前回の記事で大阪の再開発計画のBefore & Afterを紹介しましたが、今回は現在進行形の工事を中心に紹介していきます。
前回の最後に紹介した、大阪駅「サウスゲートビルディング」の増築部分の屋上は、「太陽の広場」という広場になっています。
以前は高層部27階に展望スペースがあったのですが、増築完了を機に閉鎖(跡地はホテルの高級客室フロアに改装されます)され、この広場にその役割が移されました。ここは15~17階に位置するため、以前より展望の視線は低くなりました。しかし、屋外になったので、南向きの日の光溢れる空間で、ビル風を感じながら心地よく寛ぐことが出来るようになりました。
広場のカフェテラスでコーヒーを飲んでいると、落ち着き過ぎて自分が駅ビルに居ることを忘れてしまいます。
阪急百貨店建て替え工事中。
「太陽の広場」東端からは、隣接する阪急百貨店の工事の様子がよく見えます。
右半分(南側)が、既に完成した超高層ビル併設エリアで、現在は左(北)側の低層部の工事が進められています。以前建っていた建物は、昭和の初めから増築に増築を重ねたために、構造や動線が複雑になっていました。再開発工事でも、地下構造物の解体に手間取り、何度も工期が延びてしまっています。先日も、低層部の全面開業時期が来年春から秋に延期になってしまいました。
阪急百貨店ニュースリリースでは、うめだ阪急の全面開業後のイメージが描かれていますが、南側と比べてガラスを多用した斬新な造りになりそうです。個人的に、物凄く好みの外観です。
大阪駅再開発(大阪ステーションシティ)全景
新北ビル建設、南ビル増築、そして両ビル間に巨大なドーム屋根を架設するという大規模な再開発工事が行われました。総面積は53万平米で、現在日本最大の駅施設となっています。
今月初めに新北ビルの商業施設がオープンし、全面開業を迎えましたが、実はまだ工事は続いています。ドーム屋根の下で、橋上駅舎下の天井美装化とホーム屋根の撤去作業が進められつつあります。今年度中に全ての工事を終わらせる予定とのことです。
大阪駅新北ビル「ノースゲートビルディング」(2010年冬)
中央部に巨大な吹き抜けがあり、まさに門型の構造をしています。今後「うめきた」の再開発が進むと、このエリアの正面玄関になります。
大阪駅のホームに立つと、巨大な屋根が上空を覆い、その下を電車が発着するヨーロッパの駅のような雰囲気になっていて驚かされます。今のところ、古いホーム屋根が残っているため、この様な景色は一部のホームからしか楽しめませんが、今後撤去が進めば、これまで誰も見たことのない巨大なホーム空間が実現します。
梅田北ヤード地区再開発現場「うめきた」全景
梅田貨物駅の跡地の再開発計画です。広さが24haあり、都心最後の一等地と言われています。この内7haを先行開発区域とし、現在建設工事が進められています。この写真だと、右端のエリアです。先行区画だけとはいえ、超高層ビルを一気に4棟建設する大規模な工事となっています。
2年後に先行区域が完成した後は、いよいよ残りの17haの再開発計画が具体化するはずですが、今のところは高層モニュメントを備えた都市公園になる可能性が囁かれています。ただ、このエリアは後述の伊丹空港の高さ制限(制限表面)が掛かっているため、伊丹縮小・廃港を機に大幅に計画が変更される可能性もあります。(より大規模な開発計画の方に・・)
貨物列車とビル群。
梅田貨物駅の機能は、近い将来に吹田と百済の貨物ターミナルに完全移転する予定です。この様な都市と貨物列車の織りなす風景は見られなくなるでしょう。また、貨物列車用の支線は現在関空や南紀方面行き特急がバイパスとして使用していますが、10年以内を目処に地下化され、大阪駅に隣接する場所に「北梅田駅」が設置される見込みです。さらに、「北梅田駅」は関空特急短絡線の「なにわ筋線」建設計画でも、梅田地区の停車駅になる予定なので、この貨物支線は再開発後の「うめきた」エリアでも非常に重要な役割を担うことになります。
梅田から遠望した伊丹空港。
伊丹空港管制塔から梅田方面に着陸機を見る。(2003年秋)
