里の家ファーム

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『海の日』に考える

2018年07月16日 | 自然・農業・環境問題
プラスチック危機

海流入、50年までに魚の総重量超え?

 
ごみで埋まった水路でプラスチックごみをより分けている男性。ごみはガンジス川を経由してインド洋へ流れる=ニューデリーのタイムール・ナガル地区で2018年6月12日、松井聡撮影
 
 
ニューデリーの位置/パロス岬の位置

 安価で丈夫なプラスチックは多くの製品に用いられ、20世紀半ば以降の暮らしを大きく変えた。2050年までに海に流入するプラスチックごみの総重量が、世界の海に生息する魚の総重量を超えるとの予測もあり、分解されずたまり続ける大量の廃プラスチックの問題が今、世界で懸念されている。16日は海の日。「便利さ」追求の陰で広がる「危機」を現場から考える。【ニューデリー松井聡、ムルシア(スペイン南東部)で八田浩輔】

ガンジス川からインド洋へ 年間9万~24万トンとの推計

 気温40度超、熱風とともに腐敗臭がプラスチックごみの「川」から吹き上げた。雨期目前のインドの首都ニューデリー。不法移民の多い貧困地域タイムール・ナガル地区にあるその「川」は元々は水路だが、ビニール袋やストローなどが人の背丈ほども積み上がり、加えて残飯も辺りを覆う。

 地元NGOなどによると、ごみの3分の1はこの地区から出たものだが、3分の2はペットボトルなどを換金するため住民が地区外から持ち込んだもの。カネにならないビニール袋などが際限なくたまっていく。「食べていくのに精いっぱい。環境のことなんて気にしていられない」。ペットボトル探しをする不法移民のブドゥさん(39)は言った。

 雨期になればごみは水に押され、ガンジス川を通ってインド洋へと流れ込む。「残念ながらこの水路は海や川の汚染の原因だ」。衛生担当の住民、チョードリーさん(27)は嘆息した。地元紙によると、インド国内から海に流入するプラスチックは年間9万~24万トンとの推計がある。

地中海 クジラの体内から29キロ

 インドから直線距離で約8000キロ離れたスペイン南東部ムルシア州のパロス岬。今年2月、地中海の海岸に体長約10メートルのやせ細ったオスのマッコウクジラの死骸が打ち上がった。同僚らと死因を調べることになった「エル・バリエ野生生物保護センター」のアリシア・ゴメス・デラモーンさん(29)は、クジラの胃と腸から消化されずに残ったプラスチックの破片を見つけたが、当初は驚きはなかった。プラスチックは世界の海岸に打ち寄せるごみの8割以上を占め、海洋生物の体内に取り込まれたりする例はよくあるからだ。

 だがその後、アリシアさんたちは言葉を失うことになった。「ごみを引っ張り出したら次から次へと止まらなくなって……」。3時間半かけて取り出したごみの大部分がプラスチックで総量は29キロ。地中海を取り囲む中東、北アフリカで使われるアラビア語が書かれたレジ袋なども含まれていた。「打ちのめされた。なぜこんなことが起きるのかと」

 海はつながっている。世界のどこかで出たごみが、別のどこかで生き物や地球を苦しめる。クジラはその象徴なのか。

 スペイン南東部の岬に打ち上がったマッコウクジラの体内から見つかった29キロものごみは主にプラスチックで、レジ袋やペットボトル、傘などの生活用品、その他は漁業に使うネット、農業用の温室の一部など計47種に及んだ。洗って乾燥させても19キロの重さがあった。

 
地中海がプラスチックごみで汚染される要因

 アリシアさんは、体内にプラスチックごみをためたせいで食べ物を取り込めなくなった結果、餓死に至ったとみる。このマッコウクジラの重さは約7トンで、10メートルの体長から推測できる一般的な体重の3分の1程度しかなかった。マッコウクジラは水深3000メートルまで潜ることができるとされ、主に深海にすむイカなどを捕食する。呼吸のために水面に出る際などに浮遊するプラスチックごみを誤って取り込み、排出できずに体内に積み重なった可能性があるという。

 現在世界の海にどれほどのプラスチックごみがあるのか、正確に知ることは難しい。

 国際的に多く引用されるのが米ジョージア大などの研究チームによる推定だ。15年に米科学誌サイエンスで発表された論文によると、世界の沿岸部から海に流出するプラスチックは毎年480万~1270万トン(中間値は約800万トン)。陸上で適切に処理されなかったごみが主に河川を通じて流れ込み、中国やインドネシア、フィリピン、ベトナムなど東南アジアが最大の発生場所となっている。

 マッコウクジラが打ち上がった地中海は「世界で最もプラスチックに汚染された海の一つ」(世界自然保護基金)と指摘される。大西洋につながるジブラルタル海峡は狭く、沿岸を取り囲む欧州、中東、北アフリカ諸国から流れ込んだごみが閉じ込められる。沿岸のリゾートには年2億人の観光客が訪れ、夏に海に流出するごみの量は他の時期と比べて4割増える。

 アリシアさんは今回のケースは「氷山の一角」と強調する。マッコウクジラの多くは死ぬと海の底に沈むため、影響の実態把握は容易ではない。しかしスペイン国内では約20年前にはプラスチックごみを誤食して死んだクジラが既に確認されていた。

 またアリシアさんが勤める野生生物保護センターでは最近、5匹のウミガメの死体からストローやペットボトルのふたなどを見つけた。ウミガメは海中に漂うレジ袋などをクラゲと間違えて食べることがあるとみられ、地域のウミガメの死因の5%程度はプラスチックごみではないかと推測されるという。

「人類共通の課題」

 軽くて耐久性に優れたプラスチックの特性は海に暮らす生物には脅威としてはね返る。海流に乗って世界の海をさまよい、一部は波や太陽の光の作用で細かく砕けて魚介類も摂食して食物連鎖に入り込む。英プリマス大の研究チームの集計では世界で約700種の海洋動物からプラスチックごみが検出されたことが報告されており、うち17%は国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定する種だった。世界経済フォーラムの報告書は、現状のレベルで海への流入が続いた場合、50年には世界の海のプラスチックごみが重量換算で魚を上回ると警告した。

 
クジラの体内で見つかった29キロ相当のレジ袋や傘などのプラスチックごみの一部は、啓発のために展示されている=スペイン南東部ムルシア州で2018年6月18日、八田浩輔撮影

 「これは人類共通の問題だ。私たちは地球を破壊しようとしている」。ムルシア州のハビエル・セルドラン環境担当相の危機感は強い。州が今年4月、アリシアさんたちが実施したマッコウクジラの解剖の結果と体内にあったプラスチックごみの写真を同時に公表すると、衝撃は欧米の主要メディアを通してまたたく間に世界へと広がった。

 同じタイミングで同州は欧州連合(EU)と協力し、使い捨てのプラスチックごみ削減のためのキャンペーンを始めた。世界で多く使われる英語、中国語、スペイン語の3言語で作った啓発ビデオは、食物連鎖を通して人間の体内にプラスチックが取り込まれていることを示唆する内容だ。

 
スペイン南東部のパロス岬に打ち上がったマッコウクジラ。体長から推定される体重の3分の1程度にやせ細っていた=エル・バリエ野生保護センター提供

 クジラの体内で見つかったアラビア語が書かれたレジ袋などごみの一部は、野生生物保護センターで透明なパネルに密閉して展示されることになった。センターには地域で保護された野生動物が飼育される動物園が併設され、課外授業などで訪れる子どもたちの教材としたい考えだ。

 セルドラン氏は、クジラの死が人間の営みを巡る根源的な問いをもたらしたと考えている。「(分解されにくいために)200年以上も地球にとどまるプラスチックをわずか15分のためだけに使う。こうした人間の習慣を終わらせなければいけない。プラスチックに依存した文化を変えることが求められている」【ムルシア(スペイン南東部)で八田浩輔】


 海の日。レジャーもいいが海の汚染についても考えてほしい。3.11で多くのプラスチック製品が海に流されていく光景を思い出す。プラスチックに代わる素材の開発が望まれる。


道新ー「私たちはジャーナリストだ。」

2018年07月15日 | 社会・経済

地方紙への支持

道新『卓上四季』07/15

   米メリーランド州は合衆国独立時の13州の一つ。自治意識の強さや宗教的な寛容さから「自由の州」の別名を持つ。州都アナポリスは美しい港町で、海軍士官学校があることでも知られる▼この町で先月、凄惨(せいさん)な事件が起きた。地元紙キャピタル・ガゼットの事務所に押し入った男が散弾銃を発砲、編集者ら5人が死亡した。男は過去の記事に恨みを募らせていたという。言論への暴力を強く非難する▼電子版によると、読者からたくさんのメッセージが寄せられた。「記事を通して記者を友達のように思っていた」「購読して地域の新聞を支えよう」▼一方、事件を喜ぶような脅迫状も届いた。トランプ大統領は都合の悪い報道を「フェイク(偽)ニュース」と呼び、「人民の敵」と決めつける。そんな風潮が、事件の背景にあるとの指摘もある。記者たちは連名の声明文で「人民の敵と呼ばれたことを忘れない」と訴えた▼「悪をあばき、不正に光を当て、不公平と戦うのが私たちの仕事だ」と声明文は続く。「私たちはジャーナリストだ。真実を求め、声なき声を伝え、権威を疑う。ニュース報道の価値を信じる」▼日本も無関係ではない。特定の全国紙を「言論テロ」とする投稿に、安倍晋三首相が「いいね」と賛同した。沖縄の地方紙をつぶさないといけないと言った作家もいる。筆を曲げるわけにはいかない、との思いはいよいよ強まる。2018・7・15


「超加工食品」

2018年07月14日 | 食・レシピ

ヘルスプレス 2018.07.01

スナック菓子、カップラーメン……がんの発症リスクを上げる「超加工食品」とは!?

 時代とともに、私たちの食生活はどんどん便利になってきた――。

 街には至る所にスーパーやコンビニがあり、調理パンやお弁当、清涼飲料水、スナック菓子などがすぐに手に入る。目が回るほど忙しい仕事の合間でも、カップラーメンやおにぎりで手軽に空腹を満たせる。

 農林水産省の「食料消費の動向」を見ると、2010年の全世帯における食料支出割合は、生鮮食品が27.8%、外食が21.7%に対して、加工食品が50.5%。全食料費支出の約半分が「加工食品」だ。

 安くて日持ちが利き、簡単に食べられる加工食品だが、一方で栄養の偏りや食品添加物による健康への悪影響を懸念する声は以前から根強くある。

 なかでも「超加工食品(ultra-processed food)」と呼ばれるものについては、従来の研究で、肥満、高血圧、コレステロール濃度との関連が示唆されてきたが、摂取と疾病リスクとの関連を示す疫学的なエビデンスは十分ではなかった。

 ところが今年になり「食事の中で超加工食品の割合が10%増えると、全がん及び乳がんリスクが10%以上有意に上昇する」ことを、フランス・パリ第13大学のThibault Fiolet氏らが、大規模コホート研究の結果で報告し注目されている。

みんな普通に食べている「超加工食品」

 ところで「超加工食品」とはどんな食べ物のことだろうか? 今回の研究では、食品を加工程度に基づいて分ける「NOVA分類」を用い、次の4つのカテゴリーに分けている。

①超加工食品

 大量生産され包装されたパン、スナック、菓子やデザート、炭酸飲料や加糖飲料、ミートボールやチキンナゲット、保存料を添加した肉加工品、即席ラーメンや即席スープ、冷凍食品、常温保存できる調理済み食品、家庭で調理する時は加えない添加物(水素添加油脂、加工でんぷん、たん白質加水分解物など)や砂糖や油脂を非常に多く含む食品。

②加工食品

 塩分を添加した野菜の缶詰、砂糖でコートしたドライフルーツ、塩蔵肉、チーズ、包装のない焼きたてパンなど、家庭で調理に使う材料のみをある程度添加した食品。

③加工食品材料

 家庭で最小限の加工食品を調理する時に使われる、塩、植物油、バター、砂糖、その他の食材から抽出された材料。

④生鮮品・わずかに加工されている食品

 野菜、果物、豆類、米、パスタ、卵、肉、魚、牛乳など。

 この基準でいくと、現在コンビニやスーパーで売られている加工食品の多くが「超加工食品」に分類されることになりそうだ。

食べる割合が10%増えると、がんが12%増

 研究グループは、フランスの栄養と健康の関連を調査するNutriNet-Santeコホート(2009~2017年)に参加した18歳以上の10万4980例(年齢中央値は42.8歳、約2割が男性)について、食品の摂取とその後5年間のがん(全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がん)の発症状況を調べることにした。

 最初の2年間に、さまざまな食品3300種類について食事記録から摂取量を収集し、上記のNOVA分類による食品加工の程度に従って4つのカテゴリーに分類した。

超加工食品をさらに細かく分けて摂取割合を調べたところ、最も摂取量が多かったのは砂糖を多く含む食品(26%)、次いで飲料(20%)、でんぷん質の多い食品と朝食用シリアル(16%)、過度に加工された野菜や果物(15%)の順だった。

 また、約5年のフォローアップの後、新たにがんと診断されたのは2228人。その内訳は、乳がんが33%(739人)、前立腺がんが13%(281人)、大腸がんが7%(153人)だった。

 そして、がんの発症率と超加工食品摂取量の関連性を検証した結果、食事中の超加工食品の割合(カロリーではなく重量ベース)が10%増加すると、がん全体のリスクが12%、乳がんを発症するリスクが11%有意に増加したという。

 一方、前立腺がんや大腸がんに関しては、有意な関連性は認められなかった。

 また、加工度の少ない加工食品(缶詰野菜、チーズ、包装されていない焼きたてパンなど)と、がんのリスクについては有意な関連性は認められなかった。さらに、生鮮品・わずかに加工されている食品の摂取量は、がん全体および乳がんの低リスクと関連していたという

米国では総熱量の6割が超加工食品

 超加工食品が、がんになるリスクを上げるのではないかと懸念されている背景には、低栄養価や食品添加物、接触物質、熱処理によって発生する発がん物質など、さまざまな要因がある。

 先進国では超加工食品の摂取量が急速に伸びていることから、研究者たちは「食品加工のどのような面が、がんリスクに影響を及ぼすのかを今後明らかにする必要がある」と述べている。

 では、先進国では、実際どれだけの超加工食品を摂取しているのか?

