種類の足の運び(歩法){前進、後退、左、右、中定}という十三勢の応用は、太極拳の型の練習に比べるとより具体的に陰陽、五行、八卦という中国古典の哲理が現れている。
したがって、太極拳推手を練習しながら、同時に中国の伝統文化を体験していることになる。
自らの技能の上では、「一枚の羽根の重さを識別し、ハエや蚊が我が身に止まれない」という鋭敏な感覚を身につけなければいけない。
楊露禅という人は、手の上に止まっている小鳥が飛び立とうとして脚で手を蹴ろうとしても、手の動きが軽やかで素早く反応するので、手を蹴って飛び立つことが出来ない、また蝿が飛んできて手の上に止まろうとしても、手の動きが軽やかで素早く反応するので止まることが出来なかったという。