午後から、一緒に子育てをした30年来の友達に初孫ちゃんが生まれたのでプレゼントを渡しに行く予定で
午前中時間があったので、朝10時からの『
尚衣院サンイウォン』を観るためにまたシネマート心斎橋へ。
主役のコ.スさんがすごく美男だからファンの方が?
珍しく20人くらいのお客さんが来ていました。
映画は感動的、素晴らしい衣装の数々や創造する事の喜びと苦しみに、胸を打たれました。
朝鮮王室の衣服を作る部署、尚衣院(サンイウォン)の職人ドルソク(ハン・ソッキュ)は、これまでの功績により半年後に高い身分を与えられることが決まっていた。
ある日、王(ユ・ヨンソク)の衣服を台なしにしてしまった王妃(パク・シネ)は、天才仕立師のゴンジン(コ・ス)に王宮入りを要請。
美しい王妃に心惹かれたゴンジンは、生まれながらの美的センスと才能を開花させ、たちまち王宮で活躍するようになる。
ゴンジン作の美しく衣装で着飾った王妃に、王は魅了されると同時に嫉妬を覚える。一方、ゴンジンの活躍と才能に焦るドルソクは、ゴンジンを陥れる計画を立て……。
ほとばしり出んばかりの才気あふれる若き天才仕立て屋ゴンジン
幼いころから血のにじむような努力で今の地位を得たドルソク
この二人の関係は、『アマデウス』のモーツアルトとサリエリの関係を彷彿とさせます。
サリエリは、モーツアルトより素晴らしい音楽が作れますようにと神に祈りますが、その願いはかなえられず、神を否定し自分自身を破たんさせていきます。
才能、持って生まれた才能、才能があるってすごい事です、努力でも信仰でも得られない、才能の前にはひれ伏すしかないです。
自分が歩んできた道を覆すような才能の持ち主が自分の前に現れたら、一体どうやって折り合いを付けたらいいのでしょうね。
自分の才能を疑いもせず屈託のないゴンジン、彼はただただ衣装を作ること、そしてそれを着た人々の喜ぶ顔を見ることに幸せを感じる。
一方、ドルソクは、のし上がりたい王様に認められたいと言う気持ちも捨てられない。
ゴンジンのあまりの才能を目の当たりにして、たじろぐドルソクだが
屈託のないゴンジンは、同じような職人の手を持つドルソクを慕い敬う。
心狭き王の愛情を受けることが出来ない美しき王妃に心惹かれるゴンジンは、王妃を慰めるために一心に王妃の衣装を作ります。
次から次へと目も覚めるような美しい衣装が出てきて、思わずため息が出ます。
何の苦労もなく、素晴らしいデザインを次から次へと思いつくゴンジン、その才能も私達にため息をつかせます。
2人は、お互いを認め合い創造すると言う孤独をお互いの存在で慰めあう時もあったのに
王妃と側室の衣装を作ると言う思いがけない対決によって、次第に関係が緊迫したものに変わっていきます。
時のたつのも忘れて王妃の衣装作りに没頭するゴンジンを訪れたドルソクは、壁一面に貼られたデザインの数々に息をのみます。
そして、思わずそのデザインを盗んでしまうのです。
そして、対決の日、ドルソクの作った奇をてらったきらびやかな衣装を身にまとい現れる側室に対して
厳かな気品溢れる思わず皆が頭を垂れてしまうほどの衣装を着た王妃。
どちらが勝利したのかは誰の目にも明らかなのでした。
バレエマンガ『アラベスク』のユーリとエーディクの対決を思い出します。
金色の踊りを披露するエーディクに対して装飾をそぎ落とした踊りで臨むユーリ。
そこから、ドルソクのゴンジンへの嫉妬が炎のように燃え上がります。
王宮を辞して、市井の人々の中で生きていく決意をしたゴンジンに、王様の嫉妬も加勢して首打ちの刑が下されます。
最後までドルソクを慕うゴンジンの瞳が切ない。
ゴンジンを失った後その愛に涙を流すドルソク。
でも、存在を消し去りたいくらいの嫉妬から逃れる事が出来なかったでしょう。
そして、きっとライバルの存在を失ってから胸をかきむしられるくらいの悔恨の情が沸き起こってきたのではないでしょうか。
ライバルがいてこそより素晴らしいものが作れることに気づく。
その証拠に最後はドルソクは次第に力を失っていくのでした。
創造することの素晴らしさと厳しさを存分に味わうことが出来た映画でした。
そして、衣装の素晴らしさ。
約一億円もの製作費が投入され徹底した考証の元100着以上の衣装が制作されたそうです。
中でも一番印象的ともいえる王妃のまとった韓服は、15枚の衣が重ねられていて3000個ものパールやビーズで装飾されているそうです(チラシ参照)

この衣装が上記の物

お互いを認め合っていたころのドルソクとゴンジン

美男コ.スと美しいパク.シネちゃん。
あまりにもコ.スさんがハンサムで純粋(役が)だったので打ち首になってしまってすごく悲しかった残念だった。
何かの記事にコ.スさんは、自分では平凡でいまも演技と言うものが分からない、と言っていると載っていました。
いえいえ、天才肌の純粋な職人を素晴らしく演じていらっしゃいましたよ、目がよかったです、目が。
この映画を観ていたら、新しい作品を作らなければと言う気になりました。