
実は昨日、仕事の合間に作ったこれにまつわるちょっとした物語りがあって。
というのも、
これは娘M嬢に頼まれて作ったものなのだけれど。
M嬢のクラスで3週間、実習を重ねていた教生(教育実習生)の先生と、
先週末でお別れするにあたり。
M嬢のクラスメイトはファンシーグッズを買って、
先生にプレゼントしたのだとか。
私は子供の身分で贈り物にお金を掛けることは賛成していなくて、
そんな時は手作りや心を込めた何かを贈るのが良いんではなくて??
とM嬢に言うと、しばし考えてから。
「だあさんに、お願いがあるんだけど。
ヘンプでミサンガとストラップを作ってくれませんか。」
こう言ってきたので、うんそれなら構わないよ、
その代わりお手紙やラッピングは自分でねと伝えた。
それからヘンプの糸やビーズを見せて、
どんな色の組み合わせにするか。
本も見て、このタイプにしてくださいと依頼されて、
私はM嬢の言われたように作った。
どちらも割に簡単なものなので小一時間で仕上がり、
その出来ばえもM嬢は気に入ったようだった。
それを手にとって、
ふっとM嬢はこんなことを言った。
「これ・・・自分で作ったことにしちゃおうか、な。」
私は自分の背後で、この言葉を聞いた。
そして、ちょっと待ていと思ったことは言うまでもない。
もちろん少なからず私を知る人なら容易に想像付くと思うけど。
怒り心頭に発する、
または怒髪天を衝くとはこのことだろうと思うほど怒った。
M嬢は最初、何のことかとキョトンとしていた。
私は、
「たとえば。」と前置きして、
「お友達に絵を描いてと頼まれて描いてあげた絵を、
その友達が”私が書いたのよ”と他の人に言ったらアンタはどういう気持ちになるか。」
考えてみて、と言った。
すると、ようやくM嬢は、
自分が言った(大した深い意味もなかっただろう)言葉が。
相手(この場合は私)に、どんな風に受け取られたか。
想像したみたいだった。
もう二度とアンタの頼みは聞かない、
それにこれは返してもらうと二つを引っ手繰ると。
M嬢は驚いて必死に謝ってよこした。
もう。
私は開いた口が塞がらなかったし、
なんてことを言うのかそんな子に育てた覚えはないよと情けなくなった。
きっとね、
あのM嬢の顔からしても全然深意はなかったと思う。
でも、だからといって。
子供のたわ言、戯れ言だからといって捨てては置けないでしょう。
この場合。
私が、ふるふると拳を握り締めながら怒っていると、
台所から母R子が出てきてM嬢を諭した。
こういう時、第三者的立場の人の冷静な反応は実にありがたい。
M嬢は素直に耳を傾けて、ほろほろと泣いて。
そして、あらためて私に頭を下げた。
M嬢よ、
ぶきようで不足ばかりの私であるけれど。
義侠心だけは持っていておくれと思い日々、育てをしているよ。
そうしてR子から私も育てられたように。
間違うこともある。完璧など、あるわけがない。
向かっても通じないことも、負ける時もある。でも。
人の罪をかぶることがあっても、
人の手柄を横取りしないで。
必ず陽の目を見るときがあるのだから素直に。
見ている人は必ず、どこかにいるはずなのだから。