伊丹空港の着陸ルートが大阪市上空を通過しているため、大阪市街地でのビル建設には高さ制限が存在します。正確には、伊丹空港の滑走路を中心としたすり鉢状の制限表面が設定されていて、その表面から上にはみ出す建築物を造れないのです。以前のような100m前後までのビル建設ならさほど支障は無かったのですが、最近はより土地を有効利用するため、200m以上の超高層ビルが多く計画されるようになっています。しかし、梅田地区では170~210m程度に制限表面が設定されているため、土地の高度利用の支障となっているわけです。都市のスカイラインを考えたときに、梅田に250~300mくらいのビルが数棟あればかなり引き締まった景観になるのですが、現状では不可能です。
私は飛行機マニアですが、好き嫌いといった感情を排しても、今後間違いなく伊丹は機能縮小へと向かっていくはずです。2020年代にはリニア中央新幹線が名古屋~東京間で開通し、航空機と新幹線の総所要時間(都市中心部~都市中心部)の拮抗が崩れます。既に九州方面は新幹線延伸と高速化によって航空機のシェアが減少しており、リニア開業の暁には伊丹空港の主要路線である羽田線の需要が激減することが予想されます。伊丹空港の存在価値は「都市からのアクセス時間が短い」ことであり、そのメリットを発揮できるのは航空路線では短・中距離路線です。その短・中距離路線が伊丹から撤退するのであれば、伊丹空港の存在意義は必然的に低下するというわけです。
第一、関空は人々が言うほど大阪市街から離れてはおらず、札幌市~新千歳空港間と同程度の距離です。行政と鉄道事業者がきちんとアクセスを整備すれば、国内線旅客でも問題なく使える空港なのです。私はずっと関空短絡線「なにわ筋線」の建設を心待ちにしていましたが、近頃ようやく実現の可能性が高まってきて、嬉しい限りです。
私は、将来的には伊丹空港は廃港・又はプロペラコミュータ空港化(制限表面は大幅緩和)し、空いた土地を副首都機能移転に使うべきだと考えています。廃港に関しては周辺自治体が何故か反対しているようですが、総合的に考えれば、現状以上の伊丹周辺地域の発展は副首都機能の移転でしか叶わないのではないでしょうか。
伊丹廃港・縮小により、関空への航空需要の集約、梅田の土地利用の高度化、副首都機能移転が実現できるのですから、大阪、そして日本の未来のために、出来る限り早期に伊丹空港の処理を進めるべきだと私は思います。
阿倍野再開発現場。
さて、長々と伊丹空港問題について語ってしまいましたが、その伊丹空港の制限表面から最近外れたエリアが大阪市内に存在します。
それが、大阪の南東の玄関口、JR天王寺駅・近鉄阿部野橋駅周辺のエリアです。
このエリアでは、日本最高の超高層ビル建設工事が現在進んでいます。そのビルが、「近鉄阿部野橋ターミナルビル」です。
以前はこのエリアも伊丹空港の制限表面に掛かっており、高さ294mまでのビルしか建設できませんでした。(現在日本一の高さの横浜ランドマークタワーは高さ296mです)
規制緩和によって、この周辺の制限が解除されたことで日本一の300m級のビル建設が可能になり、近鉄グループの再開発計画が表面化しました。(ちなみに、東京スカイツリーも羽田空港の制限表面の見直しによって建設が可能になりました)
通天閣から見た阿倍野・天王寺の風景(2010年夏)
天王寺・阿倍野エリアは比較的庶民的な地域であり、近年になってタワーマンションが少しずつ建ち始めたところです。
写真中央に広がるのは天王寺公園です。関西の小学生の遠足先として有名な天王寺動物園があります。
近鉄阿倍野橋ターミナルビル完成後のシミュレーション画像(Imaged by GoogleEarth)
2014年には、高さ300mの超高層ビルが完成し、街の雰囲気がだいぶ変わります。周辺では、他にも超高層タワーマンションの建設計画が進んでおり、一気に高層化しそうです。
阿倍野のメインストリート、谷町筋。
阿部野橋ターミナルビルのすぐ近くでは、別事業の阿倍野再開発計画が進展し、先日は巨大ショッピングセンターの「あべのキューズタウン」が開業しました。両者が面する谷町筋自体も、拡幅工事が進められています。ここは大阪市と堺市を結ぶ路面電車「阪堺電車」の起点でもありますが、その路線も拡幅後に移設される予定です。
ますます成長を続ける都市、大阪。
どうしても報道というものは悪い方のニュースに偏りがちで、再開発の進展などの胸躍るニュースはなかなか全国に伝えられていません。日本が踏ん張り時の今こそ、マスメディアは未来が輝いていることを人々に知らせるべきなのにと私は思います。
そして、これらの再開発現場を見る度に、私も希望の未来のために何かを為せるように、研究修行に励もうと誓うのでありました。
