いつはりを 捨ててまことの われをとり あとをかへれば われと思へず
*今週は一首しか詠めませんでした。不調ですね。毎日歌を詠もうと頭をしぼってみるのですが、感性がからからに乾いていて、何も浮かんできません。前は少し心をそこに向けるだけで、泉のように言葉がわいてきたものですが。このスランプはなかなかしつこい。ですが何とかやっていきましょう。にじるような速度でも前を向いて進んでいれば、何かが見えてくるでしょう。
偽りを捨てて本当の自分をとり、後ろを振り返ってみたら、過去の自分がもう自分とは思えない。
これはそういう意味の歌ですが、実際、解脱をして本当の自分に目覚めてみれば、だれしもそういう感慨を持つのです。今までやっていたことが、馬鹿みたいなことに思える。なんであんなことをやっていたのか。過去の自分は、自分が苦しくて、少しでも自分をいいものにしようと、焦って馬鹿なことばかりしていた。そんな自分がもう、今は自分とは思えない。まるで脱ぎ捨てた蛹の皮のように、あれはもう自分ではないのだと思える。
解脱して、新しく生まれ変わった自分は、愛のためになんでもやってゆく、それは美しい自分なのだ。この自分が本当なのだ。過去の自分は、何も知らなかった。何もわかっていなかった。無明にしびれておかしなことばかりやっていた。だがもう二度とそんなことはするまい。美しい本当の自分の心が命ずるまま、すべての幸福のために、あらゆることをやってゆく。なんとすばらしい自分だろう。
このように、解脱をすれば、まるで蛹から蝶が生まれるように、自分がすっかり変わってしまうのです。神がみんなの心の奥にしかけてくださっていた、愛の仕掛けがはじけて、自分が本当に美しい自分に変わってしまう。頭のてっぺんから足の先まで、全部が愛になってしまう。
人間の本当の自分とは、すばらしいものなのですよ。自分が変わっていくことを恐れて、解脱を渋るのは愚か者のすることです。新たな自分に生まれ変わるべく、人は解脱に飛び込んでいくべきだ。
みながそうすれば、この世は愛ばかりになって、すばらしい天国が成立するのです。そんな世界が来てほしい。いいえ、必ず来るでしょう。
古い自分を捨てて、本当の自分に目覚めなさい。そうすれば生まれ変われる。迷いの中にいた古い自分はもう自分ではない。新たな自分は、魂の自由の翼を得て、新たな空に飛んでゆくのです。