Pains パリの味

パン屋、ベーカリー作りを応援します。

ベーカーテクノサービス

Pain de mie

2009-09-30 08:39:24 | Weblog

 パン ド ミ
 
 Mie、この意味ですが、中身、パンの内部、パンの内相の意味で、中身を食べるパンと言うことです。それに対しバゲットは皮・クラストを食べるパンです。

 フランスでは食パン用の生地を仕込む事無く、バゲットの生地で作られるパンドミが良く見られます。最近は強力粉の販売量が増え、食パン専用の生地を仕込むパン屋が増えています。

 日本では山形のパンをPain de mieと呼ばれることが一般的ですが、角型の食パンもPain de mieと呼ばれます。配合は、フランスパンと同様なリーンな単純配合が普通です。最近、卵や牛乳を配合したものもありますが、これをパンドミと呼ぶのはどうかと思います。

 標準配合
小麦粉(強力粉)             100%
ルバン                    20 (ルバンの使用は任意)
ドライイースト(インスタントで可)      0.4 (ルバンを使用しない場合は0.8)
モルト                      0.6
シママース                   2、0~2.2
油脂                       3
水                       65~70

生地温度は26℃、発酵時間3時間(2時間パンチ)
ミキシング:L3↓L2、ML4、ルバンを使用する場合はML6~7

美味しい食パンはベーカリーを元気にします。天然酵母(ルバン=Levain nature maison)は自家製でなければ。

 


食パン

2009-09-29 19:05:16 | Weblog

 最も消費量の多いパン。それがこの角型食パンです。トーストにサンドイッチに、日本人好みのシットリしたこの食パン。最近は砂糖量が多くなっていますが、これが基本配合で、しかもストレート法で作る食パンが基本中の基本です。

強力粉           100%
生イースト           2  (1.5時間~2時間発酵、2/3でパンチ)
ビタミンC          10ppm
モルト              0.4
砂糖              5
シママース           2
脱脂粉乳           1
油脂              3~5(ラードで3%、ショートニング5%)
水               65~70(小麦粉銘柄により変わる)


クロワッサン

2009-09-26 17:15:00 | Weblog

Croissant au beurre

 このクロワッサンはフランスに着任した翌朝、ホテルの朝食で頂いたクロワッサンをモデルにしています。素朴な小麦粉の香り、バターの風味、口溶けの良さを再現しました。

強力粉              50%または40%
薄力粉              50  または60
生イースト             3
ビタミンC              20ppm
ユーロモルト            0.4
上白糖               5
シママース             2.4
脱脂粉乳              2
バター(無塩)           8
水                 50 (小麦粉により変動)

ロールインバター        60    3つ折3回
                       バターは発酵バター、銘柄に注意

小麦粉とバターの銘柄選びで風味、食感が大きく異なる。
冷凍保存する場合はビタミンCを増量するか、生地改良材を使用。但し、生地改良材は風味・食感を劣化させる物があるので要注意。



 


天然酵母全粒粉の食パン

2009-09-24 08:35:31 | Weblog

 全粒粉は発酵を長時間にするか、ルバン(天然酵母)を使用しないと全粒粉の持つ風味を引き出すことは出来ません。味と香りを引き出すためには生地のPHを下げることが必要で、PHを下げるにはルバンが最適です。

 粗挽き全粒粉は仕込み前に前処理が必要ですが、浸漬に使う湯温により必要な時間が異なります。また、全粒粉をローストするとで香りが際立ちます。

小麦粉             70%
小麦全粒粉          30
ルバン             20~40
インスタントDイースト      必要に応じて
ユーロモルト           0.4~0.8
シママース            2.2~2.4
油脂               3~5
水                 70~75 (ルバンと全粒粉によりかわる)


Baguette sur levain

2009-09-23 09:37:22 | Weblog

 天然酵母バゲット

 基本はカンパーニュと同様ですが、生地の硬さと熟成の程度で形・内相・風味が決まります。天然酵母=ルバン、ご自身で作ったルバンが風味を決め、お客様からの評価が決まります。

