またまた古くて個人的な話で恐縮だが、
2003年の私は会社都合で五月下旬から二ヶ月間、四国阿波の地に幽閉?の身になった。
折角行ったので(休日は無理に秋田に帰省せず)、西国の花どころ(ガーデンや植物園など)を巡って歩いた。
ただし一番目に訪ねるべきガーデンは兵庫県の「植花夢」(うえるかむ)と心に決めていた。
ガーデン植花夢の中心エリア
(本編の写真はリバーサルフィルムを専用スキャナで取り込んだもの。発色がイマイチだがご寛容願いたい。)
ここの園長、若生真理(わかいきしんり)氏には、
一昨年の春、拙著書・モ本=「モウズイカのガーデニング狂時代」を数十冊も買って頂いた恩義があった。
まずはそのお礼を直に申し上げたかった。
植花夢の場所は、あの煌びやかな都市・宝塚市の郊外と聞いていたが、
地図を買って確かめたら、すっ (´π`;)すんげえ山奥。
2003年6月8日、実際に行ってみたら、徳島から宝塚までは高速バスや阪急電車を乗り継いで
2時間ちょっとだったが、それから先が凄かった。
JR福知山線に乗り換えた途端、風景が一変。国境を連想させるような長いトンネルを幾つか越え、
鉄橋を渡った先のトンネルの中に武田尾(たけだお)の駅があった。
ちょうど上越線の土合駅を降りて、 (´π`;)ワタシは登ったことは無いが、谷川岳をめざす登山者になったような気分。
通常、駅の周辺には少なくとも一、二軒の人家があるものだが、ここには山と渓谷しか無かった。
携帯も通じない。バス停はあるにはあった(植花夢の看板はあった)が、ほんとにバスは来るのだろうか。
もしかしたら猫バスだったりして・・・(何故かホンモノの飼い猫を見かけた)というような場所だった。
その時の私の心細さは下の写真からも察し頂けるかなと思う。
(i i)いくら待ってもバスは来ない。
あとで時刻表を読み違えたことに気付き、結局、ここで1時間を潰した。
近くのつり橋から武田尾駅の方を望む。 じゃんご花が咲き乱れる立派なお屋敷
バス到着時刻が近づいたら、私以外にもお客さん(子連れの若いご婦人達が数名)が現れたのでひと安心。
やって来たネコバスじゃない普通のバスは大きな渓谷(武庫川?)から離れると、
暗い林に覆われた狭い坂道をくねくねと駆け上る。
いったいどこに連れて行かれるものやら、不安が更につのって来たが、
やがて周りの風景は平らになり、畑や田んぼ、そして人家も現れてきた。
「境野切畑口」というバス停で下車(私以外のお客さんも大多数がここで降りた)。
小さく「植花夢」と書かれた看板に導かれ歩き出すと、
スイセンノウやヒルザキツキミソウなどのじゃんご花が咲き乱れる立派なお屋敷を過ぎ、
竹林の奥に進んだら、そこに植花夢はあった。早速、入ってみるべ。
植花夢の正面入口
ショップの入口で最初に見たのは巨大な狛犬のようなグンネラ。
「ほんの数日前に来たばかりなんですよ。」と店員さん。
入口の巨大なグンネラ 門番のような巨大モウズイカ
店内に入ったら、立派なヒゲをはやした老人(^m^)が居られた。
さっきの店員さんが、「この方が若生園長です。」と紹介。
モウズイカのお遊び名刺を差し出し、いつぞやのモ本ご購入のお礼を述べる。
(^m^)ヒゲ爺さんいわく、
「ああ。あの時のね。午後からは○○先生のアジサイの講習会もあるし、君も参加したまえ。
写真もドンドン写して、バンバン宣伝してね・・・」。
売店から望んだ庭の第一景。WELCOMEのベンチの後にはアリウムやジギタリスが。
左側には色々な花や葉が乱舞するボーダー。モウズイカの丈は2メートル超。
右側には超巨大なマグノリアが。
マグノリアの葉はバショウのように大きく、花の径は40センチにも達していた。
黒っぽい葉のセージを見つけた。名称は Salvia lyrata 'Purple Knockout' でいいのかな。
フィールドポピーやセージ類が咲き乱れる。
ここのガーデンには秋田では見たことも聞いたこともないような植物がいっぱいあった。
色の使い方、植物の選び方など、とても勉強になった。
「ここは日本の園芸植物の実験場だ、ここで生き残るものは日本のほとんどの場所で通じる。」
などと、若生園長が訥々と(関西弁)で語る園芸論には共鳴することが多々あった。
午後の○○先生の講習会(テーマは主にアジサイや斑入り植物)も楽しかった。
園長と講師の先生の掛け合いは夢路いとしこいしの漫才を彷彿とさせた。
私は帰りのバスの関係もあり、全部聴けなかったのは返す返すも残念だった。
それでは皆さん。さよな(´π`;)☆\バキ
失礼。植花夢探険記はまだまだ続きがある。
次はマニアックなカラーリーフの真髄に迫りたいと思う。
植花夢の敷地の大部分は樹木に被われている。
通常なら林の中は、陽が遮られるので、薄暗く静かになるものだが、
ここは逆に明るく、しかも賑やかな気分になる。
それは何故だろ?
理由は樹木や下草の葉色にある。
通常、葉の色は「緑」と相場は決まっているものだが、ここに限っては白か黄の斑が入った葉、
或いは全体がシルバー、ゴールド、コッファー(銅)、青シルバー、赤、黒紫などの葉しか出入りを許されていない。
横井政人先生曰く「カラーリーフ」、奥峰子女史曰く「フォーリッジ・プランツ」
( モウズイカ曰く「色葉」(´π`;)☆\バキ)の世界なのだ。
でも、ここはイロハの単なる展示場、見本園ではない。
このレベルになったら、とっくにそれを通り越し、マニアック植物の大洪水だった。
場所によっては、普通の緑の葉を探すのに苦労するほどだった。
当初、名称不明の常緑色葉。
植物にやたらと詳しい友人の陽介さんに聞いたら、
Cleyera japonica ‘Tricolor’(和名はサカキ)ではないかと言われたが、
あとで園の関係者でこれまた植物に詳しいポンさんに確認したところ、正解とのこと。
冬には赤く色づくそうだ。
こちらは普通の緑かなと思ったら、えらく微妙な斑入りだった。
木の正体はユリノキ Liriodendron tulipifera ‘Aureomarginatum’ 。
色葉の交響曲。
奥の黄金葉ヒノキは、ニオイヒバのサンキスト Thuja occidentalis ‘Sunkist’。
とても良い柑橘系の香りがあるそうだ。
続いて黒葉の面々。
左はリシマキア・ファイヤークラッカー。右上、メギ。右下、ブロンズフェンネル。
よくもまあ。こんなに色葉を集めたもんだと、私はカンドーした~っ。そして・・・アキレた~っ。
近頃、黒っぽい葉が砒素かに注目されている。
中でも、フォレパンことフォーレスト・パンジーの人気が沸騰しているようだ。
これは、グッドセンスなネーミングのせいもあろうが、
消費者の期待を裏切らない葉色も貢献している(生長しても色褪せの度合いが少ない)。
その正体は、マメ科の低木、アメリカハナズオウ Cersis candesis の一品種。
秋田ではまだ珍しく、有っても非常に高価なので、
私自身は持っていないが、機会があったら(大苗が破格値で売りに出てたら)是非導入したい代物なり。
フォーレスト・パンジー単独 ジギタリスと。
フォーレスト・パンジーと斑入りのイタドリ
「後編」へ続く。
此処はいずれ尋ねる空の遙か遠くの花の園でしょうか?早く行きたいものです💕 ウソ💦
なんともまー
現実なのですか!幻想を見ているのかと思うほどの美しい世界ですね。
夢を見させて頂きありがとうございます。
ここは前世紀末から2000年代初頭にかけてのガーデニングブーム初期の頃、聖地とも言われた場所です。
国内でもいち早く英国スタイルを導入したガーデンでしたが、
実際に行ってみたら、 (´π`;)かなり関西臭のするコテコテ・ガーデンでしたよ。