 欧州、北米、ニュージーランド、ブラジルで行われた調査では、国民の1日のエネルギー摂取量の25~50%が超加工食品に由来することが示されている。特にアメリカでは2年前、国民栄養調査の解析によって驚くほどの超加工食品を消費していることが判明。

 アメリカ人は総摂取カロリーの58%、加えて砂糖の90%を超加工食品から摂っていることがわかった。

 世界保健機関(WHO)では、添加糖の摂取は1日当たりの総カロリーの10%未満を推奨している。アメリカ人が砂糖を減らすためには、超加工食品の摂取量を減らすことが急務だろう。

 もちろん私たちにとっても他人事ではない。忙しさのあまりに、日々の食事の半分を菓子パンやインスタントラーメン、缶コーヒーやデザートで済ませている人も決して珍しくはないはずだ。

 当たり前だが、人間の体は食べ物でできている。加工食品を買う時は材料表示がなるべくシンプルで、加工度の低い商品を選ぼう。また、時間のある時は新鮮な食材を使い、できるだけ一から食事を作るようにしたい。(文=編集部)


 昨日の朝、買ったばかりの携帯をアスファルトの上に落してしまった。開いて画面を見ると何も映らない。ただ縦じまの光が輝いているばかりだ。まだ買ったばかりなので、無償で交換してくれるそうだ。明日宅急便で届くのでカードを入れ替えて送り返してくださいとのことだ。一応ホッとしている。


雨宮処凛がゆく!  第452回 死刑執行

2018年07月13日 | 社会・経済

  雨宮処凛がゆく!    第452回

麻原彰晃をはじめとして7人の死刑執行。の巻(雨宮処凛)

 9マガジン 2018年7月11日

 

 オウム真理教・麻原彰晃をはじめとして7人の死刑が執行された。

 

「オウム事件真相究明の会」の立ち上げ記者会見をしたのが6月4日。それからわずか1ヶ月での死刑執行だった。

  執行前日には、会での打ち合わせが持たれていた。この声明をもとにして、今後なにができるかなどが話し合われた。国会は7月22日まで開かれていることから、国会会期中の死刑執行はないのではないかと思い込んでいた。しかし、死刑は執行された。

 死刑執行を受けて、様々な声が渦巻いている。私はなんだか、呆然としている。地下鉄サリン事件から、23年。死刑執行を伝える報道でも、法廷で麻原が事件についてほとんど語らなかったことから「真相が解明されないままの執行は無念」という声もあれば、真相は解明されている、という意見もある。私自身は、やはり真相が解明されたとは思えない。事件に至る経緯など、オウム幹部の裁判で明らかにされたことは多々ある。また、この国のほとんどの人がそうであるように、私自身はオウム裁判を一度も傍聴していない。事件についての書籍は読んでいるものの、彼らの肉声に触れたこともない。

 ただ、やっぱり今思うのは、なぜ、一介の宗教団体があのような事件を起こしたのか、なぜ、多くの若者がオウムに惹かれたのか、なぜ、「救済」を目指したはずの若者たちが大勢の人の命を奪ったのかについて、明確な答えは得られていないということだ。

 死刑執行を受けて、元オウム信者の言葉を思い出した。それは「オウムが日本一スットコドッコイな宗教だってわかってたんですよ、だから入ったんですよ」という言葉。それ以外にも、私が接した元信者たちは、苦笑とともにオウムの、ある意味「マヌケな」エピソードを語ってくれた。

 本などでも書いているが、私は地下鉄サリン事件後、多くの元オウム信者たちと交流している。事件があった1995年、私は20歳のフリーターで、何者でもなくて使い捨て労働力でしかない自分が嫌で嫌で、そこに中学のいじめの後遺症をずっと引きずって対人恐怖でリストカットやオーバードーズばかりしていて、とにかく生きているのが嫌だった。一言で言えば、どん底だった。

 事件後、報道はオウム一色になり、私は連日浴びるようにオウム報道を見ていた。そしてオウム元信者が出演するイベントなどに出かけては、彼らと朝方まで語り合った。

 周りの友人たちが恋愛と買い物の話くらいしかしない中、オウム元信者たちとは話が合った。自分と同じような社会への違和感や生きづらさを抱えている気がした。そして交流が深まれば深まるほど、元信者が語るオウムと、凶悪な事件との間の溝はどんどん深まっていった。本当にこの人たちが語る教団が、あの事件を起こしたのか? と。

 もちろん、私が接していた元信者の立場もあるだろう。幹部クラスは軒並み逮捕されている中、私が接していたのは事件後に脱会した、ある意味で末端の信者たちだったのだと思う。オウム内での「カラオケ大会で優勝した」という話などから浮かぶのは、まるでサークル乗りの若者たちの日々で、脱会信者の中にはオウムを抜けたものの、「こっちの世界に戻ってきても何もない」と絶望している人もいた。みんな利己的で、お金のことばっかり考えていて、この社会には少しも魅力がない、というような。

 それから20年以上経って、あの頃交流していた元オウム信者たちとの付き合いは気がつけばなくなっていた。私は25歳で物書きとなり、そうして43歳となった今、気づけばあれほど死にたかったのに、死に向かう気持ちは大分薄れている。オウムへの関心は持ち続けてはきたものの、それは事件直後のようなものではなく、司法のあり方や真相解明についてだ。

 「オウム事件真相究明の会」を立ち上げてから、過去の私がオウムにある種のシンパシーを抱いていたことなどについて問題視する声も届いている。当時、そのような感情を抱いていたことは率直に認めるが、今はもちろんない。また、一部ブログなどに、私が作家となる以前の20年前の発言が引用され、それを問題視する意見も寄せられている。地下鉄サリン事件を受け、オウムに入りたかった、など事件の興奮を語ったものだ。これについては本当に撤回したいとしか言いようがないが、背景を少し説明させて頂くと、その発言をした当時の私はフリーターで、自殺未遂者の一人として受けた取材での発言だ。98年、23歳の頃である。そのインタビューが掲載された本が出版されたのが02年。私は00年にデビューしていたが、出版にあたって文章を直したりはしなかった。私にそのインタビューをし、原稿を書いた女性が亡くなっていたからだ。

 もちろん、そんなことは言い訳にはならないことはよくわかっている。ただ、自殺願望の塊だった当時の私は、漠然と世の中を恨んでいた。地下鉄サリン事件が起きた時、強烈に世の中を恨む人が本当に本気で事を起こしてしまったのだ、と戦慄した。もしかしたら私がそっち側にいたかもしれない。加害側にいたかもしれない。絶対的な存在に指令を受けたら、自分だってやってしまったかもしれない。戦慄の中、そう思った。そういう意味では、オウム問題は最初から、私にとっては「他人事」とは思えないものだった。

 それから23年後の今、私の中のシンパシーは消えている。人はそれなりに認めてくれる居場所があり、役割があれば過剰に世の中を恨んだりはしないし自暴自棄にもならない。20年以上かけて、少しずつそれを積み上げてきたことが今の自分を作っている。その過程で、「シンパシー」は消えていった。

  一方で、私はあの時の自分の気持ちを忘れたくはない。そしてあの時期、私と同じようにオウム報道を目を皿のようにして見ていた若者たちの心の中で何が起きていたのかも、決して忘れたくない。上祐ギャルなどという言葉があったように、友人の中には「追っかけ」する者もいたし、オウム事件後にできた友人たちとは会えばずーっとオウムのことばかり話していた。なぜ、あの頃、私たちはあれほどオウムにこだわったのか。オウムに何を見ていたのか。「死のうと思ったことなんてないし、社会を恨んだことなんて一度もない」人とは違う視点から見えてくるものも、きっとあると思っている。

 このように、20年以上かけて、甘え腐った私はなんとか社会に軟着陸したのだと思う。

 しかし、あの頃の私と同じように、生きづらさを抱える若者たちは多くいる。「死にたい」とSNSで発信したことによって9人の若者の命が奪われた座間の事件。そして「死刑になりたい」「誰でもよかった」と口にする無差別殺人事件の犯人。当時は「若者の閉塞感」なんて言葉がよく聞かれたものの、その言葉を聞くことがあまりなくなるほどに「閉塞」は当たり前のものとなった。そして現代の若者たちは、バブル世代の若者がオウムに惹かれたのとは別の、過酷な生存競争に日々晒されてもいる。オウムが信者を増やしていた頃の日本はまだ「一億総中流社会」と言われ、「頑張れば報われる」社会でもあった。しかし、今は格差が広がり、「どれほど頑張っても一定数の人は決して報われない」社会となってしまった。そして生きづらいのは、若者だけではない。

  「もうイスラム国に行くしかないかもしれない」

 後藤健二さん、湯川遥菜さんらがISに拘束されるまで、周りのアラフォー世代から何度かそんな言葉を聞いた。当時はISが恐ろしいほどの勢いで勢力を増していた頃。生活が保証され、給料も出るという話から、冗談交じりにせよ、そう語る友人知人たちの話を聞いていると、彼ら彼女らの背景に「生きる目的への飢え」がちらつくこともあった。先の見えない不安定な生活。それを支える低賃金の単純労働。時給制の使い捨て労働力としてではなく、「マトモな命の使い道」が喉から手が出るほど欲しい、というような。

 同時期、ISには世界中から若者が合流していた。そして2014年、日本から大学生がISに参加するためシリアへの渡航を計画したとして「私戦予備および陰謀罪」の疑いで関係先が捜索されるということも起きた。

 オウム裁判は、今年の1月、すべて終了している。しかし、「オウム的なもの」が入り込む人々の「心の隙間」は、事件当時よりもずっと広がっている気がするのだ。先の見えない不透明な時代だからこそ、「こうすれば幸せになれる」という回答がほしい。そんな思いにつけ込むものが宗教だけとは限らない。

 思えば少し前のこの国では「こうすればそこそこ幸せになれる」というルートはあった。が、今のこの国には「こうすれば幸せになれるどころか、食いっぱぐれないかどうかもわからない」という過酷な現実があるだけだ。

 

 死刑執行の報を受け、そんなことを考えている。


 「命が軽んじられている」、今回の豪雨により、命をなくした方が200人を超えた。さらに行方不明者が大勢おられる。一日も早い発見と安全を期待したい。
 先般の「働き方改革」関連法成立の際も、過労死した家族の悲痛な叫びも政権には聞き入れられなかった。そして多発する「無差別殺人」、「虐待死」・・・・、「世紀末」なのか!
 人を人として認め合う社会を築く新たな経済政策が必要だ。


カジノ法案

2018年07月12日 | 社会・経済

 

古賀茂明「資産家年金生活者をカモるカジノ法 元経産省クレジット信用取引課長が警告」

msnニュース 2018/07/09

 

 カジノ法案の審議が参議院で始まった。このまま行けば、今国会中の成立は確実だ。

 そもそも、カジノがなぜ、日本に必要なのか。

 安倍晋三総理は、カジノで海外からの富裕層を日本に呼び込むという。しかし、自治体の試算などでは、客の7~8割を日本人と見込んでいて、政府の説明とは矛盾している。しかも、この法案によれば、粗利の7割はそれを運営することになるであろう海外のカジノ企業に持って行かれてしまう。

 カジノなどなくても、海外からの訪日観光客は急増中だ。彼らは、日本のパチンコや競馬目当てに来るわけではない。伝統文化、自然、温泉、日本食、アニメなどの文化、田舎の人情などなど、日本の魅力が海外の人々に理解され、多くの人を惹きつけているが、彼らが憧れる「日本的なもの」と「カジノ」は対極にある。

 逆に言えば、カジノが好きな人に日本に来て欲しいと思う日本人はいるのだろうか。観光客の数だけ、あるいは、消費金額を増やすことだけを目的にした政策に意味があるのか、ちょっと考えればわかりそうなものだが、トランプ大統領への貢物としてどうしても成立させたい安倍総理、利権に目がくらんだ自民党と日本維新の会、さらには国民民主党など一部野党の議員たちが、何が何でも今国会中に法案を通そうとしている。もちろん、関係省庁の官僚たちも、21世紀最大の「利権創造」だとはしゃいでいるようだ。

 さらに、残念なのは、自らの知恵のなさが原因でカジノしか思いつかない首長も誘致合戦を繰り広げている。大体その顔触れを見ると、品がなく、自分たちの伝統文化や町の魅力に誇りを持てない人々だと言っていいだろう。このような首長は、「知恵なし、品なし、誇りなし」の三無首長と呼ぶにふさわしい。

