9月21日(日)、池袋自由学園明日館の教室で、今年3回目の「むし塾」。
講師は今や虫本のロングセラー『イモムシ・ハンドブック 1,2,3』の著者であり、いきもの写真家の安田守先生。
安田先生、思わぬ事故渋滞につかまって、長野からはるばる片道5時間もかけて明日館に到着し、
つかの間の休息。(ふー、ノド渇いたー。)
その間に挨拶
はじまり~
満員御礼、熱気むんむんの教室。
まずは、イモムシとは?絵に描いてみると・・・・という話から。
この貼紙のイモムシの絵・・・脚が6本、毛が6本(笑)
「みなさん、イモムシの脚の数って何本か知っていますか?」といきなり心をつかむ講義がはじまった。
0、6、10、16、20・・・・どれでしょう?
正解は16本でしたー。
さすがこの日の参加者には正解者が多かった。
では、イモムシの色でいちばん多いのは、何色でしょう?
―黒、茶、オレンジ、黄、淡色、緑・・・・
『イモムシハンドブック 1,2,3』に掲載されているのは666種。
うち、6位オレンジ(10種)
5位黄色 (25種)
4位淡色 (54種)
3位黒 (80種)
2位茶色 (99種)
第1位は、緑色の197種でした。
イモムシの多くは植物の葉を食べるので、宿命的にこの色が多いというのが理由。
しかし、他にも威嚇、捕食、有毒、擬態などさまざまな戦略があるので、色もさまざま。
毒持ちはだいたい派手。
ポーズもふくめ擬態にもいろんな形がある。
●鳥の糞擬態(安田先生によるとこの擬態法がけっこう流行っている)
●オオゴマダラエダシャクのようなコブラのように頭部を持ち上げて蛇のように見せる
●スズメガ、アケビコノハ、キョウチクトウスズメのような眼状紋を見せつける
など。
イモムシ類の天敵は、ハチ、カメムシ、コマユバチやヤドリバエのような寄生生物、サナギタケのような菌寄生もある。
イモムシたちは時にその行動で天敵を追い払う。
ウコンカギバのような突起をもつもの、フタキスジエダシャクのように、複数の突起を手旗信号のように動かすものも。
リンゴドクガの幼虫は脱皮した頭部を体の上に積み上げていくが、
どうしてこんなにきれいに積み上げていくのか・・・・
などなど、説明がつかないものも多い。
あまりの話の面白さ、興味深さ、つぎつぎ現れるヴィジュアル系イモムシの画像に、
飢えたイモラーたちは息をするのも忘れたように、熱い視線を先生に浴びせつづける。
「イモムシウォッチング」には、
●ルッキング
●ビーティング
●ホストを記録して、不明種は飼育
などの方法がある。
イモムシの探し方は?
●環境、分布、時期、ホストなどを調べる(例:カトカラ類は枝m、幹を探す、コケエダシャクは地衣類を見るなど)
●形、大きさ、習性、姿勢などを調べて、イメージトレーニングをする
チョウ、ガ類は日本に6000種、イモハンに載せた約600種を調べるのに10年近くを費やした。
日本では1960年代に「幼虫戦争」と呼ばれたムーブメントがあり、この時期、たくさんの研究者、愛好家が競ってイモムシについて調べ、大いに成果をあげた。
安田先生の仕事場。飼育中のイモムシだらけ。世話で他のことは何もできない。
生物多様性というけれど、イモムシを調べて改めて多様という言葉の意味を痛感している。
6000種の多様性とは、6000の生き方があるということ。
あと9割残っていると思うと、道ははるか・・・・・・
レコーダーを用意し忘れた私は途中で激しく後悔。
懸命にメモを取った分を上記にまとめてみました。
みんなの「もっと、もっと!」という心の声をききながら、講義終了。
さっそくサイン攻め。
いいなー、このサイン、わたしも欲しかったー
お茶会しよう!
この日のテーマにあわせて、明日館さんが、イモムシをイメージした
パッケージの、美味しいクッキーを用意してくださった!
「むし塾」はリピーターが多いので、この日初参加の方々に自己紹介していただいた。
だんだんみんなバラけて、それぞれに歓談。
第一回「むし塾」の名講師 野村昌史先生も参加してくださったのが、うれし~
緑を映す教室。
大好評のうちに終わったイモムシ講義、またいつかアンコールできたらいいな・・・。
さて、年内最後となる「むし塾」4回目は、11月30日。午後1時から。
講師はなんと、昆虫写真家 新開孝さん。
10月になったら詳細をお知らせします。