
今朝の台所で狼煙をホッと聞く。
延期だったら、このお弁当はどうなるのと思っていたから。
これ以上ない曇天の空の下。
午後からは崩れてくると開会式上で明言され萎える。
ブルーシートの上で見上げると、
ポツポツンと雨粒の滴る気配のする。
ちょうど徒競走も高学年に差し掛かったとき、
ポツポツがドシャドシャに降り変わった。
座っているブルーシートの上は水びたし、
グラウンドには傘の花盛り。
傘を持たない私は娘とともに、タオルを頭から被ってずぶ濡れになった。
白いシューズが茶に染まる。
町内対抗のリレー予選が始まる。
4年目のゼッケンが雨で滲む。青の鉢巻が濃紺になった。
予選は一位で決勝進出。
午前の競技の終わる頃、雨が上がり雲の合い間に日の差し込める。
蒸し暑さの中、娘が美味しいと頬張るお昼ご飯。
見ているだけで胸が一杯になった。
バナナを持たないことを後悔した。
30分、前倒しで新秋田音頭の披露が始まる。
本部前の、ど真ん中で子供達と共に踊る。
気付けば、いつの間にかの笑顔。
午後の競技は高学年の種目と町内対抗の種目。
綱引きは一回戦敗退。
ボール送りは4位。
初めてボール送りを経験した。
リレーで走るより緊張感が持続する。
これ以上ないくらい股を開いたら裂けそうになった。
一息つけばリレー決勝。
その少し前から本降りの雨に祟られる。
もう最後の種目だ、やってしまえの声が聞こえる。
だんだん濡れるほどに気持ちが上乗ってきて、
なぜか町内のメンバーも、みな笑顔で走っている。
結果は、ここでも4位。
残念なのに、よく頑張ったと互いと自分を褒め合う。
閉会式の時には、もう雨が滝のように落ちてきて。
畳んだブルーシートから水鉄砲のように流れ落ちた雨。
それをゴミ袋に入れて、
すべての荷物を車の後ろに積み込む。
一緒に走った他所の旦那さんたちが手伝ってくれた。
ありがたいような申し訳ないような、
こういうときこそ男手の必要を身に沁みるような。
ずぶ濡れの私と、ずぶ濡れの荷物。
「なんだか思いっきり突き抜けてますね」
と妙な感心をされる。
何はともあれ終わってよかった。
延期にならなくてよかった。
怪我の無くてよかった。
転ばなくてよかった。
今年も無事に走れてよかった。
来年は世話人の役を解かれて思いっきり走りに専念できると思う。
声を枯らして声援を送って寄越した娘の気持ちも、
傘差しながらなんだかんだと言いながら最後まで見てくれていた母の応援も。
協力してくれた町内の、みなさんも。
笑顔で踊ってくれた子供たちも。
みんな、いとおしい。
風邪引かないでおくれ。
ゆっくり休んでね。今日を、ありがとう。