 天然酵母=ルバンは小麦粉で起こす物、ライ麦で起こす物、ライ麦粉で起こし小麦粉に継いで行くものなど種々あります。野生酵母をどこから採取するか?フルーツ、ドライフルーツ、穀物などに付着している野生酵母を培養することが一般的です。
 その組み合わせと培養条件の差から異なる風味を創ります。

小麦粉            100%      小麦粉の銘柄・配合比率はご自由に
ルバン             20        灰分、タンパク量を変えることで性格
インスタントDイースト      0.2      が変えられます。
シママース            2.2~2.3
ユーロモルト          0.4
水                65~70

 


パンドカンパーニュ  基本

2009-09-22 09:02:50 | Weblog

 パンドカンパーニュ、フランスでは店毎に違う配合・製法で全く異なるカンパーニュがあります。カンパーニュを焼いていない店や、バゲットと同じ生地から取る店もありますが、どこもそれぞれの味を競っています。
 製法もポーリッシュ法、その硬さを変えた中種法、老麺法、天然酵母(ルバン)これらが製法を決める基本的な種です。その種は使用する小麦粉、ライ麦粉、粉と水の比率、温度、発酵時間、生地に対する種の比率で風味と食感を決め、どこにも無い商品を創りだしています。
 生地配合は小麦粉、ライ麦粉、雑穀粉、塩、水だけですから、長時間発酵以外大きな差を生むことは出来ません。 長時間発酵は時間の制約、醗酵室の制約があり、温度変化の影響を大きく受けることなど長時間発酵による生産は問題があります。

 その点、種だけを長時間発酵させておき、その種の熟成と種の使用量で品質を、風味を、食感を、他店との差を、そしてお客様の満足度を決めることに成ります。

 市販の”天然酵母と呼ばれる物”では本物は出来ない。ここに理由があります。

 やはり”種”、”ルバン=天然酵母”は自身で作る。これが基本です。

    基本

小麦粉          100%
ルバン           40     (10~60%の範囲で調整)
塩               2.4   (ルバンのTA及び使用量で調整)
モルト            0.4
水             適量(70%前後)

小麦粉はフランスパン専用粉で良いが、タンパク質が高すぎるので、博力粉(2等以下)で割るか、強力粉と博力粉をブレンドするとタンパク量と灰分調整が出来、風味も好みの物に出来ます。

 小麦粉は銘柄の選択が重要です。

 


Pain de campagne sur levain

2009-09-21 07:56:05 | Weblog

 パンドカンパーニュ シュール ルバン

 パリでよく見かけるタイプのカンパーニュです。
フランスパン用小麦粉、高灰分内麦粉、細挽ライ麦全粒粉を自家製天然酵母(Le rubain natura maison)で発酵させた極めて本物に近いカンパーニュです。

リスドール        70%   発酵時間:12~18時間
内麦粉           10     発酵室温度:8~10℃
細引ライ麦全粒粉    20     生地捏上温度:23℃
インスタントDイースト   0.1    捏上後室温で30分発酵
イビスグリーン       0.2    その後冷蔵庫で発酵
ユーロモルト        0.4
シママース         2.4
ルバン          40
水              68

ルバンの基本配合
リスドール       100%   ミキシングL-3分、または手捏ね。
水             60     発酵時間:12~18時間

ルバン元種        5

本物が楽しめます。


ベーカリーの基本

2009-09-20 12:43:55 | Weblog
 

 高品質で適正価格、地味に思えますがパン屋には実に良く似合います。日常的に、毎日食べていただく食パン、フランスパン、クロワッサンと家庭内消費の焼き菓子が主体ですから。その点ケーキはプレゼント・進物が中心で高価で過剰包装が好まれる場合もあります。