■笑える「世界最高水準の規制」

 ギャンブル依存症対策法が6日に成立したが、そんなもので、依存症が防げると思ったら大間違いだ。安倍総理は、世界最高水準の規制を導入するので、心配ないと言うが、この「世界最高水準」という言葉が出てきたときは要注意だ。原発再稼働のために無理矢理再稼働最優先で作った原発の規制基準を当初、安倍総理は、「世界最高」の規制だと言っていたが、欧米の基準の方が日本より厳しいことがバレると、今度は、「世界最高水準」と言い換えた。「世界最高」に「水準」を付け加えて、幅を持たせ、嘘を隠そうとしたのである。

 今回は、やや正直に、最初から「世界最高」ではなく、「世界最高水準」と言っている。それもそのはず。世間が最も注目していた入場規制が緩められ、とても世界最高とは言えなくなったのだ。

 最もわかりやすいのが、日本人などの入場料だ。日本がお手本にしているシンガポールでは8000円なので、当初は、公明党が「少なくとも」8000円と主張していた。しかし、自民党はこれを4分の1値切って6000円で合意した。この時点で、「世界最高」のキャッチフレーズは諦めざるを得なくなってしまった。

他の規制についても、例えば、入場回数の制限は、週3回、28日間で10回という制限を設けて、入り浸りを防ぐなどと言っているが、全く議論されていなかった「カジノで金貸し」を認めるという禁じ手が法案段階で入り、カジノ反対論者を驚かせた。

 法案によると、カジノ施設内では、現金自動受払機(ATM)の設置や貸金業者による営業が禁止されるが、外国人と一定の預託金をカジノ事業者に預けた日本人に対し、カジノ側が賭け金を貸せるというのだ。

 これについても、貸金業ではなく無利子融資で、期限も2カ月だからむやみに借金することはないとか、事前に「かなりの額」の預託金を預けた富裕層にしか貸さないので、金に困った人がのめり込んで生活に困窮するようなことはないなどと反論している。

 理屈を言えばいろいろ言えるものだが、後述するとおり、この規制では大変なことが起きる。それを想像できないような政府では、とてもまともなカジノ規制はできないと考えた方が良い。

■資産家年金生活者を陥れる罠はこれだ

 そもそも、カジノ業者が貧乏人を食い物にするというイメージ設定が間違っている。カジノ業者にとっては、カジノで大金を使わせるのが最大のテーマだ。ターゲットは、貧乏人ではなく、カネがあって、時間を持て余す依存症予備軍なのだ。日本人で「カネがあって時間もある」層と言えば、そう、家持ち貯金持ちの年金生活者だ。

 私は、経産省の官僚時代に3年ほどクレジットカードなどを所管する取引信用課長というポストを経験した。そこでは、個人信用情報機関も所管していたし、いわゆる多重債務者問題にも深くかかわった経験がある。アメリカの消費者金融の実態や規制の状況も現地で詳しく調べたりした。そこでわかったのは、貸金業者は、規制にうまく合わせながら、合法的に消費者の金を吸い上げるということだ。

 そこで、私の経験を踏まえ、カジノ事業の特殊性も勘案したうえで、カジノ業者が今回の法案を前提にして、資産家年金生活者の金を最も効率的に吸い上げようとするのかを考えてみた。

 カジノ事業者は、顧客の行動をカメラやチップのかけ方の記録などで詳細に把握できる。この客はたくさん使う客だ―すなわち依存症予備軍だ―と狙いを定めたら、カジノ業者が繰り出す最初の一手が、預託金勧誘だ。

そのカギとなるのがマイナンバーだ。カジノ法案では、マイナンバーでの入場チェックが義務付けられる。逆に言えば、カジノ業者は何もしなくても全ての顧客のマイナンバーを入手できる。また、カジノ事業者は、法律で、貸金業者や銀行などが運営するメンバー外には利用できないはずの個人信用情報機関へのアクセスが認められる。法案では、顧客の個人信用情報をチェックして貸すように義務付けられてもいるのだ。彼らは、顧客が申し込む時点で、必ず、自宅が持ち家かどうかを確認する。そこで、持ち家だとわかれば、すぐにその時価評価がいくらか調べるだろう。そのうえで、信用情報機関で顧客の情報を調べて、どれくらいまで貸せるかその上限を設定する。

 ところが、この問題で一番重要な預託金の額やその何倍まで貸していいのかという上限倍率規制の内容が法律には書かれていない。ある程度の富裕層に限定するという政府の言葉を文字通り受け止めれば、例えば、預託金の額は最低500万円などという額になるかもしれない。カジノのために500万円預けられるのは相当な富裕層に限られるから安全だと政府は言うだろう。しかし、それは嘘だ。

 カジノ業者は、預託金を預ける顧客にVIPカードを渡して、無料宿泊や無料食事クーポンなどの数々の特典を用意する。預託金は使う義務はないのだから、とりあえず預ければ、特典が利用できてお得ですよという誘い文句につられて、「使わなければいいんだから」ということで預ける人はかなり出て来るはずだ。そのうえで、貸付倍率の上限は、2倍なのか、10倍なのか、それ以上なのか、それが法案には書いていない。一つの目安となるのが、FX取引の証拠金規制だ。これによれば、現在預託する証拠金の25倍まで為替取引できることになっている。500万円の25倍だと1億2500万円だが、それは少し大きすぎる響きがある。これを仮に10倍だとすれば、5000万円が貸付上限だということになる。

 もちろん、貸しても取りはぐれれば何の意味もない。そこで、狙うのは家持ち層だ。仮に顧客が時価5000万円の家を持ち、貯金が3000万円あるとなれば、5000万円貸しても十分に回収できる。こうした層に預託金を預けさせればまずは大成功だ。

■週3回は実は週6日 入場日数規制のまやかし

 次に重要なのは、いかに足繁くカジノに通わせて大金を使わせるかである。私は昨年、ラスベガスのカジノを見学したが、その尋常でない雰囲気の中に長時間いると、自分が、本来は違法である賭け事をやっているという意識が徐々になくなっていくようだ。そこにいる限り、カネを賭けてみたいという欲求が出て来るものである。観光客なら、帰りの飛行機の制約があるが、年金生活者にはそういう制約はない。ついつい長居する者も多くなるだろう。

 それを規制するのが入場回数規制だ。前述したとおり、この法案では、1週間で3回、28日間で10回という上限が設けられている。週3回でも入り浸り状態だと思うが、実は、ここに盲点がある。1回=1日ではないということだ。法案では、一回当たりの滞在可能時間は24時間。その間なら何回でも出入りできる。それを前提にカジノ業者は様々な工夫を凝らしてカジノに「入り浸る」環境を作っていくだろう。

 例えば、このようなことが可能だ。図を見ていただきたい。一日目の月曜日17時にカジノに入り、徹夜でカジノをやる。24時間やって火曜日の17時にカジノを出て、カジノ業者が渡す特典の宿泊券でカジノ外のホテルに泊まり、水曜日の昼頃起きて、これまた業者にもらった無料のビュッフェクーポンで食事を楽しんだ後、再び夕方17時にカジノに入る。翌日の木曜日17時までカジノにいて、またクーポンで金曜日昼まで宿泊し、ビュッフェで食事。夕方17時にカジノに入り、翌土曜日17時までカジノ。その後クーポンで宿泊。翌日日曜昼にホテルを出て、その日はカジノに入れないので、場外馬券売り場などで時間を潰して、クーポンで宿泊。翌日月曜日になると新たな1週間が始まる。

 これを3回繰り返すと、21日間で9回入場となるが、実質的には、21日間で18日入場と言って良い。それでもまだ、28日10回の制限には届かない。そこで翌週月曜17時に入って、翌火曜日までカジノを楽しめる。こうして、23日間で実質20日間のカジノ入り浸りが可能となる。

■「無利息ですよ!」はサラ金の常套句

 これだけ入り浸る顧客で勝ち続けるものはごく少数かもしれない。負けた者の多くは、途中で帰るはずだ。しかし、その中には一定数、止められなくなるものがいることをカジノ業者は熟知している。手持ちの現金が尽きた時、「無利子のチョイ借り」の誘惑が待っている。

 今回の法案では、カジノ業者が資金を貸すことを認めた。競馬や競輪では認められていない禁じ手だ。一方で利息を取ることは禁じた。素人は、それは厳しい規制だと思うかもしれない。しかし、それは全く逆だ。私の経験では、利息が高ければ、借金を思いとどまる人でも、利息なしなら、と借りてしまう人は案外多いのだ。

 さらに法案では、貸付期間は2ヵ月までと書いてある。ちょっと立て替えてもらうという錯覚を起こさせる期間と言って良いだろう。しかし、その後にはとんでもない落とし穴が待っている。2カ月経過すると、いきなり年率14.6%の違約金が発生するのだ。利息制限法では、100万円以上の場合の上限が15%だから、上限ギリギリの「高利貸し」になり、5年強で借金は2倍になってしまう。

さらに問題なのは、この「高利貸し」には貸金業法による貸付金額の総量規制が適用されないことだ。貸金業では、債務者の年収の3分の1を超える貸し付けは禁止だ。他の貸金業者に対する借金も併せて3分の1である。したがって年金生活者の場合、借金の残高が1年間の年金収入の3分の1になったところで貸し付けはストップする。しかし、カジノ業者の場合は、この規制がないから、前述のとおり、数千万円の貸し付けも可能となる。

 気の毒なのは、その家族だ。若い頃からこつこつ貯めて、持ち家も持って、これから余生を楽しもうという比較的恵まれた人たちが、いきなり数千万円の取り立てを受け、家を無くし、蓄えも無くす。一気に貧困者に転落するのだ。

 法案では、本人や家族の申告で、入場拒否対象にしてもらうことができるが、依存症になっている本人はそんなことはしない。また、家族も、気づかなければそういう申し出をすることができない。

 ここで問題となるのが、カジノ業者の貸付だ。もし、現金でしかチップを買えないことになっていれば、資金が無くなるたびに銀行から預金を下ろす必要があり、家族が気付くチャンスもあるだろう。しかし、借金しながら賭け続け、その後違約金も含めて、業者が目標金額に届くまで取り立てに動かなければ、家族は気付きようがない。そして、とりっぱぐれ寸前の段階で、いきなり数千万円の借金の取り立てがやってくる。

 こうしてみると、資産のない金に困った人が顧客の中心である通常の貸金業とカジノ事業者が行う不動産や貯金を保有する人を対象とした「特定資金貸付金契約」(カジノ法案ではこう呼んでいる)とは、全くの別物である。1件当たりの被害額では、後者の方がはるかに大きいのである。

■海外マフィアと日本の警察のどちらが強いか?

 今回の法案には、以上の他にも、カジノ面積規制のまやかし、カジノを監督する管理委員会のまやかし(カジノ事業者が委員になること)など“地雷”になる条項がたくさん盛り込まれている。

 さらに驚くべきは、法案に条文として記載されず、法成立後に政令などで定める条項が先に述べた預託金の金額などを含めて331もあることだ。政令だから国会のチェックがなく、政権与党や内閣府、国交省など、カジノを所管する利権官庁が事業者とグルになって、カジノの運営ルールを決めるという仕組みになっている。

これらに加え、海外マフィアを日本に呼び込むリスクも高い。マフィアと言ってもアメリカ系、イタリア系 中国系、ロシア系などが入り乱れてやってくる可能性がある。これら海外の組織的犯罪グループと日本の警察のどちらが強いのか、よく考えてみるべきだ。安倍総理はトランプ大統領に頼んで、アメリカFBIに日本支店を作ってもらうつもりだろうか。


天気予報が全然あてにならない。今日も一日☁の予報だったのに、夕方まではいい天気だった。明日は雨の予報だ。畑が乾かない。
 この間の低温と日照不足で梨の実が黒くなって落ちている、ブドウの実もいつの間にか消えている。

奥はスイレンの花、手前はジュンサイ。


災害より賭博の議論か

2018年07月11日 | 社会・経済

参院内閣委 カジノ法案 審議入り

   大門議員が批判

   しんぶん赤旗 2018年7月11日(水)

  西日本を中心とした豪雨災害の被害が拡大するなか、自民・公明の与党は10日、カジノ実施法案の参院内閣委員会での審議入りを強行しました。野党は、災害対応に最優先で取り組むべきだと主張。日本共産党の大門実紀史議員は「これだけの大災害が起き、この瞬間も被害が拡大しているときに、災害よりも賭博の議論をしているなどありえない」と政府・与党の対応を厳しく批判しました。

 大門氏は、石井啓一国土交通相には土砂災害に対応する責任があることを指摘し、「災害対応を優先したいという意思は示さなかったのか」とただしました。石井国交相は「私は国会の意思に従っている」などと述べ、災害対応への意思は示しませんでした。

 大門氏は「大臣がそういう姿勢だから同じような災害が何年たっても繰り返される」と指摘。「被災者を出さない、人命を尊重する立場で踏み込んだ検討をするのが政治の役割だ」と強調しました。


 100名を超す人命がなくなり、いまだ多くの行方不明者がいる大災害の中で、人命軽視も甚だしいと言わざるを得ない。カジノ法は廃案に!


