今日のお稽古の時に、生徒さんたちからサンローラン役のピエール.ニネがきれいで評判になっていると聞きました。
繊細さを表現するためにダイエットでもされたんでしょうか、本当に細くてきれいでした。
今日は、映画の感想を書きたいと思います。
(あらすじ)
1953年、パリ。亡きクリスチャン・ディオールの後継者として関心を向けられるファッションデザイナー、イヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)。
デビューを兼ねた初コレクションを成功させた彼は、21歳にしてファッション業界の天才としてあがめられる。
そんなイヴとディナーで出会ったピエール・ベルジェ(ギョーム・ガリエンヌ)は、その才能に惹(ひ)かれると同時に恋をする。
ベルジュは仕事でもプライベートでもパートナーとしてイヴを支え、彼の名を冠したブランドを一緒に立ち上げてファッションの革命をもたらしていく。
以上はシネマトゥデイからのコピーです。
映画は、世界が熱狂する華やかなファッションを生み出すイブ.サンローランの苦悩とイブ.サンローランを公私ともに支えたピエール.ベルジュとの複雑な愛憎を描いています。
とにかくピエール.ニネの目線、気品のあるしぐさ、スタイル何もかもが美しくてピエール.ベルジュ役のギョーム.ガリエンヌとのラブシーンも全く違和感はありません、
ピエール.ベルジュを誘うニネの演技が清潔で初々しくてとてもよかった。
あふれる才能を持ちながら、いや持っているからこそか、その神経は繊細過ぎて世間のすべてのものにアレルギーを感じているイブ、常に苦悩を抱えているような彼に仕事を始めてすぐに兵役の問題が。
無理ですね、こんな人には兵役なんて無理、普通の男とは全然違う次元で生きているんですからね。
しかし、招集は避けられず入隊するんですが、すぐに精神を病んで軍の精神病院に入れられてしまいます。
病院を訪れたピエール.ベルジュは「もし、君が生きたいのであれば助けるけれど、そうでないのならどうしようもない。」と、イブに告げます。
「もし、デザインできなければ僕は退屈で死んでしまう。」と、つぶやくイブ。
愛するイブのメゾン(ブランド)のためにピエールは、あちらこちらに赴いて資金をかき集めます。
無事にメゾンを立ち上げることが出来て、自分のすべてをささげてファッションを生み出すのですが、創造することの辛さにいつもいつも苦しめられます。
でも生み出さずにはいられない、それがないと生きていけない、なのにどうしてこんなに苦しい、、。
ピエールが言います「彼が幸せを感じる時は年に2回だけ、春夏のコレクションの後と秋冬のコレクションの後だけ。」
コレクションの後、見ている人が歓喜に立ち上がり新聞がこぞってほめたたえる、その瞬間だけが幸せを感じられる。
その後は、次のコレクションに向かってまた孤独と苦しみの中でクリエイトすることが続く。
比べるなんてそんな気はないので書くのもお恥ずかしいのですが、昔、2~3年ごとに割と大きな場所でお教室の展示会を開いていたのですが、とってもしんどかったです。
生徒さんの作品が、それまでに仕上がるか、自分の作品もそれなりのレベルで作れるのか、展示会をすると決めてから始まるまではいつもほとんどうつ状態でした、
始まったその日から期間中は天国、いろいろな人が作品展を見てくださって楽しそうに生徒さんたちと語り合う姿や、素敵ですね、とおっしゃってくださる、本当に喜びでした。
今は、それをやめてしまったのでかなり楽です、地獄も天国もない毎日です、もちろん比べるべくもないですが、年2回も世界中が注目するコレクションを開く、想像を絶するプレッシャーですね。
次第にイブは、心を病み、お酒、麻薬、つかの間の愛に溺れていきます。
それでも、ピエールはその才能を信じて外れていくピエールを守り軌道修正しファッションの世界へと連れ戻します。
イブを包み込むピエールの大きな愛が、美しくもあり悲しくもあります。
最後、耐えられないくらいのプレッシャーの中で、お酒や麻薬でぼろぼろになりながらも発表するコレクションは素晴らしくて、でもコレクションの後に登場するイブは、まっすぐ歩くこともできない。
2002年、そのファッション性において世界の女性の考え方をも変革したとされるイブ.サンローランは身も心も壊れてしまいついに引退。
ギリギリまで追い詰められてもなお生み出すことがやめられない姿が痛々しくて苦しかったです、
こんなにも世の中に功績を残し人々に喜びを与えているにもかかわらず、本人はすべてを出し切って空っぽになってしまって、、世界レベルで有名になると言う事は本当に恐ろしいくらいに孤独なんでしょうね。
さて、ほとんどが彼の苦悩についての感想になってしまいましたが、イブ.サンローラン財団から貸し出された衣装も見どころの一つ。
霞でも食べて生きているのか、超細いモデルさんが色々な衣装を着てランウェイを歩く姿も必見です。
ファッションについて詳しくないので知りませんでしたが、パンツルックを世に出したのはイブ.サンローランだったんですね、
その他、シースルー、サファリルック、タキシード、現在も受け継がれているいろいろなファッションを彼が作り出していたとは、驚きでした、それを知ることが出来たこともこの映画を見てよかったことのひとつです。
そして、やっぱりピエール.ニネ、彼は実年齢26歳と言う事ですがイブ.サンローランの21歳~40歳代までを演じていて全く違和感がなく役への理解度が本当に深かったと思います。
ピエールを演じていたギョーム.ガリエンヌの何もかもを受け止める力のある演技にも感銘を受けました。
映画全体の素晴らしさと言うよりは、この二人の役者さんの芸術的な演技に心を打たれた映画でした。(映画は星3.5くらい役者の魅力は星5)
改めて評価されているのでしょうか、現在何度も、取り上げられているイブ.サンローラン
2010年に『イヴ・サンローラン』 - 、フランスのドキュメンタリー映画も公開されていたし
これから2014年『サンローラン』 - 、監督ベルトラン・ボネロ、主演ギャスパー・ウリエルももうすぐ公開されるらしいです。
2010年の方はDVDを借りてみようかな。
ピエール.ベルジュと、イブ.サンローランの親友で彼のファッションのミューズでもあったベティー.カトルーの
インタビュー記事を次男が見つけてくれたので興味がある方は読んでみてください。