八幡平は岩手県、秋田県の北部県境付近にある火山群で、
地形がなだらかなので、かつてはアスピーテ(楯状)火山とされた。
そのため八幡平の主要部を東西に貫く観光道路はアスピーテラインと呼ばれるが、
現在は、山頂が侵食や爆発により台地状になった成層火山(偽アスピーテ)
と分類されている(この箇所はウィキペディア解説に基づく)。
標高1614mの山頂を含め、山体上部の大部分は針葉樹(アオモリトドマツ)に覆われている。
そのため近隣の秋田駒ヶ岳や岩手山のように高山植物は多くないように見えるが、
森林性の種類は豊富だし、山体のあちこちに散在する沼や湿原は
湿性、雪田性の高山植物に恵まれている。
また一部のピークや稜線には風衝地もあり、乾燥を好む種類も少数ながら見ることが出来る。
トータルの植物種類数では、秋田駒ヶ岳や岩手山にも引けを取らないように感じる。
しかし山域が広大で、花も分散して咲いているので、一回の山行きでカバーすることは難しい。
2018/07/31 大深湿原から八幡平山頂方面を望む。
参考マップ
八幡平は広大だが、
花が比較的まとまって咲いている場所が幾つか有る。
◆八幡平山頂部、八幡沼とガマ沼の周囲
◆黒谷地湿原~茶臼岳山頂
◆藤七温泉付近の岩手側斜面
◆源太ヶ岳山頂~大深湿原
秋田県側では
◆大場谷地
◆大沼湿原
◆蒸の湯温泉奥の湿原、長沼など。
◆焼山の山頂部や後生掛温泉などの噴気孔地帯。
掲載順はおおむね、開花が早いものからとした。
果実や紅葉が特徴的な一部の種類は複数回登場させている。
植物名の同定にあたっては、既存の高山植物関係の図鑑の他に、
自然公園財団八幡平支部・発行のパンフレット「八幡平山頂・花あるき」も参考にさせてもらった。
何か間違い等にお気づきの方はご指摘頂きたい。
まずは五月中下旬、玉川温泉付近や大場谷地、大沼など低所に咲く花たちから。
これらのエリアではブナなど広葉樹と亜高山帯の針葉樹が混生している。
タムシバ 2016/05/15
アキタブキ 2016/05/15
(右上)エゾノリュウキンカ 2019/06/09
八幡平は湿原が多い。
雪解けとともにミズバショウやエゾノリュウキンカが咲き出す。
両種の群生は西端にある大場谷地湿原がみごとだ。
ただし残念なことに、この湿原は2017年、近隣でクマによる死亡事故があって以降、
立ち入り禁止になってしまった。解除の見通しは立っていない。
なお小規模の群生は大沼や他の湿原でも見られる。開花時期は積雪の多寡により幅が有る。
大場谷地のミズバショウ群生 2016/05/15
大場谷地のミズバショウ 2012/05/27
(右上)コバイケイソウの芽出し 2012/05/27
ニッコウキスゲの芽出し 2013/06/10
(右上)ツルキツネノボタン 2010/06/15
ワタスゲの花 2009/06/02
(大場谷地では)ミズバショウが終盤になるとタテヤマリンドウが咲き出す。
タテヤマリンドウ 2010/06/15
湿原周囲の樹林下には低山と共通のスプリングエフェメラルが多い。
ニリンソウ 2016/05/15
(右上)エンレイソウとキクザキイチゲ 2019/06/09
カタクリ 2016/05/15
(右上)エゾエンゴサク 2016/05/15
ミヤマカタバミ 2019/06/09
六月上旬、高所の山腹や樹林下はまだ雪に覆われていることが多く、花はまだ咲いていない。
しかし後生掛温泉や焼山山頂など噴気孔のあるエリアで
早く雪解けした場所ではイソツツジやイワカガミが咲き出していた。
イソツツジ 2019/06/09
(右上)イワカガミ 2019/06/09
ミネズオウ 2019/06/09
主稜線にて。
コケモモ 2018/06/18
以上。
「花図鑑2(初夏の亜高山帯針葉樹林)」に続く。
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