上から、ミッシュブロート、パネトーネ、パンドカンパーニュ、これまで提案んしてきた商品の一部、本物です。
今日はパンの話をします。
高級食パンとか生食パンとか、食パン専門店を謳ったパン屋が目につきます。既にピークは過ぎ閉店する店が増えていますが、なぜこんなにも早くブームが去ろうとしているのでしょうか。
フランスではパンの定義として材料が定められています。小麦粉、塩、水です。これだけでパンは作れます。ただ発酵時間を短縮し、企業として成り立つためにはイースト(酵母)、生地改良剤(ビタミンC,イーストフード等)、円滑な発酵を保つためにまた風味改善、食感改善、焼き色改善等のためにモルト(麦芽酵素)を普通使用します。
もう一つ特徴的な事実は、ヨーロッパではパンにバターを使いません。生クリームも使いません。使ってもサワークリームだけ。例外としてフランスのバゲットヴイエノアがありますが。ドイツにもサワークリームを使うパンがありますが、例外的な商品です。
古くは発酵時間短縮と風味改善、食感改善等の付加価値をつけるために発酵種(ルヴァン、ルヴァンリキッド、サワーなど)を使用して独特の風味を持つパンを焼いていました。パン屋、村の共同製パン場などそれぞれが独自の種を持ち、それを毎日種継をしながら味を守っていました。
最近はルヴァンマシーンと言われる種継と保管を管理する装置ができ、大手製パンメーカーが発酵種を導入する時代になりました。発酵種を上手く使う事で風味改善だけでなく、発酵時間の短縮及び食感改善、しっとり感付与、老化遅延等の効果と大量生産時の生地の機械耐性まで強化する事ができます。アンパンでいい味を出している大手製パンメーカーがあります。大手です。
話を高級食パン、生食パンに戻しますが、この高級とはどこから来るのでしょうか?バター、生クリームを使用している。また砂糖をたくさん配合しパンが大変甘い。高級な材料を使用しているから高級?
パンは高級かどうかより、美味しいか不味いか。これだけですね。それに毎日食べても飽きない事。これが主食の条件でしょう。コメ然り。
甘くて、バターの香りがして、ドッシリ重くては直ぐに飽きます。本物は甘く無い。本物のパンを作ることも甘く無い。
ベーカリーやカフェのプロデュース及びパン作りの技術指導を生業にしていますが、美味しいパンを作る事より金儲け優先の方が多くて。美味しい商品を作れば、そしてサービスが良ければ、売上はついて来ます。