前回の最後に紹介した、大阪駅「サウスゲートビルディング」の増築部分の屋上は、「太陽の広場」という広場になっています。
以前は高層部27階に展望スペースがあったのですが、増築完了を機に閉鎖(跡地はホテルの高級客室フロアに改装されます)され、この広場にその役割が移されました。ここは15~17階に位置するため、以前より展望の視線は低くなりました。しかし、屋外になったので、南向きの日の光溢れる空間で、ビル風を感じながら心地よく寛ぐことが出来るようになりました。
広場のカフェテラスでコーヒーを飲んでいると、落ち着き過ぎて自分が駅ビルに居ることを忘れてしまいます。
阪急百貨店建て替え工事中。
「太陽の広場」東端からは、隣接する阪急百貨店の工事の様子がよく見えます。
右半分(南側)が、既に完成した超高層ビル併設エリアで、現在は左(北)側の低層部の工事が進められています。以前建っていた建物は、昭和の初めから増築に増築を重ねたために、構造や動線が複雑になっていました。再開発工事でも、地下構造物の解体に手間取り、何度も工期が延びてしまっています。先日も、低層部の全面開業時期が来年春から秋に延期になってしまいました。
阪急百貨店ニュースリリースでは、うめだ阪急の全面開業後のイメージが描かれていますが、南側と比べてガラスを多用した斬新な造りになりそうです。個人的に、物凄く好みの外観です。
大阪駅再開発(大阪ステーションシティ)全景
新北ビル建設、南ビル増築、そして両ビル間に巨大なドーム屋根を架設するという大規模な再開発工事が行われました。総面積は53万平米で、現在日本最大の駅施設となっています。
今月初めに新北ビルの商業施設がオープンし、全面開業を迎えましたが、実はまだ工事は続いています。ドーム屋根の下で、橋上駅舎下の天井美装化とホーム屋根の撤去作業が進められつつあります。今年度中に全ての工事を終わらせる予定とのことです。
大阪駅新北ビル「ノースゲートビルディング」(2010年冬)
中央部に巨大な吹き抜けがあり、まさに門型の構造をしています。今後「うめきた」の再開発が進むと、このエリアの正面玄関になります。
大阪駅のホームに立つと、巨大な屋根が上空を覆い、その下を電車が発着するヨーロッパの駅のような雰囲気になっていて驚かされます。今のところ、古いホーム屋根が残っているため、この様な景色は一部のホームからしか楽しめませんが、今後撤去が進めば、これまで誰も見たことのない巨大なホーム空間が実現します。
梅田北ヤード地区再開発現場「うめきた」全景
梅田貨物駅の跡地の再開発計画です。広さが24haあり、都心最後の一等地と言われています。この内7haを先行開発区域とし、現在建設工事が進められています。この写真だと、右端のエリアです。先行区画だけとはいえ、超高層ビルを一気に4棟建設する大規模な工事となっています。
2年後に先行区域が完成した後は、いよいよ残りの17haの再開発計画が具体化するはずですが、今のところは高層モニュメントを備えた都市公園になる可能性が囁かれています。ただ、このエリアは後述の伊丹空港の高さ制限(制限表面)が掛かっているため、伊丹縮小・廃港を機に大幅に計画が変更される可能性もあります。(より大規模な開発計画の方に・・)
貨物列車とビル群。
梅田貨物駅の機能は、近い将来に吹田と百済の貨物ターミナルに完全移転する予定です。この様な都市と貨物列車の織りなす風景は見られなくなるでしょう。また、貨物列車用の支線は現在関空や南紀方面行き特急がバイパスとして使用していますが、10年以内を目処に地下化され、大阪駅に隣接する場所に「北梅田駅」が設置される見込みです。さらに、「北梅田駅」は関空特急短絡線の「なにわ筋線」建設計画でも、梅田地区の停車駅になる予定なので、この貨物支線は再開発後の「うめきた」エリアでも非常に重要な役割を担うことになります。
梅田から遠望した伊丹空港。
伊丹空港管制塔から梅田方面に着陸機を見る。(2003年秋)
伊丹空港の着陸ルートが大阪市上空を通過しているため、大阪市街地でのビル建設には高さ制限が存在します。正確には、伊丹空港の滑走路を中心としたすり鉢状の制限表面が設定されていて、その表面から上にはみ出す建築物を造れないのです。以前のような100m前後までのビル建設ならさほど支障は無かったのですが、最近はより土地を有効利用するため、200m以上の超高層ビルが多く計画されるようになっています。しかし、梅田地区では170~210m程度に制限表面が設定されているため、土地の高度利用の支障となっているわけです。都市のスカイラインを考えたときに、梅田に250~300mくらいのビルが数棟あればかなり引き締まった景観になるのですが、現状では不可能です。
