整体とお灸が効いたのか、今朝起きたらかなり体調がよくなっていました。
骨折友達との約束が台風でキャンセルになったので、シネリーブル梅田へ『
彼は秘密の女友達』を観に行くことにしました。
台風の影響で有難いことに曇り、少し風まで吹いていて出かけるのにもってこいのお天気。
気持ちが揺れ動かないうちにと朝9時過ぎ出発、10時25分の回を観ることに。
10時過ぎに到着、チケットを買って10時15分に席に座ったら館内で『ペットサウンズ』が流れていました、ラブ&マーシー、引き続き上映中だからかな?何となくうれしくなった。
彼は秘密の女友達、とても不思議な映画でどんなふうに物語が進んで行って行きつく先はどうなるんだろう、、と最後まで目が離せませんでした。
クレール(アナイス・ドゥムースティエ)は、7歳の時からずっと無二の親友だったローラを病気で失い深い喪失感にさいなまれていた。
ローラは、夫とまだ6ヶ月の娘を残して亡くなってしまったのだった。
クレールは、ローラにダヴィッド(ローラの夫 ロマン・デュリス)と娘リュシーの面倒は必ず見るからと堅く誓っていた。
悲しみから立ち直れないクレールは、しばらくダヴィッドに連絡を取らなかったが、ある日ついに彼らの様子を見るために訪ねていく。
そこでクレールが目にした光景は、ローラの服を着たダヴィッドがリュシーをあやしている姿だった。
「リュシーのためにこんな恰好をしているんだ、驚かないでこの状態を受け入れて。」とクレールに頼むダヴィッド。
ダヴィッドは、「結婚する前から女装することが好きだったんだ、ローラも知っていた。」と打ち明ける。
混乱するクレールだったが、夫(ラファエル・ペルソナ)には内緒で、ダヴィッドにヴァルジニアと言う名前を付けて女装を手伝ううちに彼女にも変化が訪れる。
ダヴィッドを受け入れてヴァルジニアのことを本当の女友達のように愛して、明るく女らしくなっていくクレール。
ダヴィッドも、ヴァルジニアでいることがとても落ち着くし望む生き方だとクレールに告げるのだった。
先ず、主役のアナイス・ドゥムースティエとロマン・デュリスがとても魅力的。
アナイス・ドゥムースティエは、今を時めくフランスの女優と言う事で、混乱しながら女装するダヴィッドを受け入れ、迷いながらダヴィッドでありながらヴァルジニアである彼を愛していく様子をきめ細やかに演じていました。
ロマン・デュリスは、男でいるときは男として魅力的でセクシー、女装したときはそれなりに女らしくと言う役柄を上手く演じていて、途中、二人が同一人物であることが不確かな気持ちになるほどでした。
ダヴィッドは、気持ちは男性でありながら、何故か女装している自分が本当の自分であると感じている、この部分は正直私には全く理解できませんでしたが、もちろん、理解などしなくてもいいんですけれどね。
そうだと言う事実のみが真実としてあるだけです。
そんなダヴィッドにどんどん心惹かれてしまうクレール。
ローラを挟んでの二人にしか分かり合えない秘密が、二人を密接に結びつけていくのでしょうか。
ラファエル・ペルソナ(かなりの美男)が演じるクレールのご主人ジルが、何と言うか非の打ちどころのない素敵な男性。
ハンサムでやさしく仕事もできるしクレールを愛している、これ以上ないくらいな男性なのに、何故クレールはダヴィッドに惹かれてしまうのか。
完璧な男性であるジル、そこにはもしかしたら女性性と言うものが欠けていたのかもしれません。
女の人の中には、女性性を持った男性に強く惹かれると言った部分があるのではないかと思います。
自分と同じような心を持ち自分を分かってくれる強い女性性を持っている、クレールが惹かれたのはその部分かな、と思ったりしました。
お互いに愛し合っていると知ったダヴィッドは、クレールをベッドに誘いますが、最後に強く拒否されます「あなたは男だわ。」
私と同じだと思っていたのに、違っていたのね、そこに強い拒否反応が出てしまう気持ちがすごくわかる気がしました。
逃げ出すクレールを慌て追うダヴィッドは車に轢かれて意識が戻らない状態になります。
病室で横たわる彼を見て、迷っているけれどやっぱり愛していることに気づくクレール。
クレールは、黄泉の世界へと旅立つかもしれないダヴィッドを呼び戻すために、彼に女性の下着をつけ服を着せお化粧を施しながら二人の思い出の曲(ニコール.クロワジールの「あなたとともに」)を歌うのです。
そして、ヴァルジニア、と呼びかけます。
その呼びかけに応えて目を開くダヴィド、彼は再びこの世に戻って来ます。
ここのシーンがとても美しいです。
数年後、大きくなって学校に通うリュシーを迎えに来るダヴィッドとクレール。
ダヴィッドはすっかり身に着いたように女装し、クレールのお腹は大きくなっています。
ジルの子供?それともダヴィッドの?その答えは私達観客にゆだねられていますが、気持ちの流れとしてはやはりダヴィッドの子供であると思いたいのではないでしょうか。
私達は異質なものを排除したいと考えてしまいがちですが、認め合い受け入れることはこんなにも幸せな事、それを押し付けることなくさりげなくユーモアを交えて語りかけてくる、そして人間の心の神秘を教えてくれる
不思議に満ちた素敵な映画だったと思います。