「国民の生命と財産を守る」

2018年07月10日 | 社会・経済

歴史的豪雨が分かっていながら首相が酒盛りしていた日本と、大型ハリケーン連発でも死者を出さないキューバの違い

  msnニュース 2018/07/09

   キューバは気象学が発達している。ハリケーンの通り道でもあるこの島にとって、天気予報は命綱だ。おかげで、私が滞在した2008年夏、2つの巨大ハリケーンが直撃した時には、同じハリケーンで100人以上の死者を出したハイチとは対照的に、誰も死ぬことはなかった。キューバではハリケーンが来る前に、気象予測をもとにしっかりとした準備・避難を徹底させたからだ。

 キューバの気象学の発達を裏づけるエピソードを現地の方から聞いた。以前もキューバは天災で多くの死者を出していたという。それは、「天気予報が当たらなかった」のも一因だったらしい。それに激怒した国家評議会議長(元首)のフィデル・カストロが、なんと自ら気象学を猛勉強し始め、気象予報士にあれこれと口を挟みだしたというのだ。

 これで慌てたのが気象予報士である。革命の闘士であり英雄でもある国のトップが自分の専門領域に詳しくなり、あれやこれやと文句をつけてくる。「玄人はだしの独裁者」がいては、専門家もクビが危ない。というわけで、気象予報士たちも文字通り必死になって研究を進め、今では災害予防に絶大な貢献をするようになった。

◆歴史的豪雨が分かっていて酒盛りをする首相の、危機意識とリーダーシップの欠如

 今回の豪雨に関していえば、7月5日夜には豪雨が予想される各地に政府・行政が大々的な警戒を呼びかけ、もともと危ない地域には早めの避難準備を促し、場所によっては避難勧告や指示を出していてもよかった。

 政府がリーダーシップを発揮して、あらかじめ準備を促すよう大々的に手を打っておけば、ここまでの人的被害は出ずに済んだのだ。実際、今回の豪雨に関して気象庁が緊急記者会見を開いたのは、同日午後2時だった。

 ところが、報道などを見て福岡県在住の筆者がすでに避難準備を始めていた7月5日夜のこと。緊急災害対策本部が設置されれば、本来なら本部長として指揮を取らねばならないはずの安倍晋三首相は、自衛隊災害出動の陣頭指揮を取らねばならない小野寺五典防衛相、自然災害からの学びをフィードバックすべき吉野正芳復興相、翌日午前に7人の死刑を執行した最高責任者の上川陽子法相と、議員宿舎の会議室で酒宴に興じていたというから驚くほかはない。その後、非常災害対策本部が設置されたのは8日午前のこと。小此木八郎防災担当相が本部長に就任している。

 報道によると安倍首相は、8日午前に開かれた非常災害対策本部第1回会議で「救命救助、避難は時間との戦い」と述べたそうだが、まさにその通りだ。ただし、救助における時間との戦いは、水害における戦いの「第二幕」である。第一幕は、早めの避難や減災措置によって、失われる可能性のある人命や財産を確実に保証することだった。

 その戦いに挑まねばならないときにその首相自らが酒盛りをしていたから、それに負けたのだ。8日になってから「先手先手で(被災者支援にあたって欲しい)」などと発言したようだが、その時点ですでに後手後手に回っているリーダーが言っても、虚しく聞こえるだけである。

 総裁選を控え、党内のリーダーシップ確保に躍起になっていたのかもしれない。だが、発揮すべきリーダーシップはそこではなかった。災害を目前に控えた一般市民にこそ、それは発揮されるべきものだったのである。

◆優れた災害予測技術をドブに捨てる日本の防災行政

 日本の気象予測の精度は極めて高く、精緻だ。その情報にしたがって、正常性バイアスに惑わされず早めの対策を事前に取っていれば、台風や大雨による河川の氾濫、土砂災害など、水害関連の人的被害はかなり防げる。

 たとえば、私自身が今回の豪雨に当たって避難の参考にしていたのは、主に以下の3つのサイトだ。どれも国の省庁が発表しているものである。

●気象庁:洪水警報の危険度分布https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html

●気象庁:今後の雨(降水短時間予報)https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/index.html

●国土交通省:川の防災情報https://www.river.go.jp/kawabou/ipTopGaikyo.do

 これらのサイトは、スマホがあれば現在地の状況が分かるので、どこにいても使える。洪水警報の危険度分布では、氾濫の危険度が河川ごとに色分けされ、自分の居場所と照らし合わせると、そこがどのくらい危険か、またどちらの方向に逃げるべきかが分かる。

 降水短時間予報を使えば、今後の降水量の見通しが立ち、自分の居場所だけでなく上流地点の降水量も分かるため、数時間後までの避難計画に役立つ。

 川の防災情報は、水位計がある場所の水位がリアルタイムで分かるので、身近な河川の氾濫危険性がよりリアルに分かる。私の場合、自宅近辺に水位計が設置されていたので、その水位を見ながら避難計画を立て、実行に移せた(ただし、これは河川氾濫のみに対する対処であり、土砂災害はこの限りではないことも付け加えておきたい)。

 問題は、せっかく高い精度で今回の雨が予測されていながら、多くの人がそれをスルーしてしまったことにある。そういった情報を利用して、私たち一般市民は自らの身を守るとともに、行政は市民の命を守る行動に出なければならない。

 そのタイミングで、行政府のトップである首相以下関係省庁を所轄する大臣たちが揃いも揃って酒盛りとは、一避難民として言葉もない。せっかく多額の税金を使って防災技術に投資しているのに、それをドブに捨てるようなものだと言わざるを得ない。

◆安倍首相は「国民の生命と財産を守る」ためにやるべきこと、やれることをしなかった

 キューバの例は、単に気象学の発達のみによって天災による人的被害が減るということを意味しない。それを全市民に伝える情報伝達チャンネルがあり、避難を促す社会的仕組みがあり、それを活かす取り組みがあってこそ、初めて気象予測は減災に役立つのだ。

 週に2つものハリケーンに襲われたキューバで、私は3日3晩、水も電気もない状況に置かれてしまった。が、事前に情報が行き渡り、みんなで助け合って準備をしていたおかげで、なんとかしのぎきることができた。同じハリケーンでは近隣国では3桁の死者を出し、水や食料はおろか窓を補強するガムテープにすら事欠くような経済制裁下の困窮状態でも、である。

 日本の場合、この「避難を促す仕組みと取り組み」が不足している。特に「予防的取り組み」に問題があることが、白日の下にさらされた。

 繰り返すが、豪雨が予想されていた地域に住む私が避難準備を始めた5日夜、予防的避難を促す取り組みを全力でするべき最高責任者だったはずの安倍首相は酒盛りをしていた。これでは、精度の高い予測や避難の仕組みがあっても、何の役にも立たない。

 本稿執筆時点で死者・行方不明者は100人を超えているという。今日・明日死ぬかもしれない命を確実に守ることもできないどころか、その責任を放棄した安倍首相は、ことあるごとに「国民の生命と財産を守る」と言っている。しかし、そのためにやるべきこと、やれることをやらなかった。その結果がこれだけの人命の喪失なのだ。

<文/足立力也 コスタリカ研究者

 


日本ーすごいですねぇ!

2018年07月09日 | 社会・経済

BBC伊藤詩織氏告発番組が外国人女性に衝撃。「女性議員までが被害者を叩くのは異様」「日本人の助けは期待できない」の声も

  msnニュース 2018/07/08

  イギリスのBBCで放送されたドキュメンタリー『日本の秘められた恥』が波紋を呼んでいる。ご存じの方も多いだろうが、この番組は強姦被害を訴えた伊藤詩織氏をテーマにしたもので、イギリスを中心とした海外メディアからは続々とレビューや番組内容を紹介する記事が発表されている。

◆110年間変わらなかった強姦罪

 元TBSワシントン支局長で『総理』(幻冬舎)などの著書で知られるジャーナリスト・山口敬之氏から準強姦の被害を被ったと訴えた伊藤詩織氏。二度の不起訴処分を経て現在は民事係争中だが、「#MeToo」ムーブメントと結びつけられ、その動向は海外からも注目されている。

 そんななかBBCで公開されたドキュメンタリーについて、海外メディアはどのように報じているのか?『テレグラフ』の記事には、次のような記述が見られた。

“『法的手段に訴えるなら、そうすればいい』と彼(山口敬之氏)は答えた。『勝ち目はないですよ』。おそらく、彼の自信は安倍晋三首相との親密な関係に拠るものだろう。だが、日本の強姦被害者は全体的に不利な立場にある。警察官のうち女性は8%しかおらず、法律では110年間にわたって、被害者が身体的抵抗を示す必要があった”

 法律的側面から日本の強姦被害を分析する記事はほかにも多く、『ガーディアン』にも同様の内容が。

“日本の強姦罪は1907年から改正されておらず、強姦罪の最低刑期は窃盗罪よりも短かった。日本をグローバルスタンダードにしている統計は、文化的、構造的に女性に対する性的暴行が深刻な問題として扱われていないことを示唆している”

 ’17年まで110年間、強姦罪に抜本的な改革がなかったというのは驚きだ。はたしてどれだけの日本人がその事実を知っているだろう?

“『日本の秘められた恥』はとても観るのが辛いドキュメンタリーである。痛ましく、苛立たしく、悲惨だ。最後には視聴者に、切迫した激動の感覚を与え、そして楽観的に考えれば、大きな文化的シフトの始まりを予感させる”

また、被害者の傷口に塩を塗るような仕組みにも言及している。「セカンドレイプ」という言葉は日本でもかなり認知されてきたが、強姦被害者を助けるどころか、より追いつめるような捜査やケアには問題があると言わざるを得ないと指摘している。

“(番組内で)伊藤氏は警察に行ったときに、何が起きたかを詳細に伝える。加害者に見立てた等身大の人形を使い、マットレスの上で事件時の状況を再現するよう言われ、男性警察官からはなぜ女性警察官に話したいのか説明するよう求められた。都内唯一の性暴力被害者の支援センターには、電話での相談を受けつけてもらえず、2時間かけて直接面談しに来るよう言われたという”

 男性警察官を相手に被害状況を詳細に再現するというのは、相当な心理・肉体的なダメージがあるだろう。

 一部には「日本を貶める番組だ」という意見もあるようだが、伊藤氏の事件を抜きにしても、性的暴行に対して社会がしっかり向き合っているとは言えない。被害を訴えても、それに対してバッシングが起きることも問題のひとつだ。

「男を誘うような服装をするのが悪い」

「勘違いさせるような言動をしていた」

「どうせ、あとから気が変わった」

「賠償金目当ての美人局」

 悲しいかな、いずれも被害者が声を上げたときにネット上などで、よく見られる反応だ。こういった投稿は多かれ少なかれ、どこの国でも見受けられる。だが、公の場で大真面目に主張されることはまずありえない。ましてや政治家がそんなことを語るというのは、先進国では考えられない事態だ。

 しかし、今回放送された番組では、そんな発言がなんと衆議院議員の口から飛び出しているのだ。

『デイリーメール』を筆頭に、多くのメディアは “ある人物”の発言に注目している。

“自民党所属の衆院議員で男女同権主義者を自称する杉田水脈氏は、伊藤氏の主張が嘘で、訴えられた男性側のほうが被害を被っていると語った。伊藤氏が訴えを公にすると、彼女のもとには脅迫がよせられ、ネット上では誹謗中傷を受けた”

 これに対して、杉田氏は自身のブログ上で、番組の内容は「切り取り」であると主張している。たしかに、通常であればこんなことを衆院議員、しかも自分も同じ被害者になりかねない女性が言うことはまずありえない。

“伊藤詩織氏のこの事件が、それらの理不尽な、被害者に全く落ち度がない強姦事件と同列に並べられていることに女性として怒りを感じます。「海外に日本の現状が誤って広がることをなんとか止めたい」インタビュアーの質問に応えながら、そればかり考えていましたが、そこはゴッソリ抜かして編集されたようで、とても残念に思います”(原文ママ)

 本来、セクハラ事件全般についての番組だったはずが、蓋を開けてみれば伊藤氏ばかりがフォーカスされており、自分の発言も意図した形では使われなかった……。ということを伝えたいようだが、このブログを読むとそもそも問題となっている「伊藤氏に落ち度があった」という考えは一貫している。

 杉田氏はツイッター上にも番組で発したコメントを自ら“補強”するような内容を投稿している。

“私は性犯罪は許せない!無理やり薬を飲まされたり、車に連れ込まれて強姦されるような事件はあってはならないし、犯人の刑罰はもっと重くするべきと考えています。

が、伊藤詩織氏の事件が、それらの理不尽な、被害者に全く落ち度がない強姦事件と同列に並べられていることに女性として怒りを感じます”

“もし私が、「仕事が欲しいという目的で妻子ある男性と2人で食事にいき、大酒を飲んで意識をなくし、介抱してくれた男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性」の母親だったなら、叱り飛ばします。「そんな女性に育てた覚えはない。恥ずかしい。情けない。もっと自分を大事にしなさい。」と。”

 杉田氏は「もっと伊藤氏の“落ち度”を叩きたかったのに、当たり障りない部分しか使ってもらえなかった!」と怒っているのだろうか? こういったツイートを見る限り、番組内での発言が杉田氏の意図に反しているとは到底思えないのだが……。

◆「日本人からの助けは期待していない」

 レビュー記事を読んで『日本の秘められた恥』の内容を知った外国人たちは大きな衝撃を受けている。感想を求めたところ、「辛すぎて話したくない」という意見もあったほどだ。

