パン屋開業、一大事業です。
この業界に入り30数年、入社時から冷凍生地の開発に携わり、その後ベーカリーのFCオーナーの技術指導に携わってまいりました。全て素人の脱サラ組で、初めてパンを焼く方たちでありました。この頃はインストアーベーカリー、オーブンフレッシュベーカリーの発展時期で、工場のラインは24時間生産ラインを稼動しても注文に応じきれないほどパンが売れた時期でした。
技術指導は経営ノウハウと冷凍生地の扱い方、パンの基礎知識を含めて美味しく焼くための最低限必要な知識を1週間程度掛けて行いました。その後レベルに合わせて、高度な生地の扱い方、バリエーションの増やし方などを習得していただき、開店を迎えるまでに商品構成を作り、売上を計算できるレベルまで指導しました。この期間、早い方で3週間、中には開店までに必要な商品を習得できない方もおりました。
中にはミキサーを導入し食パンや、フランスパンを焼ける程度まで上達したオーナーもおりましたが、そうなるまで3年以上の努力があったと記憶しています。
リテールベーカリーの売上、全国平均は5万円に届いていません。特に地方で開業するには覚悟が必要です。当たり前のことですが、初期投資は少なく。しかも中古でない機器を揃えること、プロが使用しない、また選ばない機器を押し付けられないこと、ここにお気をつけ下さい。
大きな店を構えても、それだけでお客様が足を運ぶのはせいぜい2年、品質・味が良くなくては存続は厳しく成ります。良い例がサンメリーでドトールコーヒーに身売りしてしまいました。一方、浅草、新仲見世の”Geeva”、開店当初は品質が悪く、お客様も少なく心配していましたが、今は商品が見違えるように良くなり、パンが生き生きしています。外国人観光客が2階のカフェでコーヒーを飲み、満足した笑顔で出て行く姿をよく見かけますが、私がプロデュースした店のように嬉しく成ります。いつ行っても満足の行くサービスも感心します。ここはオーブンの選択が良かったですね。桜上水の会社プロデュースですが、稀に見る成功例ではないでしょうか。ちなみに、サンメリーの大型店舗はこの会社のプロデュースです。
1週間でパンが焼けるようになります。こんなキャッチコピーを目にしますが、何種類焼けるように指導するのでしょうか。商売として成り立つ種類と商品構成を構築するだけのノウハウが身に付くのでしょうか。甚だ疑問です。
開業前に時間的な余裕を持ち、覚悟をお持ちの方はとことん指導いたします。また、最も大事なこと、それは開店後のサポートです。開店後必ず売上は下がります。その売上が下がった後のサポート、ここが重要なポイントです。ここを乗り切れずに閉店、身売りが多いこと知るべきです。
大方のコンサル、プロデュース会社は店を作るだけで、後は野となれ山となれ。オーナーにとっては開店後の売上をどう伸ばして行くか、それが重大事です。その為には商品開発、技術向上、サービス向上が不可欠です。しかし、開店後は日々の生産に追われ、ライバル店の動向や市場の流れが見えなくなる物です。
開店と、その後のサポートが出来て初めてベーカリーコンサルタントだと思います。
熱血コンサルを自負し、開店して良かったと思っていただける様、オーナーを指導します。