葛巻2日目のつづきです。
(注:ひとつ下の分から読んでいただけると、順番がつながります)
この日の取材をだいたい終え、江刈小学校へ。
そろそろみんな下校の時間かな。
さよならを言いにいかなくちゃ。
次は来年4月に来るねー
と教室をのぞくと・・・・・・・いつもカメムシ探しに熱心な3,4年生、T先生の組が
何やらにぎやか。
「今ね、学習発表会でやる劇の練習してるんだ!」と子どもたちの顔が上気している。
楽しそうだね~というと
「題名は『江刈の野原はみんなのパラダイス』っていうの」
「わあ、観てみたいなあ、写真送ってね」
カメムシも登場する劇ときいて、楽しみにしていたところ、きのうT先生から、劇の写真と脚本が送られてきましたー。
さて、この『江刈の野原はみんなのパラダイス』はもともと立木和彦作、小峰書店刊『みんなで作る小学校劇4年生』に載っていたもの。
原作にはもちろん「江刈」はついていないのだけど、ぜひ虫たちが登場する劇を上演したい、とT先生が脚本をさがし、キャストにカメムシを加えて手直ししたのだという。
出演は、くも吉、くも太、チョウ、ミツバチ、テントウムシ、カマキリ女王、スズメバチ1,2、くも助一家親分、子分、そして、われらがカメムシ、というオール・虫キャスト。
江刈の野原で、虫たちは楽しく暮らしています。
(注:緑色の翅の衣装をつけているのがカメムシ役のYさん)
ところが、そこに「カマキリ軍団」が来た!という知らせが。
わっ、ほんとだ、来たー
2匹のスズメバチを従えた、カマキリ女王です。
(鎌をもった女王様、サングラスの悪役たち、かっこい~)
女王:「なんてみごとな野原だ。気に入った、なんとしてもあたしたちのものにするのだ!」
「オオーっ」
どうしよう・・・・と不安におののく虫たちの前に、くも吉とくも太が。
ほかの虫を手当たり次第に網でつかまえるというので、この野原ではくもはきらわれものの仲間はずれ。
「どうしたの?」と心配してきくくも吉に、みんなは「いやあねえ、くもって」と去っていく。
そこへ今度はくも助一家の親分と子分があらわれて、この野原をぶんどるために、くも吉たちの網で
虫たちを一網打尽にしろ、とせまるも、くも吉はむやみな殺生はしない、とだんこ断る。
翌日、夕闇の中で遊んでいたテントウムシがくもの網にかかってしまう。
もがいていると、くも吉が網から助け出してくれた。
しかしテントウムシ、仲間のカメムシやチョウたちに、自分はクモをやっつけて逃げ出したのだ、とついウソを。
「助けてやったのに、どうして?」とくやしく泣きする弟のくも太を
「いつかきっと、わかってもらえるよ」となぐさめる兄のくも吉。
暮れゆく野原で、くも太はひとり歌う・・・・・・
「どうして,わかってくれないの,
こんなにつくしているのに,心に悲しさが,募るだけ…
いつかはきっと笑えるだろう,
その日を信じて生きていく♪」
嫌われ者のクモのさみしさを、マイクをもって、せつせつとソロで歌ったのは、
あのカメムシはかせ2号のTくんでした。
さて、カマキリ軍団が攻めてきて、江刈の野原で大乱闘がはじまった。
応戦するも、虫たちは追い詰められていく。
そこへ、くも吉、くも太が登場。
カマキリ軍団を挑発しつつ、くもの巣へ誘い込み、一気に捕縛!
クモの糸に絡めとられて、さすがのカマキリ女王とスズメバチたちも降参。
しかし、虫たちは、「仲間どうしであらそっている時じゃないよね」とカマキリたちを放してあげる。
「見て、野原は花が満開よ」
「ぼくたちの手で野原をまもっていこう」
「うん!」
くも太:「江刈の野原はみんなの」
全員:「パラダイス!!!」
パチパチパチパチ!!!
出演は、江刈小学校3,4年生 T先生組のみなさんでしたー。
(ちなみにT先生は、後列右端)
楽しそうだなあーーー。
感心してしまうのは、キャスティングが絶妙なこと。
おとうさん、おかあさんたちも衣装づくりに協力してくれて、劇は大成功のうちに幕を降ろしたのでした。
2014年、4回の葛巻訪問もこれで最後となりました。
カメムシ調査や本の制作のために、あたたかく惜しみないご協力をいただいた
葛巻のみなさん、ほんとうにありがとうございました。
鈴木町長さん、中村前町長さん、小野前校長先生、佐々木前副校長先生、江刈小学校の教職員のみなさん、町役場のみなさん、町のみなさん、ホテル・グリーンテイジ、葛巻高原牧場プラトーのみなさん、生徒たちのご家族、お米屋さんのご主人、江刈中学校のみなさん、カメムシ調査に足を運んだ石川忠さん、長島聖大さん、大久保清樹さん、福音館書店編集部北森芳徳さん、そしてちいさなカメムシはかせたち―
わあ~こんなにたくさんの方々のご協力をいただいたんだ、と胸がいっぱいです。
心より、お礼申し上げます。
わたしたちが次に葛巻に行くのは、来年4月。
雪が溶けて草が芽吹くころ、江刈の野原でまた会おう!