高知の別府さんからいただいたオオテントウ。
秋から冬へ、野外で虫を見る機会がへってくるにつれ、つい家のなかに虫を連れ込みたくなるこのごろ。
高知旅行でお世話になった
昆虫写真家 高井幹夫さんから10月末、
“別府さんから、「海花さんに、送っちゃり」(高知弁って、あったかくていいなあ。時間切れで見つけにいけなくて、私がヨダレを垂らしていたのを覚えていてくださったらしい)
とオオテントウを預かりましたのでお送りします”とメールがきて、
翌日、高知で見ることが叶わなかったオオテントウが到着しました!
ここまでおっきいとは、思わなかった。13ミリもある。
ガラスの膜でコーティングしたような、濡れているような光沢があります。
体側がちょっとめくれているようなところが、東南アジアのハムシに似ているかな。
おなかのほうから見ると、こんな。
どのくらい大きいか、
ふつうのナナホシテントウと比べてみると・・・・・・
オオテントウは関東で見たことがある、という話もきいたが、私はいままで見つけたことがないし、
どうやら西のほうに多いテントウムシらしい。
でも、西の方でも見つかると
新聞ダネになるような、珍しいテントウムシ。
ホウライチクという竹の一種にいる
タイワンツノアブラムシを食べるそうだ。
困った……。ホウライチクもタイワンツノアブラムシも近くにない。
しかたなくクワガタ用のゼリーが余っているのを思い出してあげてみると、
すごく気に入ったみたいで、顔をつっこむようにして食べている。
12月になってもまだ元気。
オオテントウといっしょに送られてきた葉っぱが枯れたので、そばの鉢にいれておいたら、
なんだかまわりがポヤポヤしてきた。
ルーぺで見ると……あら!粘菌が生えた。
粘菌図鑑を引っ張り出して調べてみると、
ドンピシャリのはなかったが、ホコリタケの一種らしい。
粘菌図鑑をみると、なんだかクラクラする。
引き込まれそうな世界だ。
11月には、「最強のカメムシ採集人」高橋敬一さんが、
群馬で採集したというルリヒラタムシ送ってくださった。
うおー、ひらべったい~。
黒みがかった瑠璃色の翅が渋くて美しい。
ルリヒラタムシは高地の広葉樹林の朽ち木などにいるらしいが、
これも我が家ではクワガタゼリーを食べてもらっています。
高井さんからいただいたニシキキンカメムシの終齢幼虫も、動きは少ないものの、
葉裏をときどき歩き回っている。
室内に置いているので、春になる前に羽化を見られるかもしれない、という期待を胸に、
だいじに、だいじに育てています。
日本産キンカメムシの最美麗種というニシキキンカメムシは、石灰岩の地層に生えるツゲが食草で、その生息は局地的。
今までに発見されている場所は、福岡県、長崎県、鹿児島県、高知県、岡山県、兵庫県、和歌山県、愛知県、静岡県、そして東京の奥多摩でも発見例があるという。
近所のエノキの幼木で採集したゴマダラチョウとアカボシゴマダラの幼虫の表情があまりに愛らしいので、飼育して観察中。
上の大きいのがゴマダラチョウで、左下はアカボシゴマダラの幼虫。
50センチくらいのエノキの幼木に6頭の幼虫(3、4齢)が見つかったのだが、
そのうちゴマダラチョウは1頭だけ。あとはみんなアカボシゴマダラでした。
ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、そして秋に山梨で見たオオムラサキの幼虫などはちょっと見似ているが、背部にある突起が、ゴマダラチョウは3対、アカボシとオオムラサキは4対。
また尾端が二又に開いているのがゴマダラチョウとオオムラサキで、
アカボシは二又になっていないので、これらが見分けのポイント。
アカボシゴマダラは11月下旬にも、終齢幼虫が見つかり、
(体の下に糸座をつくり、うつむいている終齢幼虫)
次のステージへ、メタモルフォーゼの神秘がはじまる蛹化直前の幼虫には、
シーンとした独特の雰囲気がある。
この終齢幼虫は、ほどなく蛹化して、1週間で羽化。冬も間近な空に飛んで行った。
関東で年2化ということか?
「アカボシゴマダラの従来の分布は奄美のみ、関東のは人為分布」と『イモムシ ハンドブック』にあるが、とにかくアカボシの繁殖力はおそろしいほどだ。
そして、足摺岬で採集したアカギカメムシたちも、まだ時々交尾するほど元気です。
口角が上がったご機嫌顔
日焼け顔
濃い眉顔。いろいろあるのが楽しい。
それにしても、アカギカメムシは、人間にとって臭い匂いを出すカメムシのなかで、
ほんとうに匂わないカメムシだ。
足摺岬で頭上の集団がばらけて降り注いできたときも、まったく匂わなかった。
カメムシの匂いも種によって強弱があるが(クズにつくマルカメムシなどは周囲にカメムシ臭が漂っていることもあるほど)、アカギカメムシに匂いがほとんどないのには、理由があるんだろうか?
足摺岬の生息地に案内してくださった高井幹夫さんによると、
アカギカメムシが秋に集団をつくるのは交尾のためと思われるが、まだ証明されていないという。
(秋の集団はその後、離散して越冬。春に産卵して5月ごろ孵化)
そこで、交尾しているカップルのメスを隔離して、
来春に受精卵を産むかどうかみてみたいと思っています。
産卵してくれるといいなあ~。