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「農業」やろうよ!

2016年10月09日 | 社会・経済

日本の食糧問題は

   キューバ式「地域力」に学べ!

    ダイヤモンドオンライン 【第20回】 2016年10月8日

 西田栄喜

  借金、補助金、農薬、肥料、ロス、大農地、高額機械、宣伝費ぜんぶなし!

しかも、夫婦2人、初期投資は143万円だけ!

なのに、年間売上1200万円、所得(利益)600万円も「幸せに稼いでいる」人物が、石川県能美市にいるという。

東京から金沢まで約2時間半、そこから在来線で30分。そこにそびえ立っていたのは……

ビニールハウス4棟、サッカーコートの半分、通常農家の10分の1の耕地面積=たった30アールしかない「日本一小さい専業農家」で、「菜園生活 風来(ふうらい)」代表の西田栄喜氏(48)。

かつてオーストラリア中をオートバイで走っていた西田氏は、元バーテンダー、元ホテル支配人だったという。

いま、風来で「怪現象」が起きている。

それは、2000円の野菜セットに送料2800円(沖縄)出す人もいて、野菜セットは「3週間待ち」というのだ。

日本海を臨む「日本一小さい農家」で、いったい何が起きているのか?

『農で1200万円!――「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩』が発売された著者に、知られざるキューバ式「地域力」の底力について語ってもらおう。

冷戦期キューバの食糧自給率は日本並みの40

 わが「風来」では、野菜セットなどを2000年からネット販売しています。

 北は北海道から、南は沖縄県の方まで、石川県にいながら、全国の方に発送できる。ありがたい時代になったとつくづく思います。

 農家は地域に密着しているというのが当たり前なのですが、逆にしがらみも多くなってきます。

 変わったことをするとすぐに目立ちます。

 でも、こうやって全国の方と直接つながれることで精神的に自由になれます。

 そんなこともあり、最初の頃は全国に目を向けていました。

 しかし、農家を続けていく中で、少しずつ考え方が変わってきました。

 きっかけは、南米キューバでの話。

 キューバは言わずと知れた社会主義国。

 キューバの冷戦期の食糧自給率は、今の日本並みの40%でした。

 農業の中心は、おもな取引国であるソ連などでは穫れない砂糖など換金作物でした。

 そして、その農法もいわゆる近代農業で、化学肥料の石油由来の農業でした。

 しかし、1990年代初頭のソ連崩壊の直撃を受け、食糧・石油・化学肥料・医療品の輸入の大半が途絶。まさに国家存亡の危機となりました。

 そんな状況の中、アメリカでは1992年に「キューバ民主化法」が、1996年には「キューバ自由民主連帯法」(ヘルムズ・バートン法)が制定されました。

 狙いはキューバの民主化を促すこと。これらによって、アメリカからの貿易封鎖は強化されました。

餓死者をひとりも出さなかったキューバの秘密

 超大国のアメリカからそのようにされたら、国が崩壊してしまうのが普通です。

 しかし、キューバはこのような状況にあっても、餓死者をひとりも出しませんでした。

 その核となったのが農業の再構築。

 もともとカロリーベースで57%を輸入作物に頼っていたうえ、石油に頼るトラクター、コンバイン、潅水ポンプは、ソ連崩壊後1年で半分しか動かなくなり、1994年には1990年の55%まで落ち込みました。

 そんな中、選択されたのが「都市を耕す」ということです。

 キューバは人口の80%が都市に集中しています。

 裏を返すと、都市には労働力があるということです。

 コンクリートの上にベニアやブロックなどで囲いをつくり、その中に土や堆肥を入れる「オルガニポノオコ」という手法がとられました。

 こういったことができたのは、冷戦時代も地道に有機農業を研究してきた研究者がいたからこそ。

 都市農業において、土づくりは重要な課題でした。

 そこで活躍したのがミミズ。

 ミミズは生ゴミを分解し、ミミズの糞が堆肥になります。

 においもせず土壌改良にはもってこい。

 そこで、ミミズを自宅で飼うのを政府が奨励することになりました。

 また、種も昔の在来品種が復活しました。

 在来品種は、その土地で育ってきたので、病害虫に強いという特徴があります。

 トラクターなどの機械も、燃料であるガソリンがなければ、ただの鉄くず。

そこで、農耕馬、農耕牛が復活。また、ハーブなどを使った自然農薬も復活しました。

今こそ、「キューバ式の都市型農業」に学べ

そして大切なのが、野菜の食べ方です。

 もともとキューバでは、野菜より肉食だったのですが、アジア系の移民が野菜のおいしい食べ方を広げていきました。

 そんなこれまでになった「キューバ式の都市型農業」は世界から注目されました。

 つまり、有機農業者のあこがれの国ともなったのです。

 そんなキューバの話を聞いて、石油エネルギーに頼った農業、そして当時のキューバとほぼ同じ食糧自給率の日本が、もしそのような事態に陥った場合、日本ではどうなるだろうと考えました。

