つい先日、もうマンガを読まなくなってしまったね、と夫と話していたのですが
7月28日付けの夕刊に山岸凉子さん作「日出処の天子」の記事が載っていたので懐かしくなって
思わず、本棚から取り出してきて読み始めてしまいました。
今まで生きてきた中で一番衝撃を受けたマンガは?と聞かれたら、迷わずこれを上げるでしょう。
厩戸王子、すなわちのちの聖徳太子を主人公にしたこのマンガは、史実に基づいて厩戸王子が少年時代を経て摂政になるまでが描かれているのですが
主人公である厩戸王子が、妖艶な美少年であり天才で超能力者、そして同性愛者であると言う設定が、歴史漫画という枠を超えて
人間が根源的に持っている魂の孤独感や愛、そして愛すると言う事に付随する喜びや苦しみを描いていて、深く心に迫ってくる作品となっています。
この漫画を初めて読んだのは、30数年前の事でしたでしょうか、あまりの衝撃にその後しばらくは他の漫画を読むことが出来なくなったほどでした。
歴史マンガとしてももちろん面白いのですが、何といっても心を奪われるのは厩戸王子と蘇我毛子との許されざる恋。
あまりにも天才である上に超能力を持って生まれてきてしまった王子は、実の母親から疎まれ憎まれると言う心に深い傷を負っています。
母親が、我が子をどうしても受け入れることが出来ない、そういう事は現代でもよく取り上げられている問題ですね。
そんな王子の存在自体を心から受け入れ常にやさしく気遣う毛子を王子は次第に狂おしいほどに愛してしまうのですが、、、。
この世を自分の思い通りに動かすために、手段を選ばない王子を恐れ批判的になりながらも、
王子の身体からにじみ出るような孤独感に気づいてしまい、思わず王子の側に付き従い守ってしまう毛子。
一体、自分は男である王子を愛してしまったのか?揺れ動く毛子の心、どうしても毛子の心を手に入れたいともがき苦しむ王子。
大きな歴史のうねりと共に描かれる情念の世界、何度読んでも素晴らしい作品だと思いますが
読み終えた後の虚無感と言うか虚脱感と言うか、しばらくは作品に囚われてしまう覚悟がいるので
エネルギーあふれる元気な時に読まないといけないかもしれません。
Amazonの中のnyaさんのレビューが心に残ったのでリンクしておきます→こちら
昔から山岸涼子さんの作品をたくさん読んできましたが
母親から理解されない認めてもらえない、あるいは同性愛などと心に傷を持った主人公が多いのが特徴です。
それについてご本人が書いていらっしゃる記事も見つけたのでこれもリンクしておきます。→こちら
魑魅魍魎が蠢く苦界奥底の流れの中から二人で脱出する、印象的な場面
PS.京都国際マンガミュージアムで「山岸凉子展『光ーてらすー』メタモルフォーゼの世界」が9月3日まで開かれているそうです。
7月28日付けの夕刊に山岸凉子さん作「日出処の天子」の記事が載っていたので懐かしくなって
思わず、本棚から取り出してきて読み始めてしまいました。
今まで生きてきた中で一番衝撃を受けたマンガは?と聞かれたら、迷わずこれを上げるでしょう。
厩戸王子、すなわちのちの聖徳太子を主人公にしたこのマンガは、史実に基づいて厩戸王子が少年時代を経て摂政になるまでが描かれているのですが
主人公である厩戸王子が、妖艶な美少年であり天才で超能力者、そして同性愛者であると言う設定が、歴史漫画という枠を超えて
人間が根源的に持っている魂の孤独感や愛、そして愛すると言う事に付随する喜びや苦しみを描いていて、深く心に迫ってくる作品となっています。
この漫画を初めて読んだのは、30数年前の事でしたでしょうか、あまりの衝撃にその後しばらくは他の漫画を読むことが出来なくなったほどでした。
歴史マンガとしてももちろん面白いのですが、何といっても心を奪われるのは厩戸王子と蘇我毛子との許されざる恋。
あまりにも天才である上に超能力を持って生まれてきてしまった王子は、実の母親から疎まれ憎まれると言う心に深い傷を負っています。
母親が、我が子をどうしても受け入れることが出来ない、そういう事は現代でもよく取り上げられている問題ですね。
そんな王子の存在自体を心から受け入れ常にやさしく気遣う毛子を王子は次第に狂おしいほどに愛してしまうのですが、、、。
この世を自分の思い通りに動かすために、手段を選ばない王子を恐れ批判的になりながらも、
王子の身体からにじみ出るような孤独感に気づいてしまい、思わず王子の側に付き従い守ってしまう毛子。
一体、自分は男である王子を愛してしまったのか?揺れ動く毛子の心、どうしても毛子の心を手に入れたいともがき苦しむ王子。
大きな歴史のうねりと共に描かれる情念の世界、何度読んでも素晴らしい作品だと思いますが
読み終えた後の虚無感と言うか虚脱感と言うか、しばらくは作品に囚われてしまう覚悟がいるので
エネルギーあふれる元気な時に読まないといけないかもしれません。
Amazonの中のnyaさんのレビューが心に残ったのでリンクしておきます→こちら
昔から山岸涼子さんの作品をたくさん読んできましたが
母親から理解されない認めてもらえない、あるいは同性愛などと心に傷を持った主人公が多いのが特徴です。
それについてご本人が書いていらっしゃる記事も見つけたのでこれもリンクしておきます。→こちら
魑魅魍魎が蠢く苦界奥底の流れの中から二人で脱出する、印象的な場面
PS.京都国際マンガミュージアムで「山岸凉子展『光ーてらすー』メタモルフォーゼの世界」が9月3日まで開かれているそうです。