 商品が素朴で地味であれば店創りもその雰囲気を醸し出す造りになります。そうなれば華美で不必要なデザイン・什器が不要になり低コストの新規出店・改装が可能です。

 次は商品ですが、天然酵母、それも自家製天然酵母=ルバンでシットリ、風味良く、飽きない食パン、フランスパン、そしてどこにも負けないクロワッサン、素朴なクロワッサン生地に良質なバターを折り込んだ口溶けの良い秀麗なクロワッサン、さらにパイと焼き菓子があればお客様をひき付けられます。

 次は配合、製法ですが、特別な基本配合がある訳ではありません。奇抜な配合でバランスの良いパンが出来ることは極めて稀で、決まりきった配合がります。その決まりきった配合を使用する材料に合わせ微調整し、使用機材と立地などの制約で決まる工程に合わせた製法と組み合わせ最終的に配合を決めて行きます。

 材料、製法、配合、工程はもちろん、天然酵母技術、クロワッサン、パイ、本物を提案します。

 以下はレーズンブレッドの基本配合ですが、工程に合わせて材料の選定と製法を決めます。フランス駐在中にこの配合に変更し、売上倍増の原動力となりました。発酵時間の長短と使用する油脂で食感と風味を決定します。つまり、イースト量、生地捏上げ温度を変えることで発酵時間が決まり、油脂はショートニング、マーガリン、ラード、バターが一般的だが、風味重視なら天然油脂が好結果を生みます。

強力粉        100%
ルバン         30
生イースト        4
イビスグリーン      0.2
ユーロモルト       0.4
上白糖          8
シママース        1.8
脱脂粉乳         2
油脂           5
全卵           6
シナモン         1
水           73

レーズン       100
ラム酒          8

水は使用する小麦粉、ルバンの硬さにより変化します。イースト量は工程、環境により調整が必要です。 


カフェメニュー

2009-09-18 13:40:24 | Weblog

 今、焼き菓子の指導をしています。今は長崎カステラ、シフォンケーキの作り方を指導していますが、カフェ開店までにパイ、タルト、ギャレットも克服出来るように指導を続けます。

 全くの素人集団ですので、ミキサーからオーブン、焼成後の製品の取り扱いまで全てを一からの指導です。
 時間はかかりますが、素人集団がどんなプロ集団にまで成長するか実に楽しみです。嬉しいのは、仕入れ商品で安易にカフェが経営できると考えていないこと、全て店内調理で手作りの温もりのあるパイと長崎カステラ、シフォンケーキを中心に据えていることです。いずれは自家製の天然酵母で美味しい食パン、フランスパンが焼けるよう技術の向上を計り、安定経営の実現に協力して行くつもりです。

 バブル期以降利益至上主義が蔓延し、さらに小泉政権下で進めた規制緩和が無秩序な、品質も人の心も大切にしない粗末な社会を作ってしまった。高品質で適正価格が日本人の誇りであったが、その誇りさえ捨ててしまった。旨くも無い、食すに値しない商品だけで商売している海外ブランドカフェチェーンの将来は?そろそろ淘汰の時期が直ぐそこまで来ているように見えますが。

 商品とサービスの価値、その価値を考え高めるために努力する経営者、そういう経営者とそこで働く従業員を助けたい。


ベーカリーカフェ

2009-09-17 07:06:56 | Weblog

 今、カフェは美味しくないコーヒーとバサバサのケーキ、サンドイッチを提供する店とのイメージがあります。コーヒーはミルクを入れずに飲める、香りが命ですから、エスプレッソそのままストレートで飲めるコーヒーを提供すべきです。

 アメリカの食品レベルは低く、味、食感、香りにこだわらない大味です。そのアメリカブランドのカフェですから美味しくないのは当然でしょうが、1個1個袋詰めになって納品された、チョコレートべったりのドーナツやアイシングたっぷりのデニッシュを、袋から出してショーケースに並べる滑稽な風景が見られます。これは客を馬鹿にしています。外見・スタイルに弱い日本人ですから、これまで通用しましたが、これからは無理です。店舗展開が止まってきたのは当然です。

 やはり店内調理、店内焼成が本流にならなければカフェの発展はありません。