 四季もあり土も豊かで水も豊富な日本では、キューバのようにみんなが有機農業をすれば大丈夫かもしれません。

全国的に「地域力」が問われる時代

しかし、今の日本の過当競争社会では難しいのではないかとも思いました。

 キューバが未曾有の危機を乗り越えられたのは、有機農業の技術があっただけではなく、強いリーダーシップをもったカストロがいたということ、そして社会主義体制もあったと思いますが、地域のコミュニティがしっかりとしていたからでしょう。

 どんなに農業技術があっても、いざというとき、奪い合いになっては意味がありません。

 そんなことから、地域力を上げることが何より大切なのではないかと思うようになり、地域力を高めていこうと思いました。

 そんなことから風来では、栽培、加工、直売の3本柱に加え、「知恵」の教室を第4の柱にしました。

「畑の菜園教室」や「味噌教室」など、昔ながらの加工品の教室を通して、互いのコミュニティを深めています。

 同時に、教室にきてくれる生徒さんは、そのまま風来のファンにもなってくれるという相乗効果も出ています。

 地域に根ざすには時間がかかります。

 そこで最初は、インターネットを使い、全国に販売して、少しずつ地域に戻ってくる戦略を考えました。

 自分では、「外堀を埋める」と表現しているのですが、外から評価が高まると地域の人の見る目も変わってきます。

 これからは真の地域力を上げることが全国的に求められる時代になるでしょう。

【参考文献】

吉田太郎著『200万都市が有機野菜で自給できるわけ――都市農業大国キューバ西田栄喜(にした・えいき)

菜園生活「風来」(ふうらい)代表。1969年、石川県生まれ。大学卒業後、バーテンダーとなる。1994年、オーストラリアへ1年間遊学後、ビジネスホテルチェーンの支配人業を3年間勤務。その後帰郷し、1999年、知識ゼロから起農。

小さなビニールハウス4棟、通常の10分の1以下の耕地面積である30アールの「日本一小さい専業農家」となる。

3万円で購入した農機具などで、50品種以上の野菜を育て、野菜セットや漬物などを直売。SNSなどでお客さんとダイレクトにつながり、生産・加工・販売を夫婦2人でやりながら、3人の子どもたちと暮らす。

借金なし、補助金なし、農薬なし、肥料なし、ロスなし、大農地なし、高額機械なし、宣伝費なしなど、“ないないづくし”の戦略で、年間売上1200万円、所得(利益)600万円を達成。

基準金額95%未満でも105%超でも反省する「売上基準金額経営」を実践。

小さいからこそ幸せになれるミニマム主義を提唱。地域とお客さんとのふれあいを大切に、身の丈サイズで家族みんなが明るく幸せになる農業を行う。

著書に『小さい農業で稼ぐコツ――加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円』(農山漁村文化協会)がある。最近は、多くの新規就農者の相談に乗りながら、全国各地からの講演依頼も多い。

【風来HP】http://www.fuurai.jp/・リポート』(築地書館、2002年8月刊)

石川県能美市にある
「日本一小さい農家」からのメッセージ

 このたび、『農で1200万円! ――「日本一小さい農家」が明かす「脱サラ農業」はじめの一歩』を出版したところ、大きな反響をいただき、重版出来となりました。本当にありがとうございます。

 私の農園はきていただくと、みなさん「本当に小さい」と声をあげます。

 農地面積が通常農家の10分の1以下、30アールの面積(だいたいサッカーコートの半分くらい)で、自他ともに認める「日本一小さい専業農家」(本書では「日本一小さい農家」)です。

 バーテンダーを3年勤め、その後オーストラリアへ1年の遊学を経て、ビジネスホテルチェーンの支配人業に就きました。

 しかし、あまりの「ノルマ主義」「前年対比主義」に身も心も疲れ果て、逃げ帰るように、郷里の石川県に帰ってきた次第です。

 サラリーマンとしてはダメダメでしたが、そこから一念発起。

 サービス業の視点で見ると、ビジネスチャンスがあるのではと考え、農家に。

 そんな「知識ゼロ」で起農したのが1999年。

 ただでさえ厳しいと言われる農業。まして農業技術もない、右も左もわからない状況で普通にやっていては、ひとたまりもありません。

 そこで、最初に始めたのが、農業の常識を疑うこと。

 今の農業の常識と言えば……

「農業は儲からない」

「農業を始めるには、農機具・設備費など莫大な資金が必要」

「補助金がないと成り立たない」

「農業技術を習得するには時間がかかる」

「広い土地がないと無理」

「人手が必要」

「天候により収入が不安定」

「自然相手なので休みがない」

 と大変なことだらけ。

 そんな常識の中でも、まっ先に疑ったのが、農業で売上を上げるには大規模化しないと無理ということ。

そこで小さくても、いや小さいからこそできる農業があるのでは?と思って生まれたのが、スモールメリットを活かす農業です。

 もちろん、小さいだけではなく、サービス業についていた経験を活かしての加工、直売も手がけ、また、ネット活用など、今だからこそできる農業を心がけました。

 その結果……

●“借金なし”……起農資金を含め一切借金なし

●“補助金なし”……行政に一切頼らなくてもやっていける仕組み

●“農薬なし”……当初から農薬を使わない農法を実践

●“肥料なし”……2012年から無肥料栽培(「炭素循環農法」)に切替え

●“ロスなし”……予約販売、加工で野菜のロス(廃棄)がほぼない仕組み

●“大農地なし”……通常の10分の1以下の耕地面積の「日本一小さい専業農家」

●“高額機械なし”……3万円で購入した中古の農機具がメインプレーヤー

●“宣伝費なし”……これまで一度も有料広告を出したことがない

 と、まさに常識はずれなことに。

 また、通常1000万円くらいはかかるといわれる初期投資が143万円ですみました。

 現在、労働力は家族2人(野菜の栽培は私、妻がケーキ屋漬物などの加工を担当、子どもは3人)だけで、年間売上1200万円、所得(利益)600万円。

 フェイスブックなどで、お客さんとダイレクトにつながりながら、日々充実した毎日を送っています。

 今、風来には、農林水産省などの農業行政にたずさわる方から、農家、一般の方まで、全国から視察団が訪れます。

 なぜ、注目されているのか?

 それは、知識ゼロ、経験ゼロで始めた「脱サラ農家」が、

 家族みんな笑顔でそこそこの収入を地方で幸せに稼いでいる。

 その秘訣を知りたいようなのです。

 この「幸せに稼いでいる」というのがポイントではないかと思っています。

 現在、ビジネスパーソンを取り巻く社会情勢はますます厳しさが増しています。

 非正規雇用の増大、東芝、シャープのような大企業であっても経営不振に陥る時代。

 社会保障費も減額され、年金もどれだけもらえるかわからないなど先行き不安だらけです。

 

 これまで就農や農的暮らしというと、売上・利益度外視の自然回帰、あこがれという部分が大きかったかもしれませんが、これからは将来への“第2の井戸(収入源)”として、安心感の醸成、将来不安のリスク分散ととらえる――そんな時代になってきたと思います。

 文字どおり地に足をつけ、直接「食」を得られる「農」は、何にも代えられない安心感がありますし、定年はなく、身につけた知恵は誰にも奪われません。

 特別じゃない、リアルな選択として気づいた人は、どんどん農に向かってきています。

 

 経験もない、資金もない、大きな農地もない、販売ルートもない――そんな“ないないづくし”の元会社員が、ゼロから起農したからこそ、固定概念にとらわれず、農にチャンスを感じられました。

 

 現在会社員で農にあこがれはあるが、敷居が高いと感じている方、

 農家になったけど、なかなかうまくいっていない方、

 新たなビジネスの芽を探している方、

 また、定年後に不安をかかえている方に、

『農で1200万円!』が少しでもお役に立てればと思っています。

 

 実際、風来に話を聞きにきて起農している人が全国にいます。

 ただし、風来では、長期研修を受け入れたことがありません。

 

 どういう意味かというと、技術ではなく考え方次第で、小さくても農業で稼ぐことができるということです。

 もちろん、技術も大切ですが、技術が最優先するのなら、“技術ゼロ”から始めた私が今こうしてやっていられるはずがありません。

 

 新規就農時の研修で車を路肩に何回も落とし”脱輪王”の異名をつけられ、何度も「落第!」と言われた私でもここまでやってこれました。

 そんなこれまで培ってきた考え方、気づいたこと、実践してきたことを、新規就農者や農家仲間の事例も併せて、余すところなく『農で1200万円!』で紹介させていただきました。

 

 農の無限の可能性を感じていただき、農で幸せに稼ぐ人がたくさん出てくる。

 本書がそんな手助けになればと願っております。

<連載開始後たちまち大反響! これまでの人気ランキングベスト3

【第3! 子どもの嫌いな野菜No.1は、なぜ「○○」に変わったのか?

【第2!! 初期投資は143万円だけ!借金、補助金、農薬、肥料、ロス、大農地、高額機械、宣伝費「ぜんぶゼロ」で、なぜ1200万円稼げるのか?

【第1!!! サラリーマンが今すぐ「第2の井戸」を掘らないとヤバイ理由


「経験もない、資金もない、大きな農地もない、販売ルートもない――そんな“ないないづくし”の元会社員が、ゼロから起農したからこそ、固定概念にとらわれず、農にチャンスを感じられました。」

これがとても大事なのです。わたしもここでは書けない様々な問題を抱えました。「農民」になる必要などありません。専業農家になる必要もありません。農業が好きなら好きなようにやればいいことなのです。お金がなければ、ないなりにやればいいのです。借金することなどないのです。生活を支える農業以外の仕事を持ち、土日農民、朝夕農民でいいのです。農業の可能性は無限大に広がります。だから軸足をこちらに少しずつ移していくことも可能です。金のあるやつは金を使います。金のない奴は頭を使います。これが楽しいのです。
 生活・住まいのこと、技術のこと、資金のこと、農地のこと、ご相談に乗ります。