「『男性の前で飲みすぎるのが悪い』なんてことを言う人は、明らかにフェミニストじゃない。こういうことを言う女性がいるのは絶望的で、とても悲しくなりますね。私自身、日本で(性的に)酷い目にあった知り合いを知っていますし、私も嫌な思いをしたことがあります。そういった被害を日本人の人に言わないのは、まさにこういう(杉田氏のような)意見が多いからです。日本人から共感や助けを得られることには期待していません。問題の根底には家父長制があると思います。(伊藤氏のように)声を上げる人が出てきたのは、いいことですね。たとえ酷いことを言われても、声を上げないことには何も変わりませんから」(ノルウェー人・女性・33歳)

 残念ながら、セクハラなどへの意識が低いというのは、日本を訪れたことがある外国人にはお馴染みなっているようだ。ほかにも女性からはこんな意見も。

「なんてことなの!? 『男性と飲むのが間違い』って完全に狂ってる。いまだにこれだけ男女差があるって考えると、とても悲しいし、感情的になってしまいます。女性が自ら立ち上がったのに、レイプなんてたいしたことじゃないと思われているなんて。もちろん、私たち(女性)が弱すぎることもありますが。男性についての悪いことは言えません。私の周りでは、一度もレイプやセクハラを受けたことがないなんて女性は聞いたことがない。とても悲しいことです。男性の被害者もいますが、圧倒的に女性が多いですよね。本当に悲しいです」(デンマーク人・34歳)

 性的被害者の多くが女性だというのは日本に限った話ではない。しかし、その事実に向き合う姿勢には違いがある。「男ばかり責められて」という考え方は少なく、むしろ同じ男性として恥ずかしいという声があがった。

「誰か性的に嫌がらせをされていたり、泥酔して困っていたら助けるべきだよ。酷い話だ。『#MeToo』が日本でアメリカほど機能していないのは、セクハラや暴行は被害者に問題があると思っている人が多いからじゃないかな? 被害を受けること、特に声を上げるのは恥ずかしいことだと思われてるように見える。統計を見ても嘘の被害報告はものすごく少ないから、アメリカでは被害者が本当のことを言っていると信じてもらえる。日本ではどうなっているのかわからないけど、こういったニュースを見たり、本を読むと女性が悪いって風潮が強いみたいだね。今回の番組でも衆院議員が『飲みすぎたのが悪い』って言ってるけど、イカレてるよ。日本もいつか変わると思うけど、かなり時間がかかると思う」(アメリカ人・38歳)

 また、この男性は伊藤氏について次のように語ってくれた。

「どうせ、彼女の話はボロクソ言われるんだろ? しかも彼女はジャーナリストなのに、わざわざ嘘をつくはずないじゃないか。何もかも失って、得られるものはほんの少しの正義だけなんだから。こういったことを(日本の)みんなの前で主張するのは、狂っているかスゴく勇敢かだよ。僕には彼女が狂っているようには見えない。もっとこういう声を上げる人が増えるといいね。問題を無視するのは、加害者を助けるのと同じことだから」

はたして女性までもが被害者を責めるような状況は、いったいいつ変わるのか? 一人でも被害者を減らすためにも、より活発な議論が行われることに期待したい。

<取材・文・訳/林泰人>


規制される「自由」

2018年07月08日 | 社会・経済

世界に逆行…東京新宿のデモ規制は「民主主義崩壊」の表れ

  日刊ゲンダイ 2018年7月7日

 

孫崎享 外交評論家

 

 デモは特定政策に対して国民が自らの立場を表明する貴重な手段であり、世界的に見ると、デモで政治を変えようとする動きが顕著である。

 米国フロリダ州の高校で17人が死亡した銃乱射事件では、銃規制の強化を求めるデモが全米で繰り広げられた。韓国では2016年11月12日、30年ぶりに100万人以上が参加したキャンドル集会(ろうそくデモ)が開かれ、これを機に朴槿恵政権は退陣に追い込まれ、文在寅大統領が誕生。今も高い支持率を維持している。ロシアでも、プーチン大統領の4期目就任式を前に、全土でデモが展開された。

 今や「独裁国家」を除き、世界各地の首都でデモが展開されるのは当たり前だ。ところが日本ではそうではない。

 東京・新宿区は、街頭デモの出発地として使用を認める区立公園を、これまでの4カ所から1カ所に限ることを決めた。区内で行われたデモは昨年度77件あり、うち、60件は今後は使えなくなる3つの公園から出発している。ヘイト行為対策と説明しているが、77件中、ヘイト行為は13件。デモを規制しようとする意図は明らかだ。

 日本各地で行われているデモは今の安倍政権の政策に反対、抗議する目的がほとんどだ。新宿区長が「民主主義を破壊したい」という理念を持っているとは思いたくない。しかし、区長がデモ規制に動けば、政権サイドから「よくやった」と称賛されるのかもしれない。

  民主主義が崩壊する理由のひとつとして、指導者に対する媚びへつらいがある。森友・加計疑惑で明らかになったのは、霞が関官僚が「国民のために何をなすべきか」でなく「安倍首相が喜ぶか否か」を行動基準にして「忖度」していた疑いだったが、それが地方政治にも蔓延し始めたようだ。

 歴史を見ると、「独裁国家」ほど「民主国家」や「人民国家」を標榜するケースが多い。自民党は2005年に「立党50年宣言」を行った。そこでは「わが党は民主主義のもとに」と掲げられていたが、実は政策が「自由」や「民主主義」とかけ離れているからこそ、あえて「自民党」と名乗っているのではないか。

 日本は戦後、民主主義国家の道を歩んできたが、今、あらゆるところで、逆行する動きが表面化している。


 今日はようやく20℃超え、予報に反して一日中☀。それでも露地の畑には入れない。草が伸び放題だ。


ひきこもる女性たち 一歩外へ「勇気がない」

2018年07月07日 | 社会・経済

  道新 07/05

 

 成人になっても長年外に出られず、家にひきこもっている女性たちがいる。多くが「どう生きていいか分からない」「一歩外に出る勇気がない」と悩み、人生に希望を見いだせない人たちだが、「家事手伝い」などと見なされ、社会問題として十分に認識されていないのが現状だ。彼女たちがひきこもった背景には何があるのか。社会で生きていくためにどのような支援が必要なのか。「ひきこもる女性たち」の実態や支援する人たちの姿を追って考えた。

 

■精神的な不調、病気 / コミュニケーションの不安

 

 札幌市内に住むりょうこさん(46)=仮名=は20年間、ほとんど家を出ない生活を続けている。ひきこもりのきっかけは高校卒業後に就職した職場でのいじめだった。りょうこさんが書類作成でミスをすると、上司はりょうこさんにだけ、初めから書き直すよう命じた。同僚から「あなたは会社のお金を横領しそう」と言われたり、通常幹部社員がやる仕事を押し付けられたりしたこともある。「辞めさせたいんだな」と何度も感じた。

 体調を崩し、8年で退社し、それから外に出られなくなった。今も精神科に通い続ける。「何度も死のうと思った。働かなければならないと思うが、外は刺激が強すぎて疲れる。人と会うのも怖い」と語る。

 

 十勝管内在住の千夏さん(23)=同=は小学校3年生で不登校になった。体調を崩してしばらく学校を休んだ後、再び登校すると友達がよそよそしく、勉強も付いていけなくなった。中学校からフリースクールに通い、通信制の高校を卒業し、道央の大学に入ったが、授業の課題や通学が負担になり、中退した。今は地元に戻り、自宅で趣味の絵を描きながら病院でリハビリも続けている。

  「なぜ自分は人と同じようなことができないのか」と自分を責めては落ち込むことを繰り返す。「自分は生きていていいのだろうか」と何度思った分からない。「崩れていく階段を上っている感じ。それでも、何とか一歩踏み出したい。胸を張れる自分になりたいんです」。声を振り絞って語った。

 

 ひきこもりの経験がある女性らでつくる一般社団法人「ひきこもりUX会議」(東京)が2017年にひきこもりの当事者、経験者369人を対象に行った実態調査によると、回答者の平均年齢は37・7歳。ひきこもりの時期は「10年以上」が全体の37%。「生きづらさを感じる」と答えた人は68%に上った。

 また、ひきこもった原因(複数回答)で最も多かったのは「精神的な不調や病気」(70・5%)で、「コミュニケーションの不安」(58・8%)が続いた。

 自身もひきこもりの経験があるUX会議代表の林恭子さん(51)は「ひきこもりの人たちはいじめやパワハラ、不登校などで傷付き、自己肯定感も低い。加えて女性のひきこもりは家事手伝いや主婦という肩書にくくられ、可視化されにくい」と語る。

 林さんたちは昨年から、ひきこもりや生きづらさを抱えた女性たちが各地で集う全国キャラバンを始めた。昨年は札幌など12カ所で開催し、552人が参加した。毎回林さんらが自身の体験談を語った後、当事者たちによる交流会も開かれる。約1時間半の交流会が終わっても、話は尽きず、当事者たちだけで話し込むことも多々あるという。

 林さんは「ひきこもり支援というと就労ありきだが、多くの人は『自分がこれから歩む道が見えず、自分が生きていていいのだろうか』と悩んでいる。まずは一歩を踏み出すきっかけが必要」と語る。

 

 林さんたちの活動をきっかけに、ひきこもり経験者や当事者たちが互いを支え合う場も生まれつつある。6月5日に札幌市内で開かれたUX会議の女子会。終了後、参加者の一人が帰ろうとしていたほかの参加者たちに声をかけた。「札幌で女子会つくりませんか」

 声をかけたのは札幌市内の会社員あやさん(32)=同=だ。中学2年から不登校になり、高校も休みを繰り返しながら、何とか卒業した。「あの時のつらかった経験があるから、今をよりよく生きたいと思える。一人じゃないよ、仲間がいるよと伝えたい」。そんな思いで発した一言だった。

 少し間を置いて声が飛び交った。「やりましょう」「ぜひ誘ってください」。参加者たちがあやさんを囲み、連絡先を交換し合った。小さな輪が少しずつ膨らんでいった。(片山由紀)

 

■長年放置される傾向強く グループセラピー 数十人規模の女子会 効果的

■精神科医・斎藤環さんに聞く

 

 「ひきこもり女性」特有の課題や支援策について、精神科医で筑波大教授の斎藤環さん(56)に聞いた。

 

 ――ひきこもりで苦しむ人は全国各地に大勢います。

 「2016年の内閣府の調査ではひきこもりは54万人いるとされていますが、実際は100万人以上いると見ています。ひきこもりが長期化し、(当事者が)高齢化するケースも多い。先日、ある地方都市の保健師さんと話したら、一つの通りにひきこもっている家が3軒あると言うのです。(家の中は外からは)見えないから分からない部分が大きい。不登校からそのままひきこもりになった人も多く、今後ますます増える傾向にあるのではないでしょうか」

  ――ひきこもりの人の約4割は女性です。女性特有の課題はありますか。

 「日本には男尊女卑の考えが根強く残っています。新卒で就職しない場合も、女性は家事手伝いのような扱いになり、だれも不思議に思わないが、男性だと世間からも批判されやすい。女性のひきこもりは問題にならず、長年放置され、気付いたらアラフォーになっていたというケースも珍しくありません」

 ――ひきこもりUX会議の調査では、「男性に苦手意識がある」と答えている女性は全体の64%を占めます。最近は各地でひきこもりの当事者会が誕生していますが、UX会議の女子会のように女性だけで集まる場も必要なのでしょうか。

 「ひきこもり期の回復段階にグループセラピーは重要なのですが、女性の中には男性への恐怖心が強い人もいます。かつて男性からセクハラやパワハラなど何らかの嫌がらせを受けた経験があって、『男性は生理的に怖い』という意識が埋め込まれているのです。

 そういう人たちは男性がいる当事者会には参加しにくい。でも男性のいない安全な空間で話し合えるなら、行ってみようかという気持ちになれる。UX会議の女子会は数十人規模です。女性は小さい規模だとグループ化してしまうが、数十人の規模だとむしろ分裂しにくいんですね。これは女子会を成功させる重要なポイントだと思います」

  ――子どもの未来を案じて悩む親も多くいます。

 「ひきこもりの子どもと親にとって一番大切なのは『対話』です。そういうと、親御さんは『対話なんて散々しましたよ』っていう。でもよく聞いてみると、対話じゃなくて説得や叱咤(しった)激励なんです。これでは本人に不信感を抱かせ、状況を悪化させてしまうだけです。対等な関係で互いに意見を交換し、相手の思いを受け入れることが大切です。ゴールを求めず、まずじっくり話を聞くことを繰り返してください。本人のいうことを全部受け入れろということではない。とりあえず、親と本人の(考え方などの)違いを理解できればいい。『暴力は振るわない』『渡すお金は制限を設ける』といった親子間のルールを作った上で、できるだけ対話を重ねてほしい」

  ――ひきこもりから抜け出すには、このほかどのような支援が必要でしょうか。

 「就労支援も必要ですが、長いブランクがある人がいきなり就職するのはハードルが高い。トレーニングを積み重ねながら就職にたどり着けるような支援も必要でしょう。就労移行支援制度など既存の支援をうまく使ってほしいと思います。また、就労をゴールとせず、多様な働き方、生き方を許容し、支援するサービスも必要だと思います。当事者会もそうです。都市部では当事者による女子会が誕生していますが、地方にはあまりない。地方でも、当事者たちが安心して集える空間づくりへの支援が重要だと思います」

 

■ひきこもり 広がる支援の輪

  ひきこもりの人や親への支援の輪は全国で広がっている

 帯広市の禅林寺別院(緑ケ丘8)では、不定期でひきこもりの女性当事者を対象にした「女子会」を開いている(問い合わせ先は副住職の高松芳明さん(電)090・8635・9481)。

