~~引用ここから~~
育成者権の管理・保護機関検討へ
ブドウ「シャインマスカット」の中国への無断流出によって、品種育成者が得られるはずの許諾料換算で、少なくとも年間100億円の損失が発生しているとの試算を農水省がまとめた。中国の生産者が種苗を正規に購入し、現地で栽培されたと仮定して試算した。同省は、こうした品種流出による経済損失の防止へ、品種の育成者権を管理・保護する専門機関の設立を検討する。
「シャインマスカット」は農研機構が育成した品種。2021年4月の種苗法改正で、農作物の新品種に海外への持ち出し制限を付けられるようになったが同品種は改正前の16年ごろから無断で海外に流出。中国では栽培面積が急拡大し、20年に少なくとも5万3000ヘクタール、日本の栽培面積(19年に1840ヘクタール)の29倍に相当する。
中国国内のブドウ全体の面積に占める同品種の割合から推計した生産量に、同品種の市場出荷価格(1キロ当たり340円)を乗じ、出荷額を計算。許諾料を出荷額の3%と仮定し、許諾契約ベースの損失額を試算した。
政府は20日に改訂した輸出拡大に向けた実行戦略に「育成者権管理機関」の設立検討を明記した。品種の育成者に代わって専任で知的財産権を管理・保護する役割を担う。
同省は、開発者ごとに行っていた監視などをまとめることで「違法事例の発見も効率化できる」(種苗室)とみる。フランスの専門機関を参考に具体化の検討を進める。フランスの機関は国内外の4400品種を管理し、年間100億円程度の許諾料収入を得ている。
~~引用ここまで~~
政府・農林水産省及び農協は農家が時間と労力を掛けて品種改良した品種をの知的財産権を守らねばならない。農家の努力の結晶を横から盗まれては日本の農業は益々衰退してしまうからだ。
種苗法の改正については全体としては正しいのだが、問題となる条文を含んでいる。柴咲コウが種苗法改正に待ったを描けていたことに単純なネトウヨは、あるいはネトウヨを装ったグローバリストの手先は支那、韓国の手先とレッテルを貼っていた。世の中はそこまで単純なものではないのだ。
引用が長すぎるのだが、省略が難しいので全文を引用した。
~~引用ここから~~
冒頭で解説していますが、「国民」を犠牲にグローバリズム、構造改革、レントシーキング、等を進めようとする勢力は、単純に、
「この邪(よこしま)な法律を通せ」
などとはやってきません。当たり前でしょ。
彼らの手法は、主に二つ。
1.日本国民を利する法律と、害する法律を「抱き合わせ」とする
2.最初は「蟻のひと穴」を開け、二十年後、三十年後に「利益」を得ようとする
2により、国民が被る害を矮小化し、さらに1の国民を利する部分のみをクローズアップさせることで、法案反対者に、
「あいつは、国民を守る法律に反対している。とんでもない連中だ」
と、レッテルを貼る形で黙らせるわけです。特に今の日本では、1の日本国民を利するが「中国、韓国から日本を守る」だと、これはもう最高です。
種苗法改訂でいえば、
「登録品種の種苗等が譲渡された後でも、当該種苗等を育成者の意図しない国へ輸 出する行為や意図しない地域で栽培する行為について、育成者権を及ぼせるよう 特例を設ける。 (第21条の2~第21条の4)」
には誰も反対していません。
中国や韓国に、日本の優良な種が流出するのを防ごう。いいんじゃないですか、大いにやれば、
でもね、それだけが目的であるならば、「第21条の2~第21条の4」だけを法律化すればいいのでは? 誰も反対しないし。
今回の種苗法改訂は、「外国(というか、中韓)に日本の種が流れることを防ぐ」のみがクローズアップされ、育成者権を「刑事罰」付で強化し、将来的にバイエル・モンサントなどの種の独占ビジネスに結びつきかねない点が問題なのです。
つまりは、善き条文と、悪しき条文が「抱き合わせ」になっているのです。いつものグローバリズムのやり方です。
何しろ、「将来的な危惧」を理由に種苗法改訂に反対した人に対しては、
「あいつは中国や韓国に日本の種が流れても構わないと主張している」
などと攻撃することができます。実際には、誰一人、そんな主張はしていないにも関わらず。
バカですね。思いっきり「グローバリズム」に騙されて、どんだけ頭が悪いんだよ。
というか、本気で中国や韓国に種子が流れることを危惧するなら、法案の「第21条の2~第21条の4」のみを改訂するように、政治家に働きかければいいでしょ。どうせ、条文も読みもせず、単純に、
「種苗法改訂に反対する奴らは、左翼だ! 中韓の手先だ! 共産党シンパだ!」
とかやっているだけなんでしょ。
この手の愚民が増えた結果、我が国の国民の利益は、グローバリズムに食われ放題。日本人は、いつの間にか「世界で最も遺伝子組み換え作物を食べている国民」となり、グリホサート(ラウンドアップなどに含まれる発がん性物質)を各国が続々と禁止している中、何と「規制緩和」を実施した(2017年12月)。
というか、各国がグリホサートを禁止したからこそ、「最後のフロンティア」ということで、日本人に使わせようとしているんでしょうけれども。
種苗法改定案は、国会日程の都合で次期国会に持ち越されることになると思います。
朝日新聞が「賛否」の理由について、珍しく適格な記事を書いていた。
『注目高まる種苗法改正 種が高騰? 国は開発者保護訴え
「このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます」。俳優の柴咲コウさんがツイッターで発信し、注目度が高まった法案がある。ブランド農産物の海外流出を防ぐとして、政府が今国会に提出している種苗(しゅびょう)法の改正案だ。どんな中身なのか。
種苗とは文字どおり、植物の種や苗のこと。米や野菜などの新品種は国や自治体、民間企業などがそれぞれ開発している。かかったお金や手間に報いるよう開発者の権利である「育成者権」を保護するルールを定めたのが種苗法だ。(後略)』
「種は食の源。皆に関わるので賛否あっていい。政府が丁寧に説明するのは当然だが、賛否双方が相手の主張の根拠を押さえる必要があると思います」
と、朝日新聞は柴咲コウさんのツイートで記事を締めくくっていますが、まさにその通り。
とりあえず、「中韓が~」の人たちの手法で、種苗法改訂に反対してみましょうか。
「種苗法改訂に賛成している連中は、日本の種子ビジネスをバイエル・モンサントなどの種子メジャーに売り渡すことが目的の売国奴どもだ」
いかがです?
