ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

低きより

2023-07-12 04:37:01 | 短歌





低きより またやり直す 切り株の 細きひこばえ いとほしきかな




*これはツイッターに発表したものではありません。タイッツーというね、何か冗談みたいな新しいSNSに発表したものです。

いつまでも同じことばかり繰り返すのは、わたしたちもつらいので、少し新しいことを始めてみたいと思い、参加したのですが、なかなか楽しいですよ。ここを起点に、何かが発展していくといいですね。

表題の歌は、いつもお参りしている神社の境内にある、楠の木の切り株を見ながら思いつきました。写真の切り株がそうです。この木も、もとは相当に高い、すばらしい樹勢をもった木だったのですがね、ある日無情に伐られてしまいました。

こんなことをされてしまったら、もう生きるのをあきらめて枯れてしまってもおかしくはないのに、木はまだあきらめていないようです。まだ生きようとしている。小さなひこばえをいくつも出している。

それが美しくて、表題のような作を作ったのです。

かつてすばらしく高かったものが、低いところからまたやり直すために、小さなことをこつこつと始めている。

しかしせっかく出したひこばえも、何度も摘まれて、丸裸にされるのです。でも木はそれでもあきらめずに、また細い緑を出している。

伐られても、摘まれても、まだ生きることをあきらめていない。そんな木がいとおしいのは、わたしたちも、何度も無情な世間の風に滅ぼされたことがあるからでしょう。そして何度もやり直してきた。

できるなら、このまま静かに見守ってやりたい。でも無情な人間世界は、彼が生きていこうとするのを、どうしても阻むのです。






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