 また、男女を問わずひきこもり問題全般に対応しようと、全国のひきこもり当事者、経験者たちによる全国ネットワーク「特定非営利活動法人Node(ノード)」が4月に発足した。ひきこもりに関する総合情報ポータルサイト「ひきペディア」(https://hikipedia.jp/)を開設。各地にある当事者や親による団体、ひきこもりを支援する医療・公的機関などを紹介するほか、投稿欄を設けている。

 道内では、札幌市ひきこもり地域支援センターとNPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワークが、6月から当事者と親がそれぞれ定期的に集う会を始めた。札幌市の委託事業で月に1度、市内施設で自由に語り合う。

 

 次の当事者の会は8月6日、親の会は7月23日。いずれも午後1~4時で会場はかでる2・7(札幌市中央区北2西7)。参加無料。問い合わせは事務局(電)090・3890・7048へ。


 活発な梅雨前線による西日本を中心とした豪雨の被害は7日も拡大し、各地で新たな犠牲者が見つかった。5日以降の共同通信のまとめでは、広島県で20人、愛媛県で9人、滋賀、大阪、兵庫、岡山、山口各府県でそれぞれ1人が死亡し、死者は計34人となった。心肺停止状態で見つかる人も相次ぎ、安否不明者は50人以上。(共同通信)

 多くの犠牲者を出した豪雨。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。これ以上の被害が出ないことを祈ります。

 今朝の最低気温も7度くらい。寒い日が続いています。今朝見た予報では今夜からまた雨の予報だったのでハウスもしっかり閉めて帰ってきました。ところが今見ると傘マークはなく、朝の2時間ばかり日が出るようです。
ようやく咲き始めました。

これはホタルかな?
今度夜に来てみよう。

 


検察よ、矛先は不正入学局長だけか

2018年07月06日 | 社会・経済

怪しい補助金は他にも 検察よ、矛先は不正入学局長だけか

  日刊ゲンダイ 2018年7月6日

 文科省の局長が、私立大学支援事業の対象校に選定されることの見返りに自分の子を入試で合格させてもらった受託収賄の疑いで逮捕された件に驚き、怒りを感じた国民は多かったのではないか。といっても、それは事件の悪質性に関しての驚きではない。

 もちろん、文科省幹部が補助金をエサに不正入学を依頼するなんて言語道断。論外である。容疑が事実ならば逮捕・起訴されて当然だ。しかし、検察は他にもっとやるべき案件があるだろう。政権中枢には決して切り込まず、巨悪は眠らせたまま、ケチな不正入学に矛先を向けるのか。そういう驚きと怒りだ。

  東京地検特捜部の発表などによると、前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者は、官房長だった2017年5月、東京医科大から私大支援事業の対象校に選定するよう依頼を受けた。その見返りに、息子が今年2月に同大を受験した際、点数を加算して合格させてもらった疑いがある。

東京医科大側は、トップの臼井正彦理事長が関係者を通じて便宜を図るよう依頼。鈴木衛学長も加わって、佐野容疑者の息子を不正に合格させるよう指示したとみられる。在宅での捜査が続いている理事長と学長は、事件への関与を認めているという。

 事件の舞台になったのは、文科省が16年度から開始した「私立大学研究ブランディング事業」という支援事業だ。独自の研究に取り組む私大に補助金を支給する。交付期間は3年間から5年間だ。

 東京医科大は17年度に応募のあった188校の中から選ばれた60校のうちの1校で、まずは1年分の補助金として3500万円の交付を受けている。

 ■東京医科大はダメで家計学園は2校も選定

 「東京医科大はこの前年の16年度も応募したが、ダメだった。それで、文科省の偉い人に口利きしてもらおうと考えたのでしょう。決して許されることではありませんが、こんなケースは山ほどあるのではないか。安倍政権は政治主導の名のもとに、従来の仕組みやルールを無視して、親しい人や、自らの政治目的に共鳴する同志に便宜を図ってきた。行政のトップがそんな態度だから、役人も真似をする。行政私物化の表れです」(政治学者の五十嵐仁氏)

   実は、東京医科大が選ばれなかった16年度は、加計学園が運営する大学が「私立大学研究ブランディング事業」に選定されている。198校の応募があり、選定されたのはわずか40校。そのうち2校が加計学園系列だ。

  獣医学部新設で注目された岡山理科大は「恐竜研究の国際的な拠点形成」で認定。創立10周年記念行事に安倍首相が駆けつけて、加計理事長を「腹心の友」と呼んだことで知られる千葉科学大は「『大学発ブランド水産種』の生産」で選ばれた。同じ学校法人から複数選ばれたのは、加計学園だけだった。

 加計学園は14年度の文科省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」の対象校にも選ばれている。申請があった237件から25件が選ばれ、その中に加計学園が運営する千葉科学大学と倉敷芸術科学大学の2件が入っているのだ。

 また、ほとんどの私学は国から私学助成金の交付を受けているが、17年度の交付額を見ると、東京医科大も加計学園も、大学の規模に比べて交付額が多いようにも見える。東京医科大の約23億円は助成金を交付された573大学の中で上から25番目の額だ。加計学園の岡山理科大は約10億円で、59番目の多さである。

「そこに口利きや忖度はなかったのか。国民が疑念を抱くのは当然です。文科省の局長の口利きがすんなり通るのだから、官邸や首相の意向ならなおさらだと考える。同じ文科省の案件でいえば、加計学園は総理の威光なのか意向なのか、自治体に嘘をついて獣医学部新設にこぎ着け、100億円規模の補助金をだまし取った疑いが浮上しても特捜部は動かない。

  森友問題でも総理夫人との関係で国有地が8億円も値引きされた。それを隠すための公文書改ざんも明らかになったのに、誰もおとがめなしです。政権中枢に切り込まず、国民の信頼を失った検察が、誰でもいいからキャリア官僚を捕まえて名誉回復を図ろうとしたのが、今回の事件ではないか。

  文科省の局長が、たった3500万円の案件で逮捕されたのは、総理のオトモダチではなかったからと言うほかありません」(五十嵐仁氏=前出)

  下村元文科相の献金問題はウヤムヤにされてしまったが、この政権では学校がらみの怪しい話が多い。それは、あからさまに教育現場に国家権力が介入する政治姿勢と無関係ではないだろう。

   安倍政権は国立大に対し、文学・人文科学系学部を廃止して、実学重視に組織転換することを要請している。物事の本質を考えるようなインテリは要らない、企業が金儲けできる人材を育成しろということだ。

 一方で、軍事研究の助成費用は大幅アップ。軍事への応用が期待できる基礎研究を行う企業や大学に研究費を助成する防衛省の「安全保障技術研究推進制度」で、昨年度の予算は110億円と、前年度の6億円から18倍に増やした。

 しかも今年度から、経営が悪化して教育の質が低下している学校法人への私学助成金を大幅にカットする仕組みを導入。教育内容が評価された場合は、補助金をアップすることもあるという。

 

■補助金も犯罪も基準は権力者との距離

  教育内容の良し悪しなんて、誰がどう判断するのか。

   この少子化で、どこの私学も経営が厳しい。そこへ助成金というアメをぶらさげられ、補助金事業の対象は政権の胸ひとつで決まるとなれば、政府の方針に沿うような学部や研究に注力するようになる。権力者に取り入って口利きしてもらおうと考えるヤカラも出てくる。

  「幼稚園から日の丸、君が代で愛国心を植え付け、道徳の教科化で小中学校で国家主義的な思想を叩き込む。さらには大学教育の自主性を蹂躙して、安倍首相は教育現場への国家統制を強めている。

  森友学園の籠池前理事長が夢見た神道系で教育勅語を教える小学校は、首相の理想だったはずです。国会で『私の考え方に共鳴している』とまで言っていたのに、存在が邪魔になると大阪地検特捜部に身柄を拘束させ、300日も拘置所に閉じ込めてしまった。

 しかも、森友問題で公文書改ざんを不問に付した特捜部長は函館地検の検事正に栄転です。露骨な論功行賞で、検察官僚も官邸の言いなりなのです。そこに正義はありません。今回、文科省の局長が逮捕されたのも、何か裏があるのではないかと勘ぐってしまう。例えば、安倍首相の“腹心の記者”で準強姦もみ消し疑惑もある山口敬之氏が関わっていたスパコン詐欺事件で、助成金の闇を知っていたのか。

あるいは、霞が関全体に対して、都合の悪い文書をこれ以上は出すなという脅しなのか。いずれにせよ、モリカケ問題と比べたら、あまりに小粒な事件でバランスを欠く。小悪で巨悪を隠そうとしているようにしか見えません」(政治評論家・本澤二郎氏)

  補助金の額も犯罪構成要件も、権力者のオトモダチかどうかで決まるとしたら、それはもう民主主義国家でも法治国家でもない。その片棒を検察組織が担いでいる醜悪。今回の事件で、どこからも「快哉」が聞こえてこないのは、検察が官邸の犬だということを自ら露呈しただけだからではないのか。


 久しぶりに太陽が出たって感じです。それでもすっきりした晴れではなく曇ったり、薄雲だったりでした。最高気温も20度に届かず、今朝は6.5度まで下がりました。
 しばらく雨が続いたので畑には入れません。むこうのハウスで定植作業と草刈でした。
ところで、刈払機の調子が悪い、エンジンがかかりにくい、ふかしても止まってしまうという方、使っている混合油はいつ作りましたか?2か月以上前に混合し、携行缶以外に保存しているのであれば刈払機の燃料タンクほぼいっぱいに対し、大さじ1杯ほどの生ガソリンを加えてみてください。これでほぼ解決します。お試しください。


司法の自殺

2018年07月05日 | 社会・経済

大飯原発控訴審 司法は判断を放棄した

  東京新聞 社説 2018年7月5日

 住民の「人格権」を尊重し、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のためにある? 

 「福島原発事故の深刻な被害の現状に照らし、原発そのものを廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否を巡る判断はもはや司法の役割を超え、政治的な判断に委ねられるべきだ」と名古屋高裁金沢支部。結局は判断の放棄であろう。

 福島の悲惨な現状を認めた上で、判断を放棄するのであれば、「司法の役割」とは何なのか。

 二〇一四年の福井地裁判決は、憲法一三条の幸福追求権などに基づく人格権を重んじて「具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然だ」と言いきった。

  福島原発事故のあと、初めて原発の運転差し止めを認めた画期的な判断だった。

 高裁はこれを「内在的な危険があるからといって、それ自体で人格権を侵害するということはできない」と一蹴した。

 内在する危険に対して予防を求める権利は認められないということか。あまりにも不可解だ。

 控訴審では、耐震設計の目安となる揺れの強さ(基準地震動)の妥当性、すなわち、原発がどれほどの揺れに耐えられるかが、最大の争点とされていた。

 元原子力規制委員長代理で地震学者の島崎邦彦東大名誉教授は法廷で「基準地震動は過小評価の可能性があり、大変な欠陥がある」と証言した。

 それでも高裁は「高度な専門知識と高い独立性を持った原子力規制委員会」が、関電側がまとめたデータに基づいて下した判定をそのまま受け入れた。そして「危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されているといえるから、運転を差し止める理由はない」と断じている。

  ここでも規制委と関電の主張を丸のみにした判断の放棄である。

  それにしても、今や原発の危険性を測る“ものさし”になってしまった「社会通念」。その正体は何なのか。

 避難計画の不備や核のごみ問題などどこ吹く風と、政府は再稼働に前のめり。司法が自らの責任を棚に上げ、政治に委ねるというのなら、もはや「追従」と言うしかない。

  「内在する危険」に対する国民の不安は一層、強まった。


フェイクとヘイト

2018年07月05日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!第451回:

『フェイクと憎悪』との向き合い方。

       の巻(雨宮処凛)

 

 マガジン9  2018年7月4日

 BBCが制作した、伊藤詩織さんを追ったドキュメンタリー番組『日本の秘められた恥』を観た。

 観ながら、何度か言葉を失う瞬間があった。それは、詩織さんをよく思わない人たちによる明らかな二次被害。特に自民党・杉田水脈氏の、詩織さんに「落ち度がある」というような発言には、目の前が暗くなるほどの絶望を覚えた。そしてネット番組で詩織さんを嘲笑するように振る舞う杉田議員や他の女性たち。

 詩織さんをバッシングする男性に関しては、もはやなんとも思わない程度には世の中に絶望している。しかし、女性たちが詩織さんを嘲笑する姿を見ると、怒りではなく胸がざわざわする。どうして彼女たちはそのような振る舞いをするのか。そうさせているのはなんなのか。この国に女として生まれ、生きていれば多くの人が性被害を経験している。私は詩織さんを笑う女性たちが、奇跡的にそのような経験をしなかった「幸運な」女性たちにはまったく見えない(実際、杉田氏もいろいろな目に遭ってきたことは認めている)。逆に、レイプ被害を訴える彼女を笑い、「なかったこと」にすることで痛みを麻痺させているような、そんな構図まで浮かんでしまう。

 この番組は、ある意味、日本が「ここまで来てしまったのか」と愕然とするものだった。が、それは何も今に始まったことではない。ゆっくりと、しかし確実に準備されていた。だけど、私はある時期まで、それらを「見ないふり」をすることによってやり過ごしてきた。「相手にしない」という作法を取ることによって、「そのうちおさまる」なんて、なんの根拠もなく思っていた。が、今思う。それはなんて甘かったのだろうと。

 

 そう思うのは、『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』を読んだからだ。

 

