バターロール実習
ベーカリー開業にどの位の研修、実習が必要でしょうか、という質問があります。趣味で作るのとは異なり、お客様に販売する、買っていただくことを目的に作るには、1週間程度では到底無理です。
趣味でバターロールを焼く、1週間毎日の練習でかなり美味しい物が出来たとしても、一品種、しかも数個。商売となれば少なくとも数種類、またはそれ以上、数十個の単位となると、どう生地を管理して、どう工程を組みますか。仕込み、分割・整形、焼成が平行して進むベーカリーの工程、頭で考えての動きでは生地は過醗酵・過熟、ホイロは出すぎ、これでは美味しいパンにはならず、売上は下降線を描く。時計を見ずに、生地の状態がどうなっているか、パンチ時期、分割時期があと何分後か、オーブンの中がどうか、工程の全てが、隅々まで見えるような成らないと、美味しいパンを焼くことは不可能では無いでしょうか。
身体で覚える、感を磨く、廻っているミキサーの音で生地の状態が判る、こうなればタイマーを使わなくても毎日同じ生地が作れます。分割・整形をしながらも生地の状態が判断できれば、オーブンの出し入れ時も、平行して工程は進み、ミキサーで生地は作れます。ミキサーに張り付いて生地の状態を見守る、これでは工程が平行して進みません。
こうなるまで少なくても3年から5年。
殆どの素人ベーカリーは生地が過熟で、パンはバサバサ、スカスカ、老化が早く、夕方はミイラのような惣菜パンが並んでいて、とても手を出そうとは思はない。これは生地の状態が判断できていないことに起因します。ミキシング、生地温度、室温、醗酵室温、工程の遅れ(分割・整形が遅い)、これらを改善する必要があります。指先でチマチマ整形する素人の整形法では工程が遅れるのは当然です。悲惨なベーカリーを増やさないためにも、どうぞ慎重に。