私は飛行機マニアですが、好き嫌いといった感情を排しても、今後間違いなく伊丹は機能縮小へと向かっていくはずです。2020年代にはリニア中央新幹線が名古屋~東京間で開通し、航空機と新幹線の総所要時間(都市中心部~都市中心部)の拮抗が崩れます。既に九州方面は新幹線延伸と高速化によって航空機のシェアが減少しており、リニア開業の暁には伊丹空港の主要路線である羽田線の需要が激減することが予想されます。伊丹空港の存在価値は「都市からのアクセス時間が短い」ことであり、そのメリットを発揮できるのは航空路線では短・中距離路線です。その短・中距離路線が伊丹から撤退するのであれば、伊丹空港の存在意義は必然的に低下するというわけです。
第一、関空は人々が言うほど大阪市街から離れてはおらず、札幌市~新千歳空港間と同程度の距離です。行政と鉄道事業者がきちんとアクセスを整備すれば、国内線旅客でも問題なく使える空港なのです。私はずっと関空短絡線「なにわ筋線」の建設を心待ちにしていましたが、近頃ようやく実現の可能性が高まってきて、嬉しい限りです。
私は、将来的には伊丹空港は廃港・又はプロペラコミュータ空港化(制限表面は大幅緩和)し、空いた土地を副首都機能移転に使うべきだと考えています。廃港に関しては周辺自治体が何故か反対しているようですが、総合的に考えれば、現状以上の伊丹周辺地域の発展は副首都機能の移転でしか叶わないのではないでしょうか。
伊丹廃港・縮小により、関空への航空需要の集約、梅田の土地利用の高度化、副首都機能移転が実現できるのですから、大阪、そして日本の未来のために、出来る限り早期に伊丹空港の処理を進めるべきだと私は思います。
阿倍野再開発現場。
さて、長々と伊丹空港問題について語ってしまいましたが、その伊丹空港の制限表面から最近外れたエリアが大阪市内に存在します。
それが、大阪の南東の玄関口、JR天王寺駅・近鉄阿部野橋駅周辺のエリアです。
このエリアでは、日本最高の超高層ビル建設工事が現在進んでいます。そのビルが、「近鉄阿部野橋ターミナルビル」です。
以前はこのエリアも伊丹空港の制限表面に掛かっており、高さ294mまでのビルしか建設できませんでした。(現在日本一の高さの横浜ランドマークタワーは高さ296mです)
規制緩和によって、この周辺の制限が解除されたことで日本一の300m級のビル建設が可能になり、近鉄グループの再開発計画が表面化しました。(ちなみに、東京スカイツリーも羽田空港の制限表面の見直しによって建設が可能になりました)
通天閣から見た阿倍野・天王寺の風景(2010年夏)
天王寺・阿倍野エリアは比較的庶民的な地域であり、近年になってタワーマンションが少しずつ建ち始めたところです。
写真中央に広がるのは天王寺公園です。関西の小学生の遠足先として有名な天王寺動物園があります。
近鉄阿倍野橋ターミナルビル完成後のシミュレーション画像(Imaged by GoogleEarth)
2014年には、高さ300mの超高層ビルが完成し、街の雰囲気がだいぶ変わります。周辺では、他にも超高層タワーマンションの建設計画が進んでおり、一気に高層化しそうです。
阿倍野のメインストリート、谷町筋。
阿部野橋ターミナルビルのすぐ近くでは、別事業の阿倍野再開発計画が進展し、先日は巨大ショッピングセンターの「あべのキューズタウン」が開業しました。両者が面する谷町筋自体も、拡幅工事が進められています。ここは大阪市と堺市を結ぶ路面電車「阪堺電車」の起点でもありますが、その路線も拡幅後に移設される予定です。
ますます成長を続ける都市、大阪。
どうしても報道というものは悪い方のニュースに偏りがちで、再開発の進展などの胸躍るニュースはなかなか全国に伝えられていません。日本が踏ん張り時の今こそ、マスメディアは未来が輝いていることを人々に知らせるべきなのにと私は思います。
そして、これらの再開発現場を見る度に、私も希望の未来のために何かを為せるように、研究修行に励もうと誓うのでありました。
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