 沖縄の反基地運動を恐ろしく歪めて報じた「ニュース女子」問題。書店で売れる定番となった「嫌韓・嫌中」本たち。マスメディアに溢れる「反日」「売国」といった言葉。そして「ニュース女子」で槍玉に上げられ、ドイツへの移住を余儀なくされた辛淑玉さんや、慰安婦報道をめぐって大学教員のポストを奪われ、家族まで危険に晒された元朝日新聞の植村記者。一方で、思想など一切関係なく、「金になる」という理由だけでフェイクニュースを作成し、拡散させる人々。

 それぞれ、知っていたし問題視していたことだ。が、まとまった形で突きつけられると「この国はここまでひどい状況になっていたのか」と愕然とする。『フェイクと憎悪』では、13人のジャーナリスト、メディア人がそれらを検証する。

 「テロリスト」呼ばわりされるなどの形で歪曲されて報じられる沖縄の反基地運動。歴史修正主義と陰謀論が蔓延する保守論壇の劣化。嫌韓本やヘイトを全面に出した記事が予想以上の売れ行きを示したことからエスカレートしていくブーム。「韓国は叩け! さもなければつけ上がる 稲田朋美×片山さつき」といった対談が自民党議員によって堂々となされ、問題にもならない状況。

 著者の一人である川端幹人氏は、1990年代後半、「新しい歴史教科書をつくる会」が登場した頃まで振り返って保守論壇の変化を読み解く。そこに浮かび上がるのは、「本が売れない」出版業界の斜陽化という身も蓋もない現実だ。

 「1990年代後半の『つくる会』や2000年代前半の拉致問題で保守論壇に起きた変化と、2012年から2013年にかけて起きたことは、根本的に性質の異なるものだ。前者は『右翼運動との一体化』が原因だったが、後者は明らかに『売る』こと、ビジネスを目的としたヘイト化でありネット右翼化だった。そして、出版業界のこの『売るための劣化』はその後も進行し続けている」

 そして保守論壇を、安倍政権は最大限、利用する。川端氏の原稿によると、この5年と少しの間に安倍首相が保守論壇誌に登場した回数は「『正論』には三回、『WiLL』にはなんと五回。二年前に創刊したばかりの『Hanada』でもすでに一回、インタビューが掲載されている。一国のトップが特定メディアで単独インタビューに応じるだけでも公平性を欠くとの批判があるのに、現役の総理がヘイトや歴史修正主義も飛び交う極右雑誌の取材や企画をこんなに頻繁に受けるというのは、前代未聞だろう」

 しかも、自身が再び総理の座に返り咲くのを応援してくれた保守論壇の人々への恩返しに、安倍首相は彼らに「公的地位」まで与える。

 百田尚樹氏長谷川三千子氏をNHK経営委員に就任させ、首相の諮問機関・教育再生実行会議に八木秀次氏、中央教育審議会委員に櫻井よしこ氏、「日本の美」総合プロジェクト懇談会座長に津川雅彦氏、規制改革推進会議委員に長谷川幸洋氏と、安倍応援団が次々と就任。また、道徳教科化を巡る動きでは八木秀次氏らの提言が元になったそうなのだが、八木氏は「日本教科書株式会社」なる道徳教科書専門の出版社を設立。同社の道徳教科書は2019年の検定に合格しているという。さらに2018年にはアパグループ傘下の財団が創設した「アパ日本再興大賞」なる表彰制度を、内閣府が「公益目的事業」として認定していたことが明らかとなる。アパグループと言えば、「南京虐殺はなかった」とする著書をホテルの部屋に置くなどが問題になった一方で、会長が安倍首相のビッグサポーターであることは有名な話だ。

 さて、このように政権とがっちり組んだ動きがある一方で、「小遣い稼ぎ」のためにヘイトを煽るフェイクニュースを量産する者もいる。例えば2017年、2万件以上シェアされた「韓国、ソウル市日本人女児強姦事件に判決 一審無罪へ」という見出しの記事。このニュースを報じたサイトを運営するのは25歳の無職男性で、サイトに掲載されているすべてのニュースがでまかせだったという(『フェイクと憎悪』/「フェイク」と「ヘイト」のスパイラルに抗するには BuzzFeed Japan編集長 古田大輔)。目的は、政治的なものではなく純粋に、金。韓国へのヘイトを煽る記事が拡散されやすいことから、広告収入のためにそのような記事を作ったのだという。彼がこのような「小遣い稼ぎ」の方法を知ったのは、アメリカ大統領選のニュース。アメリカから遠く離れた東欧マケドニアの若者たちが、小遣い稼ぎのために、トランプ陣営に有利でヒラリー陣営に不利なフェイクニュースを量産していたことを報じた記事から思いついたのだという。

 明らかな「デマ」が一人歩きする。それは「ニュース女子」でも露呈した。反基地運動の活動家が救急車まで止める、などと「悪質極まりない行動」が番組でまことしやかに語られたのだ。が、MBS報道局番組ディレクターの斉加尚代氏は、このデマを検証している。調べたところ、デマの発信者は沖縄在住の災害看護師であり、後日、「デマだった」と謝罪したというのだ。

 が、ネット社会で恐ろしいのは、このようなデマを発信者が「デマだった」と否定したとしても、拡散し続けてしまうことだ。斉加氏は、以下のように書く。

 「デマを流しているのはなにも特別な人たちではない。消防本部の責任あるトップが何度否定しても、その事実をなお受け入れようとしないのはなぜだろう。彼らは、見たいものだけを見ているようで、そのほうが楽だからか。あるいは、強い者の側に立って誰かを叩けば、少なからず満足感を味わうことができるからだろうか。事実に基づかない情報に引き寄せられる、感情だけでものごとを判断する、そんな風潮が強まっていく社会は、いずれにせよ危険だと言わざるをえない」

 前述した古田氏の原稿によると、2018年3月に公開された研究「The Spread of True and False News Online(オンラインでの真実と嘘のニュースの拡散)」でtwitter上でのニュース拡散を調べたところ、嘘のニュースは真実のニュースより70%高い確率でリツイートされていたという。

 「特に、斬新で奇抜な嘘ニュースほどリツイートされる確率が高かったという。正確で淡々と記された真実よりも、斬新で奇抜な嘘を好む。情報の受け手の態度もまた問われている」

 『フェイクと憎悪』を読みながら、この流れ、止めるのって無理じゃないか? と何度もため息をついた。人は自分の見たいものしか見ないし、知りたいことしか知ろうとしない。つまらない「真実」よりも、面白い「嘘」の方に魅力を感じる。これはおそらく誰の中にもある特性で、その特性とネットは相性がとてもいい。おそらく、フェイクやヘイトの拡散にしても、悪意があるのは一部で、加担してしまう大勢の人たちは、そのことによって「誰かが死ぬほど傷つく」なんて考えてもいないのだ。嘘の情報の拡散によって、誰かの人生がねじ曲げられるなんて、想像もしていないのだ。だからこそ、やっかいなのだ。

 

 そんなことと、巧妙に「金儲け」の論理や政権の思惑が混じり合って、今の状況を作っている。

 

 私がショックを受けたのは、沖縄での機動隊員による「土人」発言のあと、大阪で開催された「機動隊員を偏向報道から護るデモ」での一幕の描写。自民党の長尾敬議員らが祝電を送ったということにも驚いたが、斉加氏は、「沿道のおばちゃんの言葉」が胸に深く刺さったと書いている。

 「『(機動隊員に)暴言吐いている人たちのほうがひどい。私だって、客からクレームつけられたら言い返すわ』。おばちゃんは『私らネットからも情報を得てる』と語った」

 既存のメディアではなく、ネット情報に「真実」を見るという心性はわからないでもない。が、斉加氏は、基地反対運動の番組について、視聴者からの意見に「現場へ行って調べろ」ではなく「ネットを見ろ」「ネットで調べろ」というものが複数あったことへの驚きを隠さない。

 「ネットを見ろ」。プロの取材者に吐く言葉ではないが、多くのメディア人が同じような経験をしているのではないか。考えてみれば私も、生活保護バッシングや在日特権などということを言う人からそのような言葉を吐かれたことがある。お前は何もわかっていない。ネットにこそ正しいことが書かれているのになぜそれを見ようとしないのだ、と。

 これまでは、「ああまた来たか」という感じで深く受け止めていなかった。しかし、おそらくそれではダメなのだ。

 

 フェイクと、ヘイト。自覚なき加害と、巨大な権力の思惑の間で歪められる真実。

 

 これらの問題への向き合い方について、改めて、深く深く、考えている。


 とうとう北海道にも梅雨が始まった。正真正銘の梅雨前線の北上である。普段なら本州の梅雨の時期、北海道ではカラッと晴れた過ごしやすい季節なのだ。さらに蒸し暑いのではなく、肌寒いのだ。
今の気温10度。まだストーブが手放せない。
明日はようやく陽が出るようだ。仕事は進まず、雑草は急成長中。


善悪の判断ができなくなってしまった?

2018年07月04日 | 社会・経済

日本を私物化して開き直る安倍夫妻の異常

 2人とも大事な何かが欠落している

  PRESIDENT Online  2018.7.2

 

元木 昌彦(もとき・まさひこ)ジャーナリスト

   1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。

 

   「真実ではないこと、偽りのこと。極論でいえば、嘘というものは、それを発言した人にとどまることなく、第三者、他人をまきこんでいく」。愛媛県の中村時広知事は5月11日の記者会見でそう話した。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏は「嘘をつき続ける安倍首相の言動は異常だ。また公私をわけられない昭恵夫人の行動も理解できない。2人とも人間として大事な何かが欠落している」という――。

 

安倍晋三という政治家をひと言で表す漢字は「嘘」だ

  12月に京都・清水寺で発表される今年の漢字は「嘘」に決定した。

   それ以外にないと、私は思っている。これに似た漢字「偽」が選ばれたのが、年金偽装問題が起きた2007年であった。これは第一次安倍内閣の時だ。安倍晋三という政治家をひと言で表す漢字に「嘘」ほど適切な言葉はない。

   歴代総理で嘘をついた人間は数多いる。筆頭は佐藤栄作であろう。彼は沖縄返還を急ぐあまり、アメリカからは「核付き返還」といわれたにもかかわらず、「核抜き本土並み返還」だと国民を欺き、ノーベル平和賞まで授与されてしまうのである。

   ここまでスケールの大きな嘘だと、沖縄返還という大義名分があるから仕方ないかと、騙されたほうもため息をつくしかないのかもしれない。

 

「公約は嘘だった」といってのけた小泉元首相

   もう一人あげるとすれば小泉純一郎である。竹中平蔵を経済財政政策担当大臣に据え、派遣法改悪を含む格差拡大政策を取り、非正規労働者を激増させ、貧しい者をより貧しくしてしまった"元凶"である。

 私が小泉を許せないと思うのは、この発言である。

   総裁選出馬の時に公約した「国債30兆円枠」を守れなくなると、衆院予算委員会で「大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない」といい放ったのである。

 時の総理があの公約は嘘だった、破ってもいいといってのけたのだ。麻生太郎・財務相も真っ青の、狂気ともいうべき大暴言であるはずだ。

 だが不思議なことにメディアの追及は甘く、小泉はそれからも放言を重ねた。当時のブッシュ大統領がイラク進攻の名分にした「大量破壊兵器」に、根拠もなくいち早く賛成した。後にアメリカが嘘だったと認めたのに、私が知る限り、小泉自らが誤りを認めて謝罪したという話は聞いていない。

   在任中には原発を容認しておいて、今になると反原発をいい続けていたかのように振る舞う。この男には政治家に最低限必要な節操というものがない。

   この二人に比べると安倍の嘘はスケールが極めて小さい。だからといって罪が軽いというわけでは決してない。

官房長官や大臣、秘書官、官僚までが嘘に嘘を重ねている

   妻・昭恵が親しくしていた森友学園理事長の国有地購入に便宜を図ったこと。安倍の腹心の友である加計学園理事長の進めていた獣医学部新設に安倍自らが便宜を図ったことは、ほぼ間違いない事実なのに、安倍夫妻は嘘をつき続け、しらを切りとおしている。

   最高権力者がついた嘘を、周りが寄ってたかって糊塗(こと)しようと、官房長官や大臣、秘書官、官僚たちまでが嘘に嘘を重ねてきているのである。異常というしかない。

   集団思考の研究で有名なアーヴィング・ジャニスは、大統領とその側近がいかに優秀であっても、集団になるとばかげた意思決定をしてしまうことがあると、ベトナム戦争時のトンキン湾事件やウォーターゲート事件を例に出して分析している。

   まして優秀ではない権力者が保身のために嘘をつけば、つじつまを合わせるために、官僚たちが文書改竄という犯罪的行為にまで手を染めてしまうのである。

   愛媛県の中村時広知事は5月11日の記者会見でいみじくもこう指摘した。

  「真実ではないこと、偽りのこと。極論でいえば、嘘というものは、それを発言した人にとどまることなく、第三者、他人をまきこんでいく」

   困ったことに、嘘も百万遍いい続ければ嘘ではなくなるという空気、「安倍症候群」とでもいうべきものが日本中を覆い尽くしているのだ。

 茂木経済再生相、内田日大監督、小池都知事……

   今年に入ってからも、茂木敏充・経済再生相が地元の有権者に線香を無料で配布していた件で、個人の名前は書いていないから公選法違反にはならないと嘘をついた。

   日大アメフト部の内田正人監督は、自軍の選手に、相手の選手にけがを負わせるよう指示したが、内田は記者会見で「指示はしていない」と否定し続けた。内田は日大の人間に「否定し続ければそのうち忘れる」と嘯いていたと報じられている。

   福田淳一・財務事務次官は、テレビ朝日の女性記者へのセクハラ発言を録音され、週刊新潮がその音声を公開したのに、「オレの声ではない」と嘘をつき続けた。

   小池百合子・東京都知事は、これまで経歴に「カイロ大学を"首席"で卒業」と書いてきたが、文藝春秋に「コネ入学であり、卒業していないのではないか」と報じられた。会見で小池は、卒業したことは事実だとはいったが首席については黙して語らなかった。

 安倍首相にも「経歴詐称」の過去がある

   (省略)

 極めつけは安倍の"嘘友"加計学園の加計孝太郎理事長の記者会見であった。

「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」

  問題が起きて以来、逃げ隠れしていた加計が会見を開かざるを得なくなったのは、加計学園が獣医学部新設を進めるためについた嘘について申し開きするためだった。

  15年3月、愛媛県に学園側が説明する時、学園側の人間が2月25日に加計理事長が安倍首相と面会し、獣医学部新設について説明した際、安倍が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」といっていたと説明していたのである。

 愛媛県側に残されていた文書にはっきりそう書いてあった。そこで慌てた加計学園側は、話を前に進めるために嘘をついたといい出したのである。

 首相の名前を使って相手に圧力をかけ、それがバレると嘘だったと臆面もなくいい出す輩が、教育者の仮面をかぶっているのだ。

 「2月25日の記録が残っていないというのは考えにくい」

  しかし名前を騙られた安倍は怒りもしなかった。やはり加計との間であのようなやりとりが実際にあったのだろう。そう思うのは私だけではないはずだ。そうした空気が蔓延することを恐れた安倍が、加計に「あんたが出て釈明しろ」といったのではないのか。

  ようやく会見に出てきた加計だったが、記者クラブへの通告は2時間前、時間は30分、地元記者に限るというさまざまな制限を付けた。

 そこで加計は、部下が嘘をついた、安倍とはその日面会していない、当日の記録はないと全否定したのだ。記者も核心を突く質問ができず、加計は間違いなく嘘をついているという印象が強く残っただけの会見だった。

  ノンフィクション作家の森功は、昨年5月に文藝春秋で「安倍首相の腹心の友の商魂」を書いた際、加計側から猛烈な抗議を受けた。その際、加計側は理事長の詳細なスケジュールを出してきたと日刊ゲンダイで話している。それなのに「15年の2月25日の記録が残っていないというのは考えにくい」(森功)。

 すべては17年2月17日、衆議院予算委員会で、森友学園に対する国有地払い下げに昭恵が関与しているのではないかと聞かれ、思わず口走ったこの言葉が発端だった。

 「私や妻が関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」

  森友に続いて加計学園問題も追及され、いったんついた嘘に嘘を上塗りして、身動きが取れなくなってしまったというのが実態であろう。

 

「昭恵さんを慰める会」に集まった保育業界の思惑

  その昭恵に新たな疑惑があると週刊文春(7/5日号、以下文春)が報じている。

  6月2日、山口県下関市の割烹旅館「春帆楼」に昭恵が6人ほどのSPを従えて入っていった。「帝の間」で待っていたのは保育サービス業大手「ポピンズ」の中村紀子会長(69)と森まさこ参院議員(53)だった。

  3月に開催された「ポピンズ」の30周年パーティで、昭恵は乾杯の音頭をとっていたそうだ。この日は中村が音頭をとり「昭恵さんを慰める会」を名目に、3万円コースのふぐを食らい、たらふく飲む会だったという。

  文春によれば、第二次安倍内閣発足後に中村と昭恵は親しくなり、毎月のように飲んでいるそうだ。中村には当時、ぜひとも安倍首相に近づく必要があったというのである。中村はテレビ朝日にアナウンサーとして入社し、結婚、出産を経て退社した。

  87年に娘をベビーシッターに預けて苦労した経験から、富裕層向けのベビーシッター業を始めた。その後、保育施設運営に乗り出そうとしたが、厚労省の岩盤規制にぶち当たったという。

 

目的は「官邸主導の国家戦略特区制度の活用」

  一方安倍首相のほうは、アベノミクス新三本の矢として「待機児童解消加速化プラン」を打ち出す。そこで中村は安倍に近づき、岩盤規制を打ち破ろうと画策するのである。

  女性経営者の交流団体(JAFE)を再始動させ、13年12月の発会式に安倍を呼ぶことに成功する。16年4月にはJAFEのセミナーで昭恵が講演している。

  中村のもくろみは、認可保育園の場合、職員は全員保育士資格を持っていなければならないのだが、この規制を緩和して、保育士不足で進まなかった保育施設の増設を進め、国や自治体から手厚い補助金給付を受けられないかというものだ。

 そこで中村が頼りにしたのが加計学園獣医学部設立問題でも出てきた「官邸主導の国家戦略特区制度の活用」(文春)だった。

要は、保育士の代わりに幼稚園教諭や小学校教諭の資格を持つ人間も認めてほしいというものである。だが厚労省関係者はこう疑問を呈している。

  「中村さんの主張は、自分が運営する保育所増設のために、規制緩和して欲しいと主張しているようなもので、保育の質の確保は二の次に見えます。陳情にも来られましたが、厚労省相手では埒が明かないから、政治の力を頼りに内閣府で特区提案をしたのでしょう」

 

人件費70%を想定していたのに、平均50%程度しかない

  結果からいえば、中村の望み通りに16年から規制が緩和されたのである。そのおかげで「ポピンズ」は120施設を増設し、全国で220カ所の保育施設を運営し、約70億円だった売上を17年度には約140億円に増やしているという。

  その収入の半分が国や自治体からの補助金によるものだが、文春の調べによれば、国は保育所の経営実態調査などから人件費を70%と想定して補助金を支給しているのだが、「ポピンズ」運営の認可保育所の保育士人件費率は平均50%程度(16年度)しかないそうである。

  中村の経営の私物化についてはここで触れないが、文春がいう通り「国家戦略特区には莫大な公金が投入される。首相夫人が規制緩和のメリットを享受する利害関係者と"お友だち"付き合いをしていては、その選定過程に疑念が生じることは加計学園の例からも明らかだ」。昭恵には人間として大事な何かが欠落している、そう思わざるを得ない。もちろん夫の安倍も同じである。

 

「50年後には再評価されるかもしれない」はあり得ない

  来年のいろは歌留多は「嘘つきは泥棒の始まり」ではなく「嘘つきは安倍晋三の始まり」と変更されるだろう。

  安倍がごり押しして今年から小学校で始まった(中学校は来年度から)道徳の授業でも、嘘をつくことは古来日本人の"美徳"であったと教えるようになるに違いない。

 

安倍は死しても嘘つき宰相としての名は末代まで残るのである。

  それでも安倍は「悪名は無名に勝る」というかもしれない。「祖父の岸信介は、日米安保条約は50年後に評価されるといっていた。オレも50年後には再評価されるかもしれない」。そう考えているとしたら、期待は無残に踏みにじられるだろう。

とんでもないことをやった総理として歴史に名を残す

  安倍が16年間通った母校・成蹊大学の元学長で、安倍の恩師でもある宇野重昭は、『安倍三代』(青木理著・朝日新聞出版)の中で涙を浮かべながら、安倍のことをこう語ったという。

 「(違憲だと批判された安全保障関連法制は)間違っていると思います。私の国際政治学(の授業)をちゃんと聞いていたのかな、と疑っているところです。(中略)

はっきり言って彼は、首相として、ここ2,3年ほどの間に大変なことをしてしまったと思っています。憲法解釈の変更などによって平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」

 さらに、宇野は、現在の自民党の保守主義は本物ではないといっている

  「現代日本にあるべき保守とは何か。民衆は、生活のことを第一に考える穏健な保守を望んでいる層が大半でしょう。(中略)

でなければ、(肯定的な意味で)歴史に名を残すのではなく、とんでもないことをやった総理として歴史にマイナスな名を残すことになる」

  宇野がいうように、安倍が極端な保守主義に染まったのは、政治家になってからであろう。同級生たちの安倍評は異口同音に「可もなく不可もなく、どこまでも凡庸で何の変哲もないおぼっちゃま」(『安倍三代』より)である。

 

日本人は善悪の判断ができなくなってしまったのか

  さしたる勉強もせず確固たる信念も主義主張もない安倍は、政界に入り、岸の孫として受け入れてくれる人間たちの考えや思想を取り入れ、それを自分のものと勘違いして生きてきたに違いない。

 「(自民党支持が高い10~30代は)一番新聞読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」といい放つ暴言の塊のような麻生太郎を、自己保身のために斬ることさえできない、気弱で凡庸な宰相である。

  だが困ったことに、気弱な人間にありがちな独裁への憧れが強く、民主主義を蔑ろにすることを何とも思わない一面もある。

  今回のように、働く者をより過労死させる働き方改悪法案や、ギャンブル依存症を増やすカジノ法案などを、ろくに審議もせずに成立させてしまう強引な手法も厭わないのである。

  これほど劣悪な安倍政権を国民の4割近くがまだ支持しているということが、私には信じられない。あまりの安倍の言動の異常さに慣らされ、日本人の何割かは善悪の判断ができなくなってしまった。そう思うしかない。(文中敬称略)


  昨夜からの雨はそれほどでもなく、きょう一日しょぼい雨だった。明日未明からまた降りはじめ、ほぼ一日中という感じ。気温も寒い。最低気温は朝ではなく、お昼を挟んでの時間帯で10度に満たないようだ。


父の死言えず 

2018年07月03日 | 社会・経済

2人暮らし18年 父の死言えず 「介護大変、でも幸せでした」 

  東京新聞 2018年7月3日 朝刊

   自宅で亡くなったお年寄りの遺体を、家族が放置する事件が全国で相次いでいる。四月には東京都板橋区の女性(59)が、父親(98)の遺体を放置したとして死体遺棄容疑で逮捕された。なぜ、知人や役所に父親の死を伝えられなかったのか。理由を知ろうと、不起訴処分で釈放された女性の家を訪ねた。(木原育子)

 

 築六十年ほどの木造二階建て。和室には小さなテレビ、使い込まれたダイヤル式の黒電話。父親の服はハンガーにかかったままだった。「まだ父がここにいる気がして」。女性は今にも涙があふれそうだった。

 警視庁は当初、父親の年金をだまし取ろうとした詐欺の疑いを視野に捜査した。しかし女性は「そんなつもりはなかった」と否定。自宅へ通ううちに、胸の内を話してくれるようになった。「父親のいない日常はなかった。幸せな時間が急に切れてしまって…」

 父親は太平洋戦争の激戦地ラバウルに従軍し、戦後は医療器具の工場に勤めた。母親と結婚し、四十歳近くになって念願の一人娘となる女性を授かった。

 女性は高校卒業後、デパートの売り場で勤務。十八年前に母親を病気で亡くし、父親と二人暮らしをしていた。十二年前、父親の体が弱り、介護に専念するため仕事を辞めた。その後、父親は二度の心臓手術を受け、寝たきりに。貯金は底を突き、父親の年金と恩給で生活していた。

 「介護は大変だけど、幸せでした」。スーパーですしを買って帰ると、「ありがとう」と喜んだ父。その笑顔がいくつになっても安らぎだった。寝たきりになってからは、ラバウルの空や海の美しさを何度も話してくれた。

 そんな日々が終わりを告げたのは三月。いつものように「おはよう」と声をかけたが、返事はなかった。頭が真っ白になった。「二日くらい何もできなくて。これからどうやって生きていこうか、一気に考えなければいけなくなって…」

 「大切に育ててくれた父を、きちんと母の元へ送りたかった」。だが、葬儀代がない。「周りに迷惑をかける。お金を貸してと言えなかった」。部屋に異臭がするようになり、芳香剤を置いた。「罪の意識があり、もっと言い出せなくなって」。いっそ自分も死のうかと考えた。父親に叱られた記憶はなかったが、「今度ばかりは、空から叱られる」と苦しくなった。

 約二週間後、ようやく信頼する近所の女性に打ち明けた。「ごめんなさい。あのね、実はお父さんが死んじゃったの」。ぽたぽたと涙がこぼれた。

 生活保護受給者は、葬儀代の「葬祭扶助」を受けられる。金額は自治体で異なるが二十万円程度。女性は生活保護世帯ではないが収入がないため、都や板橋区によると、葬祭扶助を受けられた可能性がある。

 全国で介護サービスの受給者は五百万人近い。六十五歳以上の単独世帯の割合は全世帯の11・1%(二〇一五年国勢調査)に上る。いずれも年々増えている。ぎりぎりの生活を送る人ほど、周囲に頼る余裕さえ奪われる。もっと社会に寄りかかっていい。社会に頼っていいはずだ、と思う。

 女性は「生活を立て直したい」と求職中だ。父親は元気だったころ、近所の缶詰工場から桃の種をもらい、縁起の良いカメや小づちを彫るのが得意だった。女性は、その「お守り」を握り締め、前を向いて歩きだそうと誓っている。

 


 

 

「まだ、この政権でいいのか!」

 2018年06月27日 | 社会・経済  の記事である。

二階発言「“産まない方が幸せ”は勝手な考え」「食べるのに困る家はない」

何の責任も感じない「無責任政権」を支える幹部である。