ほしからぬ ものはすてよと しほさゐの かなたにきこゆ はるかなる時
*これはインスタグラムで、ある投稿写真に差し上げようと思って、やめた歌です。
その投稿写真はあるリゾートホテルからのながめなどを写した組み写真でした。南の美しい海がベランダ見えていた。かたわらにはおいしそうな飲み物の瓶をきれいにいれた籠があり、ハイビスカスの花が添えてありました。
贅沢なバカンスうんぬんと書かれていたような気がしますが、見ていると、あまり痛い感じがしなかった。写真には普通それを見る人間の感情が染みつきますから、いいなと思ったり、行きたいなと思ったりすると、その感情が写真にしみつくものなのだが。
それがあまりなかったのです。
つまりはもう、人間はそんな贅沢なホテルになどとまりたくはないのです。自分がそんな贅沢をするために、どれだけの人が我慢や苦労をしてくれているかということを、わかるようになってきたからです。
人間もいつまでも子供ではない。王侯貴族のような暮らしがつかの間でも楽しめるようなホテルで、贅沢なバカンスなどすごしたくない。それよりは、いいところでいいことをして働いて、人生を自分を高めることにつかっていきたい。
そんなことを考えるようになったのです。
欲しくないものはすてなさいと、潮騒の彼方から聞こえる。はるかなる時がすぎたのだ。
もう永遠に、過去の世界とは決別する。そういう時がやってきたのだ。人間は楽をするために生きているのではないと、人間はわかったのです。
学び、向上するために生きることが幸福なのだと、わかってきたのです。