賛成派が、
「反対派の連中は、中国や韓国に日本の種が流れても構わないと主張している、中韓の手先だ」
反対派が、
「賛成派の連中は、日本の種子ビジネスをバイエル・モンサントなどの種子メジャーに売り渡すことが目的の売国奴だ」
などと罵り合って、分裂が進んで、まともな国民国家を維持できると思います? 日本国民の「国益」となる法律を作れると思います?
別に、種苗法改訂に賛成しても構いませんが、その際にはせめて「中韓の手先が~」といったナイーブ(幼稚、という意味)な反対論ではなく、バイエル・モンサントなど種子メジャーの戦略や、日本の食料自給率やタネの自給率(いずれも無残な状況ですが)、国民の食の安全を守る視点など、鳥瞰的な情報に基づき、議論して下さいね。
それから、「分からないなら、とりあえず発言しない」というのも重要ですよ。
恐らく、ここまで書いても、過去に「種苗法反対派は、中韓の手先。共産党のシンパ」的な反対論を表明してしまった連中は、態度を改めず、
「三橋はやっぱり共産党のシンパだった。糞サヨ死ね。中韓の手先が」
といった形でわたくしを攻撃するでしょう。
あなたたちのそういった「議論の姿勢」が、日本国を亡国へと導いているのです。いい加減に、理解しましょうね。
~~引用ここまで~~
話を知的財産権に戻すと、もう登録期限を過ぎてしまっているのだ。だから支那や韓国にいいようにパクられている。私は悔しくて仕方ない。
~~引用ここから~~
(略)
そもそもブドウなどの農産物の海外での品種登録は、国内での登録から6年以内に行うよう「植物の新品種保護に関する国際条約」(UPOV=ユポフ)に定められている。期間を過ぎてしまえば、海外での品種登録ができなくなり、勝手に栽培されても使用料を受け取ることができない。
日本の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が30年かけて開発した超高級ブドウ「シャインマスカット」の流出が典型例だ。当初、農研機構では開発を優先させるあまり、期間内に海外での登録を行わなかったために、種苗が流出、韓国や中国で無断栽培されて、どんどん第三国に輸出されるようになった。
現在、韓国産シャマインマスカットの輸出額は日本の5倍超に膨らみ、中国国内の中国産シャマインマスカットの栽培面積は日本の40倍超の及ぶありさまだ(日本経済新聞8月15日付)。
こうした「流出」は、シャマインマスカットだけでなく、高級柑橘類「デコポン」、高級イチゴ「あきひめ」「レッドパール」など30数種に及ぶ。背景には、日本側の「登録ミス」という事情もあるが、日本の生産者が韓国の生産者に委託栽培を行っているうちに、種苗が契約者以外に無断で販売されたり、日本の生産者への見学ツアーの最中に持ち去られたりするなど、「種苗の流出」も非常に多い。
そこで、日本政府は2021年4月、国内で新品種として登録された果物などの種や苗を海外に無断で持ち出すことを禁止する「改正種苗法」を施行したのだった。
(略)
~~引用ここまで~~
日本も日本人も権利に関してはぼんやりしている。必死に開発してもその権利を登録せず、それどころか熱心に頼んできた韓国人に分け与えたりする。支那人も韓国人も日本人の人の良さに漬け込むのだ。政府も日本人の権利を必死に守ろうとしない。
韓国が「独自品種」と言い張る「雪香(ソルヒャン)」は、韓国で違法栽培された日本産の品種「レッドパール」と「章姫」をかけあわせて作られたものだ。これが許されるのだろうか。しかし止める方法はないようだ。日韓外相会談を6月にするそうだが、この話を持ち出してはどうか。韓国の要求ばかりではないか。
韓国のパクり商品を駆逐せよ - 面白く、そして下らない
韓国今度は日本の高級ぶどうを盗む - 面白く、そして下らない
農家自身も政治家に働き掛けねばならないし、農協も動かねばならない。何より政府・農林水産省と政治家が農家の権利を必死に守る必要がある。鷹揚に構えていてはいけない。国際社会は警察も裁判所もない無法地帯なのだから。
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