上弦の 月はガラスの 割れた猫 夢詩香
*上弦は、わたしたちがあなたがたのために制定した紋章です。愛を憎み、暴虐の果てに自分の半身を失ってしまったものだと言う意味です。
自分の愛する者を消すことは、自分を消すことにも等しい。あなたがたはそれをやってしまったのです。それがどういう現象をこれから引き起こしていくかということは、これからあなたがたが少しずつ学んでいくことです。
それではなぜ、あなたがたはあの人を、あれほど愛してしまったでしょう。形も生き方も美しいというだけで、なぜあれほど、煮え狂うほどまでに愛してしまったのか。
それは、女性というものが、神の美を表現するものだからです。
女性というものは本来、自分を半眼に抑え、自己の中核にある自分の玉座の席を半分ずらし、そこに神の心を招き入れ、神を愛しながら神を表現するということができるものなのです。
かのじょはその女性の使命が正しくできる人だった。ゆえのその姿に神性を感じて、あなたがたはあの人に激しく心惹かれたのです。
自己存在というものは、自分とは異質なものであるほど、強く心を惹かれます。
この世界にいる存在は、すべて神が創られました。ゆえにわたしたちは、神の元、同じ親から生まれた兄弟に等しい。どんなに違う存在でも、どこか似通っている。だが、神だけは、神が創られた存在ではないのです。
つまり神は、わたしたちが知っている存在の中で、最も異質な存在なのです。
ゆえにわたしたちは、だれもが激しく神に惹かれる。あの崇高な御美しさの中に、わたしたちとは最も違うものを感じるからです。
あの人の姿を、今思い出して御覧なさい。美しいのに、何かが決定的に違うと思ったでしょう。あれが、神の美なのです。覚えておきなさい。あれと同じ美を表現できる女性に出会ったら、今度こそは殺してはなりません。
おお、難しいですね。ちょっと本気を出しすぎました。明日